ライブナタリーによる新ライブシリーズ「SYNAPSE」の第1回が2月19日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で行われ、Plastic Treeと9mm Parabellum Bulletによる初対バンが実現した。
新企画「SYNAPSE」とは
神経細胞をつなぎ、情報を伝え合う“接合部”である「SYNAPSE」をタイトルに冠し、異なる個性やエネルギーを持つアーティスト同士の化学反応を起こすことをテーマにしたこの企画。ともに長いキャリアを誇るPlastic Treeと9mmだが、音楽フェスやライブイベントでの競演はあれど、ツーマンはこの「SYNAPSE」が初めて。開催発表時にPlastic Treeの有村竜太朗(Vo, G)は「どんな景色が見えるのか?と僕自身とても楽しみにしております」、9mmの菅原卓郎(Vo, G)は「お互いの世界観を重ねて大きな絵を描くようなライブが作れる予感」とコメントするなど、互いに期待を膨らませていた。
9mm Parabellum Bullet
2026年に入ってから菅原、滝善充(G, Dr, Cho)、中村和彦(B)という3人体制にシフトし、ライブを重ねている9mm。Atari Teenage Riot「Digital Hardcore」がけたたましく鳴り響く中、「SYNAPSE」のロゴを大きくあしらったバックドロップを背に現れた3人は、「完全燃焼 一片の悔いも残すなよ 愛の他に」という一節が印象的な「Baby, Please Burn Out」で「SYNAPSE」の始まりを告げた。
昨年まではギターを抱えステージで暴れていた滝は、当然のようにドラムセットに収まり、すさまじいスピードでスティックを振り下ろす。オーディエンスの多くが新体制の9mmを体験するのは初めてだったと見られ、ライブ序盤こそ“様子見”といった雰囲気も多少あったが、滝の堂に入ったプレイにたちまち圧倒されていく。9mmと言えば結成22年目のベテランバンドではあるが、滝が繰り出すプリミティブなビートによって初期衝動が呼び覚まされたのか、会場に鳴り響く音には貫禄や余裕ではなく、フレッシュさや勢いが宿る。中でも「踊る星屑」では、メンバーが三位一体で展開するスリリングなアンサンブルによって、場内の熱気が爆発的に上昇した。
お互いの音楽をリスペクトしながらも、近からず遠からずという間柄だったというPlastic Treeと9mm。「SYNAPSE」というタイトルにちなみ、菅原はMCでPlastic Treeとの接点となったte'のhiroこと黒田洋俊(G)のことや、有村と出会った10年前の出来事を懐かしそうに振り返る。「遠いところにいたというか、10年以上を経て対バンすることになるなんて。バンドをやっていてよかった」と柔らかくほほえんだ。そして「初めて観る人もいると思いますが、これが9mmです」と言い放ち、「The World」を機に攻撃的なロックチューンを怒涛のように叩き込んでいく。ラストの「Punishment」では、手綱が外された馬のように中村が躍動する横で菅原が声を張り上げ、その後ろでは滝がドラムを乱打。激しい余韻の中、菅原がフロアに恭しく一礼すると、3人が登場したときとは比べ物にならないボリュームの拍手がフロアから沸き起こった。
Plastic Tree
9mmからのバトンを受け取ったPlastic Treeは、おなじみSEのMy Bloody Valentine「Only Shallow」をバックにスタンバイ。長谷川正(B)が奏でる歪んだ低音がライブの口火を切り、それまで浮き足立っていたフロアの空気を変えていく。有村はギターをかき鳴らしながら、今にも壊れてしまいそうな儚さと、1本筋の通った凛々しさの両方をたたえた声で「イロゴト」を歌い紡ぎ、オーディエンスをドリーミーな世界へと誘った。
対バン相手の9mmを意識したであろう、躍動感のあるギターロックチューンが多く据えられたこの日のセットリスト。パステルカラーの柔らかな照明がステージを彩った「テトリス」では、コールとともにヘッドバンギングの嵐が巻き起こり、「曲論」では重厚でありつつも踊らせるサウンドがフロアを大きく揺らす。4人が描き出すキャッチーでありながらも退廃的なサウンドスケープは会場を飲み込み、オーディエンスを陶酔させた。
あちこちから立ち上る熱気を全身に受けた有村は、「こんな素敵なイベントの1回目に呼んでもらえて、とても光栄なことだと思っています。大好きな9mm Parabellum Bulletと対バンできてうれしいです。せっかく1回目ということで忘れられない1日になればと思います」といつもの訥々とした調子で意気込む。そして彼が「冬だし、お台場だし、ということで……『冬の海は遊泳禁止で』」とタイトルコールをすると驚きを帯びた歓声が起こった。
ライブハウス内の酩酊感を強めた1曲を経て、「Dummy Box」を皮切りにメンバーは息つく間もなく曲を連投。長谷川と佐藤ケンケン(Dr)が作り出す堅牢なグルーヴに、ナカヤマアキラ(G)が奏でるノイジーな音が重なり、轟音がフロアを支配する中で有村の声が鮮烈な存在感を放った。初開催の「SYNAPSE」を締めくくったのは、ライブの定番曲「メランコリック」。ここで有村は感情を爆発させるような絶唱を響かせる。それに呼応してナカヤマと長谷川もステージ前方でオーディエンスを煽り、一体感を作り出し、ライブのクライマックスを盛り上げた。残響音の中、有村が最後に口にした言葉は「素敵な夜をありがとう。じゃあまたね」。再会を約束するひと言で、「SYNAPSE」はフィナーレを迎えた。
セットリスト
「SYNAPSE #001 byライブナタリー」2026年2月19日 Zepp DiverCity(TOKYO)
9mm Parabellum Bullet
01. Baby, Please Burn Out
02. Black Market Blues
03. Living Dying Message
04. レーゾン・デートル(新曲)
05. 踊る星屑
06. カモメ
07. The World
08. One More Time
09. 名もなきヒーロー
10. Talking Machine
11. Punishment
Plastic Tree
01. イロゴト
02. 恋は灰色
03. テトリス
04. 曲論
05. 冬の海は遊泳禁止で
06. Dummy Box
07. 梟
08. 涙腺回路
09. メランコリック


