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土岐麻子の「大人の沼」 ~私たちがハマるK-POP~ Vol.10(前編) 韓ドラは後半で面白くなる作品が多い? 注目したいバイプレイヤーは?

2年近く前2022年05月19日 8:04

シンガー土岐麻子が中心となり、毎回さまざまな角度からK-POPの魅力を掘り下げている本連載。第10回では土岐と日々韓国エンタメについて語り合う仲であり、韓国カルチャーに明るいライターのK-POPゆりこをゲストに招き、韓国ドラマをテーマとしたトークをお届けする。前編では好きな作品はもちろん、韓国ドラマならではの特徴や、知っておくと韓国ドラマをより楽しめるバイプレイヤーについて語ってもらった。

取材・文 / 岸野恵加 撮影 / 曽我美芽

大変な日々を韓国ドラマに支えられ渡韓

土岐麻子 私とは日々頻繁に連絡を取り合っていますが……ゆりこさん、まずは読者の方に向けて自己紹介していただいていいでしょうか?

K-POPゆりこ よろしくお願いします! 韓国エンタメに関する情報を発信するフリーランス主婦ライターとして活動しております、ゆりこです。

土岐 韓国に関係するお仕事を始めたのが10年前くらいでしたっけ? 韓国に住まわれていた期間もあったんですよね。

K-POPゆりこ はい。20代の頃韓国に住んで、ソウルのイベント会社で働きながら語学の勉強をしていました。韓国カルチャーのライターとして初めてのお仕事をもらったのもその頃です。大学卒業から数年間は韓国エンタメと無関係の会社で働いていました。ハードな環境で徹夜も多く、大変な日々を支えてくれたのが韓国ドラマだったんです。ボロボロで家に帰ってきて、ドラマで夜更かししちゃってまたボロボロになって会社に行く、みたいな毎日を送っていましたね(笑)。

土岐 そこから一念発起して会社を辞めて、韓国に渡ったんですね。すごい決意だと思います。韓国語はもともとできたんですか?

K-POPゆりこ 大学生のときに韓国映画にハマって、在日韓国人の友達に韓国語を教えてもらってたんです。社会人になってからも毎週レッスンを受けていたので、韓国に行く前も少しの会話程度はできる状態でした。

土岐 そんなゆりこさんと私が出会ったのは約2年前でしたね。西寺郷太(NONA REEVES)さんのPodcastに一緒にゲストとして招いていただいたのがきっかけで(参照:西寺郷太の「GOTOWN Podcast」で土岐麻子の半生を深堀り、愛するK-POPトークも)。

K-POPゆりこ はい。私はそもそも土岐さんの大ファンで……高校時代からずっと好きだったので、郷太さんから共演者として土岐さんのお名前を聞いたときは「私、夢見てるのかな」って思いました(笑)。

土岐 あはは(笑)。そのときに連絡先を交換させてもらって、一緒にごはんに行かせてもらったり、以前担当していたAuDeeの音声配信番組にゆりこさんにゲストで出ていただいたり。今では日々LINEで韓国エンタメのことをやりとりする仲です。何かわからないことがあるときは、ゆりこさんに聞けば絶対に的確な答えが返ってくるんですよ。もう、私の師匠です。

K-POPゆりこ いえいえ、恐れ多すぎです。土岐さんから教わることも多いですよ。

土岐 ちなみにお名前に「K-POP」と付けるほどだからもちろんK-POPもお好きだと思うんですが、K-POPアーティストだと誰が推しなんでしょう?

K-POPゆりこ デビュー時からEXOが好きで。そしてBTSは仕事で関わらせてもらったこともあって応援してますし、ヨジャグル(女性グループ)だとMAMAMOOも好きです。いわゆるアイドル以外も好きで、HYUKOHやSe So Neonといったバンド、HeizeやHoody、パク・ジェボムなどソロアーティストの曲もよく聴きますね。パッと聴いただけで「あの人の声だ」とはっきりわかるような、特徴あるボーカルの曲が好きです。

いつ、どのくらいの頻度でドラマを観る?

K-POPゆりこ 今日の取材のために、土岐さんがここ数年で観た韓国ドラマのリストを作って事前に送ってくださったんですけど、「逆に私のほうがいろいろ勉強させてもらいたい」と思わされる量でしたよ。50作品くらい? すごいなと思いました。

土岐 昨年アルバムをリリースしたときのナタリーさんのインタビューでもお話ししたんですけど(参照:土岐麻子「Twilight」インタビュー)、ステイホーム期間に、家にいて穏やかに時間が過ぎていくけど、一方で感情の起伏があまりなくなったことで、作詞作業が捗らなくなってしまい。映画やドラマは日常に戻ってこれなくなる気がしてそれまではあまり観てこなかったんですが、「インプットが必要だから、今こそ観るべきなのでは」と思い、そこから観始めました。そのとき話題になっていた「梨泰院クラス」「愛の不時着」(ともに2020年)の2作品から始めましたね。

K-POPゆりこ 土岐さん、すごくお忙しいと思うんですが、どのくらいの頻度でドラマを観てますか?

土岐 リアルタイムで配信されるものは、最新話が公開されたら毎週就寝前に1話ずつ観ます。だいたい3、4作品を並行して観てますね。過去作品の場合は、お休みの日にイッキ見してます。

K-POPゆりこ すごいです! 私は週末にまとめ見してますね。20代の頃は徹夜も全然苦ではなかったので、深夜3時くらいまで毎日のように観ていましたけど、あれがつらいことを乗り越えるために燃料になってたんだろうなと感じています。「いつか韓国関連の仕事をしたい」という思いもあったので、そのためにもたくさん観ておこうという気持ちがありました。

土岐 その「燃料」になっていた時期に心に残っている作品を挙げるとすると、何になりますか?

K-POPゆりこ 筆頭は「宮~Love in Palace」(2006年)ですね。「Perhaps Love」っていうOST(オリジナルサウンドトラック。韓国ドラマにおいては主に劇中歌を指す)もすごくよくて。現代の韓国に王室制度が存在したら……という大胆なストーリーなんですが、そこにもこの曲がぴったり合っていました。あとは「ドリームハイ」(2011年)も好きでしたね。

土岐 タイトルは聞いたことがあります。

K-POPゆりこ 2PMのテギョンとウヨン、当時miss Aだったスジ、T-ARAのウンジョン、IUといったK-POPスターがたくさん出ていた作品です。芸能高校に通うアーティスト志望生たちのストーリーなので、劇中で実際に彼らが歌った曲を収めたOSTがすごくヒットして、日本でもかなり売れていた記憶があります。「サイコだけど大丈夫」(2020年)のキム・スヒョンの出世作でもありますね。

前提をクドいくらい丁寧に描く韓国ドラマ

K-POPゆりこ ちなみに今はサブスクのおかげで膨大な作品数を手軽に観ることができますけど、土岐さんは配信サービスは何を使っていますか?

土岐 私はNetflixとディズニープラスに入ってます。

K-POPゆりこ 今はいろんな会社が韓国ドラマに力を入れていますよね。その中から観る作品をどう選んでいますか? キャストはもちろん、好きな制作会社だったから観るとか、知人が薦めていたからとか、いろんな入り口がありますよね。

土岐 私は配信ラインナップをまず眺めて、その中からあらすじや予告、ビジュアルの雰囲気で決めることが多いです。でも、ビジュアルに関しては基準にしすぎてもよくないなと思うこともあって。どうしてもキャピキャピしたラブコメは避けがちなんですけど、「元カレは天才詐欺師♡~38師機動隊~」(2016年)っていうドラマが、タイトルもそうですしピンクを基調としたビジュアルから「自分からは一番遠いラブコメなんだろうな」と思ってたんです。でも観てみたら全然印象が違って。青年と中年の男性が世の悪と対峙していくバディもので、すごく面白かったんです。そこから、「タイトルやビジュアルのインスピレーションだけで観る作品を決めるのは損しているかも」と思うようになりました。

K-POPゆりこ 日本向けのビジュアルは、本国と違ったクリエイティブにされるケースが多いですからね。SNSでも定期的に話題に上がりますが……。「パラサイト 半地下の家族」(2019年公開の映画)のときもまさに話題になっていましたね。

土岐 「元カレは天才詐欺師♡~38師機動隊~」は、日本のビジュアルではソ・イングクさんとヒロインのスヨンさん(少女時代)だけが写っていて、バディの片割れを演じるマ・ドンソクさんがいませんでした。パッと見てラブコメだと思ってこれを観たら、想像と違って驚いちゃいそうですね。そんなこともあったので、とりあえずどんなドラマでも1話は絶対最後まで観ることに決めています。1話を観終わってから、2話以降も観たいかを正直に自分に聞く。でも途中で視聴しなくなることは、私はそんなにないですね。

K-POPゆりこ ドラマの中盤からめちゃくちゃ面白くなることもよくありますからね。

土岐 「イカゲーム」(2021年)も、1話で参加者がだるまさんがころんだをするシーンでもう観るのをやめたくなっちゃったんですよ。あまりにも残虐的で、つらいなと思っちゃって。でも「これだけ注目されている作品なのだから、この向こう側には絶対に何かがあるはずだ」と思って観続けたら、やっぱりその通りだった。韓国ドラマは長い作品が多いですけど、話が進んでいくうちに作品のメッセージが徐々にわかっていく作品が多いので、そこが面白いですよね。女性の友情ものだと思っていたら後半でミステリーになっていくとか、ガラッと主題が変わるものもあるし。

K-POPゆりこ 1話だけだと「え?」っていう作品もけっこうあるじゃないですか。韓国ドラマあるあるだと思ってるんですけど、1話からぶっちぎりで面白い作品ってあまりなくて、途中から面白くなっていく作品が多い。なので私は、5、6話くらいまでは必ず観るようにしてます。それでも面白くなかったら視聴をやめちゃうこともあるんですけど。韓国ドラマって少なくても12話、多いと20話以上あって、前提を丁寧に描くんですよね。主人公たちの関係性や物語の背景をとても細かく、時にはお腹いっぱいになるぐらい見せてくれるので、悪い言い方をすればちょっとクドいくらい(笑)。だから最後に全部つながったときに鳥肌が立つ。そこが韓国ドラマの魅力の1つだと思いますね。その反面、本題が始まる前に離脱しちゃう人もいるかもしれませんが。

視聴者の厳しい目

土岐 確かに、回収されない伏線って少ない気がします。すごく緻密に描かれているなと。韓国ドラマの制作体制についてですが、じっくり丁寧に作るというのは昔からそうなんですか?

K-POPゆりこ 昔は「撮って出し」な時代もあったみたいです。撮影現場からバイク便などでテープを局に送り、すぐ編集してその日の夜にオンエア、みたいな。よく観ると照明さんの機材やスタッフが画面に映り込んでいたり(笑)。

土岐 えええ(笑)。

K-POPゆりこ 撮影とオンエアのタイムラグがあまりないから、視聴者から「あのキャラクターを殺さないで」って電話が大量にかかってきたら、亡くなる設定だったはずの人物の病状が急によくなったりとか、そういうこともあったみたいです(笑)。でも今は制作会社が海外に作品を売ることで資金繰りがしやすくなったり、Netflixなど配信プラットフォームがオリジナル作品に投資することも増えたので、最初から予算がしっかりあって、丁寧に撮れるシステムが整ってきました。あとは、監督や脚本家もとても重視されていますね。「○○さんの作品なら出演します」っていうことも増えているみたいで。

土岐 俳優サイドがそう言うということですか?

K-POPゆりこ そうです。出演オファーを受ける際「脚本家は誰か」を気にすることが多いと聞きました。人気ある役者がどんなに演技をがんばっても脚本が稚拙だと、やっぱり本国の視聴者に厳しくジャッジされてしまうんですよね。

土岐 韓国の視聴者の目の厳しさは随所で感じますね。BLACKPINKのジスが主演した「スノードロップ」(2021年)が、あらすじが明らかになるに従って歴史歪曲だと放送前から抗議が殺到して、大統領府に国民請願が出される事態にまで発展するということがありましたよね。結局申請は棄却されて放送されたんですけど、放送されたらジスの演技がどうとかまたいろいろ言われていて。プロが言うならまだしも、視聴者がそんなに厳しい目で見ているのは少し怖いなと思いました。でも、だからこそ作品が研ぎ澄まされていくということなんですかね。

K-POPゆりこ そうですね。度が過ぎた批判は社会問題にもなっていますが……面白いものは面白いと讃え、たとえ好きな役者の出演作でもつまらなければつまらないという、韓国の視聴者の正直で厳しい目が韓国作品を育てていると思います。

バイプレイヤーを覚えると、韓国ドラマは何倍も楽しい!

K-POPゆりこ 韓国ドラマの楽しみ方ということで、今日ぜひお話ししたかったのが、「バイプレイヤーの顔を覚えると何倍も楽しくなるよ」ということ! 何作品も観て行くと、「あれ、あのドラマで主人公の父親だった人が今度は殺し屋の役やってる?」とか、気付きがあるはずなんです。

土岐 私もバイプレイヤーに目が行きがちで、観終わったあとすぐに「この人はほかに何に出てるのかな?」と調べることが多いですね。次に観る作品を決めるとき、主演の人を知らなくても、好きなバイプレイヤーが出ていたらそれが決め手になることも。

K-POPゆりこ ありますね。いつかコロナ禍が明けて韓国に自由に旅行できるようになったら、ぜひ現地で屋外広告やテレビCMを観てほしいです。「この入れ歯接着剤の広告のおじさん、あのドラマのあの人じゃん」って、わかることが多くて面白いはず。バイプレイヤーの知識がついてくると、一気に韓国ドラマ通になれた感覚を持てると思います。

土岐 好きなバイプレイヤーということで言うと、パッと浮かぶのは「梨泰院クラス」で長家(チャンガ)の会長をやっていた、ユ・ジェミョンさん。すごいお年寄りなのかと思っていたら、私とそんなに年齢が変わらなくて(笑)。今48歳だったかな。

K-POPゆりこ 老人を演じるための特殊メイクがすごくリアルでしたよね。「ヴィンチェンツォ」(2021年)にも出られていましたね。

土岐 そうそう、「ヴィンチェンツォ」では庶民的な弁護士の役で、全然違いました。いろんなドラマを観て行くうちにあちこちでいろんな役をされてることに気付くんですけど、ジェミョンさんはオーラが自由自在という感じ。あとは、私は阿部サダヲさんが大好きなんですけど、「社内お見合い」(2022年)に出ていたイム・ギホンさんは阿部さんを彷彿とさせる雰囲気がありました。すごくコミカルな演技で、ギホンさんが出てくると必ず面白いシーンになる印象。Twitterでも同じようにつぶやいている人がたくさんいましたね。ゆりこさんが好きなバイプレイヤーはどなたですか?

K-POPゆりこ 女性から挙げていくと、ラ・ミランさんは、ここ数年全盛期を迎えているなあと思います!

土岐 「恋のスケッチ~応答せよ1988~」(2015年)でお名前を覚えました。女性から人気のある方なイメージです。バラエティ番組とかにも出ていますよね。

K-POPゆりこ はい。基本的にクセが少しあるけど情に厚い役が多い気がします。あとは「パラサイト 半地下の家族」の家政婦役で注目されたイ・ジョンウンさんは、舞台役者から出てきた人ですけど、これからどんどんメジャーな場で活躍していくんだろうなと思います。

土岐 お名前はちゃんと覚えられてなかったけど、いろんな作品でお顔を見ている気がします。

K-POPゆりこ 男性だったら、イ・ムセンさんが気になってます。「ある春の夜に」(2019年)や「夫婦の世界」(2020年)に出ていて、それまではそんなに気になる存在ではなかったんですけど、最近の「39歳」(2022年)での泣く演技がすごくて。「さあ泣くぞ」っていう感じじゃなくて、「本当に大切な人に悲しいことが起きたらこういう泣き方をするよな」というリアルさがあったんですよ。演技というより、役が乗り移っている感じでした。あとは「サイコだけど大丈夫」で自閉スペクトラム症を持つサンテ役を演じていたオ・ジョンセさんも、いろんな面を持っていて応援しています。最初「会いたい」(2012年)で見たときはカッコいいなと思ったのですが、近年はコミカルだったり情けない役もいっぱいやっていて、演技の幅が広いなって。

土岐 「サイコだけど大丈夫」のメイキングを観たとき、すごく感動したんです。木の前でサンテがお母さんに向けて絵本を読んで号泣するシーンがあるんですけど、カットがかかったあとに、主演でオ・ジョンセさんの弟役のキム・スヒョンさんが「どうしてこんなふうに(悲しく)作り上げたの!?」って泣いていて。台本だけではそこまで泣けるシーンではないと共演者も思っていたけど、感情が込み上げてくるままに演技した結果、そこまでの演技が引き出されたんだろうなと。当たり前なんだけど、役者の演技の加減によってドラマが大きく変わる。俳優さんが作り上げている部分って大きいんだなと思います。

K-POPゆりこ そうですね。台本に書いてあるのはただの文字だけど、それをどう表現するかは俳優さん次第。それが上手でケミストリーを生める方が、いいバイプレイヤーとしていろんな作品に呼ばれているんでしょうね。

土岐 「椿の花咲く頃」(2019年)で全国民から嫌われるような悪役を演じていたイ・ギュソンさんは、演技が鳥肌ものだなと思ったんですけど、オ・ジョンセさんと同じ作品に立て続けに出ていますよね? すごく慕ってるみたいで。オ・ジョンセさんが次に出る作品を聞いて、その作品のオーディションを受けに行ったりしてるみたいです。

K-POPゆりこ キャストからの推薦で出演が決まるということもあるようなので、もしかしたら監督が「この役に合いそうな役者、誰かいる?」と聞いて、イ・ギュソンさんが共演者にフックアップされている、ということもあるかもしれないですね。あくまで憶測ですが。それぞれ演技が上手で、お互いに信頼しあっていないと成り立たないことだなあと思います。

土岐 日本のドラマのキャスティングは、事務所の影響力の大きさを感じることも多いですよね。主演の人の事務所の後輩俳優が脇役で出ていたりとか。韓国ドラマでも、キャスティングにおいてそういう影響はあったりするのでしょうか?

K-POPゆりこ 少ないと思いますね。2000年代前半までは、サイダスHQ(現iHQ)いうマネジメント会社がとても大きくて、どのドラマを観てもその事務所の人ばかりということもあったんです。あのヨン様(ペ・ヨンジュン)や、チョン・ジヒョンさん、ソン・ヘギョさん、コン・ユさんとかもいましたね。そこからみんな独立したり他社へ分かれていったので、今はそういう存在はない気がします。事務所よりテレビ局より何より、キャスティングにおいて強いのは監督と言われています。監督と脚本家が描く世界に全然マッチしていなかったら、大手の事務所の俳優でも採用されないんじゃないかと思います。もし出演できたとしても、期待に応えられなければ視聴者から厳しい目で見られますから。「あの子はバーターだよね」みたいな話も、日本より聞かない印象です。

土岐 なるほど。

K-POPゆりこ 韓国国内での視聴率1位も大事ですが、Netflixなどを通じて世界で観られることを重視しているので、見ているところが違うなと思いますね。変な話、韓国ではスポンサーの力も微々たるもののように感じます。最近では、CJ ENMがスタジオドラゴンとは別に新しいコンテンツスタジオ「CJ ENMスタジオズ」をこの春に新設したり、「スタジオドラゴンジャパン(仮)」の設立も予定しています。今年2022年に日本に進出すると言われているTVINGもオリジナルコンテンツを拡充しているので、さらに韓国ドラマの競争はさらに激しくなると思います。いいドラマも増えそうですが、視聴者側からすると時間が足りないという幸せな悩みがさらに増えそうですね(笑)。

後編につづく)

土岐麻子

1976年東京生まれ。1997年にCymbalsのリードボーカルとして、インディーズから2枚のミニアルバムを発表する。1999年にはメジャーデビューを果たし、数々の名作を生み出すも、2004年1月のライブをもってバンドは惜しまれつつ解散。同年2月には実父にして日本屈指のサックス奏者・土岐英史との共同プロデュースで初のソロアルバム「STANDARDS ~土岐麻子ジャズを歌う~」をリリースし、ソロ活動をスタートさせた。2011年12月に初のオールタイムベストアルバム「BEST! 2004-2011」を発表し、ソロデビュー10周年を迎えた2014年11月に「STANDARDS」最新作となる「STANDARDS in a sentimental mood ~土岐麻子ジャズを歌う~」を発売。2021年2月にカバーアルバム「HOME TOWN ~Cover Songs~」、11月にはオリジナルアルバム「Twilight」をリリースした。

TOKI ASAKO OFFICIAL WEBSITE
土岐麻子staff (@tokiasako_staff) | Twitter
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K-POPゆりこ

音楽・エンタメ領域で活動するライター。雑誌編集者を経て渡韓し、ソウルで1年半を過ごしたのちに帰国。現在は女性誌やニュースメディアなどで、韓国カルチャーについて執筆している。

K-POPゆりこ 韓国沼の主婦 (@yurikpop0327) | Twitter

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