フィッシュマンズのドラム&ボーカル・茂木欣一による“叩き語り”ライブ「OSAJI presents 『LONG SEASON SHOWCASE』」が9月29日に東京・ADRIFTにて行われた。
本公演は、フィッシュマンズとスキンケアライフスタイルブランド・OSAJIによるコラボアイテムの発売を記念して行われたもの。限定200名で販売されたチケットは即座に完売。ライブに先駆け、川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET)がフィッシュマンズ楽曲をフィーチャーしたDJを行い、開演前のフロアには早くもあふれんばかりの熱気と期待が渦巻いていた。
ライブのテーマは「1人だけど、1人じゃない」
川辺がプレイするラストナンバー「ゆらめき IN THE AIR」がエンディングに差しかかったタイミングで、茂木がステージに登場。ドラムセットに腰掛けると「これから初めての試みに挑戦したいと思います」と力強く意気込みを語り、1曲目「SUNNY BLUE」へ。この日のライブは、フィッシュマンズの音源を自ら再構築したトラックに合わせて、茂木がドラムプレイと歌唱を行うというD.I.Y.スタイルで敢行された。フィッシュマンズのベーシスト・柏原譲は、病気療養のため2025年の夏より活動を休止しており、彼が闘病に励んでいる姿に背中を押された茂木は「自分も1人で何かにチャレンジしてみたい」と今回の試みを思いついたのだという。ライブのテーマは「1人だけど、1人じゃない」。この日の会場となったADRIFTがある下北沢は、佐藤伸治(Vo)が生前暮らしていたフィッシュマンズゆかりの街だ。茂木はバックトラックの随所に現れる佐藤のボーカルに共鳴するかのように歌い、時に繊細に時に激しくドラムプレイを繰り広げた。
残響の彼方から聞き覚えのあるベースフレーズが
MCを経て、茂木がシーケンサーのボタンを押すと、独特なタイム感をたたえたベースフレーズが鳴り響き、ずしりと重い低音が場内の空気をビリビリと震わせる。「オン・ベース……柏原譲!」というメンバー紹介を合図に2曲目「ナイトクルージング」の演奏がスタート。夜のしじまの中をゆっくりと漂うような浮遊感のあるサウンドに観客たちは思い思いに身をゆだねる。何度目かのリフレインを経て楽曲は静かにフィナーレを迎えるも、余韻をかき消すかのように不穏なノイズが大音量で鳴り響く。やがて残響の彼方から、聞き覚えのある「LONG SEASON」のベースフレーズが聞こえてくると、「まさか」とばかりに驚きと喜びが入り混じった歓声がフロアのあちこちから上がる。茂木はイントロが進んでいく間、目をつむり楽曲に集中すると、シンバルを静かに打ち鳴らし、めくるめく世界が展開する「LONG SEASON」に単身足を踏み入れていった。
静寂と混沌を繰り返しながら演奏が進むにつれ徐々に楽曲が形作られ、「くちずさむ歌はなんだい? / 思い出すことはなんだい?」という佐藤の歌声が蜃気楼のように浮かんでは消えていく。一種独特なトリップ感が場内を包み込んでいく中、この日のハイライトとも言うべきドラムソロへ。小規模な会場ゆえドラムの1音1音がダイレクトに体に響く。観客たちは怒涛のように打ち鳴らされるビートを全身に浴びながら、茂木の鬼気迫るパフォーマンスを息をのむようにして静かに見つめていた。
「あの男が帰ってきます!」
汗まみれになりながら35分におよぶ“1人「LONG SEASON」”を完遂した茂木は、ふっと一息つくと「無事、最後まで行けたな」と達成感に満ちた表情を見せる。そして「ここまで付き合ってくれた皆さんにお知らせをします」と2027年4月29日に東京・SGC HALL ARIAKEでワンマンライブ「宇宙 日本 東京2027 -低音リターンズ-」を開催することを発表。続けて「あの男が帰ってきます!」と同公演で柏原が復帰することを観客に伝えた。大きな拍手が沸き起こる中、茂木は「来年またお会いしましょう!」と手を振りながら満面の笑顔でステージをあとにした。
セットリスト
茂木欣一(フィッシュマンズ)「OSAJI presents 『LONG SEASON SHOWCASE』」2026年9月29日 ADRIFT
01. SUNNY BLUE
02. ナイトクルージング
03. LONG SEASON
ライブ情報
宇宙 日本 東京2027 -低音リターンズ-
2027年4月29日(木・祝)東京都 SGC HALL ARIAKE


