眉村ちあきが10月27日から11月17日にかけてデビュー5周年を記念したワンマンライブ「全曲眉村ちあき」を東京都内の全5カ所で行った。「全曲眉村ちあき」は10月27日、11月8、12、15、17日の5日間に分けてすべてのオリジナル曲を披露する公演。この記事では11月15日にSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催された「ラブソングお着席編」の模様をレポートする。
マユムラーが遠慮がちに「おい! おい!」
スタッフから「20代にしてはラブソングが少ないですよね」と言われたことをきっかけに、4月に恋愛をテーマにしたEP「ラブソング史のはじめに」をリリースした眉村。「ラブソングお着席編」で眉村はタイトル通りラブソングのみのセットリストでライブを繰り広げ、多彩な楽曲を通じて恋愛の酸いも甘いも表現してみせた。眉村のライブと言えばスタンディングのイメージが強いが、「ラブソングお着席編」というタイトルだけあって、この日ばかりはマユムラー(眉村ファンの呼称)も着席スタイルでステージを楽しんだ。
荘厳なファンファーレが公演の開幕を告げ、ティアラにピンクのドレス姿の眉村がステージに姿を現した。プリンセスのような装いの彼女は「『ラブソングお着席編』へようこそ」と胸に手を当てながら上品に挨拶。きらびやかなサウンドの「Lovely days」でライブを始めると、羽を広げるように両手をふわりと動かしながら美しい歌声を響かせる。さらに、募る恋心をつづった「告白ステップス」「季節風」も情感豊かに届け、ステージを麗しく舞った。
木漏れ日にも似たライトを浴びながら、好きな人の背中の体温をモチーフにしたバラード「36.8℃」で会場を優しく包み込んだ眉村は「マーメイドボーイ」で実らぬ恋を表現。座りながらじっと聴き入るマユムラーを心配したのか、「こんなに着席することってうちの現場ではなかなかないから、動揺してるでしょ? 暴力、泥酔以外は好きなことしていいからね!」と呼びかける。その流れで観客の反応を確かめるように「おい! おい!」と声を張り上げると、会場からはマユムラーの遠慮がちな声が返ってきた。このリアクションに眉村は「ほら、元気ないでしょ?」と言い、いたずらっぽく笑った。
想像で出産し、楽曲も誕生
続いては、石原さとみ出演のすき家のCMソングとして人気を集めた「愛でられほっぺ」。「想像で出産したの。その子を妄想で育てながら、お米を食べられるようになったときに『大きくなったねー』と思いながら作った曲です」と知られざる制作ヒストリーを明かした眉村は、ご機嫌なビートに乗せてこの曲を元気よく歌い、アンサーソング「愛でられほっぺ」でも温もりあふれる歌声で無償の愛を描き出した。
眉村は「悪役(Solo ver.)」で地の底から湧き上がるようなソウルフルな歌声を轟かせ、「Blaze of Glory」でもオペラ調の歌声や力強いフェイクを効かせてずば抜けた歌唱力を発揮。多彩なボーカルに魅了された観客から、大きな拍手と歓声が沸き起こる。「ラブソング史のはじめに」の収録曲「濾過」「朗読」のあとに届けられたのは、ラブリーな世界観のミュージックビデオが話題となっている最新曲「幸福ミュージック」。MVでも着けている赤い角のカチューシャ姿でキュートに歌い踊ると、マユムラーも思わず立ち上がり、軽快にハンドクラップを打ち鳴らす。蝉の鳴くSEをきっかけに、穏やかな夏のひとときを描く「夏のラーメンワルツ」へ移ると、スローなサウンドにつられるように、観客も心地よさそうに体を揺らした。
10層に重なる眉村の歌声
どこかのんびりしたムードは、ライブ後半で一変する。メジャー2ndアルバム「劇団オギャリズム」のボーナストラック「チャーリー(レコーディング前日までこれになる予定だったVersion)」でアコースティックギターを情熱的に奏で、「シュビデュバ・オブ・クラティー」「秘密の恋(Solo ver.)」ではエレキギターをクールにプレイ。ライブの大定番とも言える「顔ドン」ではオーディエンスとともにストレスを発散するように「おい! おい!」と力いっぱい拳を振り上げた。
興奮冷めやらぬステージで眉村は「セットリストを組んだとき『ラブソング、意外と書いてたな』と思って、主観的なラブソングだらけだけど」と言い、周囲の話を聞いて恋愛の価値観がアップデートされたことを楽しげに話す。また、声帯嚢胞の切除手術を受けたことにも触れながら「自分の声が唯一無二ってことに最近気付いた。私ってビートがなくてもコードがなくても歌えるの。最後は、自分が自信を持つことができた声だけで構成された1曲をやります。私の声は私にしか出せないから、声だけでブチ落として捌けようと思います」と気合いを入れ直す。そんな言葉を経て披露されたのは、これまでもライブのクライマックスを彩ってきた「大丈夫」。眉村の歌声が多重録音された音源と、眉村本人の声が重なると、彼女の歌声が10層になって場内に響き渡った。ストイックに歌い続けた眉村を称えるように、マユムラーの拍手はいつまでも鳴り響いた。充実した表情の眉村は投げキッスをしながら、舞台袖へと姿を消した。
眉村は11月27日にニューアルバム「うふふ」をリリース。12月7日には東京・歌舞伎町シネシティ広場で本作の発売を記念したフリーライブ、2025年1月から6月にかけては全国ツアー「Chiaki Mayumura Tour あはは いひひ うふふ えへへ おほほ」、6月に沖縄・Outputでツアーのアフターパーティ「Chiaki Mayumura Tour うふをふ After Party でゲソタコ」をそれぞれ行う。
セットリスト
眉村ちあき「全曲眉村ちあき ラブソングお着席編」2024年11月15日 SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
01. Lovely days
02. 告白ステップス
03. 季節風
04. 36.8℃
05. マーメイドボーイ
06. 愛でほっぺ丼
07. 愛でられほっぺ
08. タイムスリッパー
09. 悪役(Solo ver.)
10. Blaze of Glory
11. 濾過
12. 朗読
13. 幸福ミュージック
14. モヒート大魔王
15. フリフリスイスイニッコニコ
16. おもてなし子
17. 夏のラーメンワルツ
18. チャーリー(レコーディング前日までこれになる予定だったVersion)
19. シュビデュバ・オブ・クラティー
20. 秘密の恋(Solo ver.)
21. 顔ドン
22. 100人眉村の大丈夫
公演情報
眉村ちあき New Album「うふふ」発売記念リリースイベント in 東京
2024年12月7日(土)東京都 歌舞伎町シネシティ広場
Chiaki Mayumura Tour あはは いひひ うふふ えへへ おほほ
2025年1月18日(土)東京都 Spotify O-Crest
2025年1月25日(土)神奈川県 横浜BAYSIS
2025年2月8日(土)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
2025年2月9日(日)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
2025年2月15日(土)鹿児島県 SR HALL
2025年2月16日(日)福岡県 INSA
2025年3月2日(日)千葉県 KASHIWA PALOOZA
2025年3月29日(土)愛知県 新栄シャングリラ
2025年4月19日(土)北海道 SOUND CRUE
2025年4月20日(日)宮城県 space Zero
2025年4月29日(火・祝)広島県 CAVE-BE
2025年5月7日(水)大阪府 Music Club JANUS
2025年6月8日(日)東京都 WWW X
2025年6月28日(土)沖縄県 桜坂セントラル
Chiaki Mayumura Tour うふふ After Party でゲソタコ
2025年6月29日(日)沖縄県 Output