鹿児島・桜島多目的広場&溶岩グラウンドを舞台にした野外フェスティバル「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2018」が、昨日10月7日にスタートした。
「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL」は明治維新150年を迎えた今年、鹿児島を盛り上げるために新たに立ち上げられたフェスティバル。薩摩、大隅、与論の3ステージにて豪華アーティストの共演が繰り広げられる。この記事では昨日7日の初日公演の模様をレポートする。
大隅ステージでオープニングアクトのなみだ藍が熱唱したあと、薩摩ステージではフェスティバルの発起人の1人であるタブゾンビ(SOIL & "PIMP" SESSIONS)が登場し、開催への思いを語った。その後トップバッターとして登場したのは岡崎体育。岡崎は「台風もそれたんで、ハッピーな曲をやりたいと思います。『Call on』という曲です」と話し、難易度の高すぎるコール&レスポンスや手拍子を強要して観客を爆笑に導く。「岡崎体育出るって書いてあったでしょ!? なんで予習してこないんですか!」と逆ギレした岡崎は、バックステージにいる共演者たちに向かって「バンドの皆さん、心して聴いてください」と呼びかけて「FRIENDS」をパフォーマンスした。「XXL」の曲中には岡崎のPCがオーバーヒートし、「このピンチどう切り抜ける?」とあわてた岡崎がなぜか「にんげんっていいな」をオーディエンスと合唱して時間を稼ぐ一幕もあった。
ベリーグッドマンは「ライトスタンド」のさわやかなサウンドでライブをスタートさせ、新曲「プレイヤー」をいち早く披露して観客を沸かせる。リーダーのRoverは自身の母親が鹿児島県鹿屋市高須町出身だと明かし、地元ネタで鹿児島のオーディエンスを楽しませた。「ライオン」「Good Time」で会場の一体感を高めたあとは「ベリーグッド」で息の合ったパフォーマンスを展開。ラストは「ハイライト」で美しいハーモニーを響かせた。
薩摩ステージには鹿児島出身のバンド2組が連続で登場した。テスラは泣かない。は飯野桃子(Piano)のアグレッシブなプレイが光る「ダーウィン」、村上学(Vo, G)の高らかな歌声が響いた「アンダーソン」、ダンサブルな「アテネ」といった楽曲で地元の観客を盛り上げる。村上は今年バンドが結成10周年を迎えたことに触れ「10周年に第1回目の『THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL』に出演できて本当に光栄です。10年間いろいろあったけど、バンド続けてきてよかったです」と喜んだ。
雨のパレードのライブでは、福永浩平(Vo)が開口一番「ただいま!」と地元のファンに挨拶。「new place」「Tokyo」で幻想的な空気を作り上げていった。「(鹿児島には)なかなか帰ってこれないんですけど、僕の大好きなタブさんが発起人でこういうフェスを作ってくれて、僕たちも戻ってこれてうれしいです」と語った福永は実家もすぐ近くだというタブゾンビを呼び込み、彼のトランペットを加えて「Hometown feat. Tabuzombie (from SOIL & "PIMP" SESSIONS)」を披露。貴重なコラボレーションを繰り広げた。
BLUE ENCOUNTは「Survivor」をソリッドに聴かせたあと「LIVER」でオーディエンスのテンションを一気に引き上げた。鹿児島県生まれだという江口雄也(G)は「鹿児島、ただいま!」と笑顔で挨拶。田邊駿一(Vo, G)も母親が南九州市生まれで子供の頃に何度も鹿児島に遊びに来たと振り返り「思い出の場所でライブができてます」と喜びを明かした。その後4人は「VS」をアグレッシブに演奏し、「もっと光を」では観客の大合唱を巻き起こす。最後に田邊は「自分の血の中に鹿児島の血が混じっていることを誇りに思います」と語り、「はじまり」を丁寧に歌い上げた。
巨大なゴールドの布が張り巡らさせれたステージに現れたコムアイは「えい政」を幻想的に歌い、「シャクシャイン」で「お好きなように楽しんでいって!」と叫ぶ。「ウランちゃん」「桃太郎」ではステージ上の布に風が送り込まれ、コムアイを波のように包み込んでいった。風船のように膨らんだ布はそのまま観客の頭上に覆いかぶさりながらフィールドを移動。コムアイもステージを降り、フィールドの最後方まで歌いながら移動していった。コムアイはそのまま高い脚立に登り「南方熊楠」を披露。コムアイに促された観客たちは芝生の上に座って彼女を見守るという不思議な光景が繰り広げられた。
鹿児島県出身の中島美嘉は黒のゴージャスなロングジャケット姿で登場し、「花束」と「ORION」を披露。美しく伸びやかな歌声でオーディエンスの心を惹きつけた。MCでは「やっぱいいですね、故郷は!」と笑顔を浮かべる。その後はハンドクラップで一体感を高めた「ALL HANDS TOGETHER」に続き、会場中を見渡しながら「Gift」を歌った。ステージ前を埋め尽くした観客からの大歓声を受け、中島は何度も感動した様子を見せる。最後に「少しでも涼しくなるように、この曲で終わりたいと思います」と話してから名バラード「雪の華」を披露した中島は、会場の光景に感極まり涙を流しながら熱唱。歌い終えると「本当にありがとうございます!」と笑顔を見せ、ステージを降りていった。
EGO-WRAPPIN'のステージは「黒アリのマーチングバンド」の情熱的なリズムで幕を明けた。「BRAND NEW DAY」を情感豊かに歌い上げたあと、中納良恵(Vo)は発起人のタブゾンビに向けて「呼んでくれてありがとう、タブちゃん!」と感謝を述べ、「a love song」でムーディな雰囲気を生み出した。MCでは森雅樹(G)が「記念すべき1回目、ありがとうございます。うれしいです」と改めて感謝を語り、中納は「今日はヒットチューンを取りそろえてきましたので」とオーディエンスの期待を煽った。その言葉どおり、後半も「サイコアナルシス」「くちばしにチェリー」「GO ACTION」と強力なナンバーを連投。観客を熱狂の渦に叩き込んだ。
薩摩ステージのトリを務めたのは氣志團。「One Night Carnival」でオーディエンスを踊らせたあと、綾小路翔(Vo)は星グランマニエ(G)と白鳥松竹梅(B)が鹿児島県鹿児島市出身であることを明かし「氣志團は半分千葉、半分鹿児島のバンドです」と挨拶した。ここで綾小路は翌8日に出演予定だった彼らの盟友、マキシマム ザ ホルモンの出演キャンセルについて触れ「あいつらが出られないなら俺らがやるから!」と、どう聴いても「恋のメガラバ」にしか聞こえないアレンジの「One Night Carnival 2018~恋のワンナイ~」を披露した。観客を爆笑に導くが、オリジナルバージョンよりもはるかに盛り上がっていたことを早乙女光に指摘された綾小路は「ホルモンが出ないのをいいことに、いい話風に捏造しようとしてすみませんでした」と謝罪。「氣志團は生まれ変わりました!」と新曲の披露へとつなげるが、ここで演奏されたのは今度はどう聴いてもDA PUMP「U.S.A.」にしか聞こえないアレンジの「One Night Carnival 2035~O.N.C.~」。オーディエンスのさらなる爆笑をさらっていった。
椎名林檎を客演として迎えた大トリのSOIL & "PIMP" SESSIONSは、「ハロー張りネズミのテーマ」のタイトなアンサンブルでライブのオープニングを飾った。MCで社長(Agitator)はタブゾンビとの関係について「20年前に同じ大学にいて、普通に就職しようと思っていたらこの人に騙されて(笑)。そこから20年、今この鹿児島で同じステージに立てていることを誇りに思います」と話し、発起人のタブゾンビを改めて称えた。「SUMMER GODDESS」「Pride Fish Ball」で観客の一体感がピークに達すると、いよいよ客演の椎名林檎がステージへ。最初に椎名が歌ったのは「カリソメ乙女」。独特のオーラをまとった歌声が響くと、オーディエンスからは大歓声が沸き起こった。その後は「MY FOOLISH HEART」がしっとりと披露され、会場の空気は一変した。
椎名は鹿児島が大好きで年に2回は訪れると話すと、タブゾンビは「僕、林檎さんにいい店とか聞いてます(笑)」と告白。椎名がタブゾンビを「こんなことを実現できるなんてすごい。鹿児島の星!」と褒め称え、「来年もなさるんですか?」と2019年のフェス開催について尋ねると、タブゾンビは「来年もやります!」と即答。椎名の「(来年は)ぜひフルセットでお邪魔させてください」という言葉に、タブゾンビは「皆さん聞きましたね!? やったぜ!」と狂喜した。そんなやり取りのあと、コラボレーションの最後に演奏されたのは2013年に2組がコラボシングルとしてリリースした「殺し屋危機一髪」。迫力満点のパフォーマンスで初日が締めくくられた。