楽曲のリズムやノリを作り出すうえでの屋台骨として非常に重要なドラムだけど、ひと叩きで楽曲の世界観に引き込むイントロや、サビ前にアクセントを付けるフィルインも聴きどころの1つ。そこで、この連載ではドラマーとして活躍するミュージシャンに、「この部分のドラムをぜひ聴いてほしい!」と思う曲を教えてもらいます。第19回はシシド・カフカさんが登場。ドラム&ボーカルのスタイルでデビューしたのち、現在では即興でリズムを奏でるプロジェクトel tempoを主宰したり、ハードロックバンド結成企画を進行したりするなど、マルチに活躍している彼女が挙げてくれた楽曲は?
構成 / 丸澤嘉明
ドラムフレーズが好きな曲とその理由
Led Zeppelin「Poor Tom」
ドラムが好きな曲と聞かれて最初に思い浮かんだのがこの曲。
世界最高のドラマーと言われているジョン・ボーナム。
彼のドラムから始まり、歌が乗り……(この最初の30秒弱が特に好きなのです)大きな展開もなく進んで行くこの曲ですが、1曲を通して変わらない絶妙に跳ねたドラムフレーズに、その他の音がさまざまな絡み方をしてザクザクと進んで行く。
ボンゾのサウンドフレーズを最大限に生かした、シシド・カフカ的名作です。
メル・トーメ「Introduction」
このアルバム(「Live at the Maisonett」)は私が若かりし頃に、ジャズやビッグバンドの楽しさを衝撃と共に知ることになった1枚。
特にアルバム1曲目の「Introduction」は、ライブの幕開けに相応しい勢いとワクワク感が詰まっていて、今聴き直しても心躍らされます。
カウントのハイハットのスイング具合に痺れる。
調べたところ、トランペット奏者のアル・ポーシノ率いるバンドのドラマーのよう。
どなただろうー。
スタントン・ムーア「Poison Pushy」
CDのジャケットに惹かれて視聴したこのアルバム(「STANTON MOORE3」)。
1曲目のドラムイントロに一瞬で引き付けられ、1曲聴き終わる頃にはすっかりファンに。
空間を感じさせる音作りも、後半に向けて魅せる盛り上がりもすべてが心地いい。
シンプルなビートのみのイントロは、なんともカッコいいです。
自身でドラムフレーズをプレイする際に意識していること
目指すところはやはり、自身も観客も踊れるビートやフレーズ。
叩きながら歌っているときは、歌もドラムも打点として捉えがちですが
メロディとして捉えるドラムも意識しています。
自身のプレイスタイルに影響を与えたドラマー
若かりし頃に組んでいたバンドの先輩ミュージシャンの方々から、「ボンゾになれ」と教育されていました。
当時はLed Zeppelinも含め、ジョン・ボーナムの素晴らしさもイマイチ理解できていなかったのですが今振り返ると、一番影響を受けたドラマーと言えるかもしれません。
シシド・カフカ
メキシコで生まれ、アルゼンチンに滞在していた中学生の頃にドラムを叩き始める。数々のバンドに在籍したのち、ドラム&ボーカルのスタイルで2012年にソロデビュー。2013年9月に1stフルアルバム「カフカナイズ」をリリースした。以降、4枚のアルバムを発表し、2018年にアルゼンチンに留学してハンドサインを学ぶ。同年より100種類以上のハンドサインを出しながら即興演奏でセッションしていくリズムプロジェクト・el tempoを主宰しており、直近では7月19日に東京・SPACE ODD公演を控えているほか、7月26~28日に開催される野外フェスティバル「FUJI ROCK FESTIVAL '24」にも出演する。さらに現在、東京・日本武道館公演を目標としたハードロックバンドを結成する企画「ハードロック計画」をYouTubeにて配信中で、この企画内で新バンド・BONE DAWNを結成した。
シシド・カフカ | Official Website
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シシド・カフカ「ハードロック計画」 - YouTube
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