ゴールデンボンバーの全国ツアー「喜矢武豊」のファイナル公演が12月7日に東京・有明アリーナで行われた。
タイトルに冠されたメンバー・喜矢武豊(G)はゴールデンボンバーのエアーギタリストとして活動する一方、俳優としても活躍を続け数多くの映画やドラマ、舞台に出演している。今回のツアーはそんな喜矢武をフィーチャーし、彼のエンタテイナーとしての栄光と苦悩にスポットを当てたストーリーが繰り広げられた。
「今からでもアフロに」念願叶えた喜矢武豊
ライブのオープニング映像で紹介されたのは、喜矢武が主演を務めるモンスターパニック映画「変態最狂恐竜 ザ・ガチュピン」の撮影に挑む姿。どんな役にも憑依できる名優、喜矢武は自身が演じる恐竜・ガチュピンの役が抜けなくなり、バンド活動にも支障をきたして鬼龍院翔(Vo)、歌広場淳(B)、樽美酒研二(Dr)との間に軋轢を生む。不穏な空気のままゴールデンボンバーの全国ツアーは幕を開け……という導入に続き、4人の心境を表すかのような1曲目「ワンマン不安」で現実のライブもスタートした。
MCで喜矢武は映画「ザ・ゲスイドウズ」で自身が演じたアフロヘアのベーシスト・リュウゾウについて「かつらで演じてしまった。役者として地毛でやるべきだったし今からでも取り戻したい」と謎の意気込みを見せ、樽美酒は「最近パチンコ屋でアルバイトをしてるんですよ。マイクパフォーマンスが楽しくて」と意外な近況を語る。そんな前フリから続いて披露された「抱きしめてシュヴァルツ」の間奏で、喜矢武はアフロヘアになった下半身を露出。パチンコ店の法被をまとった樽美酒はマイクパフォーマンスをしながら喜矢武の下半身をシャンプーし、隣で歌う鬼龍院の下半身も露出させるとそこにもアフロヘア。ゴールデンボンバーのライブとはいえ序盤にふさわしくないぶっ飛んだ光景に、樽美酒は「どうしたの? まだ3曲目だよ?」と自らツッコみ、鬼龍院も「何かの法に触れてると思う」と呆然とつぶやいた。
アクション俳優を目指して大活躍の喜矢武豊
「アクション俳優を目指したい」という喜矢武の言葉から始まった「欲望の歌」では、喜矢武がくしゃみをする “ハクション俳優”に扮し、ステージ上でスタントマンたちと華麗なアクションを繰り広げる。勢い余って鬼龍院まで倒してしまった喜矢武は、振り回していたマイクスタンドを握って大サビを熱唱し、ツアータイトルにふさわしい大活躍で会場を沸かせた。どよめきが残るアリーナで上映された恒例の幕間映像は、ブリーフ姿の4人がドッジボール日本代表チームと対戦する「ブリーフドッジボール」。4人は大玉のスイカを軽々と打ち砕く代表選手の球威に怯えつつゲームを開始させるが、樽美酒が1アウトを奪った以外は散々な結果に。素肌に痛烈な投球を受けるメンバーたちの悲鳴が場内にこだまし続けた。
中盤ではこちらも恒例の演劇コーナーへ。今回は鬼龍院が演じるミックスバーの店員と、喜矢武が演じる謎の人物のラブストーリーが展開された。鬼龍院が一目惚れしたのは「お湯をかぶると男性に、水をかぶると女性になる」という、どこかで聞いたことのある特異体質の持ち主。そんな喜矢武の心をつかむため、鬼龍院はある大きな決断をする。2人の物語を彩る「アモーレ」「デートプラン」といった楽曲を鬼龍院が熱唱するかたわらで、ミックスバーの店員に扮した樽美酒と歌広場はやりたい放題のアドリブ合戦を展開。「楽しかったねー!」とはしゃぐ2人に鬼龍院は「……演劇やめるか?」と冷めた声で言い放ち「真面目にやります!」「ふざけません!」と反省させた。
後半のMCでは八面六臂の活躍を見せた喜矢武が「ネタ切れです。“降参”です」とぼやいて歌広場から「“勇気”を出して、喜矢武さん!」と励まされ、その後ろで樽美酒は「なんかホール内が“サム”くない?」と大げさに震えてみせる。ここからの展開をファンが固唾をのんで見守る中で始まった「今夜はトゥナイト」で、喜矢武は“DJ KOOさん”、樽美酒はSAM、歌広場はYU-KIとそれぞれTRFのメンバーに扮して登場し、大歓声を浴びる。「まさし」「かまってちょうだい///」でトロッコに乗り込み場内の熱気をさらに高めた4人は、本編を「リフォビア」で締めくくった。
ガチュピン化が止まらない喜矢武豊
アンコール前の映像ではガチュピンに自我を乗っ取られそうになり苦悩する喜矢武の様子が映し出される。それを押し殺してステージに登場した喜矢武は、左腕を緑色に光らせながら「『ザ・ガチュピン』の予告編観てくれましたか? 人類を滅ぼしていくシーンが楽しくてしかたないんですよね」と恍惚とした表情を浮かべ、メンバーをざわつかせた。案の定「GLORY LOVE」の曲中には喜矢武の前歯が大きく変化しガチュピン化が加速する。そして「女々しくて」の間奏で完全にガチュピンに乗っ取られた喜矢武はメンバー3人を次々と襲撃。さらにその体がみるみる巨大化する……映像がステージ前の紗幕に映し出された。
観客が見守る映像では、ガチュピンが往年の怪獣映画さながらに街を破壊し続ける。万策尽きたかと思いきや、「自分も演じた役が抜けなくなる」という歌広場が変身してガチュピンの阻止に向かった。ここで歌広場が変身したのは “巨大ウーマン”。大声を上げて暴れまわるガチュピンに、彼女は「黙らせてあげる」と熱く口づけして制圧した。
破壊の限りを尽くして機動隊から狙撃されたガチュピンこと喜矢武がその人生に終止符を打ち、役者としての功績を称える銅像が建てられるが、銅像に扮していた喜矢武は撃たれる役もギタリストもできる、自らの“Canペキ”っぷりをアピールして悠々と画面の奥に消えていく。ビッグバンドジャズ調のエンディングナンバー「喜矢武豊」が彩る中で再びメンバーがステージに登場。トリを飾った喜矢武は巨大な羽根を背負って現れ、そのスター性を最後まで観客に見せつけた。
配信リリースされた喜矢武豊
ダブルアンコールではツアーファイナル恒例の新曲初披露に期待がかかるが、鬼龍院は自身の多忙ぶりをあれこれと言い訳し「新曲を作る時間がなかった」と弁明。「ああもう……僕に病名をつけてくれ!」という叫びから、その言葉通りの新曲「病名をつけてくれ」へ突入した。やるべきことに取りかかれないジレンマを歌った曲を熱唱する鬼龍院のそばで、3人は「これが曲名なの?」とポカンとした表情に。鬼龍院は「(11月30日放送の)『NHKのど自慢』の夜に作詞して……エンジニアさんとか大変だったと思う。メンバーには『ここでカメラ目線して』とかしか伝えてない」と、リアルなギリギリ具合を打ち明けてファンの笑いを誘った。
ドタバタ続きのツアーファイナルは「愛なんていらねいよ」で閉幕。メンバーがステージを降りたあとにはこの日披露された新曲「喜矢武豊」の配信リリースやファイナル公演のDVD化、さらにファンクラブ限定ツアー「超厄年祭」の開催が発表され、観客を大いに喜ばせた。
このツアーファイナルの模様は1月4日23:59までニコニコ生放送で配信中。視聴チケットは1月4日18:00まで販売されている。なおYouTubeでも1月4日23:59までの期間限定で、オープニング動画とアンコール部分を無料配信している。
セットリスト
ゴールデンボンバー全国ツアー2025「喜矢武豊」2025年12月7日 有明アリーナ
01. ワンマン不安
02. Hey Yo!
03. 抱きしめてシュヴァルツ
04. 欲望の歌
05. シン・一曲目
06. 毒グモ女(萌え燃え編)
07. 愛してると言えなくて
08. アモーレ
09. どうでもいいよ
10. デートプラン
11. 今夜はトゥナイト
12. まさし
13. かまってちょうだい///
14. †ザ・V系っぽい曲†
15. リフォビア
<アンコール>
16. GLORY LOVE
17. 女々しくて
18. 喜矢武豊
<ダブルアンコール>
19. 病名をつけてくれ
20. 愛なんていらねいよ
公演情報
ゴールデンボンバー ファンクラブ限定ライブツアー2026~超厄年祭~
2026年7月30日(木)東京都 LINE CUBE SHIBUYA
2026年7月31日(金)東京都 LINE CUBE SHIBUYA
2026年8月11日(火・祝)新潟県 新潟県民会館
2026年8月21日(金)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
2026年8月22日(土)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
2026年9月11日(金)大阪府 グランキューブ大阪(大阪国際会議場)
2026年9月12日(土)大阪府 グランキューブ大阪(大阪国際会議場)
2026年9月15日(火)愛知県 Niterra 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
2026年9月16日(水)愛知県 Niterra 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
2026年9月20日(日)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
2026年9月25日(金)福岡県 福岡市民ホール 大ホール


