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「青と夏」から7年、ミセス「夏の影」が感慨深い / 「令和のたま」と話題、古山菜の花って何者?

再生数急上昇ソング定点観測
7分前2025年08月22日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで8月8日から8月14日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、1位にNumber_iの「未確認領域」が登場した。この曲は9月22日発売の2ndフルアルバム「No.II」からの先行シングル。メンバー3人がディスカッションを重ねながら制作し、生演奏の録音を取り入れるなど、新たな試みを盛り込んだ作品だ。

66位にはKing & Princeの「I Know」がランクインした。今作はメンバーの高橋海人( ※「高」ははしご高が正式表記)と中村倫也がダブル主演を務めるTBS系金曜ドラマ「DOPE 麻薬取締部特捜課」の挿入歌。ヒップホップをベースにエレクトロの要素を取り入れたダンスミュージックとなっている。

68位に登場したのはAMUGIRI(コムドット)の「XYZ」。推し活をテーマにしたこの曲は、AMUGIRI史上最もBPMが高く、高速ラップも光っている。

70位には、けえ【島育ち】の「佐渡ヶ島OK!」がランクインした。けぇは自身の地元・佐渡ヶ島をネタにしたコント動画で、全国の小学生の間で佐渡ヶ島ブームを巻き起こしている動画クリエイター。この曲は「やったってOK! ぜんぜんぜんぜんOK!」という思わず口ずさみたくなるサビのフレーズや、自己肯定感を高めてくれる歌詞、かわいらしい振付など、けえらしい温かみのある楽曲だ。

ボーイズグループの新曲やYouTuberによる楽曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップする。

Mrs. GREEN APPLE「夏の影」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場2位

Mrs. GREEN APPLEの「夏の影」は「キリン 午後の紅茶」CM「夏の影」編のために書き下ろされた楽曲。8月11日のMV公開から9日間で500万再生を突破し、破竹の勢いを見せている。

今作はいつか過ごした夏の記憶に思いを馳せる歌詞が印象的だ。ただ懐かしく思うのではなく、「まだまだ溶けないで / コップの氷よ」と日々流れていく時間の中で、大切な人と過ごした記憶が色褪せないでほしいと願う主人公の心情が丁寧に描かれている。またスローテンポでスケール感のある演奏が、ゆっくりと大人になっていく様子をドラマチックかつ壮大に表現している点も魅力に感じた。

2018年リリースの「青と夏」で「夏が始まった合図がした」と声高らかに歌っていた、当時21歳だったボーカル&ギターの大森元貴。あれから7年が経ち、28歳になった彼が「夏の影」で「あの夏の思い出は / 今でも瞼の裏で生きてる」と哀愁のあるフレーズを歌っていることには、感慨深いものがある。

Official髭男dism「らしさ」オフィシャルオーディオ

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場51位

Official髭男dismの新曲「らしさ」は、9月19日に全国公開される劇場アニメ「ひゃくえむ。」の主題歌として藤原聡(Vo, Piano)が書き下ろした。この映画の原作は「チ。―地球の運動について―」で手塚治虫文化賞マンガ大賞を史上最年少受賞したマンガ家・魚豊の連載デビュー作。陸上競技の世界で100m競走に魅せられた者たちの狂気と情熱が描かれている。映画のオフィシャルサイトでOfficial髭男dismは、楽曲に込めた思いを次のようにコメントしている。

「『ひゃくえむ。』という作品は何度も僕の心を揺さぶり、熱くしてくれました。世の中は、絶対に敵わない相手やら、絶対に邪魔して来る自分やら、強敵に満ち溢れています。でもそれらに納得せず、慣れもせず、『絶対』に抗い奮闘する全ての人への賛歌としても、この歌を作りました」

筆者は「らしさ」を聴いて、この曲が描いているのは勝ち負けだと思った。それは競技における勝ち負けだけではなく、勝負に臨むときに襲ってくる不安や葛藤を抱く“もう1人の自分”に対しての勝ち負けでもある。作中の“僕”は歌詞の中で「現実的、客観的に見れば 絶望的。絶対的1位はきっと取れないな」「始めたのが遅いから」「世界はあまりにも広いから」と心に潜む自分が声をかける。しかし“僕”はその声を振り払うように「君の言いなりになってたまるか」と大きな一歩を踏みしめる。内面的な変化を描きながらも、ここまでドラマチックかつ共感性の高い歌詞に昇華する彼らの才能に驚かされた。

古山菜の花「もののけはいないよ」(Live-Full Ver.@ソロシンガー版音楽深化論~the battle~)

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場57位

古山菜の花は2000年生まれのシンガーソングライターだ。両親の影響で幼少期からピアノやギターを弾くようになり、同時に作曲も始める。そして小学生の頃にストリートライブを経験。大学進学後は、手描きアニメーションやセルフレコーディングを生かした制作を開始し、並行してAho-Electronicsというバンドでも活動する。大学卒業後はラブホテルの清掃員として働きながら、日常や創作活動をnoteにつづったりと、音楽だけでなく表現者として多層的な活動を続けてきた。

そんな古山菜の花が注目を浴びるきっかけになったのは、YouTubeで公開中の音楽オーディション番組「音楽深化論」の“アナザー版”「音楽深化論~the battle~」に出演したことだった。「音楽深化論」は音楽系YouTubeチャンネル「みのミュージック」のみのが主催するオーディション企画で、現在更新中の“アナザー版”はシンガーソングライターやラッパーなどのソロシンガーが対象。このオーディションに出場した古山がオリジナル曲 「もののけはいないよ」を披露すると、Bose(スチャダラパー)やDJ KOO(TRF)ら審査員は満場一致で彼女のパフォーマンスに満点を付けた。

今回MVチャートにランクインしたのは、その番組出演時の映像。彼女の怪しげな雰囲気と独特な世界観は視聴者を虜にし、この動画は一気にSNSで拡散されることになった。そしてそのセンスや佇まいが、1990年に「さよなら人類」がヒットしたことで知られるバンド・たまと共通していることから、彼女は“令和のたま”と呼ばれるようになった。

しかし彼女のほかの楽曲を聴いてみると、どの曲もたまに似ているわけではまったくない。嫌なことを聞いてくれる架空の友達・嫌太郎との日々を描いたカントリー調の「嫌太郎」や、ラブホテルの清掃員をテーマにしたピアノバラードの「ラブホテルで働くということ」など、今作とは異なるアプローチの楽曲を発表しており、音楽性の広さを感じる。“令和のたま”という呼び名にとどまらず、今後も彼女はさまざまなアプローチでリスナーを驚かせてくれることだろう。

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