Aimerの約2年ぶりのホールツアー「Aimer Hall Tour 2024-25 "lune blanche”」が3月9日に東京・東京ガーデンシアターで閉幕した。
月の満ち欠けとともに
昨年10月から今年3月にかけて、全国10都市を舞台に計19公演が行われたこのツアー。タイトルにはフランス語で“白月(びゃくげつ)”を表す「lune blanche」という言葉が掲げられた。
純白の衣装を身にまとい、大きな満月を背にゆっくりとステージに進み出たAimerは、ダンサブルなナンバー「ONE」でライブを開始。月の光に照らされながら、軽やかなバンドアンサンブルに乗せて「歌え」「進め」「届け」と爽快に歌い上げた。カッティングギターの心地のいい音色とオーディエンスのクラップをバックに、Aimerはステージを軽やかに歩きながら「3min」を歌唱。そして「RE:I AM」で凛とした美しい歌声を響かせたあと、「私にとって約2年ぶりのホールツアーで、あなたに会えるのを本当に楽しみにしていました」と顔をほころばせた。
Aimerはツアータイトルについて「白月という単語には、月の満ち欠けの周期を表す意味もあります」と話を切り出し、「思い返してみたら、私が今まで歩んできた道も、その中で表現してきた音楽も、月のような満ち欠けを繰り返していた気がします。明るく照った音楽も陰った音楽も歌ってきました。それはもしかしたら私だけじゃなくて、この世界で生きている誰もがきっと、それぞれの道のりの中で同じように満ち欠けを繰り返しながらこの世界を生きてるんじゃないかなと思って、このツアーを作りました。だから今日は、この月の満ち欠けの中で、あなたにいろんな曲を歌っていきます」と述べた。
あなたの日々に温かさが満ちていくように
代表曲の1つ「カタオモイ」やミディアムナンバー「遥か」を経て、スクリーンに映し出されていた満月が少しずつ欠けていく。「ここからはより深く陰っていこうと思います」とAimerはイスに腰掛けると、三日月が夜空に浮かぶ幻想的な光景の中で「月影」をゆったりと紡いだ。「誰か、海を。」ではついに月が見えなくなり、会場に暗闇だけが広がる。Aimerは海面を模した舞台で、不穏な雰囲気の漂う鍵盤の音色に乗せて、憂いを帯びた歌声を響かせた。ステージが赤いライトに染まると、ダークなナンバー「I beg you」がスタート。狂気的な空気をまとってエキゾチックなメロディを紡ぎ上げるAimerの姿に、オーディエンスの目は奪われる。そしてAimerは闇の中で叫ぶように「STAND-ALONE」を歌い、ステージ奥に去っていった。
黒いドレスに衣装チェンジしたAimerは、そっと祈りを捧げるように「歌鳥風月」を歌唱。Aimerの背後で月は少しずつ光を取り戻していく。「Sign」では三日月と星が浮かぶ夜空をバックに、たおやかな歌声が広がった。「じゃあ、ここからは一緒に満ちていこうか!」とAimerは告げ、観客のハンドクラップを浴びながら「おもかげ」を披露。月の光が広がっていくのと同時に、会場は温かな愛で満たされていく。さらにAimerは「spiral dance」でみずみずしい歌声を届けたあと、 “銀朱の月”を背にして「残響散歌」を勢いよく歌い上げた。
「SKYLIGHT」をオーディエンスとともに歌唱し、「あなたの声、届いたよ!」と両手を広げて客席を見渡したAimer。彼女は「今回のツアーのテーマは月の満ち欠けだという話をしましたけど、もし心に光があるなら今すごく心が満ちています。こんな特別な時間を一緒に作ってくれて本当に幸せです」とおじぎをした。Aimerは「生きていたら、心が満ちていくのと同じように心の光が欠けていく瞬間もきっとあって。もしかしたら今日はそんな欠けた心を抱えてここに足を運んでくれた人もいると思います」と話し、「このツアーには、あなたの心の光がどんな状態のときでも、いつだってあなたは大丈夫なんだよという思いを込めました。どんなときも私の音楽があなたの近くにいれたらいいなと思います」と観客に言葉を贈る。そして「明日からもあなたの日々に温かさが満ちていくように。あなたがいつもありのままの心の光と一緒に生きていけるように。願いを込めて歌います」と言葉を続けると、オーディエンスに優しく寄り添うように「あてもなく」を歌い上げ、光に照らされた道をゆっくりと歩いて去っていった。
ツアーファイナルでもらった最高のプレゼント
アンコールを求める拍手に呼ばれ、再びステージに登場したAimerは、思い出の写真をスクリーンに投影してツアーを振り返った。ファイナル公演では“卒業”を意識したというメロディアスなアレンジで「カタオモイ」を特別に披露。オーディエンスの歌声も演奏に加わると、Aimerは「ここまで回ってきた最高のプレゼントをもらったような気分です!」と声を弾ませた。
その後、Aimerは1月にリリースした最新曲「SCOPE」をパフォーマンス。スピード感のあるロックサウンドに乗せて、爽快な歌声が響き渡った。最後にAimerは「私たちはみんな1人ぼっちでこの世界にやってきて、1人ぼっちでこの世界からいなくなっていくけど、それは悲しいことじゃない。だからこそ、こんなふうに音楽の中で同じ気持ちになれたり、誰かと手をつないだり、心を通わせられる。その1つひとつが愛おしいんだという気持ちを込めて作った曲です」と述べ、「グレースノート」を歌唱。流星群をバックに優しい歌声を観客に贈り、ホールツアーに幕を下ろした。
セットリスト
「Aimer Hall Tour 2024-25 "lune blanche”」2025年3月9日 東京ガーデンシアター
01. ONE
02. 3min
03. RE:I AM
04. カタオモイ
05. 遥か
06. 月影
07, 誰か、海を。
08. I beg you
09. STAND-ALONE
10. 歌鳥風月
11. Sign
12. おもかげ
13. spiral dance
14. 残響散歌
15. SKYLIGHT
16. あてもなく
<アンコール>
17. SCOPE
18. グレースノート
