大阪・インテックス大阪で開催されたFM802主催のライブイベント「FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2025」の12月27日公演にて、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN、THE KEBABS、Q-MHz)の生誕40周年を記念した企画「田淵智也 40th Anniversary special」が行われた。
第一声は「今日は冷静沈着です」
昨年4月に40歳の誕生日を迎えた田淵は6月より半年にわたりマンスリーのトークセッションを開催し、12月3日には自身が敬愛するアーティストや、プロデュースを手がけるアーティストの楽曲をカバーしたソロアルバム「田淵智也」をリリース。今回の「レディクレ」でのライブはこれらの40周年企画の集大成、かつ唯一の生ライブとして実施された。
開演時刻を迎えたステージにバンドメンバーの成田ハネダ(Piano, Key / パスピエ)、林直大(G / 多次元制御機構よだか)、露崎義邦(B / パスピエ)、鈴木浩之(Dr / THE KEBABS)が登場したのち、黒いセットアップに身を包んだ田淵が登場。大歓声に迎えられてマイクスタンドに向かった田淵は「今日はここで直立不動で歌います。気持ちよくなっちゃうとすぐ喉が死んでしまうので(笑)、今日は冷静沈着です」と神妙な面持ちでメインボーカルとしてステージに立つ心境を語る。そしてバンドメンバーを見やりつつ「奏でられる音楽は最高なので心を込めて歌います。田淵智也、40歳です」と宣言した。
オーディエンスが固唾を呑む中で披露された1曲目は、a flood of circleの「Dancing Zombiez」。独特のハリのある歌声に観客から喝采が起こる中、田淵は「休憩します。助けてくれ、佐々木亮介!」と1人目のゲスト・佐々木亮介(a flood of circle)を呼び込んだ。佐々木はステージに現れると早々にフロアへ降りていき、お茶割り片手にアグレッシブに観客を盛り上げる。彼がステージを去ったあとも、その熱狂を引き継ぐように田淵が敬愛するthe pillowsの「バビロン 天使の詩」が披露された。
尾崎世界観は絶賛「立ち姿がカッコいい」
田淵は「『お前が歌うんかい』というあり得ないステージですが(笑)、頼れる仲間に支えられて成り立っています」と話しつつバンドメンバー全員の名前を挙げる。バンマスとして成田ハネダを紹介すると、彼が奏でる流麗なピアノイントロからパスピエの「四月のカーテン」へつないだ。穏やかな歌声で場内の空気を変えたあと、田淵は「カバーアルバムをボケのつもりでリリースしたんですけど、今こんなことになってます」と今回のライブに至った経緯を苦笑いしつつ振り返った。
ここで田淵が「怯えてる僕を見て、大好きな仲間が来てくれました」と呼び込んだのは尾崎世界観(クリープハイプ)。ギターを抱えながら尾崎が「立ち姿がカッコいい。ただの直立不動じゃないよ」と田淵のボーカリストっぷりを称えると、田淵は「先輩に言ってもらえるとうれしい」と喜んだ。ほのぼのとしたやり取りのあとで披露されたのは、クリープハイプの「風にふかれて」。田淵がメインボーカルを取り、尾崎がコーラスを取るレアな組み合わせにオーディエンスは大いに喜んだ。
ライブ中盤、ボーカリストに専念してきた田淵がベースを担ぐとフロアからはどよめきが起こった。「こういうイベントに来るってことは、皆さんロックは好きなんですよね? 2026年のロックはこいつに任せてやってくれませんか?」という言葉から、メインボーカルを林に引き継ぎ多次元制御機構よだかの「或星」が披露される。田淵がサウンドプロデュースを手がける多次元制御機構よだかは昨年メジャーデビューを果たしたばかりで、ライブのサポートはこのステージと同じく田淵と鈴木が務めている。ロックに対する思いを重ねるような林と田淵のハーモニーが、場内に新たな熱気をもたらした。
盟友たちに捧げる曲を続々パフォーマンス
「恐れ多いことに先輩まで駆けつけてくれました」と田淵が紹介した次なるゲストは、同じ所属事務所の小出祐介(Base Ball Bear)。田淵から「どうですか、40代は」と尋ねられた1歳上の小出は「ひと言言えるのは、厄年マジヤバい!(笑)年が明けたらすぐお祓い行ってください、ケガと自転車事故に気をつけて!」と、今年春に自転車の事故で負傷した自らの境遇を重ねて笑いを起こす。和やかなやり取りを経て、田淵の「音楽が好きな皆さん、この場所を作ってくれた『RADIO CRAZY』、僕の友達の津野米咲さんに捧げます」という言葉に続き、赤い公園の「KOIKI」が披露された。小出も田淵も、赤い公園とは親交の深い間柄。ひときわエモーショナルに届けられる2人の演奏と歌声に、観客は感極まった表情で聴き入った。
あっという間にライブはエンディングを迎え、田淵の「人生の半分以上一緒に音楽をやってきた、僕の作る音楽を一番カッコよく歌える男です」という紹介から、満を持して登場した最後のゲストは斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN、TenTwenty)。ステージに現れた斎藤が「田淵智也をよく知る男です!」と自信たっぷりに言い放ったあと、田淵は「僕に音楽があってよかったです」と言葉を添えてラストナンバー「シュガーソングとビターステップ」へと突入した。通常のユニゾンのライブとは逆転して田淵がメインボーカル、斎藤がコーラスを務めるパフォーマンスに観客は熱狂。2番では斎藤がメインボーカルを取り、通常よりも低めのキーで歌う声が新鮮な驚きをもたらした。さらに大サビでは“直立不動”を宣言していた田淵が抑えきれないようにハンドマイクでステージ前方に飛び出し、この日一番の熱狂を場内に呼び込んだ。
セットリスト
「FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2025『田淵智也 40th Anniversary special』」2025年12月27日 インテックス大阪
01. Dancing Zombiez(オリジナル:a flood of circle)
02. バビロン 天使の詩(オリジナル:the pillows)
03. 四月のカーテン(オリジナル:パスピエ)
04. 風にふかれて(オリジナル:クリープハイプ)
05. 或星(オリジナル:多次元制御機構よだか)
06. KOIKI(オリジナル:赤い公園)
07. シュガーソングとビターステップ(オリジナル:UNISON SQUARE GARDEN)
写真提供:FM802 撮影:オイケカオリ、桃子


