なぜthe cabsは特別な存在になったのか――12年ぶりの“再生”を前に、当時の記憶を振り返る
2025年1月9日、the cabsが再結成を発表し、8月よりワンマンツアー「the cabs tour 2025 “再生の風景”」を開催することがアナウンスされた。the cabsは首藤義勝(B, Vo / 千也茶丸)、高橋國光(G, Vo / österreich)、中村一太(Dr)が2006年に結成したスリーピースバンド。2013年1月に1stフルアルバム「再生の風景」をリリース後、同年2月に解散を発表しているので、12年ぶりの再始動となる。この発表には彼らをリアルタイムで追いかけていたファンはもちろん、当時を知らない若いリスナーからも大きなリアクションがあり、ツアーの開催を発表したバンドのX公式アカウントのポストはインプレッション数が158万を突破。最初に発表されたワンマンツアーの東名阪3公演はすぐにソールドアウトを記録し、その後追加された全国5公演もすぐに完売となった。さらにツアーファイナルとして11月5日の東京・豊洲PITでのライブも発表されたが、すでにこの公演のチケットも売り切れている。2025年の日本のバンドシーンにおいて大きなトピックとなっているthe cabsだが、今回の再結成でその名前を知ったという人も少なくはないだろう。彼らは当時から大成功を収めていたわけではなく、「再生の風景」リリース後に予定されていたものの中止となってしまったツアーのファイナルは下北沢SHELTERであり、キャパシティ3000人の豊洲PITを埋められるようなバンドではなかった。ではそもそもthe cabsとはどんなバンドで、なぜ現在の彼らがここまで注目されているのか。彼らと同じレーベルでバンド活動をしていたこともある筆者が、当時の記憶を思い起こしながらまとめてみたい。
17分前