ART-SCHOOLのトリビュートライブ「Dreams Never End vol.9」が9月5日に東京・LIQUIDROOMで開催された。
ART-SCHOOLは結成25周年記念トリビュートアルバム「Dreams Never End」と連動したライブを昨年10月から行ってきた。トリビュートライブの各公演には、アルバムに参加したアーティストが出演。最後を飾る9公演目「Dreams Never End vol.9」にはcinema staffとPeople In The Boxが出演した。
cinema staff
トップバッターのcinema staffは激しい閃光を彷彿させるような鮮烈なサウンドをかき鳴らし、「白い砂漠のマーチ」でライブを開始。いきなり会場に熱風を巻き起こし、その勢いのまま「エゴ」で重厚感たっぷりに猛々しいプレイを繰り広げた。「海底」では海面からさす一筋の光に手を伸ばすように、切実な歌声が響き渡る。さらに「バースデイズ・イヴ」をドラマチックに歌い上げた飯田瑞規(Vo, G)はトリビュートアルバムについて「最高のアルバムに参加させてもらったことは俺たちにとってすごく光栄な話で、自慢ですね。学生の頃にART-SCHOOLのコピバンしてたときがありまして。そのときのベースがPeople In The Boxのベースの(福井)健太なんですよ」と明かし、「好きなバンドのトリビュートに参加させてもらって、こうやって対バンもできて、夢を叶えています」とうれしそうに語った。
「ART-SCHOOLへの愛を込めて」という飯田の言葉とともに演奏されたのは、トリビュートアルバムのカバー曲「ロリータ キルズ ミー」。聴き馴染み深いギターのアルペジオを合図に衝動的に演奏をスタートさせた彼らは、決然とした歌声とソリッドなサウンドをまっすぐに放っていく。その後一瞬の間を置いて、彼らはなだれ込むように「シャドウ」へ突入。最後には三島想平(B)のハーモニカの音色とともに叙情的なナンバー「海について」をエモーショナルにプレイしてステージを去って行った。
People In The Box
続いてステージに姿を現したのはPeople In The Box。波多野裕文(Vo, G)が堰を切ったように勢いよくギターを鳴らし、「旧市街」でライブが始まる。剥き出しの衝動と緻密さ、夢心地の浮遊感とスリリングな生々しさを併せ持った唯一無二のアンサンブルでオーディエンスを一気に引き込んでいく。「She Hates December」でさらに心地のいい空間を生み出し、波多野は「ART-SCHOOLの皆さんと会うのはけっこうひさしぶりで。たぶん7、8年ぶりだと思うんですけど、僕たちにとってART-SCHOOLはすごく大切なバンドです」とリスペクトを言葉にした。そんなART-SCHOOLへの愛を込めて、3人が弾き始めたのは、トリビュートアルバムでカバーしたART-SCHOOLの楽曲「ミーンストリート」。余白のある幻想的な音色と透き通った歌声が寂寥とした虚ろな世界観を描き出した。
さらに彼らは緩急を付けた劇的な展開が印象的な「DPPLGNGR」や「ニムロッド」といったナンバーを次々と演奏。心の機微や言葉にできない感情を多彩な音とリズムで表現し、オーディエンスの胸を強く揺さぶっていった。「逆光」でリリカルな美しい旋律を紡いだあと、「ART-SCHOOLに大きな感謝とリスペクトを。どうもありがとうございます」と波多野が告げて「ヨーロッパ」へ。熱を帯びていくポエトリーリーディングと激しく波打つような轟音を場内いっぱいに響かせた3人は、特別な夜に深い余韻を残してステージをあとにした。
ART-SCHOOL
約1年にわたって行ってきたトリビュートツアーのファイナル公演にいよいよART-SCHOOLが登場。オーディエンスの大歓声に迎えられた5人は「ロリータ キルズ ミー」で勢いよくライブの口火を切った。このトリビュートライブシリーズで彼らは全公演異なるセットリストでライブを行っており、この日は「スカーレット」や「BOY MEETS GIRL」といったナンバーを序盤に配置。爽快なプレイで会場の温度をグイグイと引き上げていく。さらに彼らはこれまでの8公演で演奏していない楽曲「ダウナー」を投下。退廃的な空気に満ちたグランジロックを打ち鳴らしたあと、同じく9公演目で初の演奏となる「OUT OF THE BLUE」を披露し、この日限りのセットリストでオーディエンスを喜ばせた。
戸高賢史(G)は「People In The Boxとの出会いは……博多で二十数年前にバンドをやっていたときに(山口)大吾がサポートでドラムを叩いてくれたり。僕がART-SCHOOLに入ることになって、それを見送ってくれた形ですね。People In The Boxはカッコいいのでメキメキと頭角を現してきて、最初のEPで帯のコメントを書いたのが19年前らしい。確か『箱に入ってる場合かよ』というコメントを書きました(笑)」と振り返り、「そのあと、People In The Boxとの共通の知人に紹介されたのが、まだ高校を卒業したばかりのcinema staffのメンバーだった。渋谷の路上で辻(友貴)を紹介されて、初対面で『キャー!』って言われたのを覚えています。当時僕たちが入っていたスタジオで一緒になることがあって、リッキーもアンプにサインを書いていたり(笑)。そんな彼らが今日、LIQUIDROOMに一緒に立ってくれました」と感慨深げに語る。木下理樹(Vo, G)も「本当にPeople In The Boxもcinema staffもすごくまっすぐで、その音楽が俺は好き。一緒にステージに立ててうれしいです」と2組との競演を喜んだ。
2組との出会いを語ったあと、ART-SCHOOLはPeople In The Boxがカバーした「ミーンストリート」を演奏し始める。「ミーンストリート」はバンド初期の名曲でありながら、ライブでも滅多に披露されることのないレアナンバー。儚い歌声と虚無感に満ちた美しいサウンドにオーディエンスはじっくりと浸った。木下が「約1年間続けてきたこのシリーズは、People In The Boxとcinema staffとのライブで終わるんですけど、思い返したらどの公演でもバンドからもお客さんからもすごく大きな愛を受け取りました。とても感謝しています。大きな愛をありがとう」と感謝の想いを伝えると、フロアにオーディエンスの愛のこもった大きな拍手が響き渡る。その拍手をしっかりと受け取り、戸高は「愛されバンドになったよな、俺ら」としみじみと言葉にした。
ライブ後半を迎え、彼らは駆け抜けるように「Just Kids」「Outsider」といったナンバーを次々とパフォーマンス。さらに「real love / slow dawn」で豪快なプレイを繰り広げたあと、トリビュートライブシリーズで全公演演奏してきた唯一の楽曲「FADE TO BLACK」で勢いよくフィニッシュした。
アンコールでは10月12日に東京・新代田FEVERでトリビュートライブのアフターパーティ「ART-SCHOOL TRIBUTE LIVE『Dreams Never End AFTER PARTY』」が行われることが発表され、会場は歓喜の声に包まれた。アフターパーティではART-SCHOOLがトリビュートアルバムの収録曲を曲順通りに披露する。「今日みたいな愛おしい気持ちになる日にぴったりの曲をやります」と戸高が告げ、最後に演奏したのは「ニーナの為に」。彼らは各公演で受け取った大きな愛を抱きしめ、たおやかな優しさに満ちたこの曲で約1年にわたるトリビュートライブシリーズを締めくくった。
セットリスト
ART-SCHOOL「Dreams Never End vol.9」2026年9月5日 LIQUIDROOM
cinema staff
01. 白い砂漠のマーチ
02. エゴ
03. 海底
04. バースデイズ・イヴ
05. ロリータ キルズ ミー
06. シャドウ
07. 海について
People In The Box
01. 旧市街
02. She Hates December
03. ミーンストリート
04. DPPLGNGR
05. ニムロッド
06. 逆光
07. ヨーロッパ
ART-SCHOOL
01. ロリータ キルズ ミー
02. スカーレット
03. BOY MEETS GIRL
04. ダウナー
05. OUT OF THE BLUE
06. BLACK SUNSHINE
07. ミーンストリート
08. プールサイド
09. Just Kids
10. Outsider
11. real love / slow dawn
12. FADE TO BLACK
<アンコール>
13. ニーナの為に
ライブ情報
ART-SCHOOL TRIBUTE LIVE「Dreams Never End AFTER PARTY」
2026年10月12日(月・祝)東京都 新代田FEVER
<出演者>
ART-SCHOOL
Opening DJ:TOMMY(BOY)


