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鈴木実貴子ズ、満員の下北沢SHELTERで迎えた「あばら」ツアーファイナル

鈴木実貴子ズ
13分前2025年06月30日 4:01

鈴木実貴子ズが6月28日に東京・下北沢SHELTERでライブツアー「鈴木実貴子ズ『あばら』ツアー」のファイナルを開催した。

話し、笑い、演奏する

このツアーはメジャー1stアルバム「あばら」のリリースツアーとして3月にスタートしたもので、ファイナル後の7月3日には京都・Live House nanoで3月に開催延期となったライブの振替公演が行われる。初日公演でお笑いコンビ・オズワルドとのツーマンライブが実施されたほか、SPARTA LOCALS、bachoらとの対バン、そしてワンマンというフレキシブルな公演内容で各地を回った鈴木実貴子ズ。そんな2人のツアーファイナルはフロアに大勢の観客が集まる中、フロアやステージに多数の収録用カメラが配置されるという珍しいシチュエーションで行われた。

鈴木実貴子ズのライブは2人が定位置に着き、ズ(Dr)が「2人は仲が悪いんです」というおなじみのダウナーなトークを交えてバンド紹介をし、演奏に入る。いつものライブと変わらない2人のステージが、この日は音楽を続けることへの葛藤を描いた楽曲「音楽やめたい」で始まった。楽曲の演奏が始まれば、実貴子の腹の底から響く切実な歌声が観客1人ひとりの胸に刺さる。しかしMCタイムになると状況が変わり、ズのぼやきと実貴子の奔放な発言に場内からはたびたび笑いが起こる。そんな不思議なバランス感覚のライブを2人はこれまで変わらずに続けてきた。9月24日にインディーズ時代の楽曲を再録したミニアルバム「瞬間的備忘録」をリリースすることを発表した際、今作がこの日のライブ映像を収めたDVD付きになることに触れ、「新作はCDとDVDって。どうかしてる」と正直な思いを吐露。実貴子は「どこまで使える映像になるんだろうね? コンプラのギリギリをいこうぜ!」と笑った。

「夕やけ」「暁」でドラマチックな演奏を届けた2人。ボーカル、コーラス、ギター、ドラムのシンプルなアンサンブルが、感情的で生々しい響きを生み出す。ギターは長らく調整していないためか、音を鳴らすとネックやフレットに弦が当たる“ビビり音”がまるでシタールのような音色で響く。そんなギターの音色に実貴子の激情的な歌声が重なり生み出されるのが、今の鈴木実貴子ズだ。ギターはステッカーが多数貼られ、傷だらけだ。「かかってこいよ、バッドエンド」では、「右手にスパナでいったろか かかってこいよバッドエンド」と過激な歌詞も相まって、迫力ある実貴子の絶唱が観客を飲み込んだ。

「あばら」ツアーで得た経験

「知らん人らの前で歌う。それが金になる。誰かの力になる。何それ、夢のような話。大事な曲です」という実貴子の言葉に続き、昨年リリースのメジャーデビュー曲「違和感と窮屈」が披露され、「チャイム」「都心環状線」などもライブ中盤に演奏された。「都心環状線」では、ぐるぐると回る都心環状線と、ループする日常の閉塞感のある感情が重なる。整然と刻まれるギターとドラム。ふわふわした気持ちを代弁するかのような浄化作用に満ちた演奏が、オーディエンスの喝采を誘った。

「自分で歌を作っていてあまり感じることはなかったけど、このツアーで来てくれるお客さんが増えました。変なDMも来るようになりました、それはいいんやけど、何も気にしないから。変なDMに混じって『この曲に救われました。夜を超えられました』という連絡をもらうようになりました。私はそれを望んでないというか、想像していない未来でした。自分の曲に他人を助ける可能性があるのか。私が自分の夜を超えるために書いた曲が他人の夜を超える手助けになるんやって。うれしいというか音楽の力に感動したというか、ゾッとしたんです。怖いし、すごい。時間とお金と関心と労力と。自分のために作った曲が人のためになるとこの年で知って。次の曲は人のために歌おうと思えた曲です」と話し、ジュースを飲んでから「壊してしまいたい」を披露した。

“セルフアンコール”へ

またこの夏に「FUJI ROCK FESTIVAL」への出演を控えている鈴木実貴子ズは、ライブ中にステージのエアコンを切っているという。「汗かく練習! ワンマンを練習に使うってクソやな(笑)。みんな観に来てな」と実貴子が笑い、ズは「『あばら』のリリースツアーですが、新曲もやってみましょう」とコメント。実貴子の「部外者ほど、遠いヤツほど大きな声でうるさいなってそれだけの曲です」という説明から、新曲「ががが」が披露された。

実貴子は「今日は皆さん窮屈そうでかわいそう。皆さんが快適に楽しめるよう工夫を凝らしました。今年ね、東京でもう1回ワンマンをやろうと思います」と話すも、「東京は変な人が多いらしくて、今日もチケット完売ですってね。皆さんすいませんね、こんな汚いところで!」と失言。爆笑が巻き起こる中、「“美しいところ”に来てもらってね」と言い直し、12月13日に東京・ダンスホール新世紀で「危機一髪」と題したワンマンライブを行うことを発表した。

2人はラストナンバー「ファッキンミュージック」を届けたあと、ステージから去らずに「はい、アンコールやりますね」と早々にアンコールへ。実貴子は、新作「瞬間的備忘録」から「坂」を披露すると述べつつ、この曲に出てくる「夜中の駐車場 自動販売機の明かり コンビニで買ったフランクフルトとホットカフェオレ」という歌いだしの歌詞の舞台が下北沢だと明かした。そんな楽曲の演奏が終わり、「あばら」ツアーファイナルは、「あばら」の収録曲をたっぷり届けるだけでなく、次回作への期待を煽る形で終幕した。

セットリスト

鈴木実貴子ズ「あばら」ツアー 2025年6月28日 下北沢SHELTER

01. 音楽やめたい
02. 生きてしぬ
03. 夕やけ
04. 暁
05. かかってこいよバッドエンド
06. 違和感と窮屈
07. チャイム
08. 都心環状線
09. 壊してしまいたい
10. ベイベー
11. ががが
12. アンダーグラウンドで待ってる
13. 正々堂々、死亡
14. ファッキンミュージック
<アンコール>
15. 坂

作品情報

鈴木実貴子ズ「瞬間的備忘録」収録曲

CD

01. 坂
02. 都心環状線
03. 夕やけ
04. 正々堂々、死亡
05. あきらめていこうぜ

DVD

・2025年6月28日「あばら」ツアー ファイナル@下北沢SHELTERライブ映像
・ライブ当日の鈴木実貴子ズを追ったドキュメント映像

公演情報

鈴木実貴子ズ「危機一髪」

2025年12月13日(土)東京都 ダンスホール新世紀

鈴木実貴子ズ「あばら」ツアー(※終了分は割愛)

2025年7月3日(木)京都府 Live House nano(※振替公演)

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