Bialystocksのホールツアー「Bialystocks Tour 2024」が6月28日に東京・TOKYO DOME CITY HALLでファイナルを迎えた。
ホールを包んだ壮大なバンドサウンド
Bialystocksは本ツアーにて西田修大(G)、越智俊介(B / CRCK/LCKS)、小山田和正(Dr)、秋谷弘大(syn, G, Sax)、オオノリュータロー(Cho)、佐々木詩織(Cho)というサポートミュージシャン6名を迎え、東名阪でライブを実施。TOKYO DOME CITY HALLは彼らにとって過去最大規模の会場であった。
客電の落ちた暗闇の中、Bialystocks楽曲のビッグバンド風メドレーが高らかにオープニングを彩る。SEの終了とともにステージの幕が開き、スポットライトを浴びた甫木元空(Vo)の「夜よ」の弾き語りでライブが始まった。舞台にはバンドメンバーの気配があるが、ホールには彼の叙情的な歌声と鮮やかなアコースティックギターの音色だけが響き渡る。そこへ、もう1本のスポットライトが交差し、客席に背を向けてピアノを弾く菊池剛(Key)の姿が現れた。2人が呼吸を合わせて届けた「雨宿り」の終盤、ライトが突如消灯し、コーラス隊の声がはつらつと響く。さらに明転と同時にバンドメンバーによる演奏が合流。広々とした空間に似合う壮大なサウンドがホールを包み込み、さっそくこの日のハイライトシーンの1つが生まれた。
その後、個性あふれる楽曲群を極めて高いクオリティで次々に演奏したBialystocks。菊池は正面のピアノのほかにも、その上と左サイドに設置したキーボードも駆使し、豊かなサウンドを表現する。原曲の雰囲気が保たれつつも、カントリー調の「Emptyman」はテンポアップでにぎやかさが加速し、美しいメロディのスローナンバー「日々の手触り」は菊池がセミアコースティックギターを手にしてロックバラードと化すなど、ライブならではのエッセンスが聴き手の感性を揺さぶった。高次元の演奏はもちろんのこと、鮮烈な照明演出を含めたステージ全体の高い完成度に観客が圧倒され、1曲ごとに大きな拍手を送る。スモークが立ち込める中、迫力と緊張感に満ちた「灯台」が“着地”を迎えると、喝采の上がる客席が大海原のように波打った。
「あなたは夢の中」暗闇の中で姿を消す
菊池を除いた編成で届けられた「あくびのカーブ」ではバンドがセッションを展開。その熱がピークに達したところで、颯爽と再登場した菊池が演奏を一手に引き受ける。彼のテクニカルなピアノ独奏の間に、ほかのメンバーは退場。しばらくするとステージ下手にて甫木元、オオノ、佐々木が1本のマイクを囲み、ピアノと3人の歌唱によるムーディな「朝靄」へとつながった。残るメンバー4人もマイク前に加わった「ただで太った人生」では、甫木元がいつもに増して感情豊かに歌唱。それはまるで哀愁漂う演劇のワンシーンのようにも見え、ステージ中央の電球が夕日さながらにあたりを温かく照らした。
そんな一風変わったブロックを経たライブ後半、秋谷のサックスが彩りを加える「はだかのゆめ」、セッションパートが高揚を誘う「All Too Soon」などが観客を酔いしれさせる。最新曲「近頃」では菊池のキーボードと西田のギターの情熱的なプレイが場内を沸かせた。そして観る者を異空間へと誘う「Branches」に続いて、ラストナンバー「フーテン」へ。「あなたは夢の中」と最後のフレーズをクレッシェンド気味に歌う甫木元をピンスポが照らし、やがて暗闇の中で演奏が終了。そのまま演者たちが去っていき、まさに観客を夢中にさせた濃密なショーは幕引きとなった。
画家・竹崎和征の作品を飾って
アンコールに応えて再登場したBialystocksは、ともにステージを作り上げたサポートミュージシャンを紹介。さらにアルバムを今秋にリリースすること、それに伴い全国7カ所を巡るツアーを開催することを告知した。甫木元はBialystocksの作品のジャケットを手がけた画家・竹崎和征が6月22日に亡くなったことに触れ「これは竹崎さんの友達の1人として言わせていただきます。どこか頭の隅のほうに、竹崎和征という画家がいたことを引っ掛けておいてもらえたらうれしいです」と語った。そしてBialystocksは「幸せのまわり道」など3曲を披露。最後は朗らかな「Upon You」で観客と一体となりホールツアーを大団円へと導く。甫木元は竹崎の作品を観客の前にそっと飾ってステージをあとにした。
スペースシャワーTVではBialystocksのコンテンツを3カ月連続でオンエア。その第1弾として8月29日21:00に本公演の模様が放送される。Apple Music、Spotify、Amazon Musicではこの日のセットリストをなぞるプレイリストが公開された。
セットリスト
「Bialystocks Tour 2024」2024年6月28日 TOKYO DOME CITY HALL
01. 夜よ
02. 雨宿り
03. 頬杖
04. コーラ・バナナ・ミュージック
05. Emptyman
06. 花束
07. 日々の手触り
08. Over Now
09. 灯台
10. あくびのカーブ
11. 朝靄
12. ただで太った人生
13. またたき
14. はだかのゆめ
15. All Too Soon
16. 近頃
17. I Don't Have a Pen
18. 差し色
19. 光のあと
20. Branches
21. フーテン
<アンコール>
22. 幸せのまわり道
23. Nevermore
24. Upon You
公演情報
Bialystocks New Album Tour 2024
2024年10月20日(日)愛知県 Zepp Nagoya
2024年10月26日(土)福岡県 DRUM LOGOS
2024年11月1日(金)宮城県 Rensa
2024年11月2日(土)神奈川県 KT Zepp Yokohama
2024年11月9日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
2024年11月17日(日)大阪府 Zepp Namba(OSAKA)
2024年11月29日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
オンエア情報
スペースシャワーTV「Bialystocks Tour 2024 at TOKYO DOME CITY HALL」
2024年8月29日(木)21:00~22:30