中島美嘉のアジアツアー「MIKA NAKASHIMA ASIA TOUR 2026」のファイナル公演が、9月26日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催された。
バンコク、台北、大阪、シンガポールで行われた今回のツアーで、中島は自身の代表曲から最新曲までを、ストリングスを加えたバンド編成で披露。ツアー最終日となったこの日も、11月に迎えるデビュー25周年という節目にふさわしいステージを繰り広げた。
前半は私の世界観に浸っていただければ
ステージに架けられた紗幕に、まるでオーロラのような美しい造形が映し出される。中央には、真っ赤な衣装をまとった中島の姿。ライブは「LEGEND」でスタートした。原曲はエレクトロ調だが、今回のツアーではバンドと弦楽器によるオーガニックなアレンジが施されていた。ここで幕が上がり、中島は笑顔で挨拶。豊かなストリングスの音色とともに深遠なバラードナンバー「火の鳥」を歌い上げ、ペンライトを振る観客を惹きつけた。河野伸(Key)、馬谷勇(G)、海老沼崇史(B)、佐野康夫(Dr)、一丸聡子(Per)、岡村美央(Violin)、下川美帆(Violin)、古川淑恵(Cello)による演奏も会場を心地よく包み込んでいく。
「前半は私の世界観に浸っていただければと思います。最後まで心を込めて届けていきます」というMCのあとは、“あなたに会いたい”という切実な願いを歌い上げる「Wish」、ダークゴシック的な音像とともに憂いを帯びた旋律が広がる「Mirage with Shiro SAGISU」、寓話的な世界観の中で現実と幻想が交差する「Phantom」、誰にでもある心の二面性を描いたロックチューン「UNFAIR」とディープな思いを込めた楽曲が続いた。ライブ前半のハイライトは、「GLAMOROUS SKY」。中島はレザーのキャップを投げ捨てながら、激しくもしなやかな歌声を響かせ、会場全体のテンションを一気に引き上げた。
シアトリカルなムードの中盤
ここで再びステージに紗幕が降ろされ、クラシカルな雰囲気のSEとともにバレエダンサーをモチーフにした映像が投影される。着替えを済ませた中島がステージに戻り、2008年のヒット曲「ORION(with ensemble)」を届けた。ピアノ、弦楽器を軸にしたアレンジとミラーボールの光が、切なくも美しい歌の世界をしっかりと際立たせる。はかなさと凛とした強さを同時に感じさせるボーカルが鮮やかに響きわたった。続く「あまのじゃく」は「期待されると 喜びよりも憂鬱になった」というフレーズから始まるバラード。中島は自身のリアルな思いを投影した楽曲を床に座ったまま歌い、シアトリカルなムードを生み出した。
アコギと歌から始まり、大切な人への哀切な思いをつづった「Dear」の披露後は、MCのコーナーへ。「美嘉ちゃん、次はいつ沖縄に行くの?」などと気軽に声をかける観客とのフランクな会話も彼女のライブの魅力だ。客席と中島の間で生まれる「かわいい!」「知ってる」というお約束のやりとりも会場を大いに盛り上げた。
「次の曲はアルバム『STAGE -THE MUSICAL IN MY HEAD-』の曲。『もうここには立っていられないな』というときに聴いてくれたら、『ここに同じ気持ちの人がいるかも』と思ってもらえる曲です」と紹介されたのは「Deep Down」。そしてこの日、最も強いインパクトを放っていたのは「僕が死のうと思ったのは」だった。2013年のリリース後からライブで披露し続け、今や代表曲の1つとなったこの曲を中島は力強く歌い上げ、豊かな感動を会場中に生み出した。
ハプニングによって生まれたサプライズ
インターバルとして「The Moment」のミュージックビデオがスクリーンに映されたあと、ライブは後半へ。中島はまるでオペラのような雰囲気のメロディと「愛に溢れ 孤独も楽しむ」というフレーズが響き合う「Winner」、華やかで切ない春の情景を描き出す「SAKURA~花霞~」、桜の季節を叙情的に描いた「桜色舞うころ」と続け、オーディエンスを豊かな音楽世界へと誘う。
ここで、映像システムの調整のために時間ができるというハプニングが。中島が「セットリストにない曲でも……」とつぶやくと、客席からリクエストの声が飛び交う。そして、デビュー曲「STARS」をワンコーラス歌うことに。思いがけないサプライズに、観客からは大きな拍手が送られた。
そして「悲しみを勇気に変えて生きていこう。そんな曲です」という言葉に導かれた「Look In My Eyes」、ポジティブなパワーにあふれた「LOVE NO CRY」、壮大にしてクラシカルな「SYMPHONIA」でライブ本編は終了。すぐにアンコールを求める“美嘉ちゃんコール”が鳴り響いた。
こちらこそ聴いてくれる人がいる限り、歌います
ステージに戻ってきた中島を迎えたのは、蓮の形をしたカードを掲げた観客たち。カードに書かれた“As long as you sing, we'll be here”(あなたが歌い続ける限り、私はここにいます)という一節に対して、中島は「こちらこそ聴いてくれる人がいる限り、歌います」と応えた。
アンコールの1曲目は、ヒトリエとのコラボレーション曲で、テレビアニメ「無職転生III ~異世界行ったら本気だす~」のエンディングテーマ「祈り、終われば」。続く「雪の華」で、中島は1つひとつのフレーズに心を込め、名曲に新たな命を吹き込む。この歌に対する真摯な姿勢こそ、彼女の真骨頂だ。そして「FIND THE WAY」が高らかに響きわたったところで、ライブは終了。中島は生声で「本当にありがとうございました!」と感謝を伝えライブを締めくくった。
代表曲25曲による配信ベストアルバム「はじめての中島美嘉」に続き、11月4日には最新ライブアレンジで代表曲の数々をリレコーディングしたメジャーデビュー25周年記念アルバム「M25」がリリースされる。アニバーサリーイヤーを迎え、中島の奥深い音楽に改めて注目が集まりそうだ。
セットリスト
「MIKA NAKASHIMA ASIA TOUR 2026」2026年9月26日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
01. LEGEND
02. 火の鳥
03. Wish
04. Mirage with Shiro SAGISU
05. Phantom
06. UNFAIR
07. GLAMOROUS SKY
08. ORION (with ensemble)
09. あまのじゃく
10. Dear
11. Deep Down
12. 僕が死のうと思ったのは
13. Winner
14. SAKURA~花霞~
15. 桜色舞うころ
16. Look In My Eyes
17. LOVE NO CRY
18. SYMPHONIA
<アンコール>
19. 祈り、終われば
20. 雪の華
21. FIND THE WAY


