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私立恵比寿中学・小林歌穂、卒業式ライブで残した消えない思い「えびちゅうは私にとって楽園」

私立恵比寿中学「小林歌穂 卒業式『ぽ~EVER ー消えない落書きー』」の様子。
7分前2025年07月02日 8:03

私立恵比寿中学のメンバー・小林歌穂の卒業式ライブ「ぽ~EVER ー消えない落書きー」が、6月28日に千葉・幕張メッセ 幕張イベントホールで開催された。

9人そろって黄色の衣装「最後まで楽しい時間を」

2014年に中山莉子とともにえびちゅうに加入し、11年にわたり活動してきた小林。彼女の卒業は3月20日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催されたグループ結成15周年記念ワンマンライブ「私立恵比寿中学 15th Anniversary 大学芸会2025~LOVE&BRAVE~」の直後、3月30日に発表された。その後5月には小林がプロデュースを手がけた東名阪ツアー「小林歌穂プロデュース公演~私のわがままを聴いておくれミニツアー~」、そして卒業前最後の生誕ソロライブ「ぽーランド10!!!!!!!!!!」も行われた。

オープニングではこれまでの軌跡を追った写真の数々を、小林がギャラリー風の空間で感慨深げに眺める映像が映し出された。小林はギャラリーの黄色いドアを開き、隣の部屋に置かれたキャンバスに向かって何かを描き始め、そんな彼女の様子をほかのメンバー8人もドアの間から覗き込む。小林が今回のライブタイトル「ぽ~EVER ー消えない落書きー」のロゴを描き上げたところでステージが明転し、小林のメンバーカラーである黄色の衣装に身を包んだえびちゅう9人の姿が浮かび上がった。

1曲目、小林がアカペラでイントロを歌い始めたのは「SHAKE! SHAKE!」。軽快で澄み切った、唯一無二の歌声をホール中に響かせた小林は満面の笑顔で「みんな、今日は楽しい『ぽ~EVER』を一緒に過ごそうね!」とえびちゅうファミリー(私立恵比寿中学ファンの呼称)に呼びかけ、客席を埋め尽くした黄色のペンライトの光を浴びる。「自由へ道連れ」では会場中のファミリーの目にその姿を焼き付けるべくトロッコで場内を1周し、「EBINOMICS」では恒例のソウルフルな口パク芸とアジテーションで客席を沸かせた。MCでえびちゅうメンバーとして最後の自己紹介をしたのち、小林は「正直なことを申しますと、実感があってない……不思議な気持ちです。最後まで楽しい時間を過ごしたいです」と柔和な笑顔で正直な思いを打ち明けた。

11年間の在籍、一番印象に残っているのは「ウォシュレット事件」

ライブでひさびさの披露となった「Family Complex」では「りこちゃんみてこれ、みたことない虫!」と駆け寄る小林をいつもなら“無視”する中山が、この日は後半のMCで「最後ぐらいは……」と語ったように拍手をして大喜び。さらに元メンバー星名美怜の名前をあしらった歌詞のパートを真山りかが歌い、ファミリーをどよめかせる場面もあった。「サドンデス」間奏のダンスバトルでは卒業する小林に花を持たせようとメンバーたちが口実を付けて脱落していくが、空気を読まずに本気を出してしまった風見和香に小林が敗れかけるという茶番を展開。まっすぐに突っ走った風見をはじめ、各メンバーの長所を1人ずつ褒めた小林は「最後はみんなで歌おう!」と呼びかけ、9人そろってのパワフルな歌とダンスを披露した。

小久保柚乃のリクエストに応じ、会場中のペンライトがすべて黄色に変えられたところで披露されたのは「フレ!フレ!サイリウム」。小林はスタンド席に設置されたトロッコに、ほかのメンバー8人はアリーナのトロッコに乗り込み、ファミリーとともに笑顔でペンライトを振る。さらに「イエローライト」「ポップコーントーン」と、ポップネスと切なさを併せ持つ楽曲が連続で歌われる。小林の涼し気な歌声がファミリーの胸にひときわ染み渡ったところで、9人はステージ上に半円状に並び「星の数え方」を披露。アイコンタクトと笑顔を交わしながら美しいハーモニーを響かせた。

幕間では卒業を控えた小林のソロインタビュー映像が上映された。ライブのサブタイトルを「消えない落書き」とした理由を「11年間で彩りを添えてきたものは消えずに残っていくから」と語った小林は、えびちゅうへの思いを「幸せでいてほしい人たち。今まで形を変えても乗り越えてきたので、新体制のライブもきっと成功すると思います」と語りファミリーを感動に導く。一方、11年間で一番印象に残っている出来事を問われると、加入直後の2014年8月に初めて出演した恒例野外ライブ「ファミえん」でのハプニングを挙げ「タイミングを間違えて水が噴射するところに立って、水をかぶっちゃって。『ウォシュレット事件』って言われてて……」と苦笑いし、観客を笑わせた。

隠し玉の“エモ曲”4連続、互いに送り合ったYELL

ここでえびちゅうの9人は衣装をあらためてステージに再登場。チェック柄のスカートとネクタイ、ブルーのベストの制服風衣装を身に着けた8人に対し、小林は気品漂う白い衣装で現れ、8人との道がここから異なっていくことをファミリーにひしひしと感じさせる。そして9人が披露したのは、グループにとって大切な楽曲である「なないろ」。さらに「スーパーヒーロー」「まっすぐ」「ジャンプ」と、えびちゅうを代表するエモーショナルなナンバーを連投していく。小林は目を潤ませながらもずっと笑顔を見せていたが「まっすぐ」の振付で後ろを向いたとき、一瞬だけ目元に手をやる仕草を見せた。

真山は4曲連続で披露された“エモ曲”について「これ『小林企画』のとき隠し持ってましたね?」と、5月の小林プロデュースライブでは披露されなかったことを指摘すると、小林は「『隠し持っておくぞ』って」と、この日のために温存していたことを告白。卒業ライブに向けた小林の計画が明るみになったところで、ステージには小林と中山の“カホリコ”コンビだけが残る。ここで中山は小林へのサプライズとして用意してきた手紙を朗読。11年前にえびちゅう加入の打診があった際に不安も感じていたという中山は、もう1人の候補メンバーとして小林の名前を聞いた瞬間「歌穂ちゃんなら絶対断らない」と考えて加入を即決したという。「加入してからの毎日、私の隣にはいつも歌穂ちゃんがいてくれました。1人じゃ絶対に乗り越えられなかったことも2人だったからこそ乗り越えられた」「これから進む道はそれぞれ違っても、カホリコのニコイチは変わりません。これからもずっと支え合っていこうね。おばあちゃんになったら孫の見せ合いしようね」と、結成15周年ライブでも披露したやり取りを引用し、相方にエールを送った。

涙と笑顔で互いへの感謝を語り合ったあと、2人はユニット曲「君のそーゆーとこ」を手をつなぎながら歌唱。背後には加入当時から現在までのさまざまなツーショットが映し出され、2人の絆をあらためて感じさせた。続く「バタフライエフェクト」はカホリコ転入後初のシングル曲で、イントロからファミリーの大歓声が沸き起こる。「幸せの貼り紙はいつも背中に」では2014年、カホリコにとって初の全国ツアーとなった「私立恵比寿中学 スプリングソニー・ミュージックレーベルズルーキーツアー2014~生まれ変わりちょうちょうボーンとエトセトラ~」を彷彿とさせる円形のビジョンに歌詞が映し出された。そして「YELL」では、客席に背を向けた小林がメンバー8人に向けて「君らしく行け たとえどんなことがあっても」と歌い、メンバーは小林に向けて「君は君なんだよ 代わりなんて誰ひとりいるはずないから」と返す。普段はファミリーに向けてこの曲を歌っている8人と小林が、このときはお互いのことだけを見ていた。客席に背を向けたまま肩をすくめる小林の涙がメンバーにも連鎖し、9人は泣き笑いで心からのエールを送り合った。

この音はずっと止まりません

最後のMCで小林はファミリーに向けた手紙を朗読する。初めて出演した「大学芸会」でファミリーに向けて「幸せの貼り紙をみんなに貼りまくります」と泣きながら話したことを回顧した小林は「皆さん、貼り紙は貼られまくりでしたか?」と充実した表情で語りかける。そして「私はえびちゅうの活動の中でライブが一番好きです。私を見て笑ってくれて『明日もがんばろう』と思ってもらえるように、私なりの歌とダンス、唯一無二の声や表情、表現を届けてきたと思っています」とライブに懸けてきた熱い思いを明かし、「たくさん愛をくれてありがとう。私立恵比寿中学は私にとって楽園です」とファミリーやグループに対する感謝を述べた。

小林の言葉を通じてファミリーへの思いを表したのち、本編ラストナンバーとしてえびちゅうが最後に届けたのは「感情電車」。真山は小林の目を見つめながら「かけがえのない人だよ」と歌い、そのメッセージを受け取った小林はDメロのソロパートを高らかに歌い上げて大きく手を振る。歌い終えた小林は涙を流し、その理由を「すごく幸せだと涙がこぼれるんだなあ、って」と笑顔で語った。

アンコールからは小林のラストステージに華を添えるべく駆けつけたえびちゅうバンドも加わり、豪壮な演奏に乗せて「イート・ザ・大目玉」「HOT UP!!!」「シンガロン・シンガソン」といったアッパーチューンを立て続けに披露した。えびちゅうのライブらしい熱気が再び充満したあと、小林とメンバー8名がステージ上で向かい合うと、会場の空気が一変する。先頭でマイクを握った仲村悠菜は小林に向かって「愛される準備ができてる君に贈る歌」と、小林の卒業シングルである「SCHOOL DAYS」のイントロをアカペラで歌う。卒業証書を渡すかのように丁寧に届けられたその歌声に、ファミリーの感傷はひときわ高まった。

小林が卒業前のラストソングとして「えびちゅうがえびちゅうである限り、この音はずっと止まりません」と言葉を添えて歌ったのは「響」。メンバーは涙をにじませつつも幸せそうな笑顔を交わし、小林との最後の歌唱を楽しむ。真山が小林の泣き顔に「出会ったときと同じ顔してる」とほほえむと、小林は「悔いなくえびちゅう人生を終えられるなあ」と満足げな表情を浮かべた。

メンバーへサプライズを贈り「じゃあ行くね!」

バンドメンバーを送り出した9人が「以上、私たち私立恵比寿中学でした!」と深々とお辞儀し、頭を上げた眼前には「愛と自信 がんばれ」と書かれた黄色のメッセージカードで埋め尽くされた客席が。このカードは小林がメンバーへのサプライズ企画としてこの日の入場時にファミリーに配布したもの。驚き感動するメンバーに向けて小林は「みんなに送ってもらう側だけど『私のことは構わず先に行け』って背中を押したかったの。愛と自信を持って、これからもがんばってください」とエールを送る。小林らしいメッセージに、真山は「主役が主役でいいんだから! 最後まで小林歌穂だな!」とツッコんだ。

そしてメンバーは1人ずつ小林とステージ上での最後の言葉を交わす。小林よりもあとに加入した“妹組”の5人は、ときに厳しく諭し、ときに優しく支えてくれた小林のエピソードを泣きながら明かし、深い感謝を述べる。真山は「これからも私の大切な妹でいてくれたらいいな」、安本彩花は「いつまでも歌穂らしく、温かさを忘れずにね」と優しく語りかけた。最後に中山は「本当に出会えてよかった、カホリコでよかった。明日からは仕事じゃなくプライベートだけになるのが不思議な感じ」と、同じグループのメンバーからプライベートな親友に変わることに感慨深そうな表情を浮かべるが、小林から「これからも仲よくね」と呼びかけられると「大好きだよ。歌穂ちゃんが幸せでいてくれることが私たちの幸せだから」と笑顔を向けた。

そうして1人ステージに残った小林は、目を赤くしつつも晴れやかな笑顔を浮かべ「今日は人生の分岐点。大切な日にこんなに愛してくれる皆さんに囲まれて見届けてもらえたことがうれしいです」と最後のメッセージを届ける。「歌穂ちゃんありがとう!」「大好きだよ!」というファミリーの大歓声がこだまする中、小林は「じゃあ行くね! 幸せだった!」と叫び、ステージ上に置かれた黄色いドアを開け、えびちゅうからのはじめの一歩を踏み出していった。

セットリスト

私立恵比寿中学「小林歌穂 卒業式『ぽ~EVER ー消えない落書きー』」2025年6月28日 幕張メッセ 幕張イベントホール

01. SHAKE! SHAKE!
02. ちちんぷい
03. 自由へ道連れ
04. EBINOMICS
05. キングオブ学芸会のテーマ~Nu Skool Teenage Riot~
06. Family Complex
07. サドンデス
08. フレ!フレ!サイリウム
09. イエローライト
10. ポップコーントーン
11. 星の数え方
12. なないろ
13. スーパーヒーロー
14. まっすぐ
15. ジャンプ
16. 君のそーゆーとこ / 小林歌穂×中山莉子
17. バタフライエフェクト
18. 幸せの貼り紙はいつも背中に
19. YELL
20. 感情電車
<アンコール>
21. イート・ザ・大目玉
22. HOT UP!!!
23. シンガロン・シンガソン
24. SCHOOL DAYS
25. 響

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