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柴田聡子のバイブスが爆発、自身を解き放ったアルバムの完成とともにライブもネクストレベルへ

ハンドマイクで熱唱する柴田聡子。(撮影:丹澤由棋 [@yukitanzawa])
11か月前2024年06月04日 9:02

柴田聡子が約3年ぶりとなるバンドセットでのライブツアー「Tour 2024 "Your Favorite Things"」を3月に行い、5月31日に東京・Spotify O-EASTで追加公演を開催。満員の会場で大団円を迎えた。

自身のルーツであるR&B / ソウルやヒップホップなどからの影響を色濃く打ち出した最新アルバム「Your Favorite Things」を2月にリリースし、既存のファンを超えた幅広い層から絶賛を受けている柴田。今回のツアーではアルバムを共同プロデュースした岡田拓郎(G)に加えて、まきやまはる菜(B)、浜公氣(Dr)、谷口雄(Key)、Dub Master X(FOH)を迎えたバンド編成で東京・LIQUIDROOM、大阪・梅田CLUB QUATTRO、愛知・伏見JAMMIN'の3カ所を回り、いずれも大盛況を収めた。追加公演の会場であるO-EASTは柴田の単独公演としては過去最大規模のライブハウスだが、チケットは即完。止まることを知らない柴田の勢いをファンに実感させた。

ソウルシンガーのようにハンドマイクで熱唱

フロアを埋め尽くす観客が大きな拍手と歓声で出迎える中、バンドメンバーとともに現れ、マイクスタンドの前に立った柴田。背後から映写機のような光が差す中、ストリングスや岡田のスライドギターの音色で彩られたアルバムのオープニングナンバー「Movie Light」をささやくように歌い始める。ギターを抱えているイメージの強い柴田だが、アルバムの楽曲を収録順に披露する本公演の序盤ではギターを使わない。柴田がこのツアーで見せた進化の1つが、ソウルシンガーのようなハンドマイクさばきだ。「Movie Light」を歌い終え「センキュー、柴田聡子です」と短く挨拶した柴田は、2曲目の「Synergy」でマイクを手に取り、大胆に観客の近くまで躍り出ると、バンドのグルーヴィな演奏に乗って、エネルギッシュにステップしながら声を張り上げる。

肉体的なパフォーマンスによりフロアにみるみる高揚感がみなぎっていく中、柴田はステージを右に左に踏み歩きながら「目の下」「うつむき」をソウルフルに歌う。その伸びやかな歌声にはエコーやリバーブがかけられ、強烈な迫力を持ってこだまする。近年の柴田のライブを支えるDub Master Xの凄技だ。レコーディングやツアーをともにしてきたバンドならではと言える息の合ったアレンジも絶妙で、「うつむき」のアウトロでテンポアップしたかと思えば、そのまま「白い椅子」に接続。アルバムを聴き込んできたであろうファンをあっと驚かせた。

弾き語りも披露しつつ「Side Step」で着火

アルバムから5曲を歌い上げた柴田は、ここでようやくギターを手にすると、「旅行」をはじめとする前作「ぼちぼち銀河」の収録曲に加えて、アルバム未収録のシングル曲「どこへも行かないで」やエモーショナルな人気曲「涙」などを次々に演奏。そのパフォーマンスはライブ特有のバイブスにあふれており、1曲歌い終えた柴田が「センキュー」と口にするたび、観客は拍手と歓声で感動を伝える。またライブ中盤にはバンドメンバーが一旦退場し、柴田はフォーキーな「スプライト・フォー・ユー」やタイトルが気に入っているという未音源化曲「よかったよねLOVE」を1人で披露。弾き語りでも観客をしっかりと惹き付けた。

ライブも終盤に差しかかる中、再びバンドメンバーを迎え入れた柴田が語ったのは、すべてにおいて「力の伝え方」が大事だということ。「力の伝え方」を研究した結果、ハンマー投げの室伏広治選手までたどり着いたという柴田は、ワンコードで湖畔の風景を描く「Kizaki Lake」で美声を響かせたのち、ディスコナンバー「Side Step」で一気にモードを切り替える。軽やかにステージ前方に歩み出した柴田は、ショルダーキーボードを抱えた谷口とエキサイティングな掛け合いを展開。あふれるエネルギーを解放し、ライブのハイライトの1つとなるような盛り上がりを生み出した。

「ワンコロメーター」で大爆発、新曲で穏やかに終演

興奮冷めやらぬ中、「まだまだいくぞ」とつぶやいた柴田は「ネオシティーポップ」をテーマにした「Reebok」で心地よいムードを生み出し、ギターを抱えると圧倒的なスケールの「ぼちぼち銀河」で観客を魅了。極め付けはファンキーなアレンジにより、柴田きってのキラーチューンとなった「ワンコロメーター」だ。イントロでメンバーを紹介した柴田は、軽快な演奏に乗って唸り声を上げ、ハイテンションに飛び跳ねたり、マラカスを振ったりと大爆発。間奏にはまきやまのクールなソロプレイも盛り込まれ、ステージとフロアが一体となって沸き上がった。

異様なほどの盛り上がりの中で代表曲の「後悔」や「結婚しました」を弾むように歌った柴田は、アルバム収録のミディアムナンバー「素直」をゆったりと聴かせると、ミニマルなビートの上で淡々とパンチラインを放っていく「雑感」を続けて歌唱。オープニングの「Movie Light」同様、ストリングスの音色が美しいアルバムの表題曲「Your Favorite Things」でライブ本編を締めくくった。そして柴田は、鳴り止まない拍手の中、もう一度姿を見せると、聴き手に寄り添うような穏やかな新曲「HAPPY DAY」を初披露。今後さらなる名曲が生み出されていくことをファンに確信させた。

なお本公演の模様は6月25日にスペースシャワーTVにてライブ特番として放送されることが決定している。凄味を増した柴田のパフォーマンスとフロアの熱狂的な盛り上がりを放送で確かめよう。

セットリスト

柴田聡子「Tour 2024 "Your Favorite Things"」追加公演 2024年5月31日 Spotify O-EAST

01. Movie Light
02. Synergy
03. 目の下
04. うつむき
05. 白い椅子
06. 旅行
07. MSG
08. 夕日
09. どこへも行かないで
10. 涙
11. 南国調絨毯
12. スプライト・フォー・ユー
13. よかったよねLOVE
14. Kizaki Lake
15. Side Step
16. Reebok
17. ぼちぼち銀河
18. ワンコロメーター
19. 後悔
20. 結婚しました
21. 素直
22. 雑感
23. Your Favorite Things
<アンコール>
24. HAPPY DAY

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