3月6日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでライブイベント「ライブナタリー “Aooo × Hakubi × チリヌルヲワカ”」が開催された。オープニングゲストのLOLOETを含む計4組が競演した。
LOLOET
開場からほどなくして、フロアには多くの観客が集まった。そんなオーディエンスを出迎えたオープニングゲストのLOLOETは、Ayachoこと和田彩花(Vo)、ミ兵chi(Dr / 花園distance)、Happymenこと吉澤幸男(G / ZION、GAGAKIRISE)、チャンケン(Tp, Synth / The SKAMOTTS、THE ZOOT16)、劔樹人(B / あらかじめ決められた恋人たちへ)の5人からなるバンド。昨年10月に結成されたばかりのLOLOETのライブでは、まずステージ下手に立つAyachoが静かにポエトリーを届け、バンドメンバーも音を少しずつ重ねていく。Ayachoの日本語とフランス語を織り交ぜた語りおよび歌は序盤のインプロでこそ静かだったが、躍動するバンドサウンドに呼応するかのようにハーモナイザーやディレイがかかるなどエフェクティブに変化し、メロディも加わった。バンドは陶酔感のあるアンサンブルでシームレスに楽曲をつないでいき、5曲を披露した。
LOLOET セットリスト
01. 20240306(improvisation)
02. 風
03. SOEUR
04. 1103
05. fufufu
Hakubi
続いて登場したのは、京都のスリーピースバンド・Hakubi。片桐(Vo, G)、ヤスカワアル(B)、マツイユウキ(Dr)はピアノやシンセの同期を取り入れた2022年発表の楽曲「Twilight」を1曲目に披露。片桐の儚くも力強い歌声、ダイナミックに展開するバンドサウンドで観客の心をとらえる。続くギターロックチューン「最終電車」でHakubiは、日常を過ごしながらモヤモヤした気持ちを抱えた人の気持ちを歌い、それを肯定。片桐は来場者に感謝を伝えつつ、「今日の4組は“異種格闘技”なんですけど、きっと皆さんが聴いてこなかった音楽もあるでしょう。『私たちの音楽に出会えてよかった』と思えるような、そんな40分にしたい」と改めて意気込む。バンドは続く「在る日々」で決してポジティブなだけではない人の暗い気持ちを包み込むようなメッセージを伝えた。
また片桐は「自分が初めて大切な人を亡くしてしまったのが去年の3月で」と最愛の祖母を亡くしたことに言及。1年が経った今でもその存在を強く感じ、喪失感を抱えて自分が前に進めていないという。また「あのときもっと話せばよかった。もっと帰ればよかった。それをずっと考えちゃうんです。それが私の後悔です」と心情を吐露しつつ、「あなたたちにも大切な人がいるなら後悔しないように伝えてください。何度も何度も会いに行ってください。聴いてください、私の後悔の歌」と話し、祖母に捧げる楽曲「拝啓」を届けた。バンドはラストの「光芒」まで等身大の思いをぶつけるような楽曲を届けた。
Hakubi セットリスト
01. Twilight
02. 最終電車
03. 在る日々
04. 拝啓
05. Heart Beat
06. mirror
07. 光芒
チリヌルヲワカ
続くチリヌルヲワカはユウ(G, Vo)、イワイエイキチ(B)、中畑大樹(Support Dr / Syrup16g)の布陣でステージに上がり、序盤に「マシーン」「化ケノ皮」とアグレッシブな楽曲を連投。淡々とした様子でエッジの効いたカッティングを奏でるユウをはじめ、ストイックなパフォーマンスが続く。「甲と乙」でのオートワウの効いたベースソロから爆音ギターソロの流れでは、フロアからどっと歓声が湧き上がった。そして「今日は私たちのライブ初めとなっています。こんな素敵なイベントに出させていただいて、本当に光栄です。最後までよろしくお願いします」というユウの挨拶のあと、バンドはグルーヴィなベースラインで始まる「極楽浄土」を披露した。
サーフロック系ギターリフが映えるさわやかなロックチューン「アヲアヲ」の演奏後、ユウは「毎年アルバムをリリースしてるんですけど、先々週までレコーディングをやっておりまして。今年も5月にニューアルバムをリリースします」と発表。さらに5月には新譜のお披露目ワンマンライブを実施するとのことだ。続けてユウは「今日はすごくフレッシュなバンドがたくさん出ていまして。まさか15枚目のアルバムを出すバンドがここにいるなんて」と笑いつつ、「名残惜しいですけど、皆さんに出会えてよかったです。このあとのAoooさんまで楽しんでいってください」と呼びかけた。チリヌルヲワカはプログレッシブな展開のお祭りロックチューン「松の木藤の木」でフロアを熱く盛り上げ、「バッドエンディング」でライブを締めくくった。
チリヌルヲワカ セットリスト
01. マシーン
02. 化ケノ皮
03. 甲と乙
04. 極楽浄土
05. アヲアヲ
06. カスガイ
07. 松の木藤の木
08. バッドエンディング
Aooo
トリを飾ったAoooは、同年9月に初ライブを行ったばかりながら注目度の高い大型新人バンド。石野理子(Vo / ex. 赤い公園)、すりぃ(G)、やまもとひかる(B)、ツミキ(Dr / NOMELON NOLEMON)という強力なメンバーが在籍している。本日の公演より1stデモCD「Demooo」を会場限定発売する予定だったが、製造工場の不備により発売が延期となった。そんなトラブルに見舞われながらも、いざライブの開始時間になり、メンバーがステージで円陣を組むと、大きな歓声が上がる。まず「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」「フラストレーション」という軽快な楽曲が演奏され、石野はステージを左右まで大きく使いながら観客を煽り、笑顔を見せた。場内の熱気を引き上げたところで、Aoooは作詞を石野、作曲をやまもとが手がけたバンドのオリジナル曲「青い煙」を披露。ツミキのパワフルなドラムをバックに、石野が伸びやかな歌声を聴かせた。
ライブ中盤、石野は「ナタリーさん、今日は呼んでくださってありがとうございます。私たちAoooは半年前くらいに結成したばかり。一番初めに「対バンライブをやりませんか?」と声をかけてくださったのがナタリーさんで。今日は素敵なバンドの皆さんとライブができてうれしいです。皆さんも来てくださってありがとうございます! 今ここに残ってくださている皆さんは嫌で観ているわけではないと信じて(笑)、遅い時間なのでどんどん曲をやっていきます!」とコメント。バンドは続いてツミキが手がけた楽曲「shampoo」、すりぃによる「あんずの花」とムーディな曲を続けてパフォーマンスした。
その後、石野はこの公演に照準を合わせてデモCD「Demooo」を会場限定リリース予定だったが、間に合わなったことを報告。代案を考えた結果、この日限りの手焼きCD-Rを用意したと話し、「大切に取っておいてもらえたら」と付け加えた。そんな「Demooo」の収録曲「リピート」では、石野は白いストラトキャスターを抱え、ギターボーカルとしてパフォーマンスした。ライブ後半、デモ収録曲「イエロートイ」で観客の手拍子を誘ったAoooは、同じくデモ収録の情熱的なナンバー「アパシー」も披露。すりぃが作詞作曲したMAISONdesの楽曲「アイワナムチュー」でライブは締めくくられた。その後、アンコールを含めて大きく盛り上がり、イベントは大団円を迎えた。
Aooo セットリスト
01. トウキョウ・シャンディ・ランデヴ
02. フラストレーション
03. 青い煙
04. shampoo
05. あんずの花
06. リピート
07. イエロートイ
08. アパシー
09. アイワナムチュー
<アンコール>
10. リピート