4年に一度のサッカーの祭典「FIFAワールドカップ」が6~7月にカナダ、メキシコ、アメリカの3カ国共同で開催される。音楽ナタリーでは2022年のカタール大会に引き続き、同大会に出場する日本代表チームの応援企画として、サッカーを愛するアーティストに理想の代表メンバーを妄想してもらう連載企画を展開中。今回は、メンバー全員がサッカー経験者かつJリーグ・柏レイソルをこよなく愛するサッカー仲間同士で結成されたバンド・TENDOUJIの4人に“TENDOUJI JAPAN”を編成してもらった。
※発言中に登場する選手名は敬称略で表記しています。
取材・文・撮影 / ナカニシキュウ
TENDOUJIとサッカー
アサノケンジ(Vo, G) 僕らは全員地元が一緒で、千葉県の松戸市というところで。ナオユキだけ学年が1個下なんですけど、僕らが小1のときにJリーグが開幕してるんですよ。周りがみんなサッカーをやってるような世代でしたね。
モリタナオヒコ(Vo, G) みんなとりあえずサッカークラブに入る、みたいな。で、僕らが小学生の頃にいたクラブチームがめっちゃ強かったんですよ。ほぼ無敗で関東大会を優勝しちゃうくらい。
オオイナオユキ(Dr) 1個下の僕らの代も強かったんで、たぶん松戸がすごくサッカーの盛んな土地だったんだと思います。
ヨシダタカマサ(B) 3人は同じクラブチームだったんですけど、僕だけ子供会のサッカーチームでやってたんです。だから僕のところは弱かった(笑)。で、中学でサッカー部に入ったときに一緒になって。
モリタ その後、高校進学のタイミングで僕は流経(流通経済大学付属柏高等学校)のサッカー部からスカウトされたんですよ。でも、試しに参加した練習会のレベルの高さにビビって(笑)、サッカー推薦はあきらめて受験で進学する道を選びました。
ヨシダ 中学を卒業したあとはみんな“高校デビュー”をしたくて、全員別の学校へ進んだんです。サッカーを続ける人もほとんどいなくて。
アサノ そのあたりで遊びで始めたフットサルが、のちのちこのバンドにつながった感じですね。
モリタ あとは観戦するほうに関しても、特にこの2人(アサノとヨシダ)は今も柏レイソルの試合を普通にパブとかで観たりもしていて。
アサノ 子供の頃、親や先生がみんなレイソル好きで、そういう大人たちにスタジアムへ連れて行ってもらってたのが原体験なんで、自然にレイソルを応援するようになった感じっすね。もちろん日本代表も大好きで、ずっと観てきましたし。
ヨシダ 小学生のとき、フランス大会(1998年)をケンジの家で観たよね。ケンジがトイレに行ったタイミングで点が決まるみたいな(笑)。
アサノ そう、ゴンゴール(※1)がいつの間にか決まってた。
モリタ サッカー日本代表って、“一番なりたいもの”じゃないですか? 俺らは高校1年生のときに日韓大会(2002年)があった世代なので、ちょっと食らいすぎてるというか。ワールドカップってちょっと特別だよね。
アサノ うん。僕は前回のカタール大会(2022年)のときに「人生で一度くらいはワールドカップを生で観ときたい」と思って、スペイン戦とクロアチア戦を観に現地まで行きましたから。今日はそのときとまったく同じ格好で来ました。これが僕のカタールスタイルです。
モリタ あの試合を現地で観てるってのは、ちょっとヤバいですよね……!
アサノ “三笘の1ミリ”は目の前で起きましたから。
一同 ヤバ!
※1. 「ゴン」の愛称で知られる中山雅史(元日本代表FW)のゴールを指す語。なお、ここで触れられているフランス大会・ジャマイカ戦での中山のゴールは、日本代表にとってワールドカップ初ゴールにあたる。
“TENDOUJIジャパン”スタメン選考
アサノ じゃあ本題いきますか! 俺たちの理想の代表メンバー。
一同 うわー。
アサノ まずスタメンを決めちゃいましょう。スタートポジションは3-4-2-1(※2)でいいよね? で、トップ(※3)の上田綺世(フェイエノールト / オランダ)とGK(ゴールキーパー)の鈴木彩艶(パルマ / イタリア)は当確でしょ? それからボランチ(※4)も、佐野海舟(マインツ / ドイツ)と鎌田大地(クリスタル・パレス / イングランド)でほぼ決まりじゃない?
オオイ 遠藤(航 / リヴァプール / イングランド)はケガの状態が微妙っぽいからね。
アサノ で、前線は右から堂安(律 / フランクフルト / ドイツ)、タケ(久保建英 / レアル・ソシエダ / スペイン)、三笘(薫 / ブライトン / イングランド)、敬斗(中村敬斗 / スタッド・ランス / フランス)しかなくない? 南野(拓実 / モナコ / フランス)がケガから戻らない限りは。
モリタ ファンタジスタだらけじゃん(笑)。つよ。こわ。あれ、伊東純也(ヘンク / ベルギー)は?
アサノ 純也も当然入ってくるっしょ。まあ、前のほうはいくらでも入れ替われるから。で、冨安(健洋 / アヤックス / オランダ)のケガの状態がどうなるにせよ、谷口(彰悟 / シントトロイデン / ベルギー)がセンターバック(※5)に入るのは間違いないかな。
ヨシダ・オオイ 間違いない。
モリタ 伊藤洋輝(バイエルン / ドイツ)は? 当確じゃないの?
オオイ 左は伊藤でいいんじゃない? 攻撃を重視するなら鈴木淳之介(コペンハーゲン / デンマーク)もいいと思うけど。
ヨシダ あとは、渡辺剛(フェイエノールト / オランダ)がこないだすごくよかった。
アサノ ケガ人の状況を含めて考えたら、右は渡辺になりそうな気がする……あれ、ちょっと待って。この並び、最近の代表メンバーをそのまま書いてるだけじゃね?(笑)
一同 確かに(笑)。
アサノ もうちょっと俺らっぽさを入れないと、企画の趣旨に合わないっすよね……?
モリタ 俺ら、真面目すぎるのか(笑)。でも、変えようがなくない? 今の代表が盤石すぎて。
※2. DF(ディフェンダー)が3人、守備的MF(ミッドフィールダー)が4人、攻撃的MFが2人、FW(フォワード)が1人のフォーメーションで、近年の森保ジャパンの基本陣形として採用されている。なお、サッカーのフォーメーションは守備→攻撃の順番で人数を表記するのが一般的で、日本においてはGK(ゴールキーパー)の「1」は“言うまでもないもの”として省略するのが通例。
※3. センターFW、つまりフォーメーションの頂点に位置取る選手を指す語。これが1枚のフォーメーションを「1トップ」、2枚の場合を「2トップ」などと呼ぶ。
※4. ディフェンスラインの前方中央付近に位置取る守備的MFのこと。ポルトガル語で「ハンドル」を意味する語で、攻守のバランスを取りながら試合をコントロールする能力が求められる。
※5. DFのうち、自陣ゴール前付近に位置取る選手のこと。3バックシステムなら3人、4バックシステムなら2人がこのポジションを担う形が基本。GKとともに守備の要を担い、相手の攻撃を跳ね返すフィジカルの強さが必須とされる。
スーパーファイアーフォーメーション
オオイ あれじゃん? レイソル式のリカルドサッカー(※6)みたいな感じで、攻撃参加するセンターバックを入れたらいいんじゃない? サイドバック(※7)の選手をここに置く、ぐらいのイメージで。
アサノ・ヨシダ なるほどね。
モリタ え、今のレイソルってセンターバックが攻撃参加すんの?
アサノ そうだよ。だから中央には絶対的なセンターバックがいないとダメなんで、ここに冨安とかを入れられたら最高ではある。ケガがなければ冨安で決まりなんだけど……(しばし熟考ののち)センターバックの左に大然(前田大然 / セルティック / スコットランド)、右に純也ってのは? スーパーファイヤーフォーメーション。
一同 ガハハハハ!(笑)
オオイ それ、アリかもしんない(笑)。2人が最終ラインから猛スピードで攻撃に加わってくる、ってことでしょ?
ヨシダ 見てみたくはある(笑)。
モリタ やっちゃう? それでいっちゃう?
アサノ アンカー(※8)を海舟にしておいて、2人が上がったときに降りてセンターバックもやってもらう、みたいな。
モリタ じゃあ守るのは実質、佐野ともう1人だけってこと? 最強のセンターバック入れなきゃじゃん。
アサノ もう冨安入れちゃおう。いい加減ケガは直っててくれ!
オオイ このフォーメーションだと、またすぐケガしそうだけど(笑)。負担がハンパない。
アサノ 間違いなく初戦でケガするね。でもなんか、意外とキレイに収まりそうじゃない? 海舟の前にタケと鎌田が入るでしょ。で、右に堂安、左に三笘……あ、真大(細谷真大 / 柏レイソル)を入れなきゃいけないのか。
一同 そうじゃん!(笑)
アサノ けっこうリアルに綺世と真大の2トップは見てみたいし。
モリタ いいじゃん! それはいいじゃん! カッケえじゃん。
アサノ 両サイドの2人はガン開きで前に出てもらうイメージで……これで11人、まとまった!
ヨシダ がんばれ真大(笑)。
モリタ ドリームチームすぎるなあ……でもこれ、普通にあり得るんじゃね?
アサノ 細谷真大を入れると考えたときに、是が非でも1点を取りに行くためのファイヤーフォーメーションとしては全然アリでしょ。
オオイ で、点取ったら5バック(※9)ぐらいにしてガチガチに守るっていう。
アサノ そうなったらもう、後ろを総入れ替えしてもいいしね。DFを大量投入して。
ヨシダ このスタメン、ほぼ攻撃の選手しかいないもんね(笑)。
モリタ システムでいうとこれは何になるの?
オオイ 3-5-2っていうよりは……。
アサノ 3-3-4(笑)。3-1-2-4だね、これは。
モリタ あんま聞いたことないなあ。
※6. 柏レイソルのリカルド・ロドリゲス監督が提示する戦術の総称。
※7. DFのうち、センターバックの左右に開いて守る選手のこと。守備時には最終ラインを形成しつつ、攻撃時には高いポジションを取ってサイド攻撃に参加することが多く、近年ではフィールド中央に出ていってボランチのような働きをするケースも増えている。
※8. 「ボランチ」と「アンカー」はほぼ同じ意味。「アンカー」は「錨」を意味する英語で、どちらかというと物理的な守備位置そのものを指し、「ボランチ」は役割を示すニュアンスが強い。
※9. 主に3バックシステムの守備時に採用される陣形。多くの場合、ウイングバック(※10)が最終ラインまで下がって5人横並びのディフェンスラインを形成する。
※10. フィールドの左右に大きく開いて位置取り、攻守をサイドから支えるMFのこと。試合を通して大きく上下動を繰り返すことになるため、スピードとスタミナ、クロス(※11)精度、守備力の高さなどさまざまな能力が複合的に求められる。
※11. 主にピッチのサイドライン沿いの位置からゴール前へ供給されるパスのこと。多くの場合、直接シュートに結びつけることを目的に行われる。フィールドを横切るような弾道を描くことから「クロス」と呼ばれ、中央へボールを送る行為であることから「センタリング」とも呼ばれる。
サブメンバー選考
アサノ 控えメンバーは、GKに関してはヨッシー(ヨシダ)に任せよう。本人もGKだから。
ヨシダ そうだね、ここだけは。去年JリーグMVPを獲った早川友基(鹿島アントラーズ)と、レイソルの下部組織出身の小久保玲央ブライアン(シントトロイデン / ベルギー)で。
モリタ 玲央ブライアンってレイソル出身なんだ? 知らなかった。それは入れなきゃ。
アサノ あとは純粋なセンターFWタイプをもう1人入れるなら、俺は塩貝健人(ボルフスブルク / ドイツ)を推したいんだよね。
オオイ 俺も塩貝。1人だけ全然スピードが違うんで。
モリタ 小川航基(NEC / オランダ)じゃねえんだ? まあ2人がそれだけ言うなら塩貝で!
アサノ で、中盤の控えには絶対に守田英正(スポルティング / ポルトガル)が必要だと思ってて……あと絶対に議論すべきポイントが、長友佑都(FC東京)をどうするか。
モリタ 俺はいたほうがいいと思うんだよね。まだまだ元気じゃん(笑)。年齢的に俺らとタメってのもあるし、次行ったら5回目のワールドカップでしょ? とんでもないよ。
アサノ もちろん選ばれたらめっちゃうれしいってのは大前提で、今の代表メンバーに精神的支柱はもう必要ないんじゃないかなと俺は思ってて。勘違いじゃなく「優勝を狙う」って本気で言えるメンバーがそろってるから。
オオイ ただ、今のところ右DFの控え候補が渡辺くらいしか挙がってないんだよね。まだ出てない名前でいうと菅原由勢(ブレーメン / ドイツ)とかもいるけど……。
モリタ そうなるとやっぱり、長友パイセンなんじゃないの?
アサノ まあそうだなあ……長友、入れっか!
ヨシダ ラスト何分かのクローザー(※12)としては、マジでやってくれそうだし。
アサノ というわけで26人のリスト、完成しました。スタメンの布陣はともかく(笑)、選んだメンバー自体はかなりまともなんじゃないでしょうか。
※12. リードしている試合の終盤に投入され、勝利を確実なものとするために守備を固める仕事を期待される選手のこと。
自分をサッカー選手に例えると?
アサノ 「自分をサッカー選手に例えるなら」かあ。いいお題っすね。面白そう。
モリタ そうだなあ……なりたい存在としては、今は闘莉王(田中マルクス闘莉王 / 元日本代表DF)っすね。バンドの中で、ああいう存在でいたい。DFなのに点取っちゃうみたいな、あの空気を読まない感じが好きなんですよね。今ってちょっと空気を読みすぎる人が多いと思うんで、自分はもっと鈍感力を上げていきたいなと。
アサノ 僕はマラドーナ(ディエゴ・マラドーナ / 元アルゼンチン代表FW)ですね。
モリタ お前、いい加減にしろよ(笑)。
アサノ いや、もう存在がマラドーナっすね。
オオイ ヨッシーはあれじゃん? 若島津(健 / マンガ「キャプテン翼」の登場人物)。
ヨシダ それマンガだし(笑)。初めて憧れた選手でいうと、“クモ男”と呼ばれたシジマール(シジマール・アントニオ・マルチンス / 元清水エスパルスほか)なんですよ。手足が長かったんで。
モリタ 理由、薄!(笑)
ヨシダ いやでも、あの頃のGKって見た目が魅力的な選手が多くて。バンダナつけてた森くん(森敦彦 / 元横浜フリューゲルスほか)とかも好きでした。
オオイ 僕は一番サッカーやってたときに、好きな女子に「稲本(潤一 / 元日本代表MF)に似てるね」と言われてめっちゃうれしかった思い出があるんで、稲本ですね。僕もボランチやってたし、憧れてた選手です。
モリタ ああー、ぽいな。金髪だし。
アサノ TENDOUJI全体でいったら、北嶋秀朗(元日本代表FW)じゃない? 市船(船橋市立船橋高等学校)からレイソルに行ってさ、心に刻まれてる選手でしょ。俺らもやっぱ松戸レペゼンじゃん。それか……ほかにいる? 遅咲きの選手とか。
モリタ ……(しばし考えて)あ、いるじゃん。FC東京の重鎮が。
アサノ ……長友か!
オオイ ね、思った! 遅咲きでさ、「ブラボー!」とか言っててさ(笑)。
モリタ 努力の人だしなあ。
ヨシダ 重なりすぎるぐらい重なりますね……(笑)。
アサノ 確かに長友だわ、俺ら。ってか長友だし、長友になりてえし。
オオイ 長友であるべきだと思います。
※カッコ内の所属クラブは2026年5月12日(火)時点
プロフィール
TENDOUJI
中学時代の同級生だったモリタナオヒコ(Vo, G)、アサノケンジ(Vo, G)、ヨシダタカマサ(B)、オオイナオユキ(Dr)が2014年に結成したロックバンド。2017年8月に1stフルアルバム「MAD CITY」をリリースし、翌2018年にはアメリカ・テキサス州オースティンで行われている世界最大規模のフェス「SXSW」に出演。2019年にはTeenage Fanclubの来日公演のサポートアクトを務め、「FUJI ROCK FESTIVAL」「VIVA LA ROCK」など、多数の国内フェスにてパフォーマンスを繰り広げた。2025年12月には初のアジアツアーを開催。2026年5月から9月にかけて対バンツアー「EASY PUNK PARK」を実施。2027年2月19日に初の東京・日本武道館単独公演「EASYPUNK」を開催する。


