山内総一郎と斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN、TenTwenty)によるセッションライブ「山斎-SANSAI- 2026」が、5月21日と22日に神奈川・KT Zepp Yokohamaで開催された。
3回目の「山斎」、今年のオープニングはあの曲
「山斎」は2人が所属するソニー・ミュージックアーティスツの創立50周年記念ライブシリーズ「SMA 50th Anniversary」の第1弾として2024年に初開催され、今回が3回目。山内と斎藤が日々の忙しさから逃れマインドリセットするために“山斎”に集うというコンセプトで、毎回多彩なゲストとともに数多くのカバー曲を披露している。今年の初日公演には安田章大(SUPER EIGHT)、2日目公演にはハラミちゃんがスペシャルゲストとして出演した。この記事では初日の模様を中心にレポートする。
今回の「山斎」、オープニングでは聴き覚えのあるピアノイントロが流れ出し観客をどよめかせた。1曲目は映画「アナと雪の女王」から「レット・イット・ゴー~ありのままで~」。先にハンドマイクを握ってステージに現れた斎藤は伸びやかなボーカルを響かせるが、続いてマイクを取った山内とのボーカリゼーションとコミカルな演出のギャップで、オーディエンスを一気に引き込んだ。ようやく笑いが収まったところで、山内は3回目を迎えた「山斎」の内容を「さっきの『レット・イット・ゴー』みたいなノリが続くと思ってください(笑)。いろんなカバーをやっていきます」と説明。斎藤は「今回は往年の名曲を、昭和・平成・令和のブロックに分けてお届けします」と、これから始まるステージのコンセプトを明かした。
最初に届けられた“昭和”のブロックでは狩人の「あずさ2号」、中森明菜の「飾りじゃないのよ涙は」を披露。2人のボーカルと軽快なアコースティックギターの音色が、昭和の時代を彩った名曲の魅力をストレートに伝える。イルカの「なごり雪」は山内の演奏をバックに、斎藤が柔らかな声で歌い上げ楽曲の世界を再現した。しかし続いての曲、山内がボーカルを務める郷ひろみの「2億4千万の瞳 -エキゾチック・ジャパン-」で雰囲気は一変。マイクを握った山内は熱唱しつつ華麗なターンや本家さながらの“ジャケットプレイ”も繰り広げ、客席を大いに沸かせた。
初日ゲストは安田章大、息ぴったりに「ズッコケ男道」
ここで呼び込まれたのはこの日のスペシャルゲストである安田。「お邪魔しまーす!」とステージに登場した安田は現在41歳、そして山内は44歳、斎藤は40歳。山内が「僕は村上(信五)さん」、斎藤は「僕は大倉(忠義)さん」と、それぞれSUPER EIGHTの同い年メンバーを挙げて話に花を咲かせたのち、安田は「僕たちのグループの、一番知ってくださってる曲かと思います」と1曲目を紹介し、3人で「ズッコケ男道」を披露した。
山内と斎藤はギターを奏でバスドラを踏みつつ合いの手を軽快に繰り広げ、安田も満面の笑顔で楽しそうに歌う。息ぴったりのパフォーマンスに観客が体を揺らしたあと、安田はこの曲にまつわるエピソードを語った。「ズッコケ男道」はSUPER EIGHTに数多くの楽曲を書いている上中丈弥(THEイナズマ戦隊)の提供曲。安田が昨年の東京・日本武道館ライブで「丈さん、ありがとう!」と叫んだことは上中の耳にも入ったそうで、山内は「一昨日、丈弥さんから聞きました。『俺このイベント呼ばれてないけど?』と言われつつ(笑)、『届いた。涙した』って」と、感動の思いを代弁した。
「群青の風」に山内総一郎が込めた思い
続いては安田が20代の頃によく聴いていたという、Dragon Ashの「繋がりSUNSET」へ。そのエモーショナルなボーカルを斎藤が「素晴らしい!」、山内が「『あの声だ!』ってなるよね」と絶賛すると、安田は「『あの声だ!』は僕のほうですよ。お二人の横に立たせていただいて、このつながりに感謝したいです」と改めてこの日の競演を喜ぶ。安田がギターを始めたときに練習していたというMr.Childrenの「名もなき詩」では3人の美しいコーラスワークが炸裂。曲を終えた山内が「僕も初めてバンドを組んだときにやったのが……」と、「名もなき詩」が収録されたMr.Childrenのアルバム「深海」から「シーラカンス」のイントロを奏でると、安田と斎藤もすかさずセッションに加わり、同世代ミュージシャンならではのひとときを楽しんだ。
安田は何度も「はあ、幸せですねえ」と笑顔でつぶやき、ステージ上の2人や観客を和ませる。コラボコーナーの最後に披露された曲は、山内がSUPER EIGHTに提供した「群青の風」。「僕も関西出身なので、関西のことを歌にしようと」と制作当時を振り返った山内は「フジファブリックもいろんなことがあって続いてきたバンド。そしてSUPER EIGHTもいろんなことがありながらも続いた軌跡がある、ということを書きました」と曲に込めた思いを明かす。この曲では3人が交互にボーカルを取り、オーディエンスを感動に導いた。
“3歳”に向けた2人の野望は
感謝の言葉とともに安田がステージを降りたあとは“令和”のブロックへ。メドレー形式のこのパートに向け、山内は「昭和の人間なので、令和の曲は難しい!」、斎藤は「Aメロ、Bメロ、サビ、どこを切り取っても強いからメドレーにしがいがある」と手応えをアピール。優里の「ドライフラワー」、こっちのけんとの「はいよろこんで」、Adoの「うっせぇわ」と、2人のテクニックを全開にした歌と演奏にオーディエンスは釘付けになるが、直後に山内が放った「あれ?」というひと言でかすかな笑いが起こる。山内がリズムマシンを鳴らし、始まった曲はM!LKの「イイじゃん」。その四つ打ちのリズムのままロゼ&ブルーノ・マーズの「APT.」へつなげ、合間には華麗なギターセッションを披露するなど、遊び心に満ちたパフォーマンスで観客を魅了した。
メドレー終盤には女性アイドルの楽曲を連投。AiScReamの「愛♡スクリ~ム!」ではコール&レスポンスの部分を「総さん! 何が好き?」「チョコミントよりも芋焼酎!」、「宏ちゃん! 何が好き?」「ストロベリーフレイバーよりもビール!」と変えるアレンジで場内の爆笑をさらう。CUTIE STREETの「かわいいだけじゃだめですか?」で、おなじみの決めゼリフをかわいらしい作り声で言い放った斎藤に山内は「あの声すごかったですね」と驚嘆。斎藤は「自分の中の、一番かわいい声を出してみました」と胸を張った。
昨年から始まった、来場者から寄せられたお悩み相談に2人が即興曲で回答するコーナーでは先ほどの「イイじゃん」のインパクトが強すぎたのか、どの相談にもリズムマシンの音に乗せて「○○すればイイじゃん……」と答える展開に。和やかなひとときのあとは最後の“平成”ブロックに入った。一青窈の「ハナミズキ」や槇原敬之の「どんなときも。」、間奏でアグレッシブなギターソロを披露したモーニング娘。の「LOVEマシーン」を終えると、2人は山斎が来年に“3歳”を迎えることについてトーク。斎藤は「(3周年ライブは)宙吊りになって空を飛びながらギターを弾いて……」と野望を明かし、山内も「俺もやりたい!」と即答する。本編ラストはB'z「ultra soul」のワイルドなアンサンブルで締めくくられた。
アンコールで再び3人コラボ「力まずにいい空気」
アンコールではミラーボールがきらめく中、山内と斎藤がカラオケでCHEMISTRYの「PIECES OF A DREAM」を熱唱。2024年の初開催時から欠かさず披露してきた曲で沸かせたのち、2人はゲストの安田を再びステージに招いた。先程のトークで飛び出したステージ上でのフライング案に、SUPER EIGHTのライブで高所パフォーマンスの経験が豊富な安田は「上のほうは空気が薄いです(笑)。ギターを弾きながらもやれば可能ですけど、うちの会社では誰も飛んだことないかも」とアドバイス。山内が「そちらの会社でないなら、うちの会社では無理だ!(笑)」、斎藤が「その際はいろいろ相談させてもらえると……」とこぼすと、「うちのテックが監修で入らせていただきます。できることはなんでも」と力強く請け負った。
「力まずにいい空気でしたよね。お二人の空気感と皆さんの『フフッ』ていう、池から泡が昇るような笑い方が」と安田が表現したこの日のライブもいよいよエンディングへ。最後はこちらも「山斎」では恒例のナンバー、井上陽水奥田民生の「ありがとう」を3人がオーディエンスへの感謝をたっぷりと込め、笑顔を交わしつつ歌い上げた。
2日目ゲストはハラミちゃん、グランドピアノで演奏
2日目のゲストコーナーに登場したハラミちゃんは、斎藤の「すみません、こういう感じでやらせてもらってます」と恐縮気味の発言に「めっちゃ楽しいです!」と笑顔。そしてステージ中央に鎮座するグランドピアノに目を向け「こういうイベントでは電子ピアノのことが多くて。まさかグランドピアノを用意していただけるなんて」と感謝を述べた。斎藤は3人でのリハーサルを振り返り、ハラミちゃんのピアノ演奏を前に「もはややることがない」と、このコーナーでは山内とボーカルに徹すると決めたことを明かした。
和やかなムードに包まれる中、最初に披露されたのは3人各々親交の深い緑黄色社会の「Mela!」。ハラミちゃんが奏でるエモーショナルな音像、山内と斎藤のはつらつとしたボーカルでZepp内の空気は一気に華やぐ。その後はハラミちゃんが選んだというカバー曲が連投される。印象的なピアノイントロから始まるCHAGE and ASKAの「SAY YES」。演奏を終えたハラミちゃんは「めっちゃ好きな曲でソロライブでも弾かせていただいてるんですが、今日はなんだか感情がバグりましたね(笑)」と、2人のパフォーマンスの感想を明かした。
ハラミちゃん&山内&斎藤でまさかの「好きすぎて滅!」コラボ
斎藤が「1曲に7曲分ぐらいの情報量がある」、山内が「難しくてマジ泣いた」とこぼした次の曲は、Official髭男dismの「Subtitle」。高度なボーカルテクニックを必要とするこの曲だが、斎藤は透明感にあふれた声で、山内は張りのある力強い声で歌いこなし、ハラミちゃんが奏でる繊細なピアノの音色とのハーモニーでオーディエンスを圧倒した。感動的なひとときのあとはコラボコーナー最後の曲を迎えるが、斎藤は「やってくれましたね……」と苦笑いし、ハラミちゃんも「自由なライブと聞いてましたので、じゃあお二人を踊らせようと」とニヤリ。最後の曲はM!LKの「好きすぎて滅!」。山内と斎藤はスタンドマイクに向かってサビの振付を披露し、山内が「ごめん もう我慢できねえ」、斎藤が「え 好き」と曲中の決めゼリフもクールに言い放つと、客席からは歓声が沸いた。
ハラミちゃんはコラボコーナーだけでなく、後半のお悩み相談にも登場。即興曲でファンのお悩みに答えるコーナーに、斎藤から「即興と言えば、という人がいるじゃないですか」と呼び込まれたハラミちゃんは、「ギターのFのコードが難しい」「方向音痴で悩んでいる」といった観客のお悩みに答える山内と斎藤の即興プレイをピアノでアシスト。「練習しなはれや」と歌う山内、「スマホが発達してるから地図見りゃわかる」と歌う斎藤、それぞれのメロディを驚異のアドリブ力でサポートしてみせた。アンコールの「ありがとう」では三度3人が集結。ハラミちゃんは「最高ですね、このライブ。ゆるい!(笑)」と観客の感想を代弁し、笑顔のうちに今年の「山斎」を締めくくった。
セットリスト
「山斎-SANSAI- 2026」2026年5月21日・22日 KT Zepp Yokohama
5月21日
01. レット・イット・ゴー~ありのままで~(映画「アナと雪の女王」)
02. あずさ2号(狩人)
03. 飾りじゃないのよ涙は(中森明菜)
04. なごり雪(イルカ)
05. 2億4千万の瞳 -エキゾチック・ジャパン-(郷ひろみ)
06. ズッコケ男道(SUPER EIGHT) w/安田章大
07. 繋がりSUNSET(Dragon Ash) w/安田章大
08. 名もなき詩(Mr.Children) w/安田章大
09. 群青の風(SUPER EIGHT) w/安田章大
10. 令和メドレー
・ドライフラワー(優里)
・はいよろこんで(こっちのけんと)
・うっせぇわ(Ado)
・イイじゃん(M!LK)
・APT.(ロゼ&ブルーノ・マーズ)
・愛♡スクリ~ム!(AiScReam)
・かわいいだけじゃだめですか?(CUTIE STREET)
11. ハナミズキ(一青窈)
12. どんなときも。(槇原敬之)
13. LOVEマシーン(モーニング娘。)
14. ultra soul(B'z)
<アンコール>
15. PIECES OF A DREAM(CHEMISTRY)
16. ありがとう(井上陽水奥田民生)w/安田章大
5月22日
01. レット・イット・ゴー~ありのままで~(映画「アナと雪の女王」)
02. あずさ2号(狩人)
03. 飾りじゃないのよ涙は(中森明菜)
04. なごり雪(イルカ)
05. 2億4千万の瞳 -エキゾチック・ジャパン-(郷ひろみ)
06. Mela!(緑黄色社会) w/ハラミちゃん
07. SAY YES(CHAGE and ASKA) w/ハラミちゃん
08. Subtitle(Official髭男dism) w/ハラミちゃん
09. 好きすぎて滅!(M!LK) w/ハラミちゃん
10. 令和メドレー
・ドライフラワー(優里)
・はいよろこんで(こっちのけんと)
・うっせぇわ(Ado)
・イイじゃん(M!LK)
・APT.(ロゼ&ブルーノ・マーズ)
・愛♡スクリ~ム!(AiScReam)
・かわいいだけじゃだめですか?(CUTIE STREET)
11. ハナミズキ(一青窈)
12. どんなときも。(槇原敬之)
13. LOVEマシーン(モーニング娘。)
14. ultra soul(B'z)
<アンコール>
15. PIECES OF A DREAM(CHEMISTRY)
16. ありがとう(井上陽水奥田民生) w/ハラミちゃん
※カッコ内はオリジナルアーティスト


