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ヒグチアイが選ぶ理想の代表イレブン

ヒグチアイ
17分前2026年05月14日 9:04

4年に一度のサッカーの祭典「FIFAワールドカップ」が6、7月にカナダ、メキシコ、アメリカの3カ国共同で開催される。音楽ナタリーでは2022年のカタール大会に引き続き、同大会に出場する日本代表チームの応援企画として、サッカーを愛するアーティストに理想の代表メンバーを妄想してもらう連載企画を展開中。今回は、グーナー(イングランド・プレミアリーグの名門アーセナルのファンの呼称)として知られるヒグチに“ヒグチJAPAN”を編成してもらった。

※発言中に登場する選手名は敬称略で表記しています。

取材・文・撮影 / ナカニシキュウ

ヒグチアイとサッカー

サッカーに興味を持ち始めたきっかけは……妹がサッカーをやっていたのが最初ですね。その後、中学のときに付き合っていた彼氏が何人かいたんですけど、なぜかほとんどサッカー部の子だったりと、サッカーは何かと身近にあるものでした。私が12歳のときに日韓大会(2002年)が開催されたこともあり、サッカーの盛り上がりを感じやすい環境で子供時代を過ごしていた気がします。その後、21歳のときに東日本大震災があって、いろんなものが全部できなくなったときにずっと「ウイイレ」(ゲーム「ウイニングイレブン」シリーズの略称)をやっていたんです。そこでスター選手を育てたり、移籍金をつり上げたりということを覚えて(笑)。「もっと高い金額を取れるだろう」と思って出し惜しみしているうちに、旬を過ぎちゃったりするんですよね。「ウイイレ」は人生の縮図だなあと感じていました。

本格的にサッカーを観始めたのは、4年前のワールドカップ(2022年カタール大会)がきっかけです。アジア最終予選のアウェイ戦をDAZNが独占中継するということでDAZNに加入したのですが、ちょっと料金が高い(笑)。なので元を取るために、ワールドカップ予選だけじゃなくてリーグ戦も観てみようと。「一番面白いリーグはどこなんだ」と探していくうちにプレミアリーグにたどり着いて(当時はDAZNでイングランド・プレミアリーグを配信していた)、どうせ観るなら好きなチームを作ったほうが面白そうだと思って、アーセナルを好きになっていきました。

「ウイイレ」の頃はとにかくザ・ストライカーみたいなスター選手を作り上げることしか考えていなくて、サッカーってそういうものだと思っていたんですよ。みんなが知ってるスーパースターがすべてで、その人がいれば勝てるみたいな。でも、そうじゃない勝ち方があるんだということを教えてくれたのがアーセナルでした。11人みんなが同じ絵を描いて、攻める人も守る人もみんなが同じようにがんばる。ある意味日本人好みのチームだなと感じたのが、アーセナルを好きになった理由です。実を言うとプレミアを観始めた当初は、まず当時マンチェスター・シティFCにいたデ・ブライネ(ケヴィン・デ・ブライネ / ベルギー代表MF)をめちゃくちゃ好きになりまして。でもアーセナルを応援すると決めてからはあまり外では言わないようにしています(笑)。

サッカー文化が開けたものになってほしい

サッカーの魅力は、次の瞬間に何が起こるか誰にもわからないところ。しかも、どんなにがんばっても絶対に勝ち負けがあって、リアルタイムでドラマが起こるので、それは音楽にはない魅力かなと思っています。以前、ロンドンへライブをしに行ったときにエミレーツ・スタジアム(アーセナルのホームスタジアム)のスタジアムツアーに参加したんですけど、街の人たちがみんな普通にユニフォームを着て生活していて、当たり前に親子何世代にもわたって地元のクラブを応援しているんですよ。その“血に流れている”感じはちょっとうらやましいなと思いますね。日本でも地域によっては少しずつそうなってきていると思いますが、やっぱり歴史の違いを感じました。

サッカー文化がもっとライト層にも開けたものになっていったらいいな、という思いはあります。前にJリーグの観戦に行ったとき、「この席の人はずっと立ってジャンプしててくれ」みたいな紙が貼ってあったことがあって、新規が入っていくのは大変だと感じたことがありました。いきなり難しい戦術の話とかをされても敷居の高さを感じてしまうし、もっと初心者が浅い話をしてもいい。「あの選手カッコいいよね」とかで好きになってもいい、というところは大事にしたいです。だから、戦術とかを全然知らない私のような人間がこういう場でサッカーの話をすることで、皆さんに「ライトファンでも語っていいんだ」という勇気を持ってもらえるような記事になりますように、と思っています(笑)。

ヒグチ流メンバー選考

ということで、私が選ぶ代表メンバーなんですが……そんなに日本人の選手を知らない人間が選ぶということで、実際の代表戦によく出ている選手たちの中から「私だったらこの人を起用するかな」という選び方をしたいと思います。やっぱり普段プレミアリーグを観ていますので、プレミアでプレーしている選手から入れていきたいです。

そうなるとまずは三笘(薫 / ブライトン / イングランド)ですよね。それと個人的に思い入れのある、元アーセナルの冨安(健洋 / アヤックス / オランダ)。遠藤(航 / リヴァプール / イングランド)と鎌田(大地 / クリスタル・パレス / イングランド)も外せないと思います。それから、今「マンチェスター・ユナイテッドに移籍するのでは?」という噂が話題になっている田中碧(リーズ / イングランド)もですね。

プレミア以外だと、個人的に藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ / ドイツ)がすごく好きなんですよ。日本代表の次世代とかを考えると、藤田は入れておいたほうがいいのかなという気持ちもあります。

で、ここからはさらに浅い選び方をします(笑)。中村敬斗(スタッド・ランス / フランス)と伊東純也(ヘンク / ベルギー)は、顔がカッコいいので入れていきたいなと。この2人は元チームメイトということもあって(※1)、仲よさそうに話す姿もかわいかったので。“顔がカッコいい”で言うと、谷口(彰悟 / シントトロイデン / ベルギー)もですね。谷口に関しては、年齢的に私と近いからがんばってほしいという思いもありますし、「Team Cam」(※2)を観たときにちゃんと自分の言葉で迷いなく話していたので、頼もしい人だなと思っています。

同じように、塩貝(健人 / ボルフスブルク / ドイツ)もいいですね。「Team Cam」で「笑うの苦手なんですよね」と言っていて、いかつい見た目のわりにシャイなところに惹かれました。守田(英正 / スポルティング / ポルトガル)とかもその系統かな。サッカーはわからないけど好きになりたいな、という人は、「Team Cam」を絶対に観たほうがいいと思います。選手の人柄が垣間見えるので。

※1. 伊東と中村はスタッド・ランス(フランス)で2シーズンをともにプレーした。

※2. JFAが制作する映像コンテンツ「日本代表 Team Cam」。試合の裏側などに密着したドキュメンタリー映像が配信されている。

プレミア優先、あとは顔と人柄で

上田綺世(フェイエノールト / オランダ)は、オフのときのピアスがすごく似合っていたので起用します。伊藤洋輝(バイエルン / ドイツ)は、背が高い。大事です。すごく背が高いです。GK(ゴールキーパー)は、実際にはたぶん鈴木彩艶(パルマ / イタリア)になると思うんですけど、私は権田(修一 / ヴィッセル神戸)が好きなんですよ。なぜかと言うと、試合中めっちゃ怖いんで(笑)。でも話しているところを見るとすごく冷静に試合を見ているし、言葉が上手なので、あまり感覚で生きている人ではなさそうなんですよね。そう思うと、あの怖さにも意味があるような気がしてくる。ただ感情に任せて怒っているわけじゃないんだろうなって。

ちなみに、本当に失礼な話で恐縮なんですが、私、久保ちゃん(久保建英 / レアル・ソシエダ / スペイン)のよさがわからないんです。というのも、私はサッカーの上手い下手をまったく理解できていないんですよね。なので、そりゃあ上手だとは思うんですけど、あんまり周りと噛み合っていないような瞬間もあって、久保ちゃんのやりたいことをわかってくれる選手が少ないのかなあと勝手に解釈しています。堂安(律 / フランクフルト / ドイツ)は……万年陰キャな私からするとクラスにいたら距離を置きたいタイプなんですけど、日本人にはあまりいないメンタルの持ち主だと思うので、ああいう人がチームを引っ張っていってくれるんだと思います。しかもたぶん陰キャの私にも明るく話しかけてくれるようなタイプなんですよ。悔しい(笑)。

あとは“いい人枠”で、菅原由勢(ブレーメン / ドイツ)と瀬古歩夢(ル・アーブル / フランス)をぜひ入れたいです! 菅原はマジでいい人だと思うし、瀬古は「Team Cam」のカメラマンに毎回必ず挨拶するんですよ。「そういうとこ、私はちゃんと見ているよ」って伝えたい(笑)。あと、会場入りのときとかに瀬古だけ髪の毛がボサボサだったりして、気にしないその感じもまたいいなと思って。メンバー的にはそんなところです。プレミアリーグの選手優先で、あとは顔と人柄で選ばせていただきました(笑)。

「え、そこだけ急に権田?」みたいな

この選手たちをどう配置するかなんですけど……私はシステムとかよくわからないので、今の代表チームがやっている3-4-2-1(※3)の形に当てはめていきますね。一番前は塩貝もいいけど、やっぱり上田なのかなあ。で、その後ろに三笘が入って、左に中村敬斗ですよね。右はその中村と仲のいい伊東にして……ここ(三笘の右)に誰かいないですかね? あ、田中碧でもいいのか。プレミアの選手だし、三笘と仲いいし(※4)、そうしよう。

中盤は、鎌田と……いろんな人のスタメン予想を見ていると佐野でほぼ決まりっぽいんですけど、ここは守田にします。顔が怖いので。本当はプレミアでプレーしている遠藤を入れたいところですが、コンディションが心配ですもんね。で、後ろの3人は伊藤、谷口、冨安で。冨安もケガの状態次第ですけど、がんばってほしい選手なので入れさせてもらいます。GKは鈴木彩艶でまず間違いないだろうと思いつつ、ここは権田でいきます! 好きなので(笑)。

これで11人そろいましたよね? できました! 全体的には現実的なメンバー予想みたいな感じで当てにいきつつ、ところどころに偏った好みが入る感じになりましたね。「だいたいあり得そう……え、そこだけ急に権田?」みたいな(笑)。控えメンバーのところには、とりあえずここまで挙げた名前を全部書きました。

現実の代表に期待する成績は、優勝で! やっぱり2度目のワールドカップとなる森保一監督の集大成的なところもあるのかなと思うので、ぜひ優勝していただきたいです。出場国の枠が増えて(※5)、上へ行くのがより難しくなっているのかもしれませんが、時間をかけてチームをここまで持ってきたわけですから。監督や選手たちは優勝を目指すつもりで臨んでくれると思いますし、私もそのつもりでいます!

※3. DF(ディフェンダー)が3人、MF(ミッドフィールダー)が4人、攻撃的MFが2人、FW(フォワード)が1人のフォーメーションで、近年の森保ジャパンの基本陣形として採用されている。なお、サッカーのフォーメーションは守備→攻撃の順番で人数を表記するのが一般的で、日本においてはGKの「1」は“言うまでもないもの”として省略するのが通例。

※4. 三笘と田中は同じ小学校および少年サッカークラブ出身で、Jリーグ・川崎フロンターレでもチームメイトとしてプレーした。学年は三笘が田中の1つ上にあたる。ちなみにヒグチがほかに選んだ守田と谷口も、2人とは川崎F時代のチームメイト。

※5. 前回のカタール大会までは32カ国だった出場国数が、今回の北中米大会から48カ国に拡大された。

自分をサッカー選手に例えると?

自分をサッカー選手に例えるとしたら……これはアーティストとしてのあり方みたいな話ですよね? 私がデ・ブライネを好きになったのは、「こういうふうになれたらいいな」という思いからだったんですよ。全体を支える地味な仕事をしながらも決めるところは決める、彼のような人になりたいなって。でも私はなかなか、“支える”はできても“攻める”が苦手なタイプではあるんです。

そういう意味では、現状の自分に重なるのはDF側の選手なのかなと。耐える力は強いと思っているので……冨安を応援しているのはそこもありますね。ケガからくる挫折も多いと思うんですけど、見ていて「私もがんばろう!」という気持ちになれるし、勇気をもらえる。なので「共感できるのは冨安で、なりたいのはデ・ブライネ」と言えるかもしれません。本当にすごい選手なので「共感できる」なんて言うのはおこがましいですけどね。

※カッコ内の所属クラブは2026年5月13日(水)時点

プロフィール

ヒグチアイ

1989年11月28日生まれ。香川生まれ長野育ち。2歳からピアノを習い、18歳でシンガーソングライターとして活動を開始。大学進学に伴い拠点を東京に移す。年間150本以上のライブを行い、年齢や性別を問わず、幅広い層の支持を獲得。2014年2月に初の全国流通盤となるアルバム「三十万人」をリリースし、2016年11月にアルバム「百六十度」でメジャーデビューを果たした。2021年にポニーキャニオンへ移籍。2022年1月に配信された「『進撃の巨人』The Final Season 2」のエンディングテーマ「悪魔の子」が話題となる。近年は香取慎吾、のん、青山吉能、ChroNoiRら他アーティストへの楽曲提供を行うほか、アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の主題歌を含む多数曲の作詞を“樋口愛”名義で手がけている。2026年4月にNHKプレミアムドラマ「対決」の主題歌として新曲「ひと匙」を、さらに日本テレビ系「フラアニ」枠にて放送中のTVアニメ「スノウボールアース」のエンディングテーマとして、新曲「今この胸に滾るのは」を書き下ろした。またアフロ(MOROHA)とのユニット・天々高々としても活動しており、2026年5月13日に1stアルバム「祝祭日」をリリース。このアルバムのリリースツアーを、5月から6月にかけて全国8カ所で行う。

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