楽曲のリズムやノリを作り出すうえでの屋台骨として非常に重要なドラムだけど、ひと叩きで楽曲の世界観に引き込むイントロや、サビ前にアクセントを付けるフィルインも聴きどころの1つ。そこで、この連載ではドラマーとして活躍するミュージシャンに、「この部分のドラムをぜひ聴いてほしい!」と思う曲を教えてもらいます。
第46回は、神聖かまってちゃん、バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIの2グループを兼任するドラマーにしてアイドル、みさこさんが登場です。かまってちゃん、バンもん!の両バンドでツアーを控える彼女が、「聴いてる人の心のATフィールドがぶぁっと解けたらいいなあ」と思いながら叩いてる自身の曲を紹介してくれました。また、「全編だああああああい好きでどこ聴いてほしいとか決められない……!!」「歌詞が真っ直ぐに耳から心へと流れ込んでくる……天才です」と語る曲も一聴の価値ありです。
構成 / 丸澤嘉明
ドラムフレーズが好きな曲とその理由
森高千里「渡良瀬橋」(ドラム:森高千里)
0:55~
結局、本当にドラムがうまいというのはこういうことだと思う。私は曲のよさを引き立てて歌やメロディを映えさせながら絶対邪魔しないドラムが特に好きなのですが、森高さんのドラムは手数を最小限に抑えた中で最も曲に合うフレーズとビートの最適解を叩き出しているように思います。サビへの導入はシンプルなフィルで歌とリズムがベタ沿い、盛り上げるために安易にハイハットをオープンにしたりライドに移動したりなどもしない、だからこそ歌詞が真っ直ぐに耳から心へと流れ込んでくる……天才です。
木村カエラ「Yellow」(ドラム:柏倉隆史)
1:30~
ド頭からめちゃめちゃ気持ちいい音とビート! 特に最初に聴いてカッコよすぎて衝撃を受けたのは、1サビ終わったあとの間奏のバスドラのみを4発叩くだけのフィル。しびれるー!! そして全然真似してます!! 休符多めのギター&ベースにドラムだけが連なるリズムを刻む、この疾走感と緊張感があるシーンが来る度に胸がドキドキわくわくします。
夜の本気ダンス「Dance in the rain」(ドラム:鈴鹿秋斗)
3:07~
私、ギターソロでライドカップをキーンキーンと叩き始める鈴鹿秋斗さんのプレイが好きなんですよね……ギターメロの哀愁が増し増しになるので。ダンスビートを明るく華やかに叩くような方が繰り出すこの切なさと引き方。緩急と振り幅の広さで心がギュッとします。特にこの曲は煌びやかで細やかなカップの音が夜道の雨の光を連想させるので、すごく美しいのです。
syrup16g「遊体離脱」(ドラム:中畑大樹)
全編だああああああい好きでどこ聴いてほしいとか決められない……!! 中畑大樹さんの、曲をめっちゃ大事にするドラムのことを大変尊敬しているのですが、この曲はカバーしたとき叩きにくさを覚えるくらいにはドラムから発信したとあまり思えないリズムパターンで、曲の空気やベースに寄り添う真心から作られたのでは?と感じ、そこに献身性や哲学すら感じます。
神聖かまってちゃん「夕暮れメモライザ」(ドラム:みさこ)
8:41~
ライブバージョンで失礼します。この曲中で宇宙一優しい気持ちで叩いてるのがこの「諦めてもいいんだよ」という歌詞からの8ビートで、その直前まで入ってるスネアの細かい音やハイハットの圧力をここから抜いています。聴いてる人の心のATフィールドがぶぁっと解けたらいいなあと思いながら。私が派手目に勢いよくドラム叩いてるときは、大体その次のブロックで音をシンプルにしたり緩やかにしたりして歌やメロディをガッと前に出し、心めがけて飛んでっておくれ~と思ってるときだったりします……かなり感覚的なところでやってはおりますが。あとあと! 自分たちの曲で言うと「2年」「グロい花」、別グループのバンもん!では「ピンヒール」などは、ぜひいつかライブでも聴いてもらえたらうれしいですー! 私のドラムの本領域だと感じる曲です。
自身でドラムフレーズをプレイする際に意識していること
数十年かけてシンプルな8ビートで人を嗚咽する程泣かせられるようになれたら勝ちだろうなと思って、何より心を込めて叩いています。とにかく曲を大切にしながら、強弱や緩急やノリや雰囲気を、自分もときめきながらパートごとに変えています。
自身のプレイスタイルに影響を与えたドラマー
曲×フレーズ紹介で挙げてない方だと、ミッチ・ミッチェルさん。ジミヘンさんと演奏してるとき、お二人のグルーヴが高まりすぎて個の境界がなくなってる瞬間が見えると言うか、共通思念みたいなものがこの世になかったらあそこまでリンクしないよなと思うので、"音楽でひとつになる"という言葉の底知れなさを感じさせてもらえます。
プロフィール
みさこ
10月11日生まれ、千葉県出身のミュージシャン。神聖かまってちゃんのドラム担当として2010年にワーナーミュージック・ジャパン内のレーベルunBORDEよりメジャーデビュー。その後、自身が中心となって“ポストアイドルグループ”バンドじゃないもん!を結成し、2012年に神聖かまってちゃんと同じくunBORDEからデビューする。メンバーチェンジ、ポニーキャニオンからの再デビュー、「バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI」への改名などを経て、2024年5月にテイチクエンタテインメントから3度目のメジャーデビューを果たした。2026年8月にバンもん!のミニアルバム「TЯATƧИOM」をリリース。10月12日より全国ツアー「バンもん!全国ツアー2026『激アツ!爆ネツ!どんどこツアー♡15周年ぬ宴★~ROAD TO プール付きヴィラ~』」を開催する。また神聖かまってちゃんとしては11月19日より東名阪ツアー「神聖かまってちゃんtour2026『17歳の処方箋』」を実施する。


