murffin discsの設立20周年を記念したライブイベント「murffin discs 20th Anniversary “murffin Carnival!!”」が、10月18日に東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された。
東京・渋谷にあるライブハウスshibuya eggman内の音楽レーベル&マネジメント事務所murffin discs。2006年の設立以来、気鋭の若手バンドを次々と輩出し、現在の音楽シーンを牽引するアーティストを多数育て上げてきた。設立20周年記念イベントは4ステージ制で行われ、murffin discsに所属するアーティストが一堂に集結。この記事では、メインステージのFRY STAGEで行われたライブの模様をレポートする。なお、このイベントの模様は、12月20日21:00よりWOWOWにて放送および配信されることが決定している。
FRY STAGEのオープニングアクトを務めたのは、日本テレビ系の音楽番組「バズリズム02」とmurffin discsによる共同オーディション「カラヤブリ」でグランプリを獲得したアーティスト・かのん。応募総数442組の頂点に立った彼女は、弾き語りとバンド編成でパフォーマンスを披露し、等身大の歌詞と力強い歌声で観客の心をつかんだ。そしてmurffin discsや先輩アーティストへの敬愛、自身の未来に対する決意を熱く表明した。
マカロニえんぴつ「このやり方でやれるところまで」
オープニングアクトを経て、FRY STAGEのトップバッターを飾ったマカロニえんぴつは「いつか何もない世界」でライブを開始。ダイナミックなバンドサウンドに、観客は腕を突き上げて応えた。続く「レモンパイ」では、長谷川大喜(Key, Cho)が奏でるフレーズが軽やかに響き渡る。ポップで遊び心あふれるサウンドに、高野賢也(B, Cho)の切れ味鋭いスラップや、田辺由明(G, Cho)がフライングVから繰り出す歪んだ音色も重なり、バンドの多彩な表情が浮かび上がる。客席に手拍子が広がる中、はっとり(Vo, G)が「ご機嫌いかが?」と尋ねると、大きな歓声が上がった。
MCでは「すごい人だ!」と驚きながら、客席の各方向に手を振っていた4人。はっとりは「我らが所属するmurffin discs、20周年です。おめでとうございます」と祝福すると、マカロニえんぴつが所属して今年で9年目になることにも言及し、「最初は箸にも棒にもって状態で、何者にもなれなさそうな気配がしてたんだけど、このレーベルのスタッフがベットしてくれて、きっと“ハコ推し”してくれているであろうみんなのおかげで、ここまで大きくなれました」と感謝を語った。マカロニえんぴつは、murffin discs内で[NOiD]に続いて生まれたレーベル、TALTOに所属するバンド。FRY STAGEに出演する3組のうち、TALTO所属は彼らのみだ。はっとりは「我々TALTOを勝手に背負ってます」と意気込み、「知ってる曲あったらたくさん歌ってね! そういうバンドだよ!」と呼びかけて、「リンジュー・ラヴ」へとつないだ。
その後マカロニえんぴつは、「グッドラック・マイラバー」や「終宵」など、最新作「運命さがし EP」「終宵 EP」の収録曲を軸にライブを展開。ラストのMCでは、はっとりが音楽業界で自分だけの道を探して歩むことの難しさに触れた。そのうえで「僕らは、誰かの優しさに背負われてここまで来ました」と語り、さらに「聴くってよりも、食らいついて向かってくるあなたの姿を見て、『ああ、もしかしたらこのやり方で合ってたのかもな』と今日改めて思いました」と胸中を明かす。彼は「このやり方でやれるところまで続けられたらと思ってます」と今後への思いを述べると、「すげークサいことを言うと、全部の瞬間が運命だと思ってます」と告げ、「運命さがし」でステージを締めくくった。
sumika「murffin discsが好きだから、ここにいます」
2組目のsumikaのステージでは、片岡健太(Vo, G)が「先輩も後輩も関係なく、一等賞獲りにやってきました!」と宣言。1曲目の「運命」が鳴らされると、晴れやかなサウンドが瞬く間に広がった。目まぐるしく展開する楽曲に対し、観客もまた、手拍子したりシンガロングしたりしながら全身で応えていく。片岡は「すごいよ、今日! 手拍子もデカいし!」と興奮した様子で客席を見渡した。続く「Lovers」では、片岡が小川貴之(Key, Cho)へmurffin discsにまつわる五七五をオーダーする。小川は「ありがとう、あなたのおかげで、今がある!」と叫びながらピアノソロを披露し、観客から拍手を浴びた。
MCでは片岡が今朝契約書を探したが見つからなかったと明かし、小川と荒井智之(Dr, Cho)に「書いた覚えがないよね?」と尋ねると2人も頷く。片岡は「だから変な話、今日このライブをもって抜けることだってできます(笑)。だけど自分の意思で俺はここにいます。murffin discsが好きだから、ここにいます」とmurffin discsへの思いを口にし、観客に対して「2曲やってもうすっかり好きになっちゃったので、俺の自由な意思で、全力で愛させてください」と伝えた。MC後に披露された「ふっかつのじゅもん」では、片岡が「矢が刺さって倒れてもいつかは代々木でヤバイのやるぞ」と歌詞を変えて歌う場面も。何度でも立ち上がってきたバンド自身の姿を描いた楽曲に、この日のステージを重ねるような一節を交ぜ、会場を沸かせた。
「全部出し尽くそう」という片岡の言葉通り、熱量の高い演奏を重ねたsumika。ラストのMCでは、片岡が「3年前に、メンバーを1人亡くしました。4人組のバンドだったんだけど、3人になりました。そこから今みたいに笑えるようになって、音楽楽しいなって心の底からもう一回思えるようになったのは、間違いなくmurffin discsのおかげです」と感謝を伝えた。一方、事務所に依存するのではなく、自分の足で立ち、フラットに付き合っていきたいという思いも吐露。「事務所っていうのは場所じゃない、人!」と、真摯に向き合ってくれたmurffin discsへの思いを語り、観客にも同じように向き合っていく姿勢を示した。ラストナンバーは、3人になってから初のシングルとして2023年にリリースされた楽曲「Starting Over」。観客の大合唱も響く中、これからも歩み続ける意思を刻み込んだ。
SUPER BEAVER「全バンドの客をとりにきました」
FRY STAGEのラストに登場したのはSUPER BEAVER。柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原"38才"広明(Dr)が鳴らした最初の一音に客席が沸く中、渋谷龍太(Vo)は観客に「今日は楽しかったですか?」と尋ねる。ひときわ大きな歓声が上がると、「じゃあ準備運動は終わったってことで。おい、本番始めんぞ!」と強気に宣言し、「俺らにしかできない、バカデカい歌を作りましょう」と呼びかけて「美しい日」へとつないだ。渋谷のアカペラに観客の手拍子とシンガロングが重なり、会場に一体感が広がっていく。
2曲目「燦然」を終えると、渋谷がこのイベントが実現するまでの経緯を明かした。当初、事務所からマカロニえんぴつ、sumikaとのスリーマンを打診されたものの、渋谷は即座に断り、「できるなら全部やったほうが面白いだろ」と提案したという。その理由について「これだけ素敵な音楽好きのあなたの前で、たった3バンドでやったって面白くないと思った」と説明すると、「(自分たちも)いろんなイベントに出て、いろんな先輩にたてついて、ここまで来たんだろ? 直接何かができるわけじゃないけど、食ってかかってきてほしいなって思ったんですわ」と後輩への思いも明かす。そして「全バンドの客をとりにきました。俺たちがSUPER BEAVERです」と宣言した。
「今の率直な気持ちを、あなたに伝えてもいいですか?」と語りかけた渋谷が、アカペラで「愛してる」と歌い始めると、3曲目「アイラヴユー」へ。続く「クライマックス」「突破口」でも、バンドの演奏と観客のシンガロングは勢いを増し続け、場内の熱気が高まっていった。
前日にshibuya eggmanで開催された「murffin discs 20th Anniversary “murffin Carnival!!” 前夜祭」も含め、全出演者のライブを観たという渋谷は「汗水垂らしてるバンドが好きなので、観ててすげー楽しかったんですよ」と語り、観客へ「murffin discsに限らず、いろんなバンドが、いろんなライブハウスに転がってる。俺はあなたみたいな人に、そういうバンドを見てほしいなって思いました」と呼びかけた。そしてSUPER BEAVERは「生きがい」、ラストの「切望」で観客のエネルギーを最大限に引き出してライブを終了。「murffin discsならびに所属してるバンド、若手も俺たちも含め、これからもよろしくお願いします」と告げてステージをあとにした。


