5月16日と17日に福岡・海の中道海浜公園 野外劇場で野外音楽祭「CIRCLE '26」が開催された。この記事では2日目の模様をレポートする。
柴田聡子(BAND SET)
初日よりも気温が高まり、真夏のような陽気に包まれた「CIRCLE」2日目。初登場でトップバッターを務めた柴田聡子は、バンドとともに「Movie Light」をゆったり奏でライブの幕を開ける。その後シティポップライクな「Reebok」、トロピカルな音色がフェスの空気にぴったりな「旅行」でオーディエンスの体をほのかに揺らし、「後悔」「白い椅子」「夕日」をシームレスに続けた。ディスコティックなキラーチューン「Side Step」では、そのタイトル通りスタンディングエリアの大勢の観客がサイドステップを踏み、大きな揺れが発生。ラストの「Your Favorite Things」で洗練されたサウンドに柴田の美麗な歌声が乗せられ、ステージが締めくくられた。
Small Circle of Friends
心地よい風が吹き抜けるKOAGARI STAGEにまず登場したのは福岡発のSmall Circle of Friends。ムトウサツキとアズマリキの2人は「コノサキノサキ(remix)」「茜色」などを披露し、ホーム感あふれるリラックスした空気であたりを包み込む。そんなチルアウトした空気の中でも「Right」の演奏後には「戦争反対」と宣言する場面も。その後2人は40年前くらいの天神西通りを思い出しながら作ったという「西通りプリンの歌」や、クラムボンのカバーでもおなじみのアンセム「波よせて」を披露。大勢の観客が頭上に掲げた手を左右に振る壮観が作り出された。
小山田壮平BAND
太陽が天高くから照りつける真昼間のCIRCLE STAGEでは、同じく福岡出身の小山田壮平がライブを披露した。彼は「Life Is Party」「ベンガルトラとウィスキー」といったandymori時代の楽曲とソロ曲を織り交ぜたセットリストでパフォーマンスを行い、盤石のアンサンブルに優しい歌声を乗せていく。「スランプは底なし」ではバンドのグルーヴィなロックサウンドと小山田のエモーショナルなボーカルが絡み合い、人気曲「革命」の演奏後には大きな歓声が沸き上がった。子供の頃から海の中道海浜公園に父とよく来ていたという小山田は、今日は自身の息子が一緒に来ていると明かす。そして、「息子は電車が好きなんですけど」という言葉に続けて「電車に乗ってゆこう」を伸びやかに歌い上げるなど、のどかな空気と熱が入り混じった「CIRCLE」らしい時間が流れた。
Ovall
続いてKOAGARI STAGEにはOvallが登場。「Velvet Dusk」「Slow Motion Town」「Come Together」といったナンバーで次々とテクニカルな演奏を聴かせ、ステージ前に集まった観客を魅了していく。時にクールに時に熱くスキルフルなパフォーマンスがほぼノンストップで繰り広げられ、オーディエンスはその音に酔いしれるように聴き入った。ラストナンバー「Cubism」では、軽快なリズムやコーラス、シンセサイザーの音色がカラフルに鳴り響き、観客は大きく飛び跳ねたり体を左右に揺らしたりと自由気ままに楽しんだ。
KIRINJI
徐々に暑さが和らいできた昼下がりのCIRCLE STAGEで繰り広げられたのはKIRINJIのステージ。「Rainy Runway」でゆったりと幕が上がり、「killer tune kills me」「ルームダンサー」では堀込高樹(Vo, G)と小田朋美(Syn, Vo)のはかなげなハーモニーが優しく響いた。その後も涼やかな「Runner's High」や、KIRINJIらしいシニカルな視点とポップネスを携えた「素敵な夜」、性急なギターのカッティングとユーモラスなリリックが印象的な「flush! flush! flush!」などが披露される。そして最後にKIRINJIはライブ定番曲「時間がない」をプレイ。自分たちの持ち時間の終わりを惜しむようにじっくり演奏し、最後までオーディエンスをたっぷりと踊らせた。
高野寛 MVF trio with ゴンドウトモヒコ & ITOKEN
高野寛 MVF trio with ゴンドウトモヒコ & ITOKENのステージは高野の「ずっと出たかったCIRCLE!」という喜びの声でスタート。「相変わらずさ」が演奏されると、たちまち会場は穏やかな空気に包まれる。「STAY, STAY, STAY」ではフリューゲルホルンの柔らかな音色が響き、観客をそっと包み込んだ。その後、ダンサブルなアレンジが施されたヒット曲「ベステン ダンク」や、ハンドクラップが発生した「夢の中で会えるでしょう」などが続き、昼下がりと夕方の狭間にふさわしい緩やかな空気が最後まで流れ続けた。
SPECIAL OTHERS
その後、西陽が差し込むCIRCLE STAGEにSPECIAL OTHERSが現れる。彼らは「Wait for The Sun」を皮切りにライブを開始し、「PB」「WAVE」を立て続けにパフォーマンス。確かな技術に裏打ちされた熟練の演奏でスタンディングエリアを波立たせ、シートエリアの観客を心地よい酩酊状態へと誘う。特に「AIMS」ではイントロが始まるやいなやスタンディングエリアのオーディエンスが沸き立つように一斉に飛び跳ね、異様なまでの高揚感がその場を支配した。「CIRCLE」出演は10年ぶりだという彼らは、MCで「ここが今日世界で一番平和だと思います」「幸せ者だね、俺たちは」と喜びを露わにした。
EGO-WRAPPIN'
今年はKOAGARI STAGEへの出演となった常連EGO-WRAPPIN'は、2人きりのアコースティック編成で濃密な世界観を構築した。2人は、「Neon Sign Stomp」でにぎやかにライブをスタートさせたかと思えば、「満ち汐のロマンス」「admire」をしっとりと奏で、繊細な歌と音色に観客をじっくり浸らせる。そこから「A Love Song」「GO ACTION」でじわっとした熱をもたらしたのち、最後は「サニーサイドメロディー」を披露。橙色に染まった空間にハンドクラップやシンガロングを作り出し、温かさと切なさが入り混じる大団円でステージを終えた。
くるり
今年の「CIRCLE」のラストを飾るのは、2024年以来2年ぶりにトリを務めるくるり。彼らは人気曲「ブレーメン」を演奏し、夕暮れにぴったりの大らかなサウンドを奏でる。そしてすかさず人気曲「琥珀色の街、上海蟹の朝」を披露してオーディエンスを沸かしたかと思えば、2005年リリースのシングル「Baby I Love You」のカップリング曲「The Veranda」をプレイ。キラーチューンからファン好みの渋い楽曲までを織り交ぜたセットリストで、くるりというバンドの幅の広さを提示した。
空がきれいなグラデーションを描くマジックアワー。鍵盤の切ない旋律が響き、「ばらの花」の演奏がスタートする。いつの間にかひんやりしていた周囲の空気になじむようにセンチメンタルなサウンドが鳴らされ、観客はほのかに体を揺らしながらその音と岸田繁(Vo, G)の歌声を堪能した。中盤には最新アルバムから「C'est la vie」「ワンダリング」が披露され、「ワンダリング」では力強いシンガロングで会場が一体に。ラストにくるりは「潮風のアリア」で優美な世界を描き、ステージを去っていった。
くるりはアンコールを求める拍手に応えて再びステージに登場。岸田は、想定よりも時間が巻いたということで練習すらしていなかった楽曲を土壇場で披露すると宣言する。しばしの作戦会議を経てスタンバイが完了。ドラムのカウントから誰もが耳なじみのあるギターリフが高らかに鳴り響く。その曲が「ロックンロール」だと判明した瞬間、会場はこの日一番の興奮状態に包まれた。続く「東京」で感傷的な空気が流れ、ステージはしばし暗転。真っ暗な舞台から「ワールズエンド・スーパーノヴァ」のイントロが流れると、再び会場は熱狂を取り戻す。ダンスフロアのように誰も彼もが自由に踊り、高揚的な空気の中で今年の「CIRCLE」の幕が下ろされた。
(撮影:ハラエリ、勝村祐紀、chiyori)


