ソロ活動を開始したラッパーのG PLANTSが音楽ナタリーの取材に応じ、活動再開の背景や今後の展開などを語った。
“大麻推奨するような曲歌う”と言われて
デビューシングル「Ryuchijo」を8月14日にリリースし、突如ソロ活動を開始したG PLANTS。同日に音楽メディア・Rolling Stone Japanで公開されたインタビューでは、舐達麻との関係や警察とのやり取りなどについて詳しく語って大きな話題を集めている。
そんなG PLANTSにソロ活動開始の手応えを聞いてみると、「スタジオワークやインタビューや撮影ばかりで街に出てないので、実感は全然わかないのですが、自分の曲の配信のページを見ると、チャートって欄のとこに王冠のマークが付いてました。反響いいのかな?(笑)」とニコニコほほえむ。1stシングル「Ryuchijo」はG PLANTSが5年前に逮捕されて留置所に収監されていた期間に書き上げたリリックを元にした楽曲であり、逮捕時のニュース映像を使ったジャケットも強烈だ。
G PLANTSは「実際のニュースのテロップに“大麻を推奨するような曲を歌う”と書いていただいたので、曲のジャケットとして使ってね!って向こうからのフリかなって思ってました」とおどけつつ、「ラッパーが逮捕されたときに“自称ラッパー”と報じられることが多い中で、こう書かれるのは、逆にオフィシャルって認められたってことかな?と思いました」と独特な考え方を語った。
活動再開前は海外旅行に行って遊んでいた
急速に動き始めたG PLANTSだが、2023年12月に舐達麻として「FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD」をリリースして以降、表舞台からほとんど姿を消していた。約2年8カ月の不在期間について話を聞くと、G PLANTSは「毎日スタジオに入って、できるとこまでメイクして、スキル磨いて、切磋琢磨してましたね……と言いたいところですが、普通に海外とか行って遊んじゃってました(笑)。アメリカも行きましたし、タイにはもうずーっと行ってます」と明かした。
活動休止中、自身の死亡説も見かけたというG PLANTSだが、「持病とかないし、本当に超健康でしたよ。しっかり夜寝て、朝起きて、海外行って。あんまりメンタルに来るタイプでもないし、ポジティブに過ごしてました」と健やかさを強調。死亡説については「いなくなってまったく騒がれないよりは、どんなコメントでもあったほうがいいし、そういう噂を気にするようなこともなかったです。でも、つぶやきシロー的な立ち位置にまさか自分がなるとは思いませんでした」と笑った。
活動休止中の日本語ラップシーンの変化について聞くと、G PLANTSはラッパーの数が急増したことを挙げつつ、それを力強く肯定。「間口が広がったことで『ヒップホップが薄まった』とか『ヒップホップ知らねーやつがラップやってる』とか言う人もたくさんいますけど、俺は誰でもやりたいならやったほうがいいと思います。最初からカッコいいヤツなんて中々いないですしね。誰に何を言われても、自分のサウンドやメッセージを突き通すことから俺も始まったので。あくまでプレイヤー目線の話です。金払って聴くほうからしたらふざけんなって話だと思いますけど(笑)」と自身の見解を示した。
新たなレーベル・Rolledman sacks(ロールドマンサックス)
ソロの楽曲はできていたものの、もともとはグループで活動していたため、なかなかソロ作品のリリースの機会に恵まれなかったというG PLANTS。そんな彼の背中を押したのは今のチームだった。G PLANTSによれば、各分野で精力的に活動する仲間たちが集まり、新たなレーベルRolledman sacks(ロールドマンサックス)を立ち上げたのだという。
「サウンドチーム、アパレルチーム、デザインチーム、PR、A&Rチーム、マネジメントチームがありまして、それぞれ現場でずっとやってた仲間たちが自分のために集まってくれた感じです」と新たな仲間たちを紹介したG PLANTS。「あるとき仲間が『あれだけいろいろなところで、曲が重要だあーだこーだ言ってんのにまったくバース蹴らないじゃん』ってイジリを超えた焚き付けかましてきて」と振り返る。
音楽活動を1人で再開するにあたって、G PLANTSは自分のラップに需要があるかという不安や葛藤もあったそうで、「活動しなくなってすぐは、祖父母が住んでいる長崎の島に帰って漁師でもやろうかな?と思ってました。本宮ひろ志のマンガ大好きなんで、サラリーマン金太郎的な……挫折して海に帰るみたいな……」と冗談めかして笑う。
「そんなときに『漁師なんてできるわけないだろ、お前は音楽やれよ』『お前そもそも運動不足だろ、漁師なめんなよ』って仲間が言ってくれて、音楽の船に乗せてくれた感じです(笑)」とG PLANTSは仲間に感謝。「これからは俺がその船を漕いでいかないといけないんですけどね。なんか海とか船とかわかりづらくなっちゃったんですけど」と笑う彼は「俺が1人になったときに手を差し伸べてくれた本当に気持ちのある仲間たちなんで、恩返ししたいし、それが制作意欲の元にもなっています」と真剣な思いも示した。
2ndシングルではサンプリングの醍醐味を提示したかった
1stシングルの余韻が冷めやらぬ中、G PLANTSは9月18日には2ndシングル「Downer's Inner Circle」をリリースした。この曲はラップもさることながら、誰もが知るJ-POPの大ヒット曲をサンプリングしたビートが大きな話題を呼んでいる。
「昔からサンプリングが好きで、カニエ・ウェストとか聴いて『このサンプリング、ヤベーな!』って盛り上がってたし、そこから元ネタを聴いてみることもたくさんあった。だから自分の曲でサンプリングの醍醐味を提示できるようなカッコいい曲を1つ作りたかったんです」というG PLANTS。サンプリングという手法の意義について「既存の名曲に違う意味を添えて、さらに新しいものにできることじゃないですかね。僕は聴くときもそこに楽しみを感じるし、自分がするときも意識してます。カバーでは絶対になく、ヒップホップに変える。なので、わかりやすく今回は大ネタを使ってます」と説明した。
そんなG PLANTSのこだわりを反映したトラックは、これがデビュー作となるT33-Kがプロデュースした。謎のプロデューサーT33-Kについて、G PLANTSは「契約上、多くは語れませんが、呼び方はプロフェッサー、ジーニアス、ティーチャー、教授と変わっていきましたね(笑)」と語っている。
またYouTubeでは、気鋭の映像作家・堀田英仁が監督を務めたミュージックビデオも公開された。MVは「世の中の人すべてがG PLANTSになってしまった」というコンセプトの作品。医者や警察など複数の役柄を1人で演じたG PLANTSは「映像の各分野のプロフェッショナルの皆さんにオモチャにされました(笑)。22時間、誰1人文句言わず撮影やってました」と撮影を振り返り、「みんな笑っていましたが、アイス・キューブを彷彿とさせると撮影中に言われました。いや言われてないかも」とジョークを飛ばす。彼の父親は高校卒業時の就職で警察官の内定をもらっていたが、近い親戚の素行で内定が取り消しになった過去があるそうで、G PLANTSは「なので親父の夢、叶えられたなって。親父観てくれ、ポリスだよ」と呼びかけた。
藤井健太郎の紹介で大物プロデューサーとコラボ
ソロ活動開始後、さまざまな大物プロデューサーたちとも楽曲を制作しているというG PLANTS。「最初はけっこうコアなビートメイカーの方たちと曲を作ってたんですけど、『水曜日のダウンタウン』の藤井健太郎さんが『ホンちゃん、そういう人とやるのももちろんヒップホップでいいけど、ちゃんとシーンを驚かす動きもしよう』って俺の曲を聴いて言ってくれて。そっから藤井さんが紹介してくれたビートメイカーや、自分が音の鳴りが好きだったり制作スタンスが勉強になるビートメイカーに会いに行って、たくさんビートをもらいました。これから徐々に明かされていくかもしれないし、アルバムで一気に発表かもしれません。そこはチームがいるので明言できませんがお楽しみにしてください」とほのめかした。
近日中に1stアルバムがリリースされる予定とのことで、G PLANTSは「なんかキメて聴いてくれたらいいかなと! キメるって言っても誰と聴くかとか何しながら聴くかとかキメてねって意味です」とアピール。「ヒット曲を出すとかじゃなくて、自分が表現できるヒップホップを細かく制作して、ヒップホップ好きにこそ刺さる音楽を打ち出していきたい」と今後の目標を掲げた。
音楽の芯は持ちつつ、なんでもやりたい
とにかくサービス精神旺盛で、取材中、何を聞いても笑って答えてくれたG PLANTS。今後はいろんな企画に出演していきたいそうで、「いろいろな作戦やブランディングのため静かにしてたんですけど、元がこれなんで、もう出してけばいいかな?と。ラップじゃなくてお笑いだったらもう5年早く売れてたかもって言われてたくらいだったんで、各社企画担当の皆さんビッグプロジェクトお待ちしています」と呼びかける。
「現にたくさんのブッキングが新しいレーベルに来ている状態です。音楽の芯はしっかり持ちつつ、それ以外の企画については仕事として全力でやるだけです」というG PLANTSは、「地元のヒップホップをよくわかってない友達からは『もっと曲出して有名になればお前もあの恋愛リアリティショーとか出れるんじゃない?』とかお門違いというか意味不明なアドバイスとかもされちゃってるんで見返したいです」と意気込んだ。


