アニメーション映画「この世界の片隅に」に新規場面を付け足した別バージョン「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が東京・テアトル新宿、ユーロスペースほかにて12月に公開されることが決定。「この世界の片隅に」に引き続き、本作もコトリンゴが音楽を担当することが明らかになった。
2016年11月の劇場公開以来、1日も途絶えることなく映画館で上映されている「この世界の片隅に」。本作はこうの史代によるマンガを片渕須直監督がアニメーション映画化した作品で、別バージョンの「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」というタイトルは片渕監督によるアイデア案をこうのが快諾して付けられた。片渕監督は原作にはまだまだ魅力的なエピソードがあり、それを描き足すことによって主人公のすずだけではない「さらにいくつもの人生」を描き出したいと考え、今作を制作することに決めたという。新規シーンの絵コンテは通常のアニメ作品と同じように、企画当初から存在はしていたものの、本バージョンではそれらを見直しながら復活させ、さらに新たなカットも追加。これまでの現行版とは一部主題も変わってくるため、別の題名をつけた「もう一本の映画」として制作されることになった。
本作では主人公すずと、すずが嫁ぎ先の町で初めて出会う同世代の女性・リンとの交流を描く。昭和19年秋と昭和20年冬から春にかけてのエピソード、さらにすずの妹・すみを案じて過ごす中で迎える20年9月の枕崎台風のシーンなどが追加される。新しい登場人物や、これまでの登場人物の別の側面なども描かれ、彼女たちの心の奥底で揺れ動く複雑な思いが描き出されることで、より大人びた印象のすずの姿を観ることができる。コトリンゴは現行版でも音楽を手がけたが、今作でも主題歌を含むすべての劇中歌を担当し、新曲も制作する予定。この発表に合わせて公開された特報映像にはコトリンゴが歌う「悲しくてやりきれない」が使用されている。
声優陣は変わらずで、主人公のすずをのんが演じる。そのほか細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、牛山茂、新谷真弓、澁谷天外も続投する。
片渕須直 コメント
戦争しおってもセミは鳴く。ちょうちょも飛ぶ。そして、人には人生がある。
それが戦争中であっても。明るくぼーっとした人のように見えるすずさんが自分以外の「世界の片隅」と巡り合うとき、すずさんの中にはどんな変化が生まれるのでしょうか。
すずさんの中にあったほんとうのものを見つけてください。
(C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会