JOYSOUND 音楽ニュース
powered by ナタリー
「JOYSOUND X1」公式サイト「ジョイオンプー」LINEスタンプ販売中

曽我部恵一、矢野顕子、君島大空、原田郁子が有楽町で連日弾き語り「TOKYO春爛漫」終幕

曽我部恵一(撮影:東美樹)
7か月前2024年04月26日 11:05

ライブイベント「TOKYO春爛漫」が4月18~21日に東京・I'M A SHOWで開催された。「TOKYO春爛漫」は、世代を超えた出演者が日替わりで弾き語りのパフォーマンスを披露するイベント。今回は曽我部恵一、矢野顕子、君島大空、原田郁子がライブを行った。本稿では4日間の模様をレポートする。

4月18日:曽我部恵一

初日に登場した曽我部恵一は、おもむろにバンジョーを手に取ると「兵士の歌」で、ゆったりとライブをスタート。ステージ上には自宅から持ってきたという楽器が並べられ、曽我部は「自分の部屋かと思うくらい落ち着きます」とリラックスした雰囲気で演奏を進めていった。序盤ではサニーデイ・サービスの楽曲を続けて披露。曽我部はバンジョーからアコースティックギターに持ち替えると「あじさい」「さよなら!街の恋人たち」を畳みかけるように演奏し、荒々しくギターをかき鳴らしながら歌う激情的なパフォーマンスで客席を圧倒した。

6曲目「There is no place like Tokyo today!」からの3曲はエレキギターの弾き語りで届けられ、深くリバーブの効いたギターの音色とともに穏やかな歌声が場内を漂う。ステージ中盤では昨年11月に発表したラップアルバム「ヘブン2」より「いて座」「カラフル」「結局ここに戻って来る」の3曲が初披露され、リズミカルなラップに乗せて生々しい言葉の数々が届けられた。

子供が幼い頃に購入したというミニキーボードを弾きながら「ちょっとまってて」を届けた曽我部は、再びアコギに持ち替えて「海までの道をきみと歩いてる」「まぶしい」を客席に語りかけるようにして歌い上げる。続くMCでは先日競演した静岡のローカルアイドルグループfishbowlとのエピソードで会場を和ませたのち、静岡に実在するカレー店をテーマにした楽曲「がるそん」を演奏。郷愁を誘うメロディに乗せて温かな歌声を届けた。「春の嵐」を歌い上げた曽我部はエレキに持ち替え「PINK」「オーロラ」を演奏して本編を終了。アンコールでは長女の誕生時に作ったという「おとなになんかならないで」、日常の風景を歌った「おかえり」が届けられピースフルな空気が場内に広がった。

4月19日:矢野顕子

これが「今年初めての日本でのコンサート」だと言う矢野顕子は、客席ににこやかな笑顔を向けながら1stアルバムの収録曲「電話線」でライブをスタートさせる。続けて「丘を越えて」「David」、そしてライブではひさしく歌っていないという「へびの泣く夜」を躍動感のある節回しで披露した。

ソロ以外にも上妻宏光のコラボユニット・やのとあがつま、宇宙と地球を音楽と映像で結ぶプロジェクト「Into the Space <Version 2> 矢野顕子の歌とピアノで宇宙に行こう。」のライブを控えている矢野。それぞれで新曲を発表する予定であることを明かし、本公演でも新曲を披露すると予告した。「すごくいい曲なので期待していてください。でも古い曲もいいものです」と観客に語りかけた矢野は、「皆さんそれぞれに『これが聴きたい』という曲があると思いますが、それを全部演奏すると皆さんが帰れなくなってしまうので、ここはひとつ私がやりたい曲をやろうと(笑)」とチャーミングに前置きし、槇原敬之「雷が鳴る前に」、童謡「サッちゃん」、オフコース「YES - YES - YES」をジャジーなアレンジで情感たっぷりにカバー。さらにNHKの朝ドラを好んで観ていると話し、「今から歌う曲を古いとか思わないでね。なんなら今でも『じぇじぇじぇ』とか言うよ!」と「あまちゃん」の挿入歌「潮騒のメモリー」も歌唱した。

クライマックスでは糸井重里作詞による新曲「Do you love me?(愛されたいおれら)」を世界初演。どこか昭和歌謡を感じさせるメロディに乗せて「金がないまま愛されたい」「ブ男のまま愛されたい」と切実に訴えかける、どこか憎めない男性の内なる叫びをユーモラスに歌い上げた。最後に矢野は代表曲「ひとつだけ」を朗らかに歌唱。アンコールでは「ラーメンたべたい」を疾走感のあるアレンジで披露してライブの幕を閉じた。

4月20日:君島大空

君島大空はギターを手に取り椅子に腰かけると新曲「Q」でパフォーマンスを開始。温かなアコースティックギターの音色と詩的な歌詞世界が美しい調和を生み、その神秘的な演奏に観客は惹きつけられていく。君島は「向こう髪」で技巧派ギタリストとしての手腕を発揮するかのように複雑で繊細なメロディを軽やかに紡いでみせた。この日、フランク永井「有楽町で逢いましょう」を聴いていたと語る君島は、そのタイトルにかけて「有楽町で逢えてうれしいです。最後まで楽しんでいってください」と客席に向けて挨拶。「嵐」で演奏を再開すると、ボイスチェンジャーを用いた歌唱で場内にスペーシーな空間を作り上げ、表現者としての振り幅の広さを感じさせるステージを展開した。

5曲目「c r a z y」を終えた君島は「今日は普段やらないセットリストで、だんだん暗くなっていくと思います」と呼びかけると、「映画」や「花降る時の彼方」「午後の反射光」などの楽曲を次々と披露。そしてシームレスにつないだ「- - nps - -」「沈む体は空へ溢れて」では、揺らぎのあるウィスパーボイスを時に繊細に時に情熱的に響かせ、万雷の拍手の中ステージをあとにした。アンコールに応えて再び姿を現した君島は、「土曜の有楽町っていいですよね。待ち合わせだけしたいな」とにこやかに語る。「本編を取り返すように明るくして帰ります(笑)」君島はそう告げると「19℃」「笑止#2」「都合」を情感たっぷりに歌い上げ、この日の公演の幕を下ろした。

4月21日:原田郁子

場内が暗転し、フランク永井の「有楽町で逢いましょう」が流れると、原田郁子がステージに登場。昭和歌謡のムーディな雰囲気が場内にたちこめる中、原田はお茶を飲んだり柔軟運動をしたりしながら、ゆっくり演奏の準備を進めると、グランドピアノの前に腰かけて「あいのこども」で静かに演奏を始める。「やわらかくて きもちいい風」で伸びやかな歌声を響かせた彼女は、「ようこそいらっしゃいました」と笑顔で挨拶。ピアノを弾き始めた幼少時代の思い出を振り返ったのち、谷川俊太郎の詩にメロディを付けた「ぴあの」を持ち前の表情豊かな歌声で届けた。

日本語の擬音をモチーフにしたユニークな楽曲「オ・ノ・マ・ト・ペ」では原田の遊び心が爆発。ピアノの弦をスティックで直接弾くなど自由度の高いパフォーマンスが展開された。作家のいしいしんじと共作した新曲「海と山のすきまで」、エモーショナルな「charm point」に続く「青い、森、、」では、緊張感漂う演奏で、深い森の中に分け入っていくようなディープな音世界が作り上げられた。

ライブ中盤で、原田はおもむろに立ち上がると、ステージに敷かれたラグマットに腰を下ろし、トイピアノを弾きながら「波間にて」を歌唱する。そして傍らに置いてあったガットギターを手に取ると「とぅ まぁ でぃ」を演奏。アルぺジオに乗せて届けられる微かな歌声に観客たちは静かに耳を傾ける。続くクラムボンの「ある鼓動」もガットギターの演奏で披露された。「ユニコーン」でライブは終盤に突入。「青い闇をまっさかさまにおちてゆく流れ星を知っている」をしっとりと歌い上げた原田は、忌野清志郎と共作した「銀河」を届けて本編を終えた。

アンコール1曲目に披露されたのは谷川俊太郎が歌詞を提供した「いまここ」。元映画館である会場のスクリーンに、写真家・川内倫子による映像が映し出され楽曲の世界観を見事にビジュアライズしていた。昨年9月には「いまここ」の歌詞と川内の写真からなる同名の写真絵本が出版されており、この日のステージでも原田、谷川、川内によるコラボレーションが実現した。最後の楽曲は、穏やかな「もうすぐ夜があける」。冒頭のMCで「ずっとやりかったことを今日はやってみたいと思っています」と語っていた原田は、満面の笑みを浮かべながら客席に手を振りステージをあとにした。

セットリスト

「TOKYO春爛漫」2024年4月18~21日 I'M A SHOW

曽我部恵一

01. 兵士の歌
02. サイン・オン
03. あじさい
04. さよなら!街の恋人たち
05. シルバー・スター
06. There is no place like Tokyo today!
07. トーキョー・コーリング
08. bluest blues
09. いて座
10. カラフル
11. 結局ここに戻って来る
12. ちょっとまってて
13. 海までの道をきみと歩いてる
14. まぶしい
15. がるそん
16. 春の嵐
17. PINK
18. オーロラ
<アンコール>
19. おとなになんかならないで
20. おかえり

矢野顕子

01. 電話線
02. 丘を越えて
03. David
04. へびの泣く夜
05. 雷が鳴る前に
06. 春咲小紅
07. サッちゃん
08. 音楽はおくりもの
09. PRAYER
10. 潮騒のメモリー
11. YES - YES - YES
12. Do you love me?(愛されたいおれら)
13. ひとつだけ
<アンコール>
14. ラーメンたべたい

君島大空

01. Q
02. 向こう髪
03. 嵐
04. 春のintro 1
05. エルド
06. c r a z y
07. 映画
08. 春のintro 2
09. 花降る時の彼方
10. 午後の反射光
11. - - nps - -
12. 沈む体は空へ溢れて
<アンコール>
13. 19℃
14. 笑止#2
15. 都合

原田郁子

01. あいのこども
02. 日曜日の昼下がり
03. やわらかくて きもちいい風
04. ぴあの
05. たのしそう かなしそう
06. オ・ノ・マ・ト・ペ
07. 海と山のすきまで
08. charm point
09. 青い、森、、
10. 波間にて
11. とぅ まぁ でぃ
12. ある鼓動
13. ユニコーン
14. 青い闇をまっさかさまにおちてゆく流れ星を知っている
15. 銀河
<アンコール>
16. いまここ
17. もうすぐ夜があける

関連記事

「Pen」2025年月1月号表紙

雑誌「Pen」細野晴臣特集に菅田将暉との対談掲載 安部勇磨、ハマ・オカモト、蓮沼執太らのコメントも

1日
Salyu

Salyuトリビュート盤の収録曲発表!アイナ、桜井和寿、青葉市子、小林武史、玉置浩二らのコメントも

4日
矢野顕子×上原ひろみ (c)YOSUKE SUZUKI

矢野顕子×上原ひろみのライブ音源「変わるし」本日配信

4日
クラムボン「クラムボン 添春編 {映像集}」ジャケット

クラムボン“巣ごもり”前のワンマン収めたBlu-rayを数量限定で一般発売

5日
岡林風穂 withサポート

岡林風穂 withサポートが新曲配信 リリースツアーに工藤祐次郎、ラッキーオールドサン、曽我部恵一

7日
小西康陽 (c)川上尚見

曽我部恵一「PINK MOON RADIO」ゲストに小西康陽、最新作に影響与えた楽曲紹介

8日
ホフディランカルテット ツアービジュアル

ホフディラン、田中貴、オータコージがバンド結成 来年ライブハウスツアー開催

11日
氣志團と微熱DANJI、7ORDER。(撮影:青木カズロー)

氣志團万博2日目にBUCK-TICK星野が現れ“Team NEWS”集結、アイナやthe GazettEらも熱演

15日
「氣志團万博2024 ~シン・キシダンバンパク~」ロゴ

「氣志團万博」全出演者のパフォーマンス放送決定、舞台裏に迫る特番もOA

18日
サニーデイ・サービス

サニーデイ・サービスが大阪&愛知ツアー開催、大阪公演は最初で最後の味園ユニバースワンマン

21日