YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで9月4日から9月10日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文 / 真貝聡
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングには、1位にLISA(BLACKPINK)の「SaWaDiKa」がランクインした。今作は10月23日にリリースされるEP「PRESS PLAY」のリード曲で、MVは彼女の母国であるタイ・バンコクで撮影が行われた。バンコクを象徴するロケーションを舞台に、さまざまな衣装や髪型のLISAが登場し、エネルギッシュなパフォーマンスを披露している。
4位にはLEE JISOO(HANA)の「MISMATCH」が登場した。これは9月8日にリリースされたソロデビュー曲。MVは彼女が生まれ育った韓国で全編撮影され、これまで歩んできた道のりを表現した映像となっている。
5位にランクインしたのは、JISOO(BLACKPINK)の「CLICK」だ。MVの監督を務めたのは、テイラー・スウィフト、エミネム、ブリトニー・スピアーズなど、数々の世界的アーティストの映像作品を手がけてきたジョセフ・カーン。忘れ去られたテーマパークを舞台に、JISOOがサイボーグを演じる、シネマティックな映像に仕上がっている。
ガールズグループのメンバーによるソロ曲が上位に並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。
M!LK「時空超えてユニバース」オフィシャルオーディオ
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場3位
映画「500日のサマー」の中で、主人公のトムがサマーと一夜を過ごした翌日、幸福感に包まれて街を歩くと、周囲の人々が踊り出し、アニメーションの小鳥まで現れるミュージカルのような演出がある。また、映画「モテキ」でも、主人公の藤本幸世が松尾みゆきと親密な関係になり、街中の人々が幸世の恋を祝福しているかのように錯覚するシーンが描かれる。人は恋をすると気持ちが高ぶり、いつもの世界が明るく見えるのだ。
9月16日にリリースされたM!LKの1stミニアルバム「LOVE ENG!NE」のリード曲「時空超えてユニバース」もそんな、愛によって世界の見え方が変わっていく感覚を描いた楽曲だ。今作は「好きすぎて滅!」「爆裂愛してる」に続く、“愛”をテーマに描く3部作の完結編。これまでの2曲からさらに愛のスケールも大きくなって、「1人ひとりの中にある愛こそが未来へ進むための原動力になる」という思いが込められている。しかしタイトルからして宇宙規模のラブソングかと思いきや、歌われているのは日常の些細な「好き」という気持ち。その「好き」があるだけで、昨日までなんでもなかった景色が特別に思えたり、明日が少し楽しみになったりする。そう考えると、“時空を超える”という大きな言葉も、決して大げさではないように思える。
9月14日には同曲のMVも公開され、わずか1日で1100万再生を突破した。MVは巨大な時計や惑星が浮かぶ幻想的な世界を舞台に、華やかな衣装をまとったメンバーがダンスを繰り広げる、スケール感のある映像に仕上がっている。
ジュニア「アイドルになった日」ジュニア 夏祭り 2026 より
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場28位
STARTO ENTERTAINMENTの次世代を担う、総勢41名のジュニアが参加したイベント「ジュニア 夏祭り 2026」が、8月29日~31日に東京・Kanadevia Hallで開催された。今週28位に登場した「アイドルになった日」のライブ映像は、本編のラストに披露されたもの。作詞・作曲・振付を担当したのは中島健人で、歌詞にはアイドルを夢見ていた少年が、初めてステージに立った日のときめきから、ファンからもらった愛を胸に、これからもアイドルとして歩んでいく決意までが描かれている。
18年間アイドルとして活躍してきた中島だからこそ書ける、解像度の高い歌詞やステージ映えするきらびやかなメロディも素晴らしいが、この曲にはそれだけではないこだわりも詰まっている。以前、筆者が中島にインタビューした際に、ジュニアの特性や人間性を理解したうえで、誰がどのパートを歌えば曲とメンバーの個性が発揮されるのかを意識して歌割りを考えた、と語っていた。大人数で歌う楽曲でありながら、それぞれが「アイドルになった日」の主人公として輝く緻密な構成。中島がジュニアの持ち味を生かして作り上げた、メンバー1人ひとりの魅力が際立つパフォーマンスに注目していただきたい。
ASOBI同盟「トマト」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場94位
6月26日に始動した、ASOBI同盟の10週連続新曲リリース企画のラストを飾る「トマト」。今作は、りみー(Vo)の声が突然出なくなり、このままライブができないかもしれないという状況に陥った際、とくみくす(Vo, G)が彼女に向けて書いた“ラブソング”だ。「また一緒に歌いたい」というりみーの願いに寄り添うように、時間がかかっても、うまく声が出なくても、一緒に音楽を続けていこうという気持ちが込められている。
MVでは、ギターを練習するりみーの姿などを通して、再び歌うことを目指すまでの過程が描かれる。歌うことへの不安を抱えながらも、もう一度2人で音楽を届けようとする姿が、この曲に込められた温かな愛情を伝えている。YouTubeのコメント欄には「何度聴いても泣ける」「本当に感動した」「涙が止まらない」といったこの曲の感想が相次いで書き込まれており、不安を乗り越えて再び一緒に歌えるようになった2人の思いが、これまでになく多くの人々の心をつかんでいることがわかる。


