ゆるめるモ!の結成13周年ワンマンライブ「ゆるめるモ!中学一年生になりました ~13周年は13日の月曜日~」が、10月13日に東京・浅草花劇場にて開催された。この日はゆるめるモ!の楽曲を多く制作してきたハシダカズマ(箱庭の室内楽)が率いるバンドによる生演奏でライブを実施。普段とはひと味違う生のグルーヴが会場を熱くさせた。
セーラー服姿で「中学生になったぞ!」
おなじみの「ゆるトロ」が大音量で鳴り響く中、ステージに現れたのはセーラー服姿のメンバー6人。13周年にちなみ、13歳の中学1年生になったというコンセプトだ。なにが「中学生になったぞ!」と威勢よく叫ぶと、ライブは「サマーボカン」で勢いよくスタートした。この日のバンドメンバーは、箱庭の室内楽のハシダカズマ(G)、上野翔(G)、松本暁雄(Dr)、岸真由子(Key)に加え、福山タク(Sax / NATURE DANGER GANG)、河野岳人(B / SuiseiNoboAz、LAGITAGIDA)、花城みなみ(Perc)という布陣。ゆるめるモ!の6人と合わせて総勢13人がステージに並び、大編成ならではのにぎやかで迫力あるサウンドが会場を揺らす。
その音圧に背中を押されるように、メンバーのパフォーマンスも序盤から白熱。「虎よ」「私と私と私と私と私と私と私と私と」の2曲では、へそもギターを手に取り、トリプルギター編成で音の厚みをさらに増幅させた。ムーンライダーズのカバー「9月の海はクラゲの海」では、軽快なビートに乗ってメンバーがステージの縁に置かれたお立ち台へ順番に上がり、観客を煽るように歌い上げた。
ここでメンバーとバンドが一旦退場すると、スクリーンにはショートムービーが上映された。その内容は、らきとまことが新入生として入学した「ゆる中」で、先輩のなに、ねるん、へそ、めありのあまりのゆるさに衝撃を受けるというもの。地べたに座り、勉強もまったくしていないこの4人の先輩。しかしその裏の顔は、生きることに悩んでいる人々を助ける“ポンコツチキンヒーロー”だった。
そしてムービーが終わると、チャイナ風の最新衣装に着替えた6人が登場し、まさにその「ポンコツチキンヒーロー」でライブを再開。ここからはバンドメンバーを抜きにした6人でのパフォーマンスで、「ゆるめるモん」「真面目に生きて報われたいの♡」「もんもっちゃいな!」を畳み掛けていく。「弱者大宴会」ではフロアを巻き込んで大盛り上がりに。続く「生きろ!!」で6人は、オーディエンス1人ひとりに語りかけるように真摯なメッセージを届けた。
メンバー自ら演奏する「ゆるバンド」のステージも
MCで、へそは「生バンドもセーラー服も面白かったね!」と前半を振り返りつつ、「まだ叶えてないことがある!」と宣言。ここからメンバー自身が楽器を演奏する、過去にもたびたび行われてきた「ゆるバンド」のステージが始まった。なにがボーカル&タンバリン、らきがギター、へそがベース、ねるんがドラム、めありがキーボード、まことがパーカッションと、それぞれが定位置に就くと、1曲目として披露されたのはこの日のために用意された楽曲「13周年ゆるめるモ!」。ローファイでゆるいながらも、どこか味わい深い演奏で観客を楽しませた。
続いて、歴代のゆるバンドでも演奏されてきた自己紹介ソング「ゆるゼロ」。現在の6人のメンバーが、順にマイクを回しながら自分について歌った。なにがカウベルを打ち鳴らして始まった3曲目は「あさだ」。ねるんとへそのリズム隊によるタイトでヘビーなグルーヴをはじめ、6人の演奏は余興レベルではない本格的なニューウェイブ / ポストパンクを感じさせる。演奏後、ねるんがドラムを始めてまだ6日しか経っていないことが明かされると、その仕上がりに客席からは驚きの声が上がった。
脚立に上がって「Only You」熱唱
「バンドはカッコいいと思うけど、うちらはバンド以外もできちゃうからね。カッコいいものを見せつけていかないと」というねるんの言葉を合図に、再び6人でのライブへ。「忍者NOW」で激しいダンスを見せつけ、「転がれ!!」「逃げろ!!」とメッセージ性の強い楽曲を連発した彼女たち。「逃げろ!!」の落ちサビでは、ねるんが「ゆるめるモ!13周年、ありがとうー!」と感謝の言葉を叫んだ。メンバーカラーの扇子を手に舞う「OO(ラブ)」では、観客も「出来た! 出来た!」と声を合わせる。曲中、ねるんは「ゆるめるモ!の13周年ライブを一緒に作ってくれてありがとうございます! こうしてゆるめるモ!でいられるのも、まぎれもなくみんなの賜物。ぜひこれからもゆるめるモ!をお願いします!」と、改めてファンへの思いを語った。
現体制6人では初披露となった「DELIVERY LIFESEVERS~ゆるめるモ!を止めないで~」を経て、「孤独な獣」で再びバンドメンバーが合流。「人間は少し不真面目」では泣きのギターをバックに、6人がしっとりと歌い上げる。生演奏によってよりドラマチックになったサウンドが、会場に深い感動を広げた。「たびのしたく」ではへそが再びギターをかき鳴らし、ダイナミックなパフォーマンスに会場の温度が上昇する。その熱気のまま突入した「Only You」では、爆音の中で6人が絶叫するように熱唱。ステージ中央に運び込まれた脚立に上がったなにが落ちサビを熱唱すると、会場は大歓声に包まれ、ライブ本編は幕を閉じた。
元メンバーからのサプライズに「超うれしい」
アンコールに応え、Tシャツに着替えて首にモールを巻いたメンバーが登場すると、スクリーンにサプライズ映像が。2021年に卒業した元メンバー・けちょんからの祝福メッセージだった。
「13年ゆるめるモ!があり続けるのは当たり前のことじゃない。今この瞬間を一緒にお祝いできてうれしいです。本当に歌い続けてくれてありがとう。卒業してから、つらいときに何度もゆるめるモ!の曲に救われました。今の時代に必要なグループだと感じているので、これからの活躍を楽しみにしています」
思いがけないメッセージに、メンバーは「超うれしい」と声を漏らす。そして今度はメンバーからファンへ、感謝の言葉が贈られた。
へそは「私が初めてカッコいいと思ったグループがゆるめるモ!でした。どんなときでも身を削って歌う姿に憧れて、そんなゆるめるモ!になりたいと思って今日まで立っています。明日も明後日も、私はゆるめるモ!としてステージで歌い続けるので、これからもよろしくお願いします」と力強く宣言。
なには「正直こんなに長くここにいると思っていなかったです。『逃げろ』って歌ってるのに、自分は逃げられないなって苦しくなるときもあって。でも今日来てくれたみんながいるから、今もゆるめるモ!でいられます。心がカラカラにならないうちはこれからもがんばるので、できればずっと一緒にいてくれたらうれしいです。14年目も、みんなと一緒なら乗り越えられる。これからもいい時間を作っていきたいと思います」と訴えた。
めありは「13周年という長い歴史の半分にも満たない期間ですが、こうして大好きな歌を歌い続けられて本当に幸せです。私たちが音楽で幸せになるように、みんなにもゆるめるモ!でもっと人生を豊かにしてほしい。まだまだ終わりじゃない、みんなを一緒に連れて前に進んでいきたいです」と決意を新たに。
まことは「復帰して1年、あっという間でした。復帰してよかったなって思います。これからもよろしくお願いします」と実感を込めて語った。
らきは「こういう場面は苦手だから」とカンペを片手に、「13年の歴史の一部になれて、大変だけどよかったこともあります。自分を外に出せたこと、みんなと出会えたこと。これからも今のゆるめるモ!の魅力を伝えられるようにがんばります」と、まっすぐな気持ちを伝えた。
「続ける理由になってくれて本当にありがとう」
そして最後にねるんが、活動の苦悩を正直に吐露しながらも、涙で声を詰まらせながら「つらいとき、グループがなくなればいいと思うこともあります。でも、みんながいてくれる場所がいいなって、多分考えずに思っているから、活動を続ける選択を自分でしています。13年続いているのは、今までのメンバーさんや、たくさんのスタッフさん、そしてファンのみんながいてくれたから。ゆるめるモ!は『みんなでゆるめるモ!』なんだなって思いました。続ける理由になってくれて本当にありがとう。これからもこのグループをより長く続けていけたらいいなと思います」と、深い感謝で締めくくった。
メンバーそれぞれの思いが伝えられると、最後は再びバンドセットで「モイモイ」「よいよい」を連発。まさにお祭り騒ぎのフィナーレとなった。彼女たちがステージを去ったあとも、サプライズは終わらない。スクリーンには、アジア公演を含むアルバムリリースツアーの開催、ラジオ冠番組の放送決定、密着ドキュメンタリーの制作といった、今後予定している数々のトピックが発表された。そして、この日のリハーサルやライブの撮って出し映像をバックにしたスタッフロールが流れ、ゆるめるモ!の14年目への期待感を高めたつつ、13周年を祝う一夜は幕を閉じた。
セットリスト
「ゆるめるモ!中学一年生になりました ~13周年は13日の月曜日~」2025年10月13日 浅草花劇場
01. ゆるトロ
02. サマーボカン
03. 虎よ
04. 私と私と私と私と私と私と私と私と
05. 9月の海はクラゲの海
06. ポンコツチキンヒーロー
07. ゆるめるモん
08. 真面目に生きて報われたいの♡
09. もんもっちゃいな!
10. 弱者大宴会
11. 生きろ!!
<ゆるバンド>
12. 13周年ゆるめるモ!
13. ゆるゼロ
14. あさだ
15. 忍者NOW
16. 転がれ!!
17. 逃げろ!!
18. OO(ラブ)
19. DELIVERY LIFESEVERS~ゆるめるモ!を止めないで~
20. 孤独な獣
21. 人間は少し不真面目
22. たびのしたく
23. Only You
<アンコール>
24. モイモイ
25. よいよい
