青葉市子のコンサート「"Luminescent Creatures" World Premiere」が10月19日に大阪・サンケイホールブリーゼ、26日に東京・昭和女子大学人見記念講堂で開催された。この記事では東京公演の模様をレポートする。
「Luminescent Creatures」を再現する“世界初演”コンサート
本公演はタイトルの通り、青葉が2025年にリリース予定の新作「Luminescent Creatures」を再現する“世界初演”のコンサート。青葉のほか、梅林太郎(Piano)、水谷浩章(Contrabass)、梶谷裕子(Violin)、銘苅麻野(Violin)、坂口昂平(Viola)、平山織絵(Cello)、多久潤一朗(Flute)、朝川朋之(Harp)、角銅真実(Perc)といった9人が演奏で参加する。中身は2部制となっており、1部はアルバム「アダンの風」の収録曲や最新シングルなど既発曲で構成され、2部では新作「Luminescent Creatures」に収められる計11曲がお披露目された。
青葉のコンサートで開演前のステージに幕が下りていることはほぼない。入場した観客は開演までの時間、ステージ上で演奏者を待っているかのような楽器やアンティーク調の椅子、背景の暗幕に星のようにちりばめられたライト、そして美術家の松本千広が手がけた切り株のような、巨大な珊瑚のようなオブジェを眺めながら、これから始まるパフォーマンスに思いを馳せることができた。
多彩な音が重なり合う10人のアンサンブル
客電が落ち、ステージに照明が当たると、白い衣装に身を包んだ青葉と9人の演奏者たちが登場。ライブの幕開けを飾った「Space Orphans」では、温かみのある朝川のハープから始まり、青葉の透明感あふれるボーカル、その中で時折鳴き声のように混じるフルートの音色などいくつものサウンドがゆったりと重なり合い、会場を満たす。また「HORO」では角銅がハーモニックパイプを奏で、「Porcelain」ではハープとウインドチャイムの粒立った音がマリアージュされるなど、個性的で多彩な演奏が繰り広げられていく。そして8月にリリースされたばかりの最新曲「Lullaby」と、「Luminescent Creatures」といった寂寥感が漂う楽曲がパフォーマンスされた。
青葉は「この10人で最後に演奏したのは2021年の夏至だったからもう3年以上前なんですね。あの頃はみんなマスクをしていたし、公演自体も開催できるかどうか直前までわからなかった。その思い出もありながら、3年の間にコツコツたくさんの準備をしてきました。2部では新作の楽曲をすべて演奏しますので、私たちの歩みを見届けていただけたらうれしいなと思っています」とコメントし、2部へとつないだ。
最新作「Luminescent Creatures」の世界へ誘う
1部と2部の間の転換では、青葉が「楽しみにしていてください」と予告していた舞台装飾に動きが。ステージ上で数カ所に分けて置かれていた松本によるオブジェが中央に集められ、1つの巨大な幹か珊瑚のような姿に変わった。その大きなオブジェの周りに集まった青葉たちは、いよいよ未発表の新作の演奏へと突入。幻想的なハーモニーが印象を残す青葉の造語の楽曲にはじまり、青葉が足繫く通う沖縄・波照間島の空気が感じられる楽曲や、電子ピアノの音色がおもちゃのようなかわいらしさを演出する楽曲、ストリングスが優雅にワルツのリズムを刻む楽曲など全11曲を披露した。1部では柔らかくステージを包んでいた照明は、2部では色鮮やかな光の線となり、青葉たちが奏でる音楽を彩る。最後の曲目が終わり、青葉がタイトルを告げると会場は万雷の拍手に包まれ、「Luminescent Creatures」の初演は終わりを迎えた。
セットリスト
青葉市子「"Luminescent Creatures" World Premiere」2024年10月26日 昭和女子大学人見記念講堂公演
1部
01. Space Orphans
02. HORO~Easter Lily
03. Porcelain
04. Parfum d'étoiles
05. Asleep Among Endives
06. Seabed Eden
07. Dawn in the Adan
08. Lullaby
09. Luminescent Creatures
2部
・新作「Luminescent Creatures」収録曲(タイトル未発表)