いぎなり東北産の結成11周年記念ライブ「11回目の真夏のヒロイン」が、8月8、13、23日に埼玉と宮城の計3会場で開催された。本稿ではこのうち、8月13日に行われた埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール公演の模様をレポートする。
あなたの最高のヒロインに
2015年8月9日に結成され、今年で11周年を迎えた東北産。アニバーサリーを祝う本公演には、大勢の皆産(いぎなり東北産ファンの呼称)が会場に駆けつけた。またこの日はニコニコ生放送で生中継も実施され、メンバー9人は真夏の暑さや雨を吹き飛ばすような熱気あふれるパフォーマンスを全国に届けた。
広い舞台上には、高さの異なるアシンメトリーなステージが複数立体的に配置されたセットが組まれていた。夏らしい花火やひまわりが彩る映画のようなオープニング映像をバックにおなじみの「OVERTURE」が流れ、葉月結菜、吉瀬真珠、北美梨寧、桜ひなの、伊達花彩、橘花怜、律月ひかる、藤谷美海、安杜羽加が、その高低差のあるセットの別々のステージに1人ずつ姿を現す。全員がそろうと、爽快でアッパーなサマーソング「この夏のヒロWin!」でライブがスタート。「今日は『11回目の真夏のヒロイン』に会いに来てくれてありがとう。あなたの最高のヒロインになれるように私たちがんばるね」と桜が呼びかけると、イントロから皆産の一糸乱れぬコールがこだました。
白を基調にメンバーカラーのリボンをあしらった「いぎなりベスト」衣装を身にまとった9人は、等間隔で力強く歌い踊り、Cメロではパニエをくるりと広げる。続く「溶ける前に、君に。」では会場いっぱいに伸びやかな歌声を響かせ、和の情緒が漂うしっとりとしたナンバー「おぼろ花火」では美しいハーモニーで場内を優しく包み込む。モニタには大きな花火が打ち上がり、9人は呼応するようなしっとりとした群舞で皆産を魅了した。
神出鬼没の東北産
スネアに合わせて振付がずれていくクールなダンスで始まったのは、新曲「世界は君のもの」。「君の見てる世界に間違いは1つもない」「世界は続いていくから いつでもいつまでも世界は君のもの」というセリフをつぶやく橘を取り囲むように、メンバー全員がまるで1つの生き物のようなうねりを見せる。すると突然、ステージをおびただしい量のスモークが覆い、気付けばメンバーの姿は忽然と消えていた。
バンドサウンドに乗せ9人の顔が次々と切り替わるスタイリッシュな映像を挟み、TikTokを中心にバイラルヒットを記録したポップチューン「わざとあざとエキスパート」のイントロが流れたかと思うと、1階席から2階席まで、客席エリアの四方八方に散らばったメンバーの姿が。「皆産のもとに会いに来たよ! みんなそのまま座って、誰が来るのか楽しみに待っててね!」と告げると9人は思い思いに場内を駆け回り、皆産との至近距離でのコミュニケーションを楽しんだ。その流れのまま「放課後のおねがい!」でも9人は会場全体のあちこちに移動。通路ですれ違うメンバー同士でハイタッチする場面も見られた。アウトロでなんとかステージに戻った彼女たちは、7月にミュージックビデオが公開され話題となった大森靖子提供曲「服を着て、恋したい」をパフォーマンス。感情をむき出しにしたような力強いボーカルとともに、ステージを広く使った寸劇のような振付で楽しませる。律月のセリフで締め、そのまま彼女のセリフで始まった新曲「レベちな、かまちょ☆」では、女の子の気難しくかわいい恋心を詰め込んだ歌詞を中毒性のあるビートに乗せて熱気あふれるステージを展開。会場をポップな空気に染め上げた。
ノンストップで個性爆発
暗転ののち、夏の風景をバックにメンバー1人ひとりが自己紹介や趣味、夢を語るVTRが上映され、スクリーンに映し出される美しいヒロインたちの姿に、客席では悲鳴のような歓声が沸いた。メンバー各自の思いが語られる中、律月は「休日はミルクレープの層と層の間でお昼寝。のんびり過ごしているので、ナイトルーティンを全部やるといつの間にか朝になってたりします。余談ですが、対面の席よりカウンターのほうが距離が近くなるので好きです」と終始不思議な自己紹介を展開。また桜が「休日はアニメを観たり、料理をしたり……あっ、あと……あなたのことを考えてたり……かな」とはにかむと、会場のあちこちからただならぬ興奮の声が漏れた。
次のブロックではメンバーが新衣装に着替えて登場した。伊達、北美、安杜はパンツスタイル、ほかのメンバーはスカートスタイルの衣装だ。ライブはメンバーそれぞれの個性を引き立てる怒涛のメドレーコーナーへ突入。ステージ後方のお立ち台には曲ごとにメインとなるメンバーが入れ替わりで立ち、皆産を楽曲の世界へと導いていく。お立ち台に立った葉月がキラーチューン「らゔ♡戦セーション」で踊らせると、続く「BUBBLE POPPIN」では吉瀬がお立ち台の上から「大宮のみんなの素敵な美声とカッコいいダンスを真珠ちゃんに見せてくださ~い! まずはオイオイからいくよぉ」と小悪魔的に煽って皆産をメロメロに。勢いそのままに、北美がお立ち台で“爆踊り”する「No Make」までエネルギッシュなナンバーをノンストップで畳みかけた。そこで場内が暗転し、観客が息をのんで見守る中、桜のがなりを交えた圧巻のアカペラから「メタハンマー」へ。9人はヘビーなロックサウンドに合わせて激しいヘッドバンギングを繰り広げた。
伊達は「あーぐれす」に乗せて「大宮まだまだこんなもんじゃないですよねー? 今年の夏一番盛り上がろうぜ!」とアグレッシブに攻め立て、皆産の盛り上がりっぷりに納得したのか最後に大きくうなずく。橘と律月は「ぱんださん」でデュエットし、見つめ合ったり背中を合わせたりしながら阿吽の呼吸でパフォーマンス。間奏に差しかかると“ガチ恋口上”を煽り、耳に手を当てうれしそうに皆産と目を合わせた。「うぢらとおめだづ」では藤谷がお立ち台で放った「いつもは恥ずかしくて言えないけど、今日だけは特別。ずっと一緒にいようね。大好き」という甘いセリフに歓声が沸く。メドレーの最後は、安杜のクールなソロダンスを際立たせた「東京アレルギー」。9人だからこそできる圧巻のフォーメーションやメンバーそれぞれの見せ場が連続するメドレーを、彼女たちは堂々と締めくくった。
奇跡みたいだけど、奇跡じゃない
息つく間もなく、モニタには新曲「永遠に∞」の文字が映し出された。小泉今日子「なんてったってアイドル」や中森明菜「DESIRE -情熱-」といった名曲のフレーズが歌詞に盛り込まれ、振付にもオマージュがちりばめられたこの曲で、9人は高速ステップと激しいフォーメーション移動をこなしながら、「絶対やめない」「できる」と熱い言葉を連呼する。スターダストのレッスン生として長年根気よく活動を続けてきた彼女たちだからこその説得力のある楽曲に、皆産も熱烈なコールで応えた。
新曲披露を終えた9人は、火照った体を落ち着かせるようにMCへ。葉月が「永遠に∞」について「やってて楽しい」と語ると、ほかのメンバーも口々に「コールがバッチリだったね」「どっちがアイドルかわからなかった」と皆産を称賛した。伊達は新衣装について「パンツスタイルとズボンスタイル」と口走り、みんなに「どっちも一緒」だとツッコまれながら「パンツとスカート2通りあってかわいいね」と注目ポイントを解説。桜は「衣装に名前のプレートが付いてます」とアピールを始めるも「リハをがんばりすぎて取れちゃったかも。皆産もし見つけたら持って帰らないでくださいね」と困り顔で呼びかけた。
リーダー橘は「9人で11周年を迎えることができて本当にうれしい。9人で11年間やるって奇跡みたいだけど、奇跡じゃない。ちゃんとがんばってこれたし、そばにいてくれたのがみんなだったからだなって思うので、感謝の気持ちでいっぱいです」と思いを口にする。そしてグループ初のアリーナワンマンとなる12月の宮城・ゼビオアリーナ仙台公演と「いぎなりベスト」のリリースに触れたのち、橘は「『永遠に∞』で大事なことを教えてもらったんです。成功する秘訣は“絶対にやめないこと”。東北産は“かわいい殻”を破って約3年半経ちましたが、そろそろかわいいもマスターしてきた。かわいいをマスターしても、カッコいいもできるし、おちゃらけもできる。どんな時代が来ても波に乗っていける。そんな私たちに足りないのは、残っているのは、“絶対にやめないこと”です」と熱弁し、日本武道館公演という悲願を昨年叶えた東北産の次なる目標をここで発表。「いぎなり東北産は……横浜アリーナを目指します!!」と高らかに宣言した。驚きと喜びの入り混じった大歓声が飛び交う中、「がんばろう」「絶対にできるよ」「できるできる」と鼓舞し合った9人は、ゼビオアリーナ仙台を成功させ、横浜アリーナへと進んでいく決意を改めて皆産に伝えた。
大きな輪を作っていこうね
場内の興奮冷めやらぬまま、ライブはラストスパートへ。「あなたのすべてを見せてください」という律月の言葉から「ハイテンションサマー!」へとシームレスにつなぐと、東北産は疲れをまったく見せない圧倒的な肺活量とエネルギーで会場を牽引していく。「おのぼりガール」では満面の笑顔を弾けさせ、続いて東北産の勝負曲だと自負するグループ結成初期から歌い継がれてきた鉄板曲「天下一品 ~みちのく革命~」を投下。橘は「一生懸命やれること、信じていればいつの日か願いが奇跡に変わるぞー!」と叫び、イントロから「レッツゴーいぎなり東北産!」と皆産の力強いコールがホールいっぱいに響き渡る。カラフルな光が渦巻く客席に向け、メンバー全員がギラギラしたオーラを放ちながら、新たな目標へ向かう覚悟を決めたような圧巻のパフォーマンスを見せた。
最後はメンバー全員横1列に並び、1人ずつ挨拶。北美は「最近『11周年おめでとう』とか『今日を楽しみに生きれているよ』という皆産の言葉が胸に響く。その感謝をライブでお返しできたらと思っていたんですが、皆産どうでしたか?」と問いかける。彼女の思いをしっかりと受け止めるように、皆産は熱いコールを響かせた。律月は「今年は真夏のヒロインを務めさせていただきましたが、真夏に限らずあなたの人生のヒロインを務めるつもりでございますのでよろしくね」と愛嬌たっぷりにアピール。隣の藤谷は「(律月と)以下同文です」と便乗しつつ「11周年もニコニコでインフィニティでがんばっていきます」と満面の笑みで宣言した。安杜は「本当にいろいろなことがありましたが、やめずにここに立てれて幸せだなと思います」と感慨深げに語り、「対面でライブができること、1対1の奇跡を大事にして、インフィニティで最高の瞬間を作っていきたいです」と力強く言葉を結んだ。
そしてこの日のラストを飾ったのは、アニバーサリーの締めにふさわしい「結び」。喜びの歓声が上がる中、伊達が「これからも私たちと皆産でたくさんの縁を結んで、大きな輪を作っていこうねー!」と叫ぶと、ホールいっぱいに皆産のクラップが響いた。すべてのパフォーマンスを終えたメンバーが「ありがとうございました!」と感謝を口にすると、皆産も「ありがとうございました!」と元気よく返す。東北産と皆産の大きな輪ができあがり、11周年のアニバーサリーライブは大団円を迎えた。
当日生中継が行われたニコニコ生放送では、9月12日23:59までアーカイブ映像を配信中。また8月28日21:00には「永遠に∞」のミュージックビデオが公開される。
セットリスト
「いぎなり東北産 11周年イベント《11回目の真夏のヒロイン》」2026年8月13日 大宮ソニックシティ 大ホール
01. この夏のヒロWin!
02. 溶ける前に、君に。
03. おぼろ花火
04. 世界は君のもの
05. わざとあざとエキスパート~放課後のおねがい!
06. 服を着て、恋したい
07. レベちな、かまちょ☆
08. らゔ♡戦セーション(メイン:葉月結菜)
09. BUBBLE POPPIN(メイン:吉瀬真珠)
10. No Make(メイン:北美梨寧)
11. メタハンマー(メイン:桜ひなの)
12. あーぐれす(メイン:伊達花彩)
13. ぱんださん(メイン:橘花怜、律月ひかる)
14. うぢらとおめだづ(メイン:藤谷美海)
15. 東京アレルギー(メイン:安杜羽加)
16. 永遠に∞
17. ハイテンションサマー!
18. おのぼりガール
19. 天下一品 ~みちのく革命~
20. 結び


