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RAY“グルーヴマシマシ”特殊編成でステージへ、アイドルとバンドの壁を壊す主催対バン企画

星優太(WOZNIAK)、フミキモ(SONOSUKIMAKARA)とともに特別編成“GROOVE SET”でライブに臨んだRAY。(撮影:ヤギタツノリ)
8か月前2026年02月26日 13:04

RAYが主催する対バン企画「RAY presents『Destroy the Wall』」が2月22日に東京・下北沢シャングリラで開催された。

「極北を目指すオルタナティヴアイドル」をコンセプトに掲げるアイドルグループRAY。「Destroy the Wall」は「アイドルとバンドの壁を壊す」をテーマにした対バン企画シリーズで、今回は戸川純、moreruという世代を越えるアヴァンギャルドなアクトとの競演が実現した。この記事では本公演よりRAYとmoreruの写真を掲載しつつ、3組のライブの模様を紹介する。

戸川純

トップバッターの戸川純はハート型のサングラスをかけてステージに登場。ヘヴィなギターリフと不穏な電子音が交錯する「ヴィールス」でライブを開始し、可憐さと妖しさが混じり合った歌唱で会場を瞬く間に戸川ならではの深淵な世界に染め上げた。続く「肉屋のように」では戸川の歌声に宿るドロドロとした欲望を、ヤマジカズヒデ(G)のフリーキーなギターソロが一層盛り立てた。

足のケガにより緊急搬送された病院でのエピソードを語り、毒気のあるユーモアで客席を和ませたあとは、軽快なサウンドと不気味な歌詞のギャップが印象的な「ヒステリヤ」へ。曲名が告げられた瞬間に歓声が上がった「赤い戦車」では、重厚なビートと轟音が会場を包み込み、戸川はひと言ひと言を噛み締めるようにメロディを紡いだ。「静かな感じなんですけど、聴いてください」と前置きして届けられたのは、パッヘルベル「カノン」に幻想的な日本語詞を乗せた「蛹化の女」。ストリングスを中心にしたシンプルな伴奏の上で、戸川のあどけない歌声が神々しさをまとって響き、観客は息をのむように聴き入った。

ライブ後半は、ハンドクラップが巻き起こった「母子受精」、スリリングなアンサンブルを背に「プライドなんてないわ」とがなり立てる「バーバラ・セクサロイド」で場内がヒートアップ。「好き好き大好き」では「俺もー!」とアイドル主催イベントならではのコールが発生した。そして勢いを増すバンドアンサンブルとともに「パンク蛹化の女」でパフォーマンスがフィニッシュ。最高潮の熱気に包まれた戸川はバンドメンバーと肩を組む。確立された個性と変わらぬ自由さを示した戸川の姿に、終演後しばらくの間フロアのざわめきは収まらなかった。

moreru

続くmoreruのライブは、岩本雪斗(Noise, Vo)が独唱するレトロなシンセポップナンバー「あのね」でスタート。彼らのレパートリーの中でも異彩を放つ1曲が、戸川が場内に残したポップかつトキシックな空気感を受け継いで鳴らされる。そしてそこへメンバーが合流すると、フィードバックノイズが鳴り響く中、「kireta otaku」で一気にバンドサウンドへと転じた。さらに「IAMFINALSATANIST」と容赦ないバイオレンスな楽曲が畳みかけられ、フロア中央で大きなモッシュピットが繰り返し口を開いた。

「こわいいたい死にたくない」の叫びにオーディエンスが声を重ねた「3songs」、ブラストビートの隙間からノスタルジックなメロディが顔を出す「中卒無双」と、攻撃性と哀愁のコントラストを描く楽曲によって、会場の熱気はさらに高まっていく。「乙女座最終日」のイントロで夢咲みちる(Vo)がフロアに唾を吐き、楽曲終盤にはマイクを投げ捨ててしまうが、オーディエンスがそれを拾い上げ、バトンのようにマイクを夢咲のもとへと返した。

ライブ中盤、メンバーの要望によってステージ照明のトーンが1段階落とされると、会場はより静謐なムードに包まれた。「絶滅によろしく」では、ギターの冷たいトレモロリフとすすり泣くような歌声が楽曲が内包する孤独を引き立てる。苛烈な楽曲ながら目立ったモッシュは起こらず、観客の誰もが固唾を飲んで演奏を見守っていた。また「カノン」のコード進行で鳴らされる「念写」では夢咲が「蛹化の女」の1節を引用して歌い、戸川へのオマージュにフロアから歓声が上がった。「ROCKSTAR」でか細いアルペジオとメタリックなリフの応酬が再びフロアの凶暴性を呼び覚ましたのち、胸をすくような疾走感のあるギターロックチューン「討死!」へ。アウトロで夢咲が天井のパイプに足を絡めて宙吊り状態になると、そのまま「shimokitazawa ga owatteiru」へと流れ込む。岩本がブースを飛び出し、金切り声とノイズが交錯する混沌の中、moreruのステージは幕を閉じた。

RAY

この日のホストであるRAYは、ドラムとパーカッションを加えた特別編成“GROOVE SET”でパフォーマンスを展開。星優太(WOZNIAK)とフミキモ(SONOSUKIMAKARA)によるセッションでライブの幕を開け、“GROOVE SET”の存在感を印象付ける。やがてメンバーが登場し、まずは激情ハードコアの要素を取り入れた「星に願いを」を披露。その音像は重低音が極端にブーストされており、音源の再現やアップデートにとどまらない新たな音響体験をオーディエンスに提供した。

「火曜日の雨」「plasma」では統率の取れたダンスを披露するRAYの5人。楽曲後半に向けて激しさを増すパフォーマンスが、スリリングな空気感を作り上げていく。「今日はありとあらゆる壁を壊しにきました!」と内山結愛が宣言すると「See ya!」へ。長いイントロが時間をかけてフロアの熱を高め、紬実詩のシャウトが響き渡ると会場のボルテージが一段と引き上がった。MCで月海まおが「グルーヴマシマシでお届けするぜ!」と声を上げたのち、続いてRAYは星優太制作の新曲「MOD」を初披露。RAYらしいエッジのきいたエレクトロチューンが、変則的なリズムを交えながらダンサブルに展開される。星とフミキモが左右からビートを重ね、“GROOVE SET”の特性を生かした立体的なサウンドを生み出した。

終盤に差しかかると、ボーカルパートの少ない楽曲をストイックに押し出してきた流れから一転、RAYは「アップサイドダウン」でポップな表情を見せる。フロアではメンバーのカラーに合わせたペンライトが揺れ、幸福感が充満していく。紬が「最後に愛をお届けするよ!」と呼びかけたのち、ラストに披露されたのは「フロンティア」。フロアで輝くミラーボールに誘発されて、オーディエンスはメンバーに負けない溌剌さで踊り続ける。爆音に負けないコールも響き渡り、この日最大の一体感が生まれた。戸川とmoreruがつないだ激しい空気感を受け継ぎながらも、爆音とダンスでオルタナティヴアイドルとしての強みをブレずに提示したRAY。彼女たちは壮絶なアクトが続いた「Destroy the Wall」を熱演で締めくくった。

なお、RAYは4月5日にも東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて同企画を開催。ZAZEN BOYS、downyを競演に迎える。

今後の公演情報

RAY presents「Destroy the Wall」

2026年4月5日(日)東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
<出演者>
RAY(GROOVE SET) / ZAZEN BOYS / downy

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