本日9月28日にNHK総合にて放送開始となった2026年後期連続テレビ小説「ブラッサム」。主題歌「咲き誇れ」を書き下ろしたYOASOBIが、9月7日に東京・NHK放送センターにて行われた合同取材会に出席し、楽曲に込めた思いを語った。
「ブラッサム」はどんな物語?
石橋静河がヒロインを務める「ブラッサム」は、明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルとした物語。苦難の中でも「幸せのかけら」を見つけ、常に前に進むことで人々の背中を押し続けた主人公・葉野珠(はのたま)の生涯を描く。珠の物語を彩るのは、父・葉野清治役の渡部篤郎、珠の継母・葉野リョウ役の国仲涼子といった面々。80歳を超えてベストセラー作家となる珠と、彼女を公私ともに長年支え続ける秘書の藤川優子は、それぞれ加賀まりこ、松たか子が演じる。そのほか、本作には松本穂香、八嶋智人、楠見薫、木竜麻生、華優希、中井千聖、工藤阿須加、三浦誠己、山田真歩、金子大地といった面々も出演。幼少期の珠は426人が参加したオーディションを経て選ばれた村上蘭が演じる。
石橋静河が「咲き誇れ」でダンス、振付は辻本知彦
主題歌「咲き誇れ」は、原作小説を綿矢りさが書き下ろし、それをもとにYOASOBIが制作した。宇野と同じく山口出身のAyaseは、宇野の自伝「生きて行く私」を読み、宇野の出身地である山口県岩国に足を運んで、故郷の風に導かれるように楽曲を作り上げたという。オープニングではこの曲に合わせて、満開の桜の景色の中で石橋がダンスを踊っている。振付は辻本知彦が担当。このことについて石橋は「お芝居を始める前にコンテンポラリーダンスをやっていた時期があり、そのときに辻本さんのワークショップにも参加しました。憧れていたダンサーでいつも叱咤激励してくれる方です。その方に10年越しにお会いして、今回振付を作っていただいたので胸がいっぱいになりました」とコメントしている。
Ayaseのターニングポイントになった宇野との出会い
YOASOBIの2人は桜を思わせるピンクとグリーンを取り入れた衣装で登壇。まずマイクを持った制作統括の村山峻平氏はYOASOBIが“小説を音楽にするユニット”であること、そしてメンバーのAyaseが山口県の出身であることから「山口県出身の主人公で、小説家の道を切り開くという物語となったときにYOASOBIさんしか浮かばなかった」と運命めいた起用理由を明かす。主題歌の「咲き誇れ」については「主題歌とタイトルバックを観ると、どんな困難の中にいてもここから一歩踏み出せるのではないかと思わせてくれます。リズムができるところから、声を入れるところまで、コミュニケーションを取りながら、一緒になって作り上げた曲。ドラマの一部に楽曲がなると言いますか、溶け込むような主題歌を作ってくださって、主演の石橋さんを含め、現場にとても力をくれています」とコメントした。
岩国を訪れた印象やその経験が楽曲に生かされたかを記者から問われたAyaseは「楽曲に生きたことはすべてでした。失礼ながら今回のお話をいただくまで宇野千代さんのことを存じ上げていなくて。先生が書かれた小説や自伝を読んだら、主題歌を担当させていただく人間として、先生の生きた場所にいかないと書ききれないなと思ったので足を運びました。生家や半月庵、錦帯橋など、先生が生きた街を見て、そこの空気に触れて帰ってきた次の日に一気に全編を書き上げました。それくらい大きな影響があり、生きた証を拾いに行けたと思います」と語る。加えて「宇野先生との出会いは僕の人生においてターニングポイントになったと言っても過言ではない。鮮烈で衝撃的な出会いでした。ポジティブなマインドも、何も持たなくてもいいと言うか、人生を名詞的ではなく、動詞として捉える感覚と言いますか。タイミング的にいろいろ将来のことや楽曲制作で思い悩んでいた時期だったので、先生の今を生きるという軸がブレない生き方にすごく勇気付けられましたね。浮き沈みがあるときに、自分の中に宇野先生を憑依させるじゃないですけど、そうすることで未来のことを嬉々として計画できるようになった。すべてにおいていい影響をもらいました」と、自身やYOASOBIとの共通点から導かれた宇野との出会いに感謝している様子を見せた。
歌いながら強くなっていけるような歌になれば
そんなAyaseの思いが詰まった「咲き誇れ」に息を吹き込むのが、ikuraの軽やかさをまとった、温かくまっすぐな歌声。朝ドラ主題歌を歌うことに憧れていたというikuraは「毎朝、葉野珠さんの人生のストーリーが描かれていく中で、必ずタイトルバックで歌は流れるので、どんなストーリーの中でも力強く生きた宇野千代さんの魂が乗ることを意識しました。ただ力強さで押すのではなく、軽やかにスキップしながら楽しく歩んでいっている葉野珠を意識して歌っています。それが皆さんの背中をグンッじゃなくて、少しふわっと押せたらいいなと思っています」と歌声に込めた思いを明かす。「咲き誇れ」という楽曲については「宇野千代さんは幸せも不幸せも全部抱きしめて受け入れて力強くまっすぐに生きていく生き様が本当にカッコいい。そういうリスペクトがあるからこそ、自分の中から歌として出てくる歌詞に勇気付けられたり、背中を押されたり、すごく勇気をもらいました。葉野珠、宇野千代のセリフのように、みんなが口ずさんだときに、歌いながら強くなっていけるような、そんな歌になってくれたらうれしいです」と熱い思いを述べた。
YOASOBIという名前のユニットが朝ドラ主題歌を手がけることへの感想を記者から問われた2人は「絶対来ると思ってた!」「見出しにしようとしてますね?」とニンマリ。Ayaseは「逆にパンチが効いているというか(笑)。結成7年目に差し掛かるんですが、夜に遊ぶでYOASOBIみたいなのはもう抜けてない?」とikuraを見やり、ikuraも「もうアルファベットとしてYOASOBIという感じで。まあでもYOASOBIの由来に、とにかく遊び心を忘れずにというのもあるので、夜、朝関係なく私たちらしく楽しんでいけたらと思います」と楽しげに語った。
楽曲に呼ばれて書いているかのようでした
楽曲の思い入れについて問われたAyaseは「宝物のような楽曲になりました。『作れてよかった!』と心からしっかり思える楽曲はなかなかないんです。ここ最近作った楽曲の中でもできるまでが早かったんです。たまにこういうことがあるんですが、本当にスラスラと作れて、宇野千代先生と一緒に書いているとまで言うと恐縮ですが、楽曲に呼ばれて書いているかのようでした。あるべくものとして曲が成っていく感覚があって、僕らにとって大事な楽曲になると思いますし、聴いてくださる皆さんにとってもそうなるといいなと思います」としみじみ。朝ドラ主題歌と言えば年末の「NHK紅白歌合戦」出場へのキーになるという定説があるが、これについてAyaseは「神のみぞ知りますね」と語るも、ikuraは「でも年越しは一緒に過ごせたらうれしいよね」と声をはずませる。そんなikuraの様子を見てAyaseも「いつも年越しは一緒にジャンプしてるんで」と、恒例のYOASOBIチームでの年越しに期待を寄せた。


