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星野源「2」の初タッグとは思えない“最高のバディ”感 / Adoはなぜ昭和を忠実に再現できるのか

再生数急上昇ソング定点観測
7分前2025年09月26日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで9月12日から9月18日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、1位に米津玄師の「IRIS OUT」が登場した。今作は劇場版「チェンソーマン レゼ篇」の主題歌。9月18日付けの「Spotify Japanデイリーチャート」で75万8291再生を記録し、日本国内におけるデイリー再生数歴代最多を樹立。また、9月24日発表の「オリコン週間ストリーミングランキング」ではソロアーティスト初の週間再生数2000万回超えとなる、2697万3074回で初登場1位を獲得した。

3位には、Number_iが9月22日にリリースした2ndフルアルバム「No.II」の収録曲「Numbers Ur Zone」がランクイン。これまでになく激しいラップにディープなトラックが合わさった新感覚のアッパーチューンに仕上がっている。

当連載では7月16日公開の記事でもBE:FIRST「空」のリリックビデオがランクインしたことをお伝えしたが、今回新たにミュージックビデオが10位に初登場。MVは映画「愛がなんだ」や「からかい上手の高木さん」で知られる今泉力哉が“ちいさな優しさ”をテーマに脚本・監督を務めた。今泉は「本当に私が求めているような温度の芝居や、表情、身体での表現をしてもらえて、とてもいいMVになった」とメンバーの演技を絶賛している。

15位にはCreepy Nuts「ちゅだい」がランクイン。欲望をテーマにしたR-指定のスキルフルでスリリングな言葉遊びと、DJ松永による疾走感あふれるビートが中毒性を生んでいる。

今の日本の音楽シーンを代表するアーティストの新曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。

星野源「2(feat. Lee Youngji)」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場48位

星野源が韓国のラッパーであるイ・ヨンジとコラボした「2(feat. Lee Youngji)」は、5月にリリースされた最新アルバム「Gen」の収録曲。このアルバムはコロンビアの人気アーティスト・カミーロなど、8人の海外アーティストをゲストとしてフィーチャーしたことが話題になった。

星野は以前からヨンジの音楽性に惹かれており、また彼女も去年1月に東京・豊洲PITで開催された単独コンサート「LEE YOUNGJI 1st ASIA TOUR“THE MAIN CHARACTER”-TOKYO」で星野のヒット曲「恋」を披露するなど、アーティストとして相思相愛の関係だった。そんな2人が初めてタッグを組んだ曲とは思えないほど、「2(feat. Lee Youngji)」からは両者のいいグルーヴが感じられて、「異星から2人舞い降り / 踊り交わす瞳 / 笑う僕らに / 勝てる者などいないのに」という“最高のバディ”を示したような歌詞もハマっている。

MVを制作したのは映像作家の石井英之だ。都心の路上や夏の陽光が降り注ぐ埠頭、高速道路を望むビルの屋上、シンセサイザーが並ぶホームスタジオなど、多彩なロケーションで歌う星野とヨンジの姿がどこか懐かしい質感で記録されており、随所に楽曲のテーマとモチーフを表現したアニメーションが挿入されている。

Ado「CAT'S EYE」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場56位

「CAT'S EYE」は1983年にテレビアニメ「キャッツ❤︎アイ」のオープニングテーマとして発表された杏里の楽曲がオリジナル。今回オフィシャルオーディオがランクインしたのはAdoによるカバーで、ディズニープラス「スター」で独占配信中のアニメ「キャッツ❤︎アイ」のエンディングテーマとして制作された。「キャッツ❤︎アイ」の原作は1981年から1984年まで「週刊少年ジャンプ」で連載された北条司のマンガで、日本だけでなくアジアや欧米でも高い人気を誇る。2022年には40周年を記念した原画展が開催されるなど、多くのファンに愛され続けている伝説的な作品だ。

編曲は「僕のヒーローアカデミア」「ハイキュー!!」「キラキラ☆プリキュアアラモード」「ガンダムビルドファイターズ」など人気アニメ作品の劇伴を手がけている林ゆうきが担当した。アニメのリメイクが報じられた際に、Adoは「楽曲を歌唱する際、杏里さんをリスペクトさせていただきつつ、80年代の歌唱法と自分の色を混ぜてみました」とコメントしている。

公開されたオフィシャルオーディオのコメント欄では「杏里へのリスペクトが色濃く感じられる、そしてウマイ」「マジでうめぇ。キャッツアイ、小さい頃再放送で見てて元の歌も染み付いてるけど、このバージョン、新しい正解って感じがする」など原曲のファンからも高い評価を得ている。現在22歳のAdoが、なぜこれほどまでに昭和のエッセンスを忠実に再現できるのだろう。カバー曲だからこそ、改めて彼女の表現力の高さに度肝を抜かれた。

セカンドバッカー「犬とバカ猫」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場93位

「今度遊ぼうと言われて、いざデートに誘ったら既読スルーで今コレ」「自転車のサドルを盗まれて今コレ」など、「〇〇されて今コレ」という文章とともに撮影中のスマホ画面に向かって肘打ちする動画を見たことがあるだろうか? 「肘打ち界隈」というネーミングで、今TikTokを中心に流行っている。嫌な出来事を打ち明けて、これでもかと思いきりストレスを発散する動きが見ていてスカッとするので、多くの人に好まれているのだろう。

そんな肘打ち界隈が広まったきっかけは、TikTokerのなかみちが劇場アニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」のエンディングテーマ「不思議のカルテ」を流して「保育実習で園児に先生顔にぶつぶつ(ニキビ)いっぱいあるって言われて今これ」と投稿したことが始まりと言われている。そしてその動画のフォーマットを使い、セカンドバッカーのドラマー・まさみが「犬とバカ猫」をBGMにしたショート動画を投稿したところ、肘打ち界隈は一気に話題に。さらに、彼と仲のいいかやゆー(ヤングスキニー)や、なえなの、チョコレートプラネットなどもこの曲で肘打ち動画を投稿し、楽曲の注目度も増した。

「犬とバカ猫」は7月9日にリリースされた配信シングル。好きな人と別れたことで、自分の至らない点や彼女との思い出を振り返る描写が印象的な、切ない恋心をポップな曲調に落とし込んだロックナンバーだ。

MVを監督した加藤マニはX(Twitter)で「TikTok楽曲チャートで首位を獲得しながらも、所謂バズを意識したデザイン過剰なものではない、軽快なギターロックに、丁寧に真っ直ぐ描かれた、"かつての恋愛"が歌われる、重すぎないけどちゃんと切ない佳曲でございます」と今作の魅力をポスト。また、20代特有の心のすれ違いをテーマにした普遍性についても「そういうところが人間の愛らしいところなんじゃないの!とも、思っている」と絶賛している。

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