ドレスコーズのワンマンツアー「the dresscodes TOUR 2026《夏、十字架、ノイズ》」のファイナル公演が、昨日7月20日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)にて開催された。
5月リリースの“反戦シングル”「ノイズ時代」を携えて行われた本ツアー。ドレスコーズは6月から7月にかけ、計8会場を舞台にパフォーマンスを繰り広げた。
僕に全部ぶつけてください!
近年のドレスコーズの客入れSEはオールディーズが用いられることが多かったが、今回は「ノイズ時代」のミュージックビデオ撮影でフランスを訪れたことに合わせ、同国の名曲を多数使用。シャルル・アズナヴール「L'amour et la guerre」(愛と戦争)、ボリス・ヴィアン「Le déserteur」(脱走兵)、ジョルジュ・ムスタキ「Hiroshima」など、数々の反戦歌がオーディエンスを迎えた。
おなじみの入場曲であるボビー・ヴィントン「Mr. Lonely」をバックに、ドレスコーズの面々はステージに登場するや否や、この曲をかき消すほどの大音量のノイズを炸裂させる。その勢いのまま、毛皮のマリーズがちょうど20年前に発表したアルバム「ファースト」より、ストレートなロックンロールナンバー「LOVEDOGS」でライブの幕開けを飾った。「耐えられん」のリフレインが印象的な「ヴィシャス」の演奏を終えると、志磨遼平(Vo)は「今日は僕に全部ぶつけてください! 怒りはあるか!」と呼びかける。その言葉に応えるように、フロアの熱気は一気に高まっていった。
誰かが大事にしてきたものを、どうか守ってあげてください
有島コレスケ(B)とビートさとし(Dr)による力強いビートが観客たちを沸かせたスカチューン「プロメテウスのばか」の披露後、毎回ライブでどの曲をセットリストに入れるか悩むと語った志磨。彼は毛皮のマリーズ時代の古い楽曲もセレクトする理由について「僕の曲と一緒に、皆さんが大事にしてきたものを守りたいからなんです」と明かし、「今日ここにいる間は、僕が皆さんを守ります。安心してください」「外ではいろんなことが起きています。でもここにいる間は大丈夫」と約束する。そして「この会場を出たら、皆さんも誰かが大事にしてきたものを、どうか守ってあげてください」と優しく語りかけた。
そこから田代祐也(G)が爪弾くアコースティックギターの音色と、中村圭作(Key)が奏でるチャイム風のシンセが心地よい「或るGIRLの死」、自身の“黄金のハート”を大切にすることを歌った「不良になる」といった穏やかな楽曲が続き、フロアのムードも徐々にほぐれていく。さらにドレスコーズ流のサマーソング「やりすぎた天使」でさわやかにフロアの熱気を取り払いつつ、後半に向けてスロットルを上げた。
人生はいったい、なんのためにあるのだろう
毛皮のマリーズが2009年に発表した楽曲「人生II」は“先生”に未来について問いかけるロックチューンだが、この日志磨の歌い方はより辛辣かつ切実なものになり、「未来は 希望に満ちあふれてる、って おっしゃったのは アナタでしょ?」「死ぬことだけの 未来」「なんだよ世界 ガッカリだ」「キレイ事なんか 聞きあきたよ」といった言葉の重みが増して響く。この曲の終盤で志磨は「僕らの人生はいったい、なんのためにあるのだろう?」と観客に投げかけ、そのまま美しく生きることを示した「ビューティフル」へと突入。たぎるような歓声にあと押しされながら、ひとりぼっちの心を題材にした「ミスフィッツ」で一気にラストスパートをかけた。
オーディエンスにエールを送って本編を終えるかと思いきや、田代と有島はけたたましいノイズをかき鳴らし続け、会場にどこか不穏な空気が漂い始める。そのノイズが耳をつんざくほどの轟音にまで発展すると、ドレスコーズはそのまま反戦曲「ノイズ時代」の演奏を開始。ビートさとしがドラムマシンのように叩き続ける一定のリズムや、淡々と言葉を紡ぐ志磨の歌声も相まって、これまでの温かな雰囲気は消え去り、恐怖すら感じさせるような終幕となった。
そんな重いムードを打ち払うようにアンコールが巻き起こると、志磨たちはサプライズとして新曲「リベラシオン」を観客にプレゼント。フランス語で「抑圧からの解放」を意味するタイトルが銘打たれたこの曲では、クラウトロックのようなミニマルなリズムと、シューゲイザーのような美しいギターノイズを複雑に組み合わせたサウンドが展開され、これまでのドレスコーズにはなかった新機軸が示された。そして恒例の「愛に気をつけてね」をプレイする頃には再びハイテンションなコール&レスポンスが発生。日本各地に“抵抗のノイズ”を響かせたツアーはにぎやかに締めくくられた。
セットリスト
「the dresscodes TOUR 2026《夏、十字架、ノイズ》」2026年7月20日 Zepp Haneda(TOKYO)
01. LOVEDOGS
02. リンチ
03. 聖者
04. ヴィシャス
05. Lolita
06. うつくしさ
07. プロメテウスのばか
08. 或るGIRLの死
09. やくたたず
10. 不良になる
11. やりすぎた天使
12. あん・はっぴいえんど
13. コミック・ジェネレイション
14. 人生II
15. ビューティフル
16. ミスフィッツ
17. ノイズ時代
<アンコール>
18. リベラシオン
19. 愛に気をつけてね


