THE KEBABSのライブツアー「THE KEBABS 新譜」が本日4月27日に北海道・札幌cube gardenでファイナルを迎えた。
今回のツアーはその名の通り、4月18日にライブ会場限定でリリースされたフルアルバム「THE KEBABS 新譜」を携えてのもので、全国5都市のライブハウスで実施。それぞれの活動の合間を縫って集まった佐々木亮介(Vo, G / a flood of circle)、新井弘毅(G / ex. serial TV drama)、田淵智也(B / UNISON SQUARE GARDEN)、鈴木浩之(Dr / ex. ART-SCHOOL)の4人は、各地で奔放なパフォーマンスを繰り広げた。この記事ではセミファイナル公演となった4月24日の東京・Spotify O-EAST公演の模様を紹介する。
今日の目標は…
フロアから立ち上る期待感を一身に浴びてステージに現れたメンバーは、観客の熱狂ぶりに喜びを隠せない様子でスタンバイ。最後に登場した佐々木の手にはしっかりお酒の缶が握られており、ガソリン代わりにそれを煽った彼はマイクを握ると「夢がいっぱい」でライブの口火を切った。鈴木が刻む軽快なビートを軸とした肩の力が抜けたロックンロールサウンドに、たちまち会場は高揚感で満たされる。オーディエンスは拳を突き上げながら4人が奏でるご機嫌な爆音に身を委ねる。ハンドマイクで歌う佐々木はもとより、新井、田淵もシールドが絡むのもものともせず縦横無尽に跳ね回り、お互いにちょっかいを出したり、じゃれ合ったり序盤からエンジン全開。シンプルかつ本能丸出しの歌詞を叫び歌い、初期衝動むき出しのアンサンブルで大いにライブハウスを揺らしていく。
「うれしい!」を連呼する底抜けに陽気な1曲を観客にお見舞いしたところで、佐々木は突然「自我の喪失してますか?」と観客に問いかける。禅問答のような質問に多くのファンが戸惑っていると、佐々木は「今日の目標ですね」とニヤリ。そのまま「THE KEBABS 新譜」収録の新曲「やっぱチョキ」になだれ込む。会場にいるほとんどの人間が初めて耳にしたであろうこの曲は、歌詞を引用すれば「サイド・バンドで張り切る / 遊ぶ時ほどマジでやる」THE KEBABSのアティチュードを高らかに歌ったロックチューン。まくし立てるような田淵のラップがさく裂するパートも特徴だ。その後“ジャンケンつながり”の「ジャンケンはグー」を演奏し終えたあと、田淵は充実の表情でスタッフが差し入れたお茶割りのプルタブを引き上げ、喉を潤して後半戦に備えた。
最後まで“遊ぶ時ほどマジでやる”
「あつあつ肉まんパーティ」「おねがいヘルプミー」といったかわいらしいタイトルとは相反するような、殺傷力の高い攻撃的なロックチューンでライブ中盤を盛り上げたTHE KEBABS。佐々木が「みんな幸せにしてやるぜ……嘘! 幸せにしてくれ。抱きしめてやるぜ……嘘! 抱きしめてくれ!」とひねくれ者らしい言葉を放ったのち絶唱した「THE KEBABSを抱きしめて」を経て、「ラビュラ」で会場の空気は一変する。壮大なサウンドに乗せて展開される、佐々木のつぶやきのようなポエトリーリーディング、まっすぐに伸びていく田淵の歌声がオーディエンスの胸を打ち、束の間だがしみじみとしたチルタイムを作り出した。
しかし、「(今日のライブは)史上最大の客単価!」と豪語する田淵の熱弁で穏やかな雰囲気は雲散。1枚7000円の最新アルバム「THE KEBABS 新譜」を猛アピールする田淵と佐々木にフロアから笑い声が上がる。そんな気安いムードの中、ライブは「フタバスズキリュウ」で怒涛の後半戦に突入。佐々木はいつものようにフロアに降りると、マイクを握り、酒を煽りつつ観客に囲まれがなら絶唱する。「遠くまでいける」と歌う「ジャキジャキハート」ではフロア後方まで練り歩き、そのままステージに戻ることなく「猿でもできる」ではファンとともに大合唱。a flood of circle同様に、体を張ってライブハウスに一体感を作り出した。
ほのぼのとしたムードたっぷりの新曲「どうぶつがいっぱい」で本編は締めくくられるが、「自分たちにはまだTHE KEBABSが足りない」とばかりに貪欲な観客はアンコールを求める。熱烈な声に応えて戻ってきた田淵はまずツアーの追加公演、その名も「THE KEBABS 新譜全曲演奏+α」の開催を告知。最新アルバムの楽曲を全曲披露することを宣言した。そして、「売れ行きが悪い」というTシャツをマイクスタンドにかけつつ、アルバムを再びアピール。その横で佐々木は次に歌う新曲「幸せのワゴンセール」の歌詞をマイク下に貼り付け始めるという、自由すぎる振る舞いで観客を笑わせた。アンコールでも4人は徹頭徹尾“遊ぶ時ほどマジでやる”姿勢を最後まで貫き、ライブは「THE KEBABSのテーマ」でクライマックスへ。メンバーは「We're tasty Rock Band, THE KEBABS!」を高らかに連呼し、ツアーファイナルに向けて気合いをたぎらせていた。
公演情報
THE KEBABS 新譜全曲演奏+α
2025年8月13日(水)東京都 恵比寿ザ・ガーデンホール
セットリスト
「THE KEBABS 新譜」2025年4月24日(木)Spotify O-EAST
01. 夢がいっぱい
02. THE KEBABSがやってくる
03. ジェットが飛ぶぜ
04. すごいやばい
05. お布団の中から
06. ハワイの暮らし
07. うれしいきもち
08. やっぱチョキ
09. ジャンケンはグー
10. ロバート・デ・ニーロ
11. あつあつ肉まんパーティ
12. おねがいヘルプミー
13. チェンソーだ!
14. THE KEBABSを抱きしめて
15. ラビュラ
16. フタバスズキリュウ
17. ベガスでカジノ
18. てんとう虫の夏
19. ジャキジャキハート
20. 猿でもできる
21. どうぶつがいっぱい
<アンコール>
22. 幸せのワゴンセール
23. 恐竜あらわる
24. THE KEBABSのテーマ
