XIIX主催の対バンイベント「XIIX presents Eleven Back vol.2」が、3月18日と19日に東京・恵比寿ガーデンホールで行われた。今回ゲストとして出演したのは初日がandrop、2日目が秋山黄色。それぞれ異なるカラーのライブが繰り広げられ、XIIXも両日まったく異なるセットリストで集まったオーディエンスを魅了した。
初日:androp
初日のゲスト、andropのライブは「Voice」で始まった。内澤崇仁(Vo, G)の煽りに応え、オーディエンスは軽快なハンドクラップを打ち鳴らす。続く「MirrorDance」では前田恭介(B)のベースラインがフロアを大きく揺らした。「Lonely」「Ravel」で浮遊感に満ちたサウンドをじっくりと聴かせたあと、内澤は「すごい興奮しております。結構前からやろうという話をしていたので……」と、念願のXIIXとの対バンを叶えた喜びを語る。その後はドラマ「愛してるって、言いたい」の主題歌として提供した新曲「Story」を披露。壮大なラブソングで観客を圧倒した。
後半では軽快なジャムセッションに続き、内澤が「新曲をまた作ってきました!」と宣言する。どんな曲なのか場内が固唾をのむ中、始まったのはXIIXの楽曲「No More」のカバー。どよめきと笑い声が起こったあと、観客は大喜びで彼らの演奏に身を委ねた。「SuperCar」でオーディエンスとシンガロングを響かせ合ったのち、ラストはノスタルジックなオレンジ色の光の中で「Toast」を披露。内澤は「いろいろあったけど、こういう素敵なステージに立てると生きててよかったなと思います」としみじみと語った。
初日:XIIX
オーガナイザーのXIIXは「LIFE IS MUSIC!!!!!」でフロアのテンションを徐々に上昇させ、「シトラス」の小気味よいビートを響かせる。斎藤宏介(Vo, G)が「おひさしぶりです!」とファンに挨拶すると、須藤優(B)も「10月以来だから……5カ月ぶりか」とXIIXとしてはひさびさのステージに感慨深げな表情を浮かべた。斎藤はandropによる「No More」のカバーについて「リハーサルでもやってなかったし、舞台裏に貼り出されてるセットリストにも書いてなかったんだから。しかも僕ら知らなかったから、このあと『No More』やるんですよ(笑)」と裏話を明かし、観客の笑いを誘った。
“本家”による「No More」のパフォーマンスに続いては、斎藤と須藤が力強くフロアタムを鳴らした「正者の行進」、たおやかな斎藤の歌声とアンサンブルが場内を包みこんだ「まばたきの途中」、疾走感たっぷりのバンドサウンドで熱気を高めた「アカシ」と、多彩な楽曲を披露。ラストは「スプレー」のメロウなサウンドで締めくくられた。
アンコールに応えて再びステージに姿を現した斎藤と須藤は内澤をステージに呼び込んだ。大歓声の中で内澤が登場すると、斎藤は「すごいバンドが僕らを好いてくれてること、めちゃくちゃ自慢したいな」と笑顔に。内澤も「そっくりそのままお返しします!」と応え、相思相愛っぷりを見せつけた。
その後彼らが披露したのは、昨年7月リリースのアルバム「XIIX」の収録曲で内澤と斎藤が歌詞を共作した「魔法の鏡」。斎藤のアコースティックギターと須藤のベースだけのシンプルな演奏に乗せ、美しいハーモニーが響いた。さらに須藤と親交が深いandropの前田もステージへ。前田が「この人がいたからがんばれました」と須藤へのリスペクトを語ると、須藤は「いい子に育って……(笑)」と照れながら返していた。
2組のコラボレーションでパフォーマンスした楽曲はandropの「Boohoo」。間奏では前田と須藤のベースソロ合戦が繰り広げられ、オーディエンスは歓声を上げて2人の熱演を楽しむ。最後にXIIXは「うらら」を届け、初日のステージに幕を閉じた。
2日目:秋山黄色
2日目のゲスト、秋山黄色はステージ上へ走り出ると印象的なギターリフを奏でながら1曲目「Caffeine」を歌唱し、独自の世界へオーディエンスを引き込む。「楽しんでいこうぜ!」という言葉に続いては「SCRAP BOOOO」をアグレッシブに歌唱。斎藤とは以前から親交があるという秋山は「『いずれ一緒に何かできたら』ってすぐ言うんですけどね、あの人(笑)」と軽口を叩きつつ「僕はあまり対バンをしないんですが、うれしいですね。明確に“先輩”って言える人とできるのは」とこの日の競演を喜び、「止まりませんよ、今から!」とさらなる熱演を誓った。
その言葉通りに「PUPA」「chills?」とノンストップで歌い続ける秋山だが、「宮の橋アンダーセッション」の曲中のブレイクではおなじみのフロアの観客との会話を展開。秋山と同じく先日3月11日に誕生日を迎えたというファンのために「Happy Birthday to You」を歌うというサービスも披露し、場内を和ませた。斎藤との縁に改めて感謝を述べた秋山は「シャッターチャンス」で精一杯の感情を込めたボーカルを届ける。最後は「とうこうのはて」「クソフラペチーノ」をパワフルに熱唱し、軽やかに側転を決めてステージを去っていった。
2日目:XIIX
2日目のXIIXのライブは、斎藤の激しいギターストロークから「月と蝶」で幕開け。「Stay Mellow」「ユースレス・シンフォニー」でフロアのテンションを上げたあと、斎藤は「黄色くんの熱は楽屋まで届いてましたよ。何あいつ、めっちゃカッコいい!」と直前の“後輩”のステージを絶賛し、須藤も「カッコよかったよね!」と賛同する。斎藤は秋山との仲を「『結婚式に着ていく服がないから、先輩貸してください』ってLINEくれるのはあいつくらいだよ(笑)」と明かし、「でも彼の作る音楽や、音楽に対する姿勢が好きです」と熱いメッセージを送った。
中盤では「E△7」「ZZZZZ」など、深みのある音像が印象的な楽曲を連投し、初日とはまた異なるXIIXの魅力を双方のファンに伝えた。「like the rain」ではしっとりとしたピアノの音色に乗せ、斎藤の柔らかな歌声がフロアに染み渡る。須藤のグルーヴィなベースラインが炸裂した「あれ」のラストのサビは、斎藤が「綺麗に咲けばどれだって素敵さ秋山黄色!」と歌詞を変えて歌い、オーディエンスを大いに沸かせた。
アンコールでは「うらら」を華やかに奏でたのち、「ilaksa」のトリッキーなアンサンブルでフロアを翻弄。斎藤の「最後に僕がとても好きな曲を歌って終わります」という言葉に続いては、秋山の「サーチライト」をカバーし観客をどよめかせた。斎藤がボーカルを取った1番に続き、2番では秋山本人がステージに登場。アグレッシブなパフォーマンスに乗せ、情熱的な歌声を放った。
秋山はXIIXの演奏に乗せ、過去に対する思いを朗々と語り「やり直すのは過去のことじゃない、これからです!」と自身の未来に向けて力強い言葉を放つ。エモーショナルな秋山の叫びを、斎藤と須藤は丁寧な演奏で支えつつ優しい表情で見守っていた。
セットリスト
「XIIX presents Eleven Back vol.2」2024年3月18日・19日 恵比寿ザ・ガーデンホール
初日:androp
01. Voice
02. MirrorDance
03. Lonely
04. Ravel
05. Story
06. Tokio Stranger
07. No More(XIIXカバー)
08. Hyper Vacation
09. SuperCar
10. Toast
初日:XIIX
01. LIFE IS MUSIC!!!!!
02. シトラス
03. ユースレス・シンフォニー
04. No More
05. 正者の行進
06. まばたきの途中
07. アカシ
08. あれ
09. Answer5
10. スプレー
<アンコール>
11. 魔法の鏡
12. Boohoo(andropカバー)
13. うらら
2日目:秋山黄色
01. Caffeine
02. SCRAP BOOOO
03. PUPA
04. chills?
05. 宮の橋アンダーセッション
06. やさぐれカイドー
07. シャッターチャンス
08. とうこうのはて
09. クソフラペチーノ
2日目:XIIX
01. 月と蝶
02. Stay Mellow
03. ユースレス・シンフォニー
04. E△7
05. ZZZZZ
06. like the rain
07. アカシ
08. 正者の行進
09. あれ
10. スプレー
<アンコール>
11. うらら
12. ilaksa
13. サーチライト(秋山黄色カバー)