キタニタツヤの新曲「ユーモア」が2月21日に公開される映画「ゆきてかへらぬ」の主題歌に決定した。
映画「ゆきてかへらぬ」は大正時代を舞台に、実在した女優・長谷川泰子、詩人・中原中也、評論家・小林秀雄による壮絶な愛と青春を描いた作品。「ツィゴイネルワイゼン」「セーラー服と機関銃」を手がけた田中陽造が40年以上前に書いた脚本を根岸吉太郎監督が映画化したもので、3人の男女を広瀬すず、木戸大聖、岡田将生が演じる。
キタニが長編映画の主題歌を担当するのは今回が初となる。主題歌「ユーモア」は中原中也の文学に愛とリスペクトを込めて制作された楽曲で、楽曲を聴いた広瀬は「主題歌が始まった瞬間は映画の余韻が残りつつ、後半は違う世界観でちょっと面白いバランス感の楽曲で素敵だなと思いました」とコメント。さらに木戸は「3人のキャラクターのどの人を歌詞の主人公においたとしても当てはまるような、すごく切なさもあり、ずっと聴いていられる、何回もリピートして聴いていられるような素敵な曲でした」、岡田は「心地よいリズムで歌詞もすっと入ってきますし、改めて歌詞を見て聴くのと、また理解を深めてからこの曲を聴くのでは(印象が)変わるので、聞くときは歌詞を読んでみてから聞いてもらったら嬉しいなと思います」とそれぞれ語っている。
YouTubeでは楽曲の一部を聴くことができる予告編が公開された。
キタニタツヤ コメント
詩を書くということは、意味なくただそこにあるだけの現実をあえてユーモラスに捉えて解釈し、言葉というフォーマットで出力しなおす営みだと思っています。単に「面白おかしく」という意味ではなく、ありていでない眼差しを向けることによって現実に隙を見出す、何らかの安らぎの余地を加えるという意味でのユーモア。
加えて、人は永遠ではあり得ないのに反して言葉は永遠になり得ます。残された言葉は他者の心を撫で続ける。現代に生きる私はそういうふうに中原中也の詩に触れてきましたし、泰子もそうだったのかもしれません。
「ゆきてかへらぬ」ラストシーンでの泰子と小林にとって中也の詩はどう響いていたんだろう。また劇場を後にする私たちにとって「ゆきてかへらぬ」という映画そのものはどう響いていくのだろう。そうしたことを考えながら歌を作りました。