松村北斗(SixTONES)が主演を務める実写映画「秒速5センチメートル」の完成報告会が本日8月27日に東京・TODAホール&カンファレンス東京で開かれ、松村と共演の高畑充希、森七菜、上田悠斗(EBiDAN NEXT)、白山乃愛、宮崎あおい、吉岡秀隆、監督の奥山由之が登壇した。
「奥山さんへの信頼が減る瞬間が一度もなかった」
今作は新海誠の劇場アニメーションを原作とした映画。松村演じる主人公・遠野貴樹の18年間にわたる“人生の旅”が幼少期、高校生、社会人の3つの時代で描かれる。今作が映画単独初主演となる松村。出演のオファーを受けたときの心境をMCに問われると「まず『恐ろしいな』という感情がいの一番に湧き上がってきました。企画書をめくると“遠野貴樹役・松村北斗”と書いてあって。『憧れていたあの貴樹を僕なんかがやるんだ』っていうのが最初の印象でした」と偽らざる思いを明かす。そして「奥山さんとお話する機会をいただいたとき、ものすごく熱量のある会話が2時間くらいできて。『あ、僕はこの方と一緒にこの恐ろしいチャレンジに参加させてほしい』と思いました。そこから撮影が終わるまで、奥山さんへの信頼が減る瞬間が一度もなかったです」と続けた。
そんな“チャレンジ”を経て完成した作品に関しては、「全員が主人公と言ってもおかしくないくらい、登場人物全員が特別なキャラクターな分、普通に映画を観たような感想が湧いて。『すごくいい映画だ』と思いました」と感想を語った松村。「悠斗と乃愛ちゃんのパートで自分が10代だった頃の感覚がフラッシュバックして、涙が出てきてしまって。すごく素敵な初号を迎えました」と振り返る。一緒に初号を観た新海には「貴樹がほっくんで本当によかった」と声をかけられたと言い「新海さんが“怖かったハードル”を飛び越えさせてくれました」と、安堵の表情を浮かべた。
「そのときに飲んだビールが、ものすごく人生に沁みて」
なお、幼少期の貴樹を演じた上田はこの映画が演技初挑戦。オーディションで貴樹役を射止めたことについて「初めてなのに、やっていいのかな?という不安と、同時にやれてうれしい感情が込み上げてきました」と感想を語る。ここでMCが、上田は松村のファンであることを補足すると、これに首をかしげた松村は「現場で会えたときがあったんですけど、悠斗は『会話はいいです』みたいな感じで。緊張してたのか?」と笑いながら上田にひと言。「取材の場にも慣れてないからって、わざわざ見学しに来てくれたこともあって。でも、そこで会話でしたときにも『好きなんです』っていう話を聞いてないんですよ(笑)。(取材中)隣に座る?って聞いても『大丈夫です』って、そこそこ離れた場所で聞いてて。僕は声量がそんな大きくないから、聞こえてもいなかったんじゃないかな? あ、聞こえてた? 耳がいいんだね」と不安げに言葉を重ね、照れっぱなしの上田から「好きですよ」という言葉を引き出していた。
また会見の中では、作品の内容に絡めて「これからも大切にしていきたい思い出はあるか?」という質問も登壇者に投げかけられた。この問いに松村が語ったのは、岩井俊二監督との思い出。「映画を好きになったきっかけが『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観て面白いなと思ったことで。その(監督の)岩井さんの映画(キリエのうた)に出演したとき、ずっと正解がわからないままの日々の中でクランクアップを迎えたんです」と切り出した松村は「帰り支度をしていたら、監督がその場所まで来てくれて。『素晴らしかった』という言葉と同時に、自販機でビールを買って『乾杯しよう』と言ってくれた。そのときに飲んだビールが、ものすごく人生に沁みて。しんどいときやうまくいかないとき、またこういう奇跡のような瞬間に巡り会えるようがんばろうと思い出す記憶です」と明かした。
そして会見の最後、松村は「落ち込むことも喜ぶことも簡単になったがゆえ、得体の知れない“もや”を抱えている方も多いと思います。この作品は、その“もや”と対峙したときに寄り添ってくれて『悪くないかもな』と思わせてくれるような映画です。そんなふうに、1人でも多くの方に寄り添えたらいいなと思っています」とカメラの向こう側へ向けて語った。
「秒速5センチメートル」10月10日に全国の劇場で公開。なお主題歌には、米津玄師が書き下ろした「1991」が使用される。
※宮崎あおいの崎は、たつさきが正式表記。
