YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで9月11日から9月17日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文 / 真貝聡
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングには、当連載の9月3週目の記事で取り上げたM!LKの「時空超えてユニバース」が初登場1位を獲得した。
21位にはしぐれういの「Wishing Umbrella」がランクイン。YouTubeのコメント欄には「何このしぐれういの集大成みたいなMVは。泣いてしまったやないか」「これまで積み上げてきたことの結晶みたいなMVでまじで感動した……」など、しぐれういの軌跡を感じる映像に称賛の声が多く上がっている。
64位に登場したのは、大空スバルの「Okie Dokie Dance」だ。今作のMVはコーラスで参加しているAZKi、角巻わため、音乃瀬奏、ラオーラ・パンテーラ以外にも、多数のホロライブメンバーが集合した豪華な映像に仕上がっている。
73位には音乃瀬奏の「GREATEST」がランクインした。9月9日のMV公開から2週間で150万再生を達成し、今も再生数を伸ばしている。
人気Vtuberの新曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップする。
LE SSERAFIM「Made My Night」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場10位
LE SSERAFIMの2ndシングルのタイトル曲「Made My Night」は、特別な誰かと過ごすことで、何気ない夜が忘れられない時間へと変わっていく瞬間を描いたポップダンスナンバー。中毒性のあるメロディと軽快なビートに乗せて、「you just made my night / I feel better now」と歌う5人の声が、楽曲に心地よい高揚感をもたらしている。
MVは、チーム対戦型アクションゲーム「オーバーウォッチ」とのコラボレーションによって制作されたもの。記者会見の場面から始まり、「LE SSERAFIM MISSING」の文字とともに、謎の空間に閉じ込められた5人のメンバーをめぐる物語が展開される。LE SSERAFIMが出演する実写映像と、「オーバーウォッチ」のヒーローであるD.VaやD.Monが登場するアニメーションを行き来しながら、メンバーを救うためのアクションへと発展していく。
LE SSERAFIMと「オーバーウォッチ」のコラボは、2023年に公開された「Perfect Night」のMV以来2度目。前回の「Perfect Night」は単にゲームのキャラクターの登場シーンがあるというコラボだったが、今回はそれにとどまらず、D.VaとD.Monが囚われたLE SSERAFIMを救出するという形で、両者の世界観が物語の中で融合している。アニメーション映画を思わせるカメラワークやレトロな色合いも印象的で、ゲームの世界観を取り入れた映像が、楽曲の描く“特別な夜”をより鮮やかに映し出している。
櫻坂46「愛MUST BE」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場22位
櫻坂46の16thシングル表題曲「愛MUST BE」は、「喜びも悲しみも全て / みんなで分け合うべきだろう」というフレーズが象徴するように、誰かを思いやる気持ちが次の誰かへ受け渡されていく「愛の連鎖」を描いた楽曲だ。自分が幸せなときに、見知らぬ誰かの痛みや孤独へと思いを巡らせ、やがて「83億人」という世界全体へ視線を広げていく。タイトルの「愛MUST BE」には、愛を自分だけのものにするのではなく、誰かと分かち合い、その思いを次の誰かへとつないでいくことの大切さが込められている。
これまで「Nobody's fault」で自分自身の生き方と向き合い、「Start over!」では夢や何かをあきらめかけたところからもう一度踏み出すことを促し、「承認欲求」では他者から認められたいという欲望と孤独を描いてきた櫻坂46にとって、「愛MUST BE」はその視線を自分自身の内側ではなく他者へと向けた1曲とも言える。自分はどう生きるのか、何者なのかという問いを重ねてきたからこそ、今度は誰かの痛みや幸せに思いを巡らせ、互いをつなぐ「愛」へとテーマが広がっているのだ。
MVでは、結婚前夜に花嫁が女性の友人を集めて催すパーティ「ヘンナイト」をモチーフに、自由と形式の間で揺れる女性たちを描写。今作で初めて表題曲のセンターを務める三期生の谷口愛季を中心に、力強くも可憐なパフォーマンスを披露している。
Aぇ! group「Emotion」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場38位
ついに彼らがアイドルでありながら、ロックバンドとしてどれほど高いポテンシャルを持っているのかを多くの人に知られる時が来た。そう思って、ガッツポーズをしたAぇ担は多いだろう。Aぇ! groupが11月4日に、初めてバンド曲を表題に掲げた5thシングル「Emotion」をリリースする。末澤誠也の天を突き刺すようなハイトーンかつ攻撃的なボーカル、正門良規の技巧的で衝動的なギター、小島健の躍動感と求心力を兼ね備えたキーボード、佐野晶哉の太くて疾走感のあるドラミング。確かな実力と個性を持つそれぞれの音が、スクラムを組んで強靭なロックサウンドへと昇華されている。歌って踊る彼らも魅力的だが、やはり一番輝くのはバンド演奏なのだ。
MVではメンバーが、観る者に襲いかかってくるような迫力のパフォーマンスを展開。ライブさながらの緊張感が画面越しにも伝わり、4人が音をぶつけ合う瞬間に、バンドとしての強さが凝縮されている。「Emotion」を大型ロックフェスで大勢の観客に叩きつける──そんな光景を見たいと思うのは、きっと筆者だけではないはずだ。


