ゆず初のアリーナ規模での弾き語りツアー「ゆず 弾き語りアリーナツアー 2026 心音」が昨日7月26日に神奈川・横浜アリーナで閉幕した。
逆光で見えないゆず
このツアーはゆずが3月にリリースした19枚目のオリジナルアルバム「心音」をタイトルに冠したもの。5月4日と5日の宮城・セキスイハイムスーパーアリーナから、7月24~26日の神奈川・横浜アリーナまで全21公演が行われた。
「心音」は、ゆずが2025年下半期以降に制作した新曲のみで構成されたアルバム。2027年にデビュー30周年を迎えるゆずは「心音」の全収録曲やメドレーなど計27曲を弾き語りで届け、原点に立ち返るとともに未来への希望も描き出した。この記事では、セミファイナルにあたる7月25日の横浜アリーナ公演の模様をレポートする。
ゆずのライブ恒例のラジオ体操で体をほぐし、ゆずっこ(ゆずファンの呼称)の準備は万端。オープニングでは「翠光」が流れる中、鼓動の音とともに心拍の波形や自然風景がスクリーンに映し出される。ライブの幕開けを飾ったのは、「逆光で見えない 君はどんな顔で問いかけていたんだろう」という歌詞で始まる「逆光」。穏やかな歌声、アコースティックギター、ハーモニカの音色が一体となってアリーナに響き渡るが、北川悠仁と岩沢厚治の姿は逆光で見えない。北川がアコギのボディを叩いて「1」に移ると、スポットライトを浴びる2人の姿に歓声が降り注ぎ、「かけがえのない1つの命」「君だけの1つの命」という歌詞に合わせて観客が人差し指を天高く掲げた。
横浜アリーナに響く生の歌声
横浜アリーナでワンマンを行うのは25日公演で86回目となり、アーティスト史上最多公演数を更新したゆず。北川が「ただいま横浜ー!」と叫ぶと、会場のそこかしこから「おかえりー!」と歓迎する声が飛び交う。この日の動員数は1万5000人で、ゆずの横アリ公演史上最多であり、北川は「今回は2人だけの弾き語りなので、なるべくステージを小さくして、多くの方に観ていただけるようにしました」とコンパクトにまとまった舞台を紹介した。
90年代の「地下街」「心の音」「ねこじゃらし」で哀愁に満ちたハーモニーが広がったあと、スクリーンでは1997年にスタートしたさまざまな弾き語りライブをプレイバック。若かりし頃の写真を見た岩沢が「撮り直しがきかないですからね。AIでなんとかしてもらえないんですかね」とぼやくと、北川は「無理ですよ。『写ルンです』で撮ったものですからね」とすぐさま返した。
北川が「最初はそんなに志があったわけではないんです。ただ、毎日ゆずをやれればいいと思ってやってきました。何者でもなくて、路上の片隅で歌っていました」と当時の思いを打ち明けたあと、ステージでは、ゆずの路上ライブの聖地として知られる伊勢佐木町の今はなき松坂屋前が再現された。カメラは「テープ1本100円で売ってます」という貼り紙にズームアップし、ギターケースからおもむろにアコギを取り出すゆずの姿を捉える。軽快なギターストロークから「雨と泪」に突入すると、マイクを通さない生の歌声を、ゆずっこたちは1秒たりとも聴き逃すまいと耳を傾けた。歌い終えた北川は「また来週も日曜日にお会いしましょう。ゆずでした!」と路上ライブ時代を彷彿とさせる挨拶をした。
珠玉のバラードを届けたソロパート
「ま、いっか」で心を解きほぐす温かなメッセージが届けられたあと、ひと際盛り上がりを見せたのは「日替わり定食」。北川扮するビジネスで成功を収めた北澤悠次が食堂“心音亭”を訪れるところで特別映像がスタートし、店員役の近藤春菜(ハリセンボン)と岩沢が出迎える。食堂のテレビではニュース番組が流れ、コメンテーター役でゆずと近藤が登場すると、大きな笑いに包まれた。また、この曲では2006年発表の楽曲「もうすぐ30才」がマッシュアップされ、「もうすぐ50歳」「もうすぐ30周年」という歌詞が追加され、祝福ムードも漂った。
それぞれが作詞作曲した「心音」収録のバラードソングを歌うソロパートも展開され、岩沢は「飾りのない アコースティックギターで 君と明日を奏でながら」というフレーズが象徴的な「出発前」をアコギとハーモニカで弾き語る。「消しゴム」では北川がスクリーンを通じて、アンドロイドとピアノの連弾を披露した。ソロコーナーの深い余韻が残る中、北川が奏でるピアノで始まったのは「リアル」。カラフルに染まるステージで、ゆずは歌い続ける覚悟を示すように、パワフルなボーカルを放った。
ヘリオスに感情を教えるメドレー
ライブが中盤を過ぎた頃、ハート型のキャラクター・キドアイラくんと、知性の化身・ヘリオスが登場。感情を知らないヘリオスに心の動きを教えるため、喜怒哀楽メドレーが繰り広げられる。ゆずが「贈る詩」「傍観者」「からっぽ」「ユーモラス」などの楽曲群で喜び、怒り、哀しみ、楽しさを表現すると、ヘリオスは「私からは生まれない感情だけど、少しだけわかった気がする。きっとそれは心の奥で光り輝くようなもの」と伝え、会場から賛同の拍手が起こった。
「シンオンクン」という名のルーパーを駆使した「手のなる方へ」「少年」では、ゆずっこによるハンドクラップや「横浜 MAX」のかけ声で会場が一つに。「栄光の架橋」では北川に「おいで」と促されたオーディエンスが合唱し、さらなる一体感が生まれる。北川は胸に手を当てながら1万5000人の歌声に聴き入り、岩沢は客席を目に焼き付けるように、場内を見渡した。
横浜アリーナにはいろんな思い出がありすぎる
終盤のMCでは、北川の思いがあふれ出し、「横浜アリーナはいろんな思い出がありすぎて、いろんなお客さんが来てくれて、いつも母が来てくれて。いろんなものを乗り越えて、こうしてみんなに会うことができました」とツアーの約1カ月前に亡くなった自身の母について触れる場面も。そして、「2人だけのコンサートには限界もありますが、無限大とも感じました」と素直な気持ちを言葉にした。
未来へのポジティブなメッセージが紡がれた「心音」を経て、東日本大震災15年震災伝承ソングとして書き下ろされた「幾重」へ。寄せては返す波の映像が流れ、無数の光の粒が場内を照らす中、優しさと力強さを内包した2人の歌声が深い感動を呼んだ。歌唱後には、彼らが深々と一礼した。ラストソングは、ゆずのライブに欠かせない「夏色」。北川は「すっかり猛暑なので」と前置きし、「ソレソレソレソレ!」と張り切ってタンバリンを鳴らし、ファンを全力で盛り上げる。岩沢もカメラに向けて笑顔で指を差したり、手招きしたりして、観客のシンガロングを煽った。会場のボルテージが最高潮に達したところで、ライブは終了。北川と岩沢がリーダー、サブリーダーと互いを紹介し、オフマイクで感謝の思いを叫んだ。
横浜アリーナ2日目の模様は、9月27日18:00よりCS日テレプラスで放送される。10月23日から25日の3日間にかけては神奈川・Kアリーナ横浜を舞台に30周年開幕記念ライブ「心をとめないで」が行われる。
セットリスト
「ゆず 弾き語りアリーナツアー 2026 心音」2026年7月25日 横浜アリーナ
01. 逆光
02. 1
03. 地下街
04. 心の音
05. ねこじゃらし
06. 雨と泪
07. ま、いっか
08. 日替わり定食
09. 出発前(岩沢厚治ソロ)
10. 消しゴム(北川悠仁ソロ)
11. リアル
12. 喜怒哀楽メドレー(種~贈る詩~傍観者~LAND~踏切~からっぽ~ストーリー~イロトリドリ~ユーモラス)
13. 手のなる方へ
14. 少年
15. 栄光の架橋
16. 翠光
17. 心音
18. 幾重
19. 夏色
番組情報
ゆず 弾き語りアリーナツアー 2026 心音
放送日時
CS日テレプラス 2026年9月27日(日)18:00~
公演情報
ゆず30周年開幕記念ライブ 心をとめないで
2026年10月23日(金)神奈川県 Kアリーナ横浜
2026年10月24日(土)神奈川県 Kアリーナ横浜
2026年10月25日(日)神奈川県 Kアリーナ横浜
©中島たくみ、鈴木健太(KENTA Inc.)、高田真希子


