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德永英明「ALL REQUEST」ツアーが仙台で閉幕、惜しみなく届けられる人気曲と圧倒的なボーカル表現

德永英明(撮影:奥本昭久)
17分前2025年12月20日 3:06

德永英明のライブツアー「Hideaki Tokunaga Concert Tour 2025 ALL REQUEST」が、12月13、14日に行われた宮城・仙台サンプラザホール公演で閉幕した。

「ALL REQUEST」というタイトルが示す通り、ファンからのリクエスト投票をもとに構成したスペシャルなセットリストでライブが届けられた本ツアー。德永は5月から7月にかけて11カ所で11公演、9月から12月にかけて16カ所で20公演を行い、前後半合わせて27カ所31公演におよぶロングツアーで全国のファンを楽しませた。この記事では最終日にあたる12月14日公演の模様をお伝えする。

観客が息をのんだ幕開けの瞬間

ツアーファイナルが行われた師走の仙台は、雪がぱらつく空模様。開場時刻を迎える頃にはすでに止んでいたものの、仙台サンプラザホール近辺の路面には降り積もった雪がシャーベット状に残り、外套を厚く着込んで白い息を吐きながら会場へ向かうファンの足取りをシャクシャクとした雪鳴りで彩った。週末の2日間公演に備えて金曜日に仙台入りしたという德永本人も、あまりの寒さに思わずダウンジャケットを現地調達したという。

そんな外界とは対照的に、開演を控えるホール内にはほのかな熱気が静かに充満。高まる期待感を隠しきれない様子の観客たちで座席が次々に埋め尽くされていき、やがて定刻を迎え場内が暗転すると、せきを切ったように割れんばかりの拍手と歓声が噴出した。ツアーロゴを映し出していたスクリーン幕にスタイリッシュなモノクロのオープニングムービーが映写され、同時に抑えの利いたピアノリフとアーティフィシャルなコーラスボイスがメインスピーカーから響きわたる。その演出に息をのむ観客たち。スクリーン幕が緞帳のごとく上昇を始め、その奥に控えた德永とバンドメンバーの姿があらわになると、改めて客席から歓迎の喝采が送られた。

その拍手の中へ割って入るように、柔らかなシンセストリングスがたおやかにフェードインし、坂本昌之(Key)による厳かなピアノのブロックコードがそれに続く。ゆったりしたイントロがたっぷりと丁寧に奏でられたのち、おもむろに德永のややハスキーで繊細なベルベットボイスが発せられた。しばしピアノと歌のみで楽曲が届けられ、しっとりと張り詰めた空気感が充満するも、やがてそこへ松原秀樹(B)の抑えの利いたエレキベース、土方隆行(G)のクリーントーンアルペジオが重なる。さらに渡嘉敷祐一(Dr)がライドシンバルなどで彩りを添えて少しずつバンドアンサンブルの明瞭度が上がっていき、サビ明けからはビートを利かせた開放的なパワーバラードへと一気に移行した。

惜しみなく披露されるメロウなスローナンバー

こうして名ピアノバラードの1つ「翼の勇気」で公演の幕が開けると、これを皮切りにメロウなスローナンバーが惜しみなく連発される。ピッチやリズム、発声、発音などの細部に至るまで徹底的にベストパフォーマンスを追求するアスリートばりにストイックな德永のボーカリゼーションに、オーディエンスは圧倒されつつもうっとりと聴き入るばかり。そのプロフェッショナリズムを支える百戦錬磨のバンドメンバーたちも、確かな技術に裏打ちされたスマートなプレイで無二のグルーヴを構築した。

ステージには柱のような幾何学的フォルムのオブジェクトが並び、そこにさまざまな照明が当たることで楽曲ごとにムードが千変万化する。代表曲「レイニー ブルー」や「最後の言い訳」といったAOR色の強い楽曲では、照明効果によって背景に夜の都会のビル街が浮かび上がった。またカバーアルバム「VOCALIST」シリーズのブロックで披露された竹内まりや「駅」やJUJU「やさしさで溢れるように」、古内東子「誰より好きなのに」では、空を模したような照明演出が展開された。

後半はアグレッシブな楽曲連発

次々に楽曲が演奏されるライブは、観客総立ちの壮大なシンフォニックバラード「LOVE IS ALL」で一旦幕を下ろし、約10分間の休憩へ。そして德永が白のストラトキャスターをかき鳴らして歌い上げる「愛をください」で第2部がスタートした。終始メロウな選曲で固められた第1部とは打って変わって、ここでは勢いのあるミディアムチューンが連発される。「あなたのために」「セレブレイション」といった軽快なポップナンバーが畳みかけられると、観客は盛大な手拍子やダイナミックな手振りで興奮を表現。さらに德永の「負けるなー!」の絶叫を契機に繰り出されたアグレッシブな8ビートナンバー「負けるな」で、会場のボルテージは最高潮へと達した。

客席の興奮が冷めやらぬ中、德永は「この会場のリクエストランキングは……」と本ツアーに際して実施されたリクエスト企画の会場別ランキングを発表し始める。その順位は3位が「~ I'm Free ~」、2位が「負けるな」、そして1位が「レイニー ブルー」。さらに総合ランキングは5位「負けるな」、4位「翼の勇気」、3位「夢を信じて」、2位「レイニー ブルー」という順位で、1位には「最後の言い訳」が輝いたという。「皆さん、たくさん投票ありがとうございました」と告げて深々と頭を下げる德永に、客席から万雷の拍手が届けられた。

そのランキングでも上位に入っていたという一青窈「ハナミズキ」から、ステージは再びゆったりとした「VOCALIST」コーナーへ。髙橋真梨子「桃色吐息」、越路吹雪「愛の讃歌」と続け、迫力あるボーカルワークでファンの感涙やスタンディングオベーションを誘ったのち、德永は総合ランキング3位の代表的ヒットチューン「夢を信じて」でコンサート本編を締めくくった。そしてアンコールでは、ファンから寄せられたメッセージを読み上げ、ほがらかに客席とコミュニケーションを図る。この日が誕生日だというファンのメッセージも紹介され、温かな祝福ムードがホール内を包んだ。

「僕がみんなに届けたい曲です」

本ツアーを通して、アンコールの1曲目に、会場ごとの日替わりでさまざまな楽曲のショートバージョンを披露してきた德永。この日は会場別ランキング3位を記録した「~ I'm Free ~」が選ばれ、坂本のピアノ伴奏のみをバックに切々と歌い上げられた。その後スクリーンに歌詞を映写してシンガロングを促した「壊れかけのRadio」でライブが大団円を迎えたかと思いきや、德永はダブルアンコールにも応えて再登場。「僕がみんなに届けたい曲です」と前置きしたうえでラストナンバー「MEMO」を披露した。

終演時には「翼の勇気」をバックにエンドロールが上映されたほか、德永が「2026年にデビュー40周年を迎えます。春頃からツアーをやります」とアナウンス。最後までオーディエンスを沸き立たせ、仙台の冬を温めた。なお、1月21日にはデビュー40周年記念作品としてカバーアルバム「COVERS」がリリースされる。

セットリスト

德永英明「Hideaki Tokunaga Concert Tour 2025 ALL REQUEST」2025年12月14日 仙台サンプラザホール

01. 翼の勇気
02. 僕のそばに
03. Positions of life
04. レイニー ブルー
05. いかないで
06. 最後の言い訳
07. 駅
08. やさしさで溢れるように
09. 誰より好きなのに
10. LOVE IS ALL
11. 愛をください
12. あなたのために
13. セレブレイション
14. 負けるな
15. ハナミズキ
16. 桃色吐息
17. 愛の讃歌
18. 夢を信じて
<アンコール>
19. ~I'm Free~
20. 壊れかけのRadio
<ダブルアンコール>
21. MEMO

※德永英明の「英」は、草冠の間が空きます。

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