CLAN QUEENの全国ツアー「CLAN QUEEN "Grand Hotel MONOPOLY Tour" 2026」のファイナル公演が5月15日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)にて開催された。
今年3月に東京・東急歌舞伎町タワー前シネシティ広場で行ったフリーライブ「99」でソニー・ミュージックレーベルズへの移籍を発表し、4月にはメジャー第1弾作品となるトリプルA面シングル「Secret Empire」をリリースしたCLAN QUEEN。今回のツアーではCLAN QUEENのライブを構成する重要な要素であった映像演出を封印する一方、ホテルをモチーフにしたセットや特殊効果を用いたシアトリカルで没入感の高いステージを展開し、観客を新たな世界へと誘った。
99年の歴史を誇るGRAND HOTEL MONOPOLYの物語
入場時には観客たちにホテル「GRAND HOTEL MONOPOLY」の歴史、宿泊客向けの案内を記載したカードが配布された。今年で99年の歴史を迎えるGRAND HOTEL MONOPOLYは火災で全焼し、数十年を経ても修繕されないまま雪と埃に覆われていること、“サーチライト”をはじめとした貸出品があること、レストラン「踊楽園」、バー「Eden」、カジノ「ヘルファイアクラブ」などの施設があること……これから始まる物語を予感させる謎めいたテキストに、ファンの期待はいやが上にも高まった。
そんな観客をステージで待ち構えていたのはクラシカルなホテルのフロントロビーを彷彿とさせるセット。カウンターやソファ、バゲージカートといったモチーフ、壁面の「MONOPOLY」の電飾はホテルそのものだ。開演時刻を迎え「ようこそ『GRAND HOTEL MONOPOLY』へ!」というノイズ混じりのアナウンスが流れたのちステージ中央にピンスポットが当たると、そこには雪が降る中でたたずむyowa(Vo)の姿が。観客が息を呑む中、yowaが歌い始めた1曲目は「Whitoxin」。歌詞の世界とGRAND HOTEL MONOPOLYの現在の姿をリアリティたっぷりの演出で表現し、早くもこのライブが持つ特異性を印象付けた。続いて披露されたのは雪解けの季節を歌う「HARU」。GRAND HOTEL MONOPOLYは失われたのだという虚無感が、yowaのボーカリゼーション、AOi(G)とマイ(B)のサウンドを通じて静かにフロアに満ちていった。
ここからSEとともに時が巻き戻り、ホテルのかつての栄華を表すように華やかなナンバーが連投される。ホテルの名にも冠せられた「MONOPOLY」ではyowaがカウンターに上がり、超満員のオーディエンスが鳴らす力強いハンドクラップを浴びる。「サーチライト」ではタイトルどおりyowaがサーチライトをフロアに向けて振り回し、「踊楽園」ではAOiが「歌え!」とアグレッシブに観客を煽った。「アリスの嘘」ではマイとサポートメンバーの河村吉宏(Dr)が刻むダイナミックな四つ打ちビートとyowaの繊細な歌声が絡み合い、不思議なハーモニーを生み出した。
コンセプトは「価値観の違う人たちが交錯する群像劇」
「Secret Empire」の収録曲で、yowaのハイトーンボイスが炸裂する「無花果」を披露したのち、MCでAOiは「ツアー終わっちゃうね。今日でGRAND HOTEL MONOPOLYは休業するわけですけど(笑)、次は『Secret Empire』だね」と、12月18日に東京・東京ガーデンシアターで開催するワンマンライブ「Secret Empire」に早くも思いを馳せる。この公演の大型広告が渋谷に掲出されていることに話が及ぶと、現地まで見に行ったというマイは「黒い服装の子たちが写真を撮りながら『マイちゃん!』て言ってて。『マイちゃんここにいるんだけどな……』って思った(笑)」とファンとのニアミスを楽しそうに振り返った。
「あなたたち1人ひとりに」とAOiが告げて始まった「PLAYER01」からは、エレベーターの昇降音を交えたSEを挟みながらさまざまな楽曲が披露される。後半のMCでAOiが語った今回のライブのコンセプトは「価値観の違う人たちが交錯する群像劇」。“グランドホテル”は1つの空間を舞台にした映画、舞台などの群像劇を指す言葉でもあり、このライブでは多彩な楽曲と演出がホテルを訪れた1人ひとりの登場人物を表すように披露されていった。
yowaがお立ち台に片足をかけてアジテートし、AOi、マイ、河村のソロプレイも炸裂した「PLAYER01」、聞き覚えのあるデジタル音のSEから浮遊感たっぷりのアンサンブルを聴かせた「インベイダー」、yowaの圧巻のアカペラから始まった「天使と悪魔」など。その一方「Tokyo Mood」ではマイと向かい合って歌うyowaの背後からAOiがのぞき込むようにして忍び寄り、yowaに片手で追い払われるなどユーモアたっぷりの表情を見せる場面もあった。
炎に包まれた壮絶なエンディング
カウンター上に置かれたラジオの音がブツリと鳴り止み、ステージ中央の椅子にふてぶてしく腰を下ろしたAOiが「Eden」と曲名を告げるとフロアからは大歓声が起こる。ミュージックビデオの世界をそのまま再現したかのようなAOiのパフォーマンスと爆音のサウンドは観客の興奮をさらに煽った。そしてお立ち台に上がったマイが不敵な笑みを浮かべながら骨太なベースソロを響かせると、オーディエンスはさらにヒートアップする。ここで始まったのはもちろん「APPLE」。ライブの終盤戦、そしてストーリーの終焉に向け、場内の熱量はますます高揚していった。
「自白」「SPEED」「プルートー」でオーディエンスを踊らせ、歌わせ、跳ばせたあと、MCでAOiはライブのコンセプトの“価値観”について語る。「自分に足りないもの、心の穴に手を伸ばすことが価値観を形成すると思う」と穏やかな声で話したAOiは「僕には心の穴みたいなものを認めてくれる2人がいまして……メンバーなんですけど。そんな2人と、聴いてくれるあなた1人に対して書いた曲です。皆さんのことも愛しているので」と照れくさそうに付け加えた。続く楽曲「Dirty Little Secrets」はyowaがカウンターの中で、AOiが椅子に、マイがソファに腰かけて披露。互いの姿が視界に入る形で大切な曲を奏でる3人に、オーディエンスは感動の眼差しを送った。
「チェックメイト」「ゲルニカ」では怒号のような大合唱が沸き起こるが、その熱が移ったかのようにステージ上では赤やオレンジの照明が激しく明滅し、何かが燃え落ちるような音もこだまする。序盤で予告されたとおり、GRAND HOTEL MONOPOLYが炎に包まれたのだ。すべての終わりを告げる最後の曲は「PSIREN」。yowaがつぶやくように歌い始めた声は絶唱へと展開していき、AOiとマイも全エネルギーをぶつけるようなプレイを繰り広げる。曲が終わるとyowaはマイクスタンドを引きずり倒し、AOiやマイとともにフロアを一瞥もせずステージから去っていった。ゆっくりと炎が消え、薄明かりの中にホテルの面影が浮かび上がると、オーディエンスは我に返ったようにCLAN QUEENが作り上げた世界へ称賛の拍手を送った。
セットリスト
「CLAN QUEEN "Grand Hotel MONOPOLY Tour" 2026」2026年5月15日 Zepp DiverCity(TOKYO)
- Whitoxin
- HARU
- MONOPOLY
- サーチライト
- 踊楽園
- アリスの嘘
- 無花果
- PLAYER01
- インベイダー
- 求世主
- 天使と悪魔
- Tokyo Mood
- ヘルファイアクラブ
- Eden
- APPLE
- 自白
- SPEED
- プルートー
- Dirty Little Secrets
- チェックメイト
- ゲルニカ
- PSIREN(GHMtour. ver)


