今年で77回目を迎える大晦日の大型生特番「NHK紅白歌合戦」。この番組は毎回その年に活躍した豪華な顔ぶれが出場者としてラインナップされることもあって、「紅白出場」を目標に掲げて活動するアーティストも多く、年末が近付くたびに「誰が出場するのか?」という話題に人々の関心が寄せられる。
この記事では5人のライターに、今年の紅白の出場者予想を依頼。「初登場アーティストのうち3組」「特別企画」「紅組白組それぞれのトリ」という3つのトピックについて考えてもらった。これらの意見を参考にしながら、あなたも自分なりの出場者予想をしてみては?
構成 / 橋本尚平
※寄稿者を50音順に掲載
キムラ(ライター)の予想は……
初出場のうち3組
- 大森元貴
- INI
- NCT WISH
特別企画
- 映画「ちいかわ」企画
- 芦田愛菜・鈴木福「マル・マル・モリ・モリ!」
- 宮本浩次「はじめての僕デス」
- 小室哲哉作品メドレー
- 大河ドラマ「真田丸」企画
などなど…
トリ
- 紅組:MISIA
- 白組:Mrs. GREEN APPLE
=LOVE、CUTIE STREET、モナキ、Juice=Juice、マカロニえんぴつ、羊文学……。初出場の有力候補が多数いる今年の紅白。ここでは大森元貴、INI、NCT WISHの3組を選びます。
大森元貴は「灰色」がBillboard JAPANのダウンロード・ソング・チャートで首位を獲得。「NHK夏の音楽祭 うたであえたら 2026」では司会も務めました。昨年の幾田りら(YOASOBI)の例もあり、バンドと合わせてソロ名義での初出場も十分考えられます。
INIは結成5周年の今年、初の東京ドーム公演を実現し、「You Know What To Do」が9月のBillboard JAPAN Hot 100で首位に。さらに「Venue101」は10月10日の放送で番組最多の14回目の出演。初回から呼び続けてきたNHKが、この節目に紅白へ迎えると見ます。
NCT WISHは、日本シングル「YO-I-DON! / BOY MEETS GIRL」がグループ初のダブル・プラチナ認定(出荷50万枚以上)を獲得。「沼にハマってきいてみた」では単独特集も組まれました。K-POP男性勢は激戦ですが、今年の日本での伸びを買って初出場に挙げます。
特別企画は、EBiDAN(恵比寿学園男子部)が集結する「Yes! 東京」や、XGの待望の初出演にも期待しつつ、映画も大ヒットした「ちいかわ」の劇中歌メドレーを。司会の芦田愛菜には、鈴木福を呼び込んで「マル・マル・モリ・モリ!」も歌ってもらいたい。
そして宮本浩次。10歳で「みんなのうた」の「はじめての僕デス」を歌ってから50年、番組も放送開始65周年を迎えました。6月の還暦ライブで披露された、声変わり前の自分の歌声との共演を紅白でも聴きたいところです。
「My Revolution」発売40周年を機に、小室哲哉の楽曲を本人の演奏で歌うメドレーも。「SONGS」では渡辺美里と共演し、TMNETWORKとしても出演しました。夏の「THE MUSIC DAY」で小室と共演したNCT WISHも迎え、TRFと一緒に「BOY MEETS GIRL」を歌うかも…?
堺雅人が司会を務める今年、大河ドラマ「真田丸」が放送10周年を迎えることも忘れてはいけません。創立100周年のN響と三浦文彰のバイオリンで、あのテーマ曲を聴きたい。
トリは、7年連続で紅組を締めてきたMISIAと、白組のMrs. GREEN APPLEの続投を予想。ミセスは昨年、初の大トリを務め、今年は朝ドラ「風、薫る」の主題歌「風と町」を担当しました。視聴者にもおなじみの1曲が加わり、再び紅白の最後を任されるはずです。
キムラ
1997年生まれ。ライター / Podcaster。音楽、映画、アイドル、テレビ、お笑いなどを中心に、インタビュー、評論・コラム、ライブレポート、エッセイを執筆。集英社オンライン、ナタリー、MikikiなどのWebメディアで取材・執筆。J-WAVEなどラジオ出演。ポッドキャスト「コンテンツ過剰接続」配信中。
Kei(音楽チャートアナライザー)の予想は……
初出場のうち3組
- =LOVE
- EBiDAN(恵比寿学園男子部)
- Ayumu Imazu
特別企画
- グローバルで活躍する歌手の登場(ブルーノ・マーズ、高中正義)
トリ
- 紅組:あいみょん
- 白組:Mrs. GREEN APPLE
時代に即して集計方法を変化させ、特にストリーミングヒットの可視化に努めてきたBillboard JAPANが現在の社会的ヒットを示す鏡に。そして近年の紅白でも、Billboard JAPANによる各種チャートが出場歌手選定の判断基準となっています(その他の基準についてはブログにて自分なりにまとめています)。
フィジカルセールスに長けたアイドル / ダンスボーカルグループのジャンルからは、ストリーミングにも強くロングヒット曲を輩出し続ける=LOVE、そして「Yes! 東京」の年間トップ10入りが確実視されるEBiDAN(恵比寿学園男子部)の初出場が決定的ではないでしょうか。後者は完全体でのテレビパフォーマンスがほぼないため、出場決定の際には新グループのiiONDOも含めた68名にて披露されるかもしれません。
また直近のヒットが考慮された場合、10月リリースの「結び」がストリーミングソングチャートで2週連続首位を獲得したAyumu Imazuさんが選ばれるものと考えます。
特別企画について、今年はブルーノ・マーズが出場するかに注目しています。アルバム「The Romantic」の世界的ヒット、日本での高い認知度に加えて、来年1月4日からはおよそ1カ月間にわたり来日公演を開催。年末から日本に滞在するならば、出場の可能性はゼロではないでしょう。実現すれば大きな目玉となりそうです。
「こえていこう、歌とともに。」をテーマに掲げた今年の紅白。そのテーマ決定の背景として、日本人歌手の海外ライブ開催が挙げられています。「クローズアップ現代」にてロンドン公演が紹介された高中正義さんが、例えば紅白をモチーフとしたギターを用意しパフォーマンスを行うならば、日本でも高中さんおよびフュージョンへの注目度が高まるかもしれません。
トリにはベストアルバムをリリースしたあいみょんさん、オリジナルアルバム「POPS」がヒット中のMrs. GREEN APPLEを予想。今夏の音楽特番「NHK夏の音楽祭 うたであえたら 2026」は紅白のSNSアカウントを用いて情報発信されたこともあり“夏の紅白”と形容されますが、この特番に2組とも出演したのみならず、大森元貴さんは司会も担当していました。
昨年は紅組と白組の対戦としてはMrs. GREEN APPLEがラストを務めながら、実質的な大トリは特別企画枠の松田聖子さんが担った形です。大トリにはその年のヒット曲を輩出した歌手が就くよう、紅白に対し願っています。
Kei
青森県在住の音楽チャート分析者。ブログ「イマオト -今の音楽を追うブログ-」を毎朝、ポッドキャスト番組「Billboard Top Hits」を毎週木曜13時に公開。「Impress Watch」「uDiscovermusic日本版」などへの寄稿歴あり。
柴那典(音楽ジャーナリスト)の予想は……
初出場のうち3組
- EBiDAN(恵比寿学園男子部)
- モナキ
- Ayumu Imazu
特別企画
- 中森明菜
トリ
- 紅組:MISIA
- 白組:Mrs. GREEN APPLE
NHKが選考の基準としているのは「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」という3点。中でも「今年の活躍」を考えるならば、初出場が最も確実なのはEBiDANでしょう。15周年を迎え「Yes! 東京」がヒット。2026年の顔とも言うべき存在となったM!LKの「好きすぎて滅!」からEBiDAN所属グループのメンバーが続々と合流し、大人数のにぎやかなパフォーマンスで前半トリを務める、みたいな演出が思い浮かびます。
モナキも有力。こちらは、出場するなら純烈との絡みが間違いなくあるはず。「ほんまやで☆なんでやねん☆しらんけど」で「TikTok上半期トレンド大賞2026」で大賞を受賞し、歌謡ファンから若い世代へと幅広い支持を獲得したことで、紅白に似合う存在になったなと思います。=LOVEやCUTIE STREETも初出場の可能性は高そうですが、このあたりはそもそも去年に出場してもおかしくなかったグループ。全体的にアイドルグループの勢いを感じる紅白になりそうな予感がします。
そんな中でAyumu Imazuは、「結び」がBillboard JAPANのストリーミング・ソング・チャートで1位を獲得。「赤い糸」をモチーフにしたポジティブなメッセージ性を持つラブソングを披露することで、今まで彼を知らなかった人にも、今の時代を代表するR&Bシンガーの1人としての存在感が伝わるのではないかと思います。
例年以上に「わちゃわちゃした」紅白になりそうな一方で、特別企画はベテランやレジェンドにスポットを当てたラインナップになりそう。毎年この時期になると「中森明菜待望論」が見られるのですが、20年ぶりのコンサートツアーを成功させた今年はいよいよ出場がありそう。「SONGSスペシャル 中森明菜」など特集番組が相次いで組まれているのも追い風。特別企画の常連とも言える玉置浩二も今年はASKAとのコラボで新曲「音銀河」を披露するのでは。
そしてトリに求められるのは安定感。白組はMrs. GREEN APPLEが確実でしょう。ここから5年、10年と「国民的アーティスト」の役割を引き受けていく覚悟も感じます。紅組トリにはあいみょんの抜擢も期待したいですが、例年通りMISIAになりそうな気がします。
柴那典
音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立。音楽やビジネスを中心に幅広くインタビュー、記事執筆を手がける。著書に「平成のヒット曲」「初音ミクはなぜ世界を変えたのか?」「ヒットの崩壊」、共著に「渋谷音楽図鑑」「ボカロソングガイド名曲100選」がある。
てれびのスキマ(ライター、テレビっ子)の予想は……
初出場のうち3組
- モナキ
- くるり
- 羊文学
特別企画
- キャラクターソングメドレー
トリ
- 紅組:あいみょん
- 白組:星野源
毎年、音楽やその業界に詳しくない僕がこの企画に参加していいのかと思っていますが、今回もテレビからよく聞こえてきたなあという観点から、予想というよりは願望で選んでみました。
モナキの初出場は、もう揺るがないくらいの大本命ではないでしょうか。曲も大ヒットし、音楽番組だけでなくバラエティ番組等でも大活躍。ファンの年齢層も幅広く、NHKとも「紅白歌合戦」とも相性が抜群。もはや、選ばれない理由がないんじゃないかと思えるほどです。
くるりは、NHKで放送された夏の音楽祭「うたであえたら 2026」に生出演し、トリで「Remember me」を歌ったのがとても印象的でした。意外にもまだ紅白に出場したことがないので、このタイミングで出場してほしい!
同じくNHKで放送された「MUSIC AWARDS JAPAN」でインパクトを残した羊文学の選出も期待。
今年の司会陣は、堺雅人・二宮和也・芦田愛菜という俳優色の強いメンバーなので、特別企画は、名作映画やドラマの主題歌メドレーというのを最初は考えました。だったら、芦田愛菜には、鈴木福を特別ゲストに迎えて「マル・マル・モリ・モリ!」を是が非でも歌ってほしい! それに加えて今年といえば、映画「ちいかわ」の大ヒットに絡めた企画もやってほしいところ。もちろん「映画・ドラマ主題歌メドレー」という枠組みでその2つを組み合わせることも可能ですが、「キャラクターソング」のようにもう少し狭めてやったほうが、より必然性があっていいんじゃないかと思いました。
トリは、”予想”するならば、昨年と同じMrs. GREEN APPLEとMISIAだと思いますが、MISIAが7年連続であるように、一度続くと交代しづらいもの。僕はできれば柔軟に替えてほしい派なので、より”願望”を込めて。星野源は、前回は(その前年の件もあって)出場すらしてくれるのか?という状況でしたが、無事出演したので、今回こそ、大トリを務めてほしい! ちょうど「逃げ恥」放送から10年&お子様誕生のタイミングなので、「恋」から「Family Song」のメドレーで、ハッピーに締めくくってほしいです。
てれびのスキマ
ライター。テレビっ子。戸部田誠名義で著書に「タモリ学」「1989年のテレビっ子」「全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方」「笑福亭鶴瓶論」「芸能界誕生」「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989」などがある。最新刊は「王者の挑戦 『少年ジャンプ+』の10年戦記」。
伏見瞬(批評家)の予想は……
初出場のうち3組
- =LOVE
- Juice=Juice
- CUTIE STREET
特別企画
- EBiDAN(恵比寿学園男子部)
- ピンク・レディー
トリ
- 紅組:あいみょん
- 白組:Mrs. GREEN APPLE
今年は、女性のアイドルの躍進が予想されます。
=LOVEは、去年の時点で選ばれてもおかしくなかったグループです。今年は「劇薬中毒」がBillboard JAPANの総合ソングチャートで1位を獲得。指原莉乃さんの書く歌詞と、メンバーの存在感が結び付いた楽曲・世界観の中毒性は、アイドルファンの外側にも届いている。積み重ねてきた人気が、紅白初出場という形で認められるタイミングではないでしょうか。
Juice=Juiceは、「盛れ!ミ・アモーレ」のヒットによって新たなリスナーを獲得しました。以前から歌唱力に定評のあった彼女たちですが、その実力が広く知られるきっかけになる曲をつかんだことは大きい。ラテン歌謡的なメロディと、リズミカルな歌の躍動感、「盛る」文化の現代性を重ねた楽曲は、幅広い世代が観る紅白にもよく似合うと思います。
CUTIE STREETも有力でしょう。「かわいいだけじゃだめですか?」に続き、今年は「キュートなキューたい」でBillboard JAPANの総合ソングチャート1位を獲得。昨年出場したFRUITS ZIPPER、CANDY TUNEに続いて、KAWAII LAB.からさらに初出場組が生まれる可能性は十二分にあります。
特別企画には、まずEBiDANを予想します。「Yes! 東京」はCD売上が初日集計でミリオンを突破。なんといっても2026年を代表する楽曲です。複数のグループが集う合同名義であることから、特別ステージとしての登場がしっくりきます。すでに出場経験のあるM!LKを含め、それぞれの個性を見せながら、大人数で年末の祝祭感を演出するのではないでしょうか。
もう1組、今年デビュー50周年を迎えたピンク・レディーの復活もありえます。M!LKの「好きすぎて滅!」、EBiDANの「Yes! 東京」、Juice=Juiceの「盛れ!ミ・アモーレ」、=LOVEの「劇薬中毒」は、すべて昭和歌謡の面影を抱いている。その流れを受けて昭和の時代に一世を風靡した2人が登場すれば、単なる懐古にはとどまらない、昭和と令和をつなぐ歌謡曲の系譜が見えてくるでしょう。今年はトリビュートアルバムも発表されており、若い出演者たちとの共演にも期待が膨らみます。
トリは、紅組あいみょん、白組Mrs. GREEN APPLEと予想します。昨年、白組のトリがミセスに交代したことを踏まえると、今年は紅組でも世代交代があっておかしくない。あいみょんは今年11月にメジャーデビュー10周年を迎えます。「マリーゴールド」や「裸の心」など、幅広い世代に親しまれる楽曲を生み出してきた彼女が、その節目に初めてトリを務めることは十分考えられる。歌謡曲復活の文脈でも、あいみょんは今年の紅白ラストにふさわしいのではないか。一方、昨年初めて大トリに立ったミセスは、今年上半期もBillboard JAPANのアーティストチャートで首位。「テレビミセス」の開始、アルバム「POPS」の発売と、フェーズ3に入っても圧倒的な勢いを見せつけています。同時代のポップミュージックを牽引する2組が、それぞれの歌で1年を締めくくる。そんな紅白が見られるのではないでしょうか。
日本の最大公約数に届けるための演出ゆえか、時に”奇祭”などと言われる紅白。しかし、米津玄師、藤井風、Vaundy、YOASOBI、Mrs. GREEN APPLEなど、現在のJ-POPを代表する作家たちはみな、紅白の舞台で圧倒的な存在感を見せたことで国民的アーティストの地位を得ました。米津玄師「Lemon」の名唱、YOASOBI「アイドル」の名パフォーマンスは、いまだ強い印象を残しています。そのような機会を何度も作り出している紅白歌合戦の価値には揺るぎないものがあるし、今の音楽シーンを知るうえでも、重要な場として機能しています。紅白、侮るべからず。
伏見瞬
批評家 / ライター。2018年より批評×旅行誌「LOCUST」の編集長を務める。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾」第3期 東浩紀審査員特別賞を受賞。2021年に初の単著「スピッツ論 『分裂』するポップ・ミュージック」を刊行。照沼健太とともにYouTubeチャンネル「てけしゅん音楽情報」を運営している。


