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でんぱ組.incと浅野いにお、「デデデデ」と「あしこな」9年間の伏線をいろいろ回収

左から藤咲彩音、相沢梨紗、古川未鈴、浅野いにお。
5か月前2024年06月10日 13:01

アニメ映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章」の公開記念舞台挨拶が本日6月10日に東京・新宿バルト9で行われ、原作者の浅野いにお、挿入歌「あした地球がこなごなになっても」を歌うでんぱ組.incの古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音が登壇した。

でんぱ組.incの「あしこな」が挿入歌に

メインキャストの声をアーティストである幾田りら(小山門出役)、あの(中川凰蘭役)の2人が務めていることも話題の「デデデデ」。幾田とあのは前章・後章ともに主題歌も担当しているが、後章では2人が歌う主題歌に加え、でんぱ組.incが2015年に発表した浅野作詞の楽曲「あした地球がこなごなになっても」が物語の重要な場面で印象的に使われている。浅野は「明日地球がこなごなになっても」のほか2018年にもシングル曲「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」も作詞をするなどでんぱ組.incとは深い関係にあるが、実際に顔を合わせたのは数回のみで、お互いにSNSで存在を確認し合う間柄だという。

キャスト登壇の初日舞台挨拶で、あのが「あしこな」(「あした地球がこなごなになっても」の略称)について「最高の曲が最高の場面で流れる」と語っていたことについてMCが言及すると、古川は「うれしい。同じ時代を戦ってきた元アイドルのあのちゃんがこの作品で声優をやられているというのが、個人的にはすごくうれしいことの1つ」とコメント。浅野は「あのちゃんは制作段階で『あしこな』が使われると聞いて、すごく反応してたよ」と制作時の裏話を明かした。映画の感想を問われると、古川はネタバレを気にしつつ「日常に突然何かが起こることがテーマになっているじゃないですか。でも、それに慣れてきた日常感もあって……この前、朝早く地震のアラームが鳴ったとき、『あっヤバい!』と思いながらもしばらくしたら『まあ大丈夫か』みたいな気持ちになって。この感じは『デデデデ』っぽいぞと思っちゃったんですよ」と独特の感性で語り、浅野は「珍しい切り口だなあ」と感心した様子。相沢は「地球が滅亡しちゃうとなったとき、自分が何してたいかな?と改めてめちゃくちゃ考えました。『あしこな』の制作のときもそういう話をしていたと思うんですけど、自分が何をしたいか、誰といたいかを、家に帰ってからもずっと考えちゃって。不安になるけど映画を観ている中で『大丈夫かも』と思えたり、1回落ち込むのにもう1回映画に励まされたり、ちょっと今までにない感覚」と心揺さぶられた気持ちを言葉にする。藤咲もまた「とんでもない気持ちになって帰るというか……ホントこの言葉に尽きるんですよね。前章を観てほのぼの帰って、後章を観たらドカーン!とぶつけられる感覚があって。世界観に入り込んでしまって、私どうにか止められないかな?みたいな。でも最終的には心の澱んだ部分をすくい取ってくれて『ああよかった』と思って帰るんだけど、感想の手が止まらなくなる。言葉を生みまくる製造機みたいな……」と言葉にならない後章の衝撃を身振り手振りを加えて熱弁。「普段自分が言語化できなかったものを言語化できる触媒になったということですね」という浅野のきれいなアシストに場内には拍手が起こった。

でんぱ組.incがいなければ「デデデデ」は存在しない?

「あしこな」が挿入歌に採用された経緯を問われると、浅野は「この曲云々以前に、僕がなぜでんぱ組.incに興味を持ったかの話をさせていただきますと……この話は最終的に『デデデデ』につながっていくんですけど」と、極めて重要なエピソードを語り始める。「僕が最初に聴いたでんぱ組.incの曲は『でんでんぱっしょん』なんですけど、あのときは本当に衝撃的で。そこからでんぱ組.incのパーソナルを調べていくと、それまで僕が思っていたアイドル像とは全然違った。皆さんほの暗い10代を過ごしたというバックボーンがあるのに、曲ではとんでもなく明るく振る舞っている。その価値観、考え方がすごく健気に見えたんです。『でんでんぱっしょん』という曲がなかったら、そもそも『デデデデ』という作品は生まれてないんですよ。それはなぜかというと、おんたん(中川凰蘭)というキャラクターが、でんぱ組.incのグループとしての性質をまんま表しているんです。現実を直視していないわけじゃないけど、みんな大人でわかっていて、今はから騒ぎをしようというそのスタンス。そこに時代性を感じたし、それをマンガにできないかというのがあったんですよ」という突然のタネ明かしに、でんぱ組.incの3人と観客は大きくどよめいた。さらに浅野は「おんたんって、ツインテールじゃないですか。それは、未鈴ちゃんがツインテールだったから。僕はそれまでツインテールのキャラクターをメインに持ってきたことは一度もないんです」と付け加え、古川は大興奮。「今日ちょっと悩んでたんですよ。私はツインテールがトレードマークなんですけども、さすがに今日ツインテールにしたら、おんたんのコスプレになっちゃうかなあって。でも一番大事にしている部分を持っていこうと思ってツインテールにしてきたら、そんな話が……」と大喜びでツインテールの結び目を握った。

でんぱ組.incが国内外で評価を受け多忙になる中、海外遠征の直前に浅野が空港まで出向いて「あしこな」制作のための取材を行ったという当時のエピソードや、この作詞の時点で「デデデデ」とでんぱ組.incの存在をリンクさせて作っていたことなどを次々と明かしていく浅野。密かに進んでいた映画化も視野に入れて「自ら仕込んでいた」という彼は「自分ではわかっていたんです。あのシーンにはこの曲が合うってことを」と挿入歌起用に至る“伏線”まで明かし、相沢は「私たちはオタクなのでアニソンになることに対して異常な憧れがあるんですけど、9年越しにアニソンが増えたという喜びがオタク的にはありますね」と感慨深そうに語った。9年の間に変わったこと、あるいは変わらないことは?という問いに、相沢は「9年ずっと姫毛がありますね」と回答。藤咲も「私もずっと前髪パッツンだし」と髪型に触れながら、主人公の門出を意識したこの日のヘアスタイリングをアピールする。古川は「私は優しくなったなと思います。メンバーが変わって後輩が増えたりして、それまで先輩になったことがなかったから最初は『なんて声をかけようか』と悩んでたんですけど、優しくなろう、無愛想はやめようと変わっていきました」と心境の変化を語った。同じ質問に浅野は「ずっと連載をしてたから変わらないと言えば変わらないんですが……前に会ったときは金髪だったと思うけど、これ総白髪なんですよ。体だけは朽ちていく。精神年齢は変わらないのに」と肉体的な変化を挙げた。

ようやく伏線が回収されました

現在は2025年頭の“エンディング”に向かって活動しているでんぱ組.inc。相沢が「解散や終了ではなく“エンディング”という物語を作るストーリーのスタートに立ったところで。でも、どういうエンディングを迎えることになるのか、私たちも正直わからないんです」と現状を語ると、古川は「でも、そのエンディングに向かう途中に、こんな素敵な『デデデデ』の世界にでんぱ組.incが入れたというのがうれしい」と付け加え、浅野へ感謝の言葉を述べた。最後に相沢は「今日は改めて先生にいろいろとでんぱ組.incとこの作品のつながりを聞かせてもらって、これからライブで歌う気持ちがより強くなるなと感じました」とコメント。浅野は「『デデデデ』は直球の作品であるかというとそんなこともなく、かなり変化球の作品だと思います。情報量も多い内容ですが、余白も多いです。その分考える余白もたくさんあるので、皆さんの心に残る作品になってくれたらうれしいです。ともあれ、この10年近くかけたでんぱ組.incと『デデデデ』との関係、『あしこな』という曲を架け橋にして、ようやく伏線が回収されました」と満足そうな笑顔で締めくくった。

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