氣志團主催の音楽フェスティバル「氣志團万博 2024 ~シン・キシダンバンパク~」の初日公演が、昨日11月9日に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールで行われた。2012年にフェスとして初開催されて以降、毎年千葉・袖ケ浦海浜公園で行われてきた夏の恒例イベント「氣志團万博」。11回目の今年は日程を11月に、会場を幕張に移し新たなスタートを切った。
暴動クラブ
朝から大勢のオーディエンスが会場に詰めかける中、9:45にMOSSAI STAGEにWELCOME ACTとして登場したのは暴動クラブ。「暴動クラブのテーマ」でスタートした4人のパフォーマンスに、集まった観客の熱量も徐々に高まっていく。まだ朝10:00前とは思えないメロウな空気を届けた「恋におちたら」のあとは、浜田省吾「あばずれセブンティーン」のカバーも披露。「ロックンロールをやりにきました、暴動クラブです!」という釘屋玄(Vo)のMCのあとも骨太なロックチューンを連投し、会場の空気を存分に温めた。
石田社長&保科有里(夢グループ)
幕張初日の“OPENING CEREMONY ACT”を務めたのは通販会社・夢グループの石田重廣社長と、同社がマネジメントする歌手の保科有里だ。石田社長はCM同様に万博グッズのTシャツを紹介し始めるが、保科が「社長、もう少し安くお願いします~」とおなじみのセリフを放つと観客から大歓声が沸き起こる。さらに保科は観客とともに「安い、安いー!」とコールし、謎の一体感を作り上げた。2人は持ち歌の「夢と…未来へ」「やすくして♡」も披露し、大盛り上がりの中で万博の開会を宣言した。
氣志團
YASSAI STAGEでこの日のトップバッターを務めたオーガナイザー・氣志團の綾小路翔(Vo)は、紹介VTRの中で会場や開催時期の変更について「夏フェス、9月の3連休は卒業しました! 駅近空調完備、怖いものはありません!」とあっけらかんと言い放つが「必ず地元に戻れるように」とこの先にも思いを馳せた。そんな中、バイクに乗って登場した綾小路がふかすエンジン音と、サポートメンバーの叶亜樹良(Dr)が刻むリズムがシンクロし、ライブは「俺達には土曜日しかない」でスタート。バックダンサーの微熱DANJI、そして友情出演の7ORDERも登場し、氣志團の熱演に華を添えた。
綾小路は「氣志團万博」が新たなスタートを切れたのは観客のおかげだと感謝を述べ、プレゼントを用意したことを明かす。「みんなに何かあげたいけどここから投げるわけにはいかない。でも今はテクノロジーの時代です」という説明のあとで登場したのはQRコードをプリントしたプラカード。何事かとオーディエンスはスマホを掲げるが、綾小路は「氣志團のツアーファイナルのチケットが買える権利をプレゼントします!」と、QRコードのリンク先がチケット購入先であることを告白。台風によってツアーの八王子公演が延期され、振替日程がまさかの「氣志團万博」の翌週になってしまったという切実な事情を明かして観客の笑いを誘った。
超ときめき♡宣伝部
ロックをモチーフにした衣装に身を包んでMOSSAI STAGEに登場した超ときめき♡宣伝部。彼女たちは代表曲「すきっ! ~超 ver~」を最初に披露し、キュートな歌声と笑顔を場内に充満させる。普段アイドルのライブを観ないであろう音楽ファンも、今話題の正統派アイドルをひと目見ようとフロアに大勢駆け付けた。最新曲「こんなあたしはいかがですか」でも愛嬌全開の歌とダンスが届けられ、「WANTED」では「氣志團万博」にちなんだバイクをイメージしたダンスを観客も真似する。ラストは今年TiKTokで大きなバズを生み出した「最上級にかわいいの!」でパフォーマンスが締めくくられた。
MY FIRST STORY
YASSAI STAGEに登場したMY FIRST STORYは、バイラルヒットを記録した楽曲「I'm a mess」で勢いよくライブをスタートさせた。観客は手を掲げてジャンプし、彼らのハイボルテージな演奏に呼応。ハイトーンボイスを響かるHiro(Vo)は、ライブの途中にステージを降りてフロアで歌唱し、観客の視線を一身に浴びる。また、お笑いドキュメンタリー番組「ドキュメンタル」で綾小路と共演した経験を持つHIroは、「音楽のフェスという戦いの場でようやく交わることができました」とコメント。「One Night Carnival」のイントロの演奏に合わせ「俺んとこ こないか?」というセリフを放つなど、氣志團へのリスペクト精神を見せた。そして、このライブで大きな目玉となったのがHYDEとの共演。HiroとHYDEはコラボ曲「夢幻」を2人で歌唱し、会場を思い切り沸かせた。
PEDRO
アユニ・Dがベースボーカルを務めるバンドプロジェクト・PEDRO。アユニはギターの田渕ひさ子(ex. NUMBER GIRL、toddle、KERA & Broken Flowers、bloodthirsty butchers)、ドラムのゆーまお(ヒトリエ)とともにMOSSAI STAGEに姿を現すと、ドラマ「その着せ替え人形は恋をする」のエンディング主題歌「ラブリーベイビー」を披露。さらに「吸って、吐いて」「グリーンハイツ」などを畳みかけ、時に疾走感のあるサウンド、時にオルタナティブな音像を生み出していく。アユニは汗を飛び散らせながら熱唱し、ラストは最新ミニアルバム「意地と光」の収録曲「アンチ生活」でライブをフィニッシュした。
T.C.R.横浜銀蝿R.S.
氣志團にとっての大先輩、“ツッパリの総本家”であるT.C.R.横浜銀蝿R.S.の出番になると、YASSAI STAGEに勇ましいバイクの音が鳴り響き、筋骨隆々の上裸の男が巨大な旗を持って登場。会場に昭和の匂いが漂う中、横浜銀蝿は「ぶっちぎりRock’n Roll」を皮切りに気持ちのいいほどにストレートなロックンロールナンバーを連発し、貫禄を感じさせつつも、まだまだ現役のロックバンドであることを示す。翔(Vo, G)が「今日はね、昭和のロックンロールかましたる」と宣言すると、その迫力を受けてフロアから大きな歓声が起こった。「男の勲章」など若者にも馴染みのある楽曲も繰り出され、さらには翔が観客に横浜銀蝿流のダンスやコール&レスポンスを指導したり、三三七拍子ならぬ三三五拍子を繰り広げたりと、会場に熱い一体感が広がった。
Chilli Beans.
MOSSAI STAGEで「氣志團万博」初出演を果たしたChilli Beans.は、「aaa」でライブをスタート。Moto(Vo)の涼やかなボーカルが直前のT.C.R.横浜銀蝿R.S.からガラリと空気を変えていく。「rose feat. Vaundy」「See C Love」をグルーヴィに届けたのち、Maika(B, Vo)は「最初の氣志團さんからずっとうウキウキワクワクしながらここまで来ました。私たちのライブも最後まで楽しんでいってください!」と笑顔で挨拶。代表曲「lemonade」ではLily(G, Vo)のエモーショナルなギターソロに合わせて観客の腕が上がる。その後も「Tremolo」「シェキララ」とキラーチューンが惜しみなくドロップされた。
HYDE
男性ソロアーティストでは最多の10回出演、毎年「ももいろクローバーZと同日」が出演の条件だとVTRで紹介されたHYDEは、高い演説台の上から1曲目「PANDORA」を熱唱してフロアを圧倒。「Are You Ready, 幕張?」という言葉に続いては「MAD QUALIA」「DEFEAT」といったナンバーを連投し、場内にヘドバンの嵐を巻き起こしていった。「HONEY」では客席エリアまで身を乗り出し、オーディエンスに担ぎ上げられながらの歌唱で会場をさらなる狂乱に導く。ここでHYDEは「『氣志團万博』になると歌いたくなる曲があります」と前フリし、2022年に初披露して観客の度肝を抜いたももクロ「ココ☆ナツ」をカバー。フロアにはすかさず4色のペンライトが灯った。最後にHYDEは「また来年呼んでください」と言い残し、「GLAMOROUS SKY」でライブを締めくくった。
PEOPLE 1
MOSSAI STAGEのPEOPLE 1のライブでは、高校生時代に軽音部で氣志團の「One Night Carnival」を踊っていたというDeu(Vo, G, B, Other)がこの曲の振付を軽く踊りながら登場。そんな彼らのライブは「新訳:スクール!!」で幕を開け、Takeuchi(Dr)は楽屋に置いてあったという綾小路からの長文の手紙を手に「こんなものもらったら盛り上げるしかないだろ」と気合いを見せた。「銃の部品」「idiot」と代表曲を連投したあと、Ito(Vo, G)は「ひさしぶりにどアウェイですけど、なんでこんなに素晴らしいアーティストが集っているのかすごくわかります」と初の万博を心から楽しんでいる様子を見せた。
氷川きよし
2022年に続いて出演を果たした氷川きよし。前回は“kiina”として艶やかな衣装で登場した氷川だが、今回はキリリとした和装で現れて観客を驚かせた。「白雲の城」「雷鳴」といった演歌をじっくり聞かせたあと、披露されたのはQueenの「ボヘミアン・ラプソディ」。幅広い表現力でオーディエンスを圧倒するも、MCでは直前に流れた前回のVTRを振り返り「前回は態度がデカかったですねえ(笑)。今日は“氷川きよし”度90%で、和装なので控えめになります」としとやかな表情を見せつつ軽快なトークで和ませた。その後は「宝物のような曲」という「きよしのズンドコ節」や「限界突破×サバイバー」といった代表曲、さらに幼い頃に聴いていたというTM NETWORK「SEVEN DAYS WAR」のカバーも披露。ジャンルレスなパフォーマンスで幅広い層を楽しませた。
ROTTENGRAFFTY
過去2回の出演で“氣志團警察”との攻防を繰り広げてきたROTTENGRAFFTYのライブでは、最初に「北の国から」のメインテーマに乗せてナレーションが流れ、これまでのあらすじとメンバーが“氣志團刑務所”から脱獄してきたという設定が紹介される。つなぎの衣装やリーゼントという「氣志團万博」仕様の出で立ちで登場したROTTENGRAFFTYは、ラウドロックチューン「ハレルヤ」やサマーチューン「D.A.N.C.E.」を真正面から投下。フロアに大きな興奮が渦巻いた。NOBUYA(Vo)は角材を手に歌い、「『氣志團万博』は日本一のヤンキーを決める大会って聞いてきたんですけど、お前らホントにヤンキーなんか、おら!」と観客にガンを飛ばしながら煽る。ラストには「金色グラフティー」が披露され、熱狂の中でライブが締めくくられるも、警察に扮した氣志團メンバーに逮捕されるというオチがROTTENGRAFFTYを待っていた。
サンボマスター
今回が3回目の「氣志團万博」出演となるサンボマスターは、最初に「輝きだして走ってく」を披露しオーディエンスのテンションを徐々に高めていく。「毎朝流れるこの曲で一緒に踊りまくって幸せになってくだださい。せーの、『ラヴィット!』」という山口隆(Vo, G)の曲紹介に続いてはTBS系「ラヴィット!」のテーマ曲「ヒューマニティ!」を、番組オープニング映像とともに演奏して観客を喜ばせた。山口の「俺たちがロックンロールにやってもらったことと同じことをみんなにやるために来た。ホントのことを言いにきたんだよ、おめえはここにいていいやつなんだ! 生まれてきてくれてありがとうございます!」という熱いMCに続いては「Future is Yours」「できっこないを やらなくちゃ」を熱演したサンボマスター。最後は会場中の力強いハンドクラップとともに「花束」が披露された。
-真天地開闢集団-ジグザグ
初日のMOSSAI STAGEラストを飾った-真天地開闢集団-ジグザグの命 -mikoto-(Vo)はキックボードでステージに現れ「俺たち不良なんだよ!」と気合いを見せる。1曲目「きちゅねのよめいり」で前方のファンが繰り広げた振付は徐々に会場全体に伝播。「世界中が平和になるための答えが出ました。みんなで寿司を握ることです!」という命 -mikoto-の煽りからは「JAPPARAPAN~Japanese Party~」が始まり、オーディエンスは寿司を握る振りやタオル回しでステージとの一体感を楽しんだ。エンタメ性に富んだパフォーマンスから一転、ラストナンバー「Nighty night!」では真摯な演奏でまた異なる表情を見せつけた。
ももいろクローバーZ
「氣志團万博」皆勤賞で、もはやこのフェスをホームとしているももいろクローバーZだが、トリを務めるのは今回が初。大勢のダンサーとともに法被を着て登場したメンバーは2023年にリリースされた氣志團の3rdシングル曲「スウィンギン・ニッポン」をカバーし、観客の意表を突くパフォーマンスでライブの口火を切る。続いて「ニッポン笑顔百景 -ZZ ver.-」「MONONOFU NIPPON」といった和風の衣装と親和性の高い楽曲が間髪をいれずに披露されると、モノノフ(ももクロファンの呼称)が振る鮮やかな4色のペンライトや盛大なコールも相まって場内の熱気が上昇していった。
その後「BLAST!」でタオルを振り回し、これまで幾度も「氣志團万博」を彩ってきた代表曲「ココ☆ナツ」「行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-」を畳みかけたももクロ。彼女たちらしい温かいムードと活力にあふれるライブを繰り広げた4人は、ここで氣志團への思いを表明する。そして百田夏菜子がピアニカを吹く横で玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにが感謝の言葉を紡いでいくという不思議な展開を経て、氣志團がステージに呼び込まれた。綾小路は2012年に「氣志團万博」を初開催したときの思い出を語りつつ、「ももクロがいなかったら『氣志團万博』はないです」とももクロの存在の大きさを強調。互いにリスペクトの心を伝え合ったももクロと氣志團は全員で法被を着ると、氣志團の楽曲「喧嘩上等」をコラボバージョンで披露した。場内にカラフルなテープが放たれたのち、2組は曲の最後にそろって拳を突き上げ、今年の「氣志團万博」初日公演をフィナーレへと導いた。
セットリスト
「氣志團万博 2024 ~シン・キシダンバンパク~」2024年11月9日 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
暴動クラブ
01. 暴動クラブのテーマ
02. ロケッツ
03. 恋におちたら
04. あばずれセブンティーン
05. とめられない
06. Born to Kill
07. シニカル・ベイビー
石田社長&保科有里(夢グループ)
01. 夢と…未来へ
02. やすくして♡
氣志團
01. 俺達には土曜日しかない
02. 房総魂
03. 男帝 -Dandy-
04. 恋人
05. 萌え萌え ROCK‘N’ROLL
06. 愛 羅 武 勇
07. One Night Carnival
超ときめき♡宣伝部
01. すきっ! ~超 ver~
02. トゥモロー最強説!!
03. こんなあたしはいかがですか
04. WANTED(氣志團万博 ver)
05. きみと青春
06. 最上級にかわいいの!
MY FIRST STORY
01. I'm a mess
02. 蜃気楼
03. 東京ミッドナイト
04. MONSTER
05. ACCIDENT
06. アクマ
07. モノクロエフェクター
08. 夢幻
09. 不可逆リプレイス
PEDRO
01. ラブリーベイビー
02. 吸って、吐いて
03. 音楽
04. グリーンハイツ
05. 春夏秋冬
06. アンチ生活
T.C.R.横浜銀蝿R.S.
01. ぶっちぎりRock’n Roll
02. 羯徒毘璐薫'狼琉
03. ツッパリHigh School Rock’n Roll(登校編)
04. お前サラサラサーファーガール おいらテカテカロックン・ローラー
05. 男の勲章
06. だからいつものRock’n Roll
07. 銀ばるRock'n Roll
Chilli Beans.
01. aaa
02. rose feat. Vaundy
03. See C Love
04. lemonade
05. Tremolo
06. シェキララ
07. you n me
HYDE
01. PANDORA
02. MAD QUALIA
03. DEFEAT
04. HONEY
05. TAKING THEM DOWN
06. ココ☆ナツ
07. 6or9
08. GLAMOROUS SKY
PEOPLE 1
01. 新訳:スクール!!
02. 鈴々
03. 銃の部品
04. DOGLAND
05. idiot
06. メリバ
07. エッジワース・カイパーベルト
氷川きよし
01. 白雲の城
02. 雷鳴
03. ボヘミアン・ラプソディ
04. きよしのズンドコ節
05. SEVEN DAYS WAR
06. 限界突破×サバイバー
ROTTENGRAFFTY
SE01. 北の国から
SE02. 610行進曲
01. ハレルヤ
02. 秋桜
03. D.A.N.C.E.
04. THIS WORLD
05. Blown in the Reborn
06. 金色グラフティー
サンボマスター
01. 輝きだして走ってく
02. ヒューマニティ!
03. 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
04. Future is Yours
05. できっこないを やらなくちゃ
06. 花束
-真天地開闢集団-ジグザグ
01. きちゅねのよめいり
02. 復讐は正義
03. JAPPARAPAN ~Japanese Party~
04. 燦然世界
05. Nighty night!
ももいろクローバーZ
01. スウィンギン・ニッポン
02. ニッポン笑顔百景 -ZZ ver.-
03. MONONOFU NIPPON
04. BLAST!
05. ココ☆ナツ
06. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
07. 喧嘩上等