向井太一改めTAILがキュレーションするライブイベント「[ flex ] curated by TAIL」が、7月6日に東京・WALL&WALLにて開催された。
TAIL、仲間を招いて初ライブ
昨年10月にベストアルバム「THE LAST」を発売、そして11月に東京・豊洲PITで行われた全国ツアー「THE LAST TOUR」最終公演をもって約7年間の“向井太一”としての活動に幕を下ろしたTAIL。改名後初のイベントとなった「[ flex ] curated by TAIL」は、TAILが「自分が好きなアーティストを集めて遊べる場所を作りたい」という思いで企画したもので、彼のほか、1st EP「flex」に客演で参加したWez Atlasと、過去に競演した2020年解散のヒップホップクルー・CIRRRCLEのメンバーによるユニット・Otomodatchiが出演した。
エモーショナルな新曲も披露したWez Atlas
雷が鳴り響くゲリラ豪雨の中迎えた開場時刻だったが、DaBookによるオープニングDJの間にフロアは満員に。トップバッターのヒップホップアーティスト・Wez Atlasは、「Parachute」や「Echo」「It Is What It Is」といった楽曲を披露し、巧みなラップで早速オーディエンスを惹きつけていく。Wez Atlasは「(Da Da Da)Day Ones」で観客とコール&レスポンスを繰り広げたあと、彼のバックDJを務めるnonomiによるプロデュースで、ひさしぶりにできたというエモーショナルな新曲を初披露。夕焼けを思わせるオレンジの照明の中で「Overthink」を歌い、やっと訪れた週末にライブに参加した来場者に“お疲れさまソング”と称して「Me Today」を送った。なおWez Atlasは、7月17日に東京・不眠遊戯ライオンにて主催イベント「Wez Atlas Presents "Kid's Night Out Vol.4"」を開催する。
Otomodatchiの心地よいサウンドと軽妙なトーク
Otomodatchiは、東京とロンドンで活動する日本人R&Bシンガーソングライター・Amiideと、LAを拠点とするアメリカ人ラッパー・Jyodanによるデュオ。2人は5月にリリースしたばかりのEP「Hold On」の収録曲「My Favorite」でライブをスタートさせた。Otomodatchiは軽妙なトークを挟みながらCIRRRCLE時代の楽曲「Fast Car」や客演にKenzo Martiniを迎えた「Sayin' No」、mabanuaがアップしていたビートにOtomodatchiが歌を乗せたことからコラボが実現したという「On Everything」などを次々と披露。AmiideはTAILが向井太一名義で活動していた頃にCIRRRCLEをフックアップしてくれたことへの感謝を述べ、最後に「Hold On」で会場を温かなムードで包み込んだ。
いよいよTAILが初ステージ「Toxic」でフロア揺らす
TAILはSANABAGUN.の大樋祐大(Key)、大林亮三(B)、磯貝一樹(G)をバンドメンバーに迎え、TAIL名義で初めて発表した楽曲「Fundus」で静かにライブの幕を開ける。深くリバーブのかかったサウンドに乗せてTAILは繊細なファルセットボイスを聞かせたあと、楽曲がダンサブルに展開すると、ハリのあるつややかな歌声を響かせ早速フロアを踊らせた。叙情的なピアノの旋律から始まったバラード「Another 13」では、切ない恋心をエモーショナルに歌い上げる。
エイミー・ワインハウス「Love Is A Losing Game」を、アコースティックギターを中心にしたオーガニックなアレンジでカバーし、ビブラートの効いた歌唱を届けたTAIL。続く「Cure」では、詩人の黒川隆介をステージに招き入れ、温かな歌声と黒川による詩の朗読で楽曲に込めたメッセージをオーディエンスに伝えた。ステージが照明で真っ赤に染め上げられ始まった「Gone」では、Wez Atlasとの生コラボが実現。エネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げた2人は最後に熱い抱擁を交わした。イベントを締めくくったのはTAILの楽曲の中で最もダンサブルでアッパーな最新曲「Toxic」。イントロが鳴らされると、観客は待ってましたと言わんばかりに踊りだす。ステージに出演者たちが集結し、華やかなムードの中でイベントの幕が閉じた。
みんなの顔を見て本当にハッピー
アンコールを受けて再登場したTAILは「もう曲がないから何もないよ」とかわいらしい笑顔を覗かせ、「またみんなの前に立ててうれしかったです。8カ月ぶりくらいのライブだったので楽しみにしてきました。みんなの顔を見て本当にハッピーで大好きな仲間たちとライブができて、幸せな1日でした。これからもついてきてくれるとうれしいです。本当にありがとう!」とオーディエンスに思いを伝え、ステージを降りた。