山内総一郎(フジファブリック)と斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN、XIIX)によるセッションライブ「山斎-SANSAI-」が、4月30日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催された。
“山斎”は2人のマインドリセットの場
このライブはフジファブリック、UNISON SQUARE GARDEN、XIIXが所属する芸能プロダクションのソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)の創立50周年記念ライブシリーズ「SMA 50th Anniversary」の第1弾。3月に行われたライブイベント「J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2024」でもセッションを披露した2人が、貴重なカバー曲の数々で来場者を楽しませた。
楠木ともりと戸谷菊之介による開演前アナウンスに続き、ライブのオープニングアクトとして登場したのはシークレットゲストのAMEMIYA。彼はSNSにて話題の「冷やし中華はじめました」のメロディに乗せてSMAの歴史や著名アーティストに関するさまざまなエピソードを披露する。その後は1組目のゲスト、マツモトクラブが登場。アルバイトの女性に恋をしたラーメン店主の物語を悲哀たっぷりに描いた「よっちゃんラーメン」のネタを、フジファブリックやUNISON SQUARE GARDENの楽曲を取り入れたスペシャルバージョンで演じ、観客の笑いと一体感を誘った。
鳥のさえずりが響く会場内ではマツモトクラブのナレーションにより、山内と斎藤が日々の忙しさから逃れマインドリセットするために山の中の“山斎”に集っている、という説明がされた。山斎の扉が開く音とともにステージに現れた山内と斎藤はアコースティックギターを手に取り、「GUITAR JAMBOREE」でも披露した村下孝蔵の「踊り子」を歌った。
後輩も迎えてコラボレーション
最初の曲を歌い終えたあと、斎藤は今回2人が50周年シリーズの第1弾に選ばれたことについて「SMAが50周年、フジファブリックがデビュー20周年、UNISON SQUARE GARDENが結成20周年なので『お祝いがたくさんあるからとりあえず一発やってこい』という感じで……山斎と書いて“鉄砲玉”と読む、みたいな(笑)」と話す。山内も「SMAにはいろんな方がいるんですよ。そしてたくさんの名曲があるということで、所属している人、していた人のとてもいい曲たちのカバーをお送りします」とこの日のコンセプトを明かした。
時に涼やかに、時に力強く2人の歌声が響いたYUKI「JOY」、木村カエラ「リルラ リルハ」に続いては、フジファブリックの楽曲「ブルー」を披露。オリジナルとはまた異なる魅力を観客に届けたあとは、ナレーションによってこの山斎の噂が事務所の後輩たちの間に広まっているという説明がなされた。チャイムを鳴らしてステージに現れたのはAnonymouz。ユニゾンと同じマネジメントチームに所属し、斎藤の“直属の後輩”だという彼女は、2人に対し「めちゃくちゃ憧れの強いボス。カッコいいです」と尊敬の眼差しを送り、斎藤も「近い後輩がカッコいいのはうれしいし、期待してます」と賛辞を送る。ここで3人が披露したのはPUFFYのヒット曲「愛のしるし」。艷やかなハーモニーで観客を魅了したあとは、Anonymouzの楽曲「シガレット」でもコラボレーションを果たした。
先輩の名言「どんな1弦でも張り替えないと切れる」
1人目の後輩を送り出したあとは、山内と斎藤のトークへと突入する。斎藤が山内と日頃飲みに行くときの様子を「うれしいこととかもいつもギターに例えて話してくれて……」と明かすと、山内は「俺がキモいことバレるって!(笑)」とあわてるが、斎藤は忙しい自分の心身を気遣った山内に「どんな1弦でも張り替えないと切れるぞ」とアドバイスされたと暴露。山内は恥ずかしそうな様子を見せるが、客席からは感嘆の声と拍手が起こっていた。
続いて山斎に現れた2人目の後輩は竹内アンナ。アコギを提げた彼女は「お忙しい中、準備してくださってありがとうございます」と先輩たちに礼を述べ、3人でコラボする楽曲を「あの超名曲をギター3本で歌うことってなかなかないですね」と紹介した。3人が披露した曲は、東京スカパラダイスオーケストラの「美しく燃える森」。イントロの印象的なホーンのフレーズは竹内がスキャットで歌い上げ、観客を沸かせた。
ここで山内は、自身と斎藤の足元に置かれたバスドラのロゴをスカパラの北原雅彦が描き下ろしたことに触れる。斎藤が「描いてもらったのに1回だけじゃもったいないですね」と話すと、山内も「たくさんの曲を覚えたのに1回だけじゃコスパが悪い(笑)。次にやる曲もカッコいいんだよ」と同意。「ギターヒーローのお二人にそう言っていただけてうれしいです」という竹内の言葉に続いては、彼女のオリジナル曲「Free! Free! Free!」を疾走感たっぷりにパフォーマンス。フロアのテンションを再び高めた。
SAKURAIとまさかのギター漫談コラボ
竹内と入れ替わって登場した来客はピン芸人のSAKURAI。「山のふもとのコンビニまで行ってくるので」という2人がステージを去ったあと、SAKURAIは“どうしても伝えたいこと”を熱唱するおなじみのギター漫談を披露するが、そこに同じようにサングラスをかけた山内と斎藤が合流。2人もギターを掻き鳴らしつつ、それぞれの“どうしても伝えたい”けれど“どうでもいい”ことを歌い上げるネタを披露し、双方のファンの爆笑をさらった。
多彩なジャンルのタレントを擁するSMAならではのパフォーマンスに続いては、山内と斎藤がSMA所属アーティストのヒット曲の数々をメドレーで演奏した。東京スカパラダイスオーケストラの「Paradise Has No Border」、チャットモンチー「シャングリラ」、西野カナ「トリセツ」のあと、LiSAの「紅蓮華」は斎藤が、真心ブラザーズの「サマーヌード」は山内が、ハンドマイクを握って熱唱。それぞれの声質を生かしたカバーで楽しませた。
ご本人衣装で歌う「PIECES OF A DREAM」
ライブも終盤に差し掛かったところで、斎藤は「例のやつ持ってきてもらっていいですか?」とスタッフに声をかける。ここでスタッフが山内と斎藤のもとに運んできたのは黒を基調とした、斎藤が「ご本人の衣装です」というジャケット2着。さらに山内が耳から顎にかけてサングラスを垂らすと、その正体に気付いたフロアからはどよめきが起こった。2人がカラオケで披露した曲はCHEMISTRYの大ヒット曲「PIECES OF A DREAM」。山内が川畑要に、斎藤が堂珍嘉邦に扮して重ねた華麗なハーモニーに客席からは大歓声が起こる。ラストには氣志團「One Night Carnival」を披露。2人はオーラスのポーズも華麗に決めて本編を締めくくった。
アンコールでは山内と斎藤が、互いに敬愛し合う先輩後輩としてのセッションライブを叶えた喜びを語り合う。斎藤は「お互いの活動に無理のない範囲で山斎も続けられたら」、山内は「こんな感じでもちょこちょこやっていいですか?」と山斎としてのさらなる活動を示唆し、ファンを喜ばせた。最後に2人はUNISON SQUARE GARDENの「シュガーソングとビターステップ」をデュエット。そして竹内アンナ、Anonymouz、SAKURAI、マツモトクラブも呼び込み、全員で奥田民生の「さすらい」をカバーしてこの日のライブの幕を閉じた。SMAの創立50周年記念ライブシリーズは2025年3月まで続いていく。
セットリスト
「SMA 50th Anniversary presents 山内総一郎×斎藤宏介 山斎-SANSAI-」2024年4月30日 EX THEATER ROPPONGI
01. 踊り子(村下孝蔵)
02. JOY(YUKI)
03. リルラ リルハ(木村カエラ)
04. ブルー(フジファブリック)
05. 愛のしるし(PUFFY) w/Anonymouz
06. シガレット(Anonymouz) w/Anonymouz
07. 美しく燃える森(東京スカパラダイスオーケストラ) w/竹内アンナ
08. Free! Free! Free!(竹内アンナ) w/竹内アンナ
09. SAKURAIコラボ
10. メドレー
・Paradise Has No Border(東京スカパラダイスオーケストラ)
・シャングリラ(チャットモンチー)
・トリセツ(西野カナ)
・紅蓮華(LiSA)
・サマーヌード(真心ブラザーズ)
・アジアの純真(PUFFY)
11. PIECES OF A DREAM(CHEMISTRY)
12. One Night Carnival(氣志團)
<アンコール>
13. シュガーソングとビターステップ(UNISON SQUARE GARDEN)
14. さすらい(奥田民生)
※カッコ内はオリジナルアーティスト