JOYSOUND 音楽ニュース
powered by ナタリー
「JOYSOUND X1」公式サイトJOYSOUND公式キャラクター「ジョイオンプー」

HYDEワールドツアー国内編ついに完結、命を燃やし心を燃やし生み出した壮絶な景色

HYDE
7分前2025年11月04日 12:02

HYDEが10月25日、26日に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールにて、ワールドツアー「HYDE [INSIDE] LIVE 2025 WORLD TOUR」の国内最終公演を行った。この記事ではファイナルとなった26日の模様をレポートする。

「HYDE [INSIDE] LIVE 2025 WORLD TOUR」は、HYDEが最新アルバム「HYDE [INSIDE]」を携えて2024年から国内外で展開してきたライブシリーズ。「JAPAN FINAL」と銘打たれた幕張メッセ公演はその集大成的な位置付けとして急遽決定したもので、2日間で2万4000人が参加する大盛況に。ゲストとして海外での人気も高いBAND-MAIDを迎え、年内をもって一時封印する“激しいライブ”の有終の美を飾った。

BAND-MAIDの華やかなフルスロットルライブ

さまざまな世代、性別のファンが自分らしい形で楽しめるよう、モッシュピットエリア、スタンディングエリア、座席指定エリア、子供も参加できるファミリーエリアと複数の席種が用意された「JAPAN FINAL」。ハロウィンも近いことからホスピタリティエリアにはカボチャやモンスターのバルーンオブジェが飾られるなど、どこかパーティ感のあるムードが開演前から漂う。そんな中、ステージにメイド服姿のBAND-MAIDが現れると、空気は一層華やいだ。

HYDEファンの温かな歓迎を受けた5人は、ゴシックでありつつキュートな装いを裏切るように、「What is justice?」を皮切りに激しくもメロディアスな楽曲を連投。海外ツアーで鍛えた盤石のアンサンブルと、SAIKI(Vo)の伸びやかなボーカルでオーディエンスを惹きつけていく。さらに、L'Arc-en-Ciel「HEAVEN'S DRIVE」のカバーをオリジナルへのリスペクトを込めたアレンジで届ける、粋なパフォーマンスも。HYDEのステージにつなげるべく、フルスロットルのライブを披露した。

最後に最高のカオスを──

HYDEの登場を知らせる「6:66」の数字が並ぶ紗幕がゆっくりと上がり、オーディエンスの目に飛び込んできたのは、近年のライブではおなじみとなった3mに及ぶ特注の演説台。その頂上から姿を見せたHYDEは、銀色の仮面で顔半分を覆い、フードを目深く被ったまま「LET IT OUT」を歌い出す。早くも狂騒状態に陥る場内に向けて、「I'm gonna rise and set you free(私は立ち上がり、君たちを解放する)」と咆哮。高らかな宣言を経てステージに降り立つと、「AFTER LIGHT」「I GOT 666」と凶暴な一面をあらわにする楽曲をフロアに叩き込んだ。

「最後に最高のカオスを見せてくれよ! お互いぶっ壊れるまで終われません」。そんなHYDEの言葉を後押しするように火炎がステージとフロアの間から上がり、モッシュピットエリアにリフターやクラウドサーファーが続出するなど、天井知らずに加速していく幕張メッセ内の熱狂。ここでHYDEは現在の音楽性の礎ともなった、20年前にリリースしたヘヴィロックチューン「COUNTDOWN」を投下し、連綿と追求してきた“動”の世界観を描く。艶かしく重厚さが加わった声を通して、ボーカリストとしての進化をオーディエンスに提示した。

ライブハウスツアーでは別個に披露されていたテレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編主題歌である「夢幻」「永久 -トコシエ-」は、「JAPAN FINAL」においてはセットリストの中盤に連なる形で据えられた。爽快な聴き心地の「夢幻」と、繊細さと豪胆さの両方の表現を求められる深淵な「永久 -トコシエ-」というタイプの異なる楽曲を、HYDEは声を自在に使い分けながら歌唱。さらに長年リスナーを公言するLinkin Parkの「FAINT」のカバーでは、ラップパートを担ったバンドメンバーのhico(Key)と火花を散らすような掛け合いを繰り広げるなど、豊かな表現力を惜しみなく披露していく。「HYDE [INSIDE] LIVE」にとどまらず、ロックボーカリストのHYDEとしての集大成を見せるようなパフォーマンスに、狂騒の輪は拡大を続ける。

「いい曲が流れてるなと思ったら『HEAVEN'S DRIVE』だったよ。俺が作ったんだよ、あれ(笑)。(BAND-MAIDがカバーしてくれて)めちゃくちゃうれしかった。とっても素敵だったね」と緊張をほぐすように話し始めたHYDE。「今日はめちゃめちゃ気合いを感じます……みんな燃え尽きようとしているね。一緒の気持ちだから。君たちホントかわいい」と会場を見渡しながら目を細め、「ひとつになりましょう」と盛り上がりの火付け役であるライブの定番曲「6or9」へ。モッシュピットの渦に飛び込んだHYDEだったが、これはまだ序の口。「ここから真面目にやります……本性を見せてみろ」とオーディエンスを煽るや否や、3mの高さもあろうかという火柱が上がる中、レパートリーの中でもひと際激しい「MAD QUALIA」「SOCIAL VIRUS」を立て続けにパフォーマンスした。

「LAST SONG」で描き出す壮絶な景色

「心燃やして夢中になったこの光景を忘れるなよ。一生ものだからな」。噛み締めるようにそう口にしたHYDEは羽織っていた上着を脱ぐと、頭部から血糊を滴らせながら「MIDNIGHT CELEBRATION II」を歌い始める。真紅に染まっていく髪と顔、蛇のタトゥーが刻まれた胸元から、鍛え上げられた腹部へと落ちていく一筋の赤い線。旋律も無視し、慟哭とも怒号ともつかぬ、獣のような声を上げ続けるHYDEと、暴れ狂うバンドメンバーたち。本性をむき出しにしたその姿に感化され、大いに躍動する人がいる一方で、息をのみ立ち尽くす人の姿も見られるなど、フロアにはステージ同様のカオスが広がっていく。

緊張と興奮の両方がピークに達した瞬間、HYDEは床に崩れ落ち、脱力したように天井を見上げた。その横顔がスクリーンに映し出されると、物憂げなピアノの旋律が響き、茜色のライトがステージとHYDEを染める。ノスタルジックな光景の中、つぶやくように「LAST SONG」を歌い出すHYDE。「I will choose to shine like the stars above」というフレーズに合わせて観客がスマホのライトを揺らすと、血濡れたグローブで目を一瞬覆い、感極まったように声を詰まらせる場面も。よろけながらも立ち上がった彼は一瞬観客と向き合い、血のように鮮やかな赤い紙吹雪が舞い落ちる中、恍惚としながら絶唱を繰り返す。幕が降りるのが先か、嗚咽のようなHYDEの声が聞こえるのが先か──たちまち会場を強烈なカタルシスが支配した。

世界中どこに行っても君たちは頼もしかった

本編が物語性のある展開が際立った一方、インターバルを挟み始まったアンコールはオーディエンスの笑顔を誘うパーティ感にあふれた内容に。フロートに乗って現れたバンドメンバーがたっぷりとソロパフォーマンスを披露したのち、ドクロマークをあしらった黒いシルクハットがゆっくりとフロアの中央へと空中移動していく。

シルクハットが緩やかに着地したのは、複数のフロートで作られたサブステージに鎮座する怪しげな黒い箱。するとその箱の中からハロウィンメイクを施しシルクハットを被ったHYDEが姿を見せ、この季節にぴったりな「HALLOWEEN PARTY」を観客にプレゼントした。観客に360°を囲まれた状態で「PANDORA」を届けたのち、HYDEとバンドメンバーはお菓子をばら撒きながらメインステージへと移動。そして、貫禄と余裕を漂わせつつ「AHEAD」をオーディエンスとのシンガロングを楽しみながら披露した。

ここでさわやかにフィナーレへ、とはならないのがHYDEのライブ。「好き勝手やってるのに、理解してくれてありがとう」と切り出した彼は、「まだワールドツアーは残ってますが、今年、みんながいろんなところに応援しに来てくれて助けられました。世界中どこに行っても君たちは頼もしかった。悔しいけど本当に感謝してます」「これからいろんなところで浮気してもいいけど、再来年帰ってきたときに『やっぱHYDEだな』って思わせるから。また遊んでくれよ」と独特の言葉でファン1人ひとりへの感謝の思いを口に。さらに「悔いを残すな。命燃やせ、心燃やせ!」と再びオーディエンスを焚き付け、「GLAMOROUS SKY」「BLOODSUCKERS」を畳みかける。

この日のクライマックスを彩ったのは、パーティの幕引きにふさわしい「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」。激しく艶やかなこの曲をHYDE、バンドメンバー、オーディエンスは大合唱し、壮観な光景を作り出す。それを前にHYDEは「また帰ってくるからな。この景色忘れるなよ! どうもありがとう。最高でした、ここに刻まれました」と自らの胸を叩き、「首洗って待ってろよ!」とシャウト。万雷の拍手を浴びた彼が名残惜しそうにステージをあとにすると、スクリーンにはニューアルバム「JEKYLL」のリリースとオーケストラツアー「HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL」の開催告知が浮かぶ。早くも次の動きへの布石が打たれたところで、ステージに「THE END」の文字が燦然と浮かび上がった。

セットリスト

「HYDE [INSIDE] LIVE 2025 WORLD TOUR -JAPAN FINAL-」2025年10月26日 幕張メッセ 国際展示場 9-11ホール

01. LET IT OUT
02. AFTER LIGHT
03. I GOT 666
04. DEFEAT
05. COUNTDOWN
06. TAKING THEM DOWN
07. 夢幻
08. 永久 -トコシエ-
09. FAINT(Linkin Parkカバー)
10. 6or9
11. MAD QUALIA
12. SOCIAL VIRUS
13. MIDNIGHT CELEBRATION II
14. LAST SONG
15. HALLOWEEN PARTY
16. PANDORA
17. AHEAD
18. GLAMOROUS SKY
19. BLOODSUCKERS
20. SEX BLOOD ROCK N' ROLL

撮影:石川浩章 / 松田徹也

関連記事

「HYDE [INSIDE] LIVE 2025 WORLD TOUR -JAPAN FINAL-」の様子。

HYDEがニューアルバム「JEKYLL」発売、オーケストラツアー開催を発表

9日
「COUNTDOWN JAPAN 25/26」ロゴ

「CDJ」第1弾にサカナクション、NiziU、クリーピー、ano、佐野元春、リーダーズ、ホルモンら

20日
「FENDER EXPERIENCE 2025」会場の様子。

「FENDER EXPERIENCE」に豪華アーティスト登場!サイサイ、HISASHI、鈴木茂のトークセッションをレポート

21日
「ギター・マガジン」2025年11月号表紙

田渕ひさ子が押入れで「透明少女」演奏、ぼっち・ざ・ろっく後藤ひとりのように宅録できるか検証

25日
TOMORROW X TOGETHER「Starkissed」トラックリスト

TOMORROW X TOGETHERにHYDEが楽曲提供、日本3rdアルバムのトラックリスト公開

28日
HYDE(撮影:田中和子)

HYDEが大阪・関西万博「和歌山DAY」ライブで会場を熱狂の渦に、同郷・玉置成実とデュエットも

約1か月
Like-an-Angel

ラルクのトリビュートバンドLike-an-Angel、2ndシングルリリース&4都市ツアー決定

約1か月
「FENDER EXPERIENCE 2025」ロゴ

Fenderイベントで豪華アーティストの愛機展示 LUNA SEA、King Gnu、丸山隆平らのギター&ベース

約1か月
yukihiro

ラルクyukihiroが30年の軌跡を語るトークイベント開催、ムック本の発売記念して

約1か月