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私と音楽 第6回 桜田通が語るUVERworld

5年以上前2019年04月22日 8:01

各界の著名人に“愛してやまないアーティスト”への熱い思いを聞くこの連載。第6回に登場してくれたのは、音楽にまつわる映画へ多数出演し、自身もボーカリストとして活動を行うなど、音楽好きとして知られる俳優の桜田通。彼にUVERworldの魅力と、敬愛しているというTAKUYA∞(Vo)への愛についてたっぷり語ってもらった。

こんなにカッコいい日本のバンドがいるんだ

UVERworldの曲を初めてちゃんと聴いたのは中学2年生のとき。僕は小学校も中学校もあまり行っていなくて、勉強も好きじゃなかったんです。でも友達が通っていたこともあって塾には行っていて。あるとき塾に行く道でiPodを拾ったんです。警察に届けようと思ったのと同時に、「この人なんかおもろい曲聴いてるかな?」と興味が湧いて中を見たら、アーティスト欄の最後にUVERworldを見つけました。当時の僕にとってのUVERworldは、友達がカラオケで歌っているのをたまに聴くようなアーティスト。加えてその頃はませていたこともあり、エミネムやThe Black Eyed Peasなどの洋楽をよく聴いていて、「日本の音楽とかダサいでしょ」と考えていたんです。そんな時期にそのiPodに入っていた「CHANCE!」をなんとなく聴いたら、「うわなんだこの曲、こんなにカッコいい日本のバンドがいるんだ」と驚きました。そして自分ですぐに「CHANCE!」の音源を買って、この1曲だけをしばらく聴いていました。

TAKUYA∞くんとの初対面は、「CHANCE!」に出会った2週間後くらい。僕は仕事でミュージカルに出演していた時期で、ボイトレに通っていました。ある日ボイトレの先生に「次にレッスンに来る人が、UVERworldのTAKUYA∞くんなんだけどわかる?」と言われて、挨拶させてもらえたんです。そのときTAKUYA∞くんに、「『CHANCE!』が好きで、最近ずっと聴いてるんです」と伝えました。そうしたらTAKUYA∞くんが「俺も『CHANCE!』は好きな曲だ。ありがとう」と言ってくれて。自分の作品のことを自信を持って「俺も好きだ」と言うTAKUYA∞くんに一瞬で惹かれて、初めてものすごくカッコいいと思える同性の先輩に出会えたと思いました。その日の帰りに当時リリースされていたUVERworldのCDを全部買いました。当時の最新アルバム「Timeless」も買ったし、シングル「D-tecnoLife」「just Melody」も。聴けば聴くほど、どの曲も素晴らしくてどんどんハマっていきました。そこからはもう完全にUVERworldのファン。この時期は本当にUVERworldばかり聴いてましたね。

最前列で観られるようになるための靴

一番思い出に残っているライブは、「UVERworld 47/47 TOUR 2011 LIFE 6 SENSE」の大阪城ホール公演。すごく嫌なことがあった日で、ちょうどその日にUVERworldがライブを行うことを知ったんです。当日だったけどすぐに行くことを決めました。その日は自分の心の在り方も相まってTAKUYA∞くんの言葉に感情移入して、ライブを観て泣いてしまいました。あと僕は、2013年から半年ほどイギリスへ留学をしていて、留学直前に行った「UVERworld LIVE TOUR 2012」のZepp DiverCity公演も記憶に残っています。しばらく大好きなUVERworldのライブに行けなくなるから、最前列で観たんです。音楽に身を任せて、心を解放するような楽しさが感じられました。ただ僕はどちらかと言うと、歌詞や曲のよさをじっくり感じたり、アーティストの一挙一動をしっかり観るほうが好きなので、それ以来最前には行っていません。

でも実は「UVERworld LIVE TOUR 2012」の前にも、最前で観ようとしたときがありますが、そのときは体力的にしんどくて途中でやめてしまったんです。それをTAKUYA∞くんに相談したら、「走ったほうがいいよ」とアドバイスをもらいました。しかもTAKUYA∞くんが、原宿のNIKEショップで靴をプレゼントしてくれたんです。半ば強制というか「買ったら絶対走れよ」くらいの勢いで。それからはTAKUYA∞くんのような頻度ではないけれど、自分にとって必要なタイミングで走るようになりました。でも最近靴をよく見たら右足の踵部分が破けてたんです。Air Maxのエアーが抜けてベコベコに……(笑)。だからついに原宿のNIKEショップで、ランニング用の靴第2号を買いました。靴は変わっても、TAKUYA∞くんに靴をもらったときの気持ちは忘れずにこれからも走り続けたいし、いただいた靴も大切に取っておこうと思っています。

あと今日も着けているこの指輪は、18歳の誕生日のときにTAKUYA∞くんからいただいたものです。実は最近は役に没頭したいときなど、UVERworldの曲を聴かない日もあります。でもこの指輪だけは、もらった日から今まで、忘れない限りはほぼ毎日着けています。ホントにお守り代わりですね。この指輪をくれた当時、僕はいろいろなことを夢見ていました。きっとTAKUYA∞くんは「がんばれ」という気持ちを込めてこの指輪をくれたんだと思っています。今でもこの指輪をふと見て、指輪をもらったときの自分に恥じない自分であり続けたいと胸に刻んでいます。

とうとう神様になったのかな

一番好きな曲を決めるのは難しいですね。「IMPACT」もいいし、「ナノ・セカンド」も好きだしな。「THE OVER」も超好きだし、「7日目の決意」は本当に素晴らしい曲だし……でも今は、最新シングルの表題曲「Touch off」が一番好きかもしれない。UVERworldのオフィシャルサイトで公開された瞬間にミュージックビデオを観て、衝撃を受けたから。演出が素晴らしいんですよ。間奏部分でTAKUYA∞くんが両手を上げているところに後ろから照明がブワーッと当たって、「とうとうこの人は神様になったのかな」「カリスマってこういう人のことを言うんだな」と感服しました。曲ももちろんカッコいいです。曲の後半にTAKUYA∞くんの声ではない、機械的でSiriのような女性の声が入っていて、「最新の音楽ってこういうことか」と衝撃と刺激を受けました。

UVERworldを初めて聴く人にオススメしたいのは、「在るべき形」。いい意味で聴きやすい曲だと思うんです。思いっきりクセが強い曲をオススメするんだったら「99/100騙しの哲」や「畢生皐月プロローグ」を聴いてほしい。でも「在るべき形」を聴いて、「曲がよくない」「歌詞が微妙」と言う人はこの世界にいないんじゃないかと思うんです。この曲は自分が主演を務めた映画「MARCHING-明日へ-」の主題歌でもあって、僕からTAKUYA∞くんに直接、曲を作ってほしいとお願いしました。今より怖いものがない分、若気の至りで頼めましたが、今思えば無茶なお願いだったと思います。この映画は、夢をあきらめないことや震災がテーマとして描かれた作品。UVERworldというバンドが放つメッセージ性やTAKUYA∞くんが書く歌詞で、映画がよりいい作品になってほしいと思って、ドキドキしながら電話しました。引き受けていただいてから完成までは、いちファンとしても楽しみだったな。できあがった「在るべき形」を初めて聴いたとき、自分と映画という部分を切り離しても、素晴らしい曲だと感じました。

マイナーな曲で好きな曲は……といってもファンになると、いい曲ぞろいでどの曲がマイナーで、どの曲がマイナーじゃないのかわからないですね。「一石を投じる Tokyo midnight sun」「ace of ace」もいいよな。最近の曲も好きな曲が多いから選べなくて困る。「LIMITLESS」も……でも「LIMITLESS」はマイナーじゃないよな。強いて挙げるなら、そしてもしカップリング曲というくくりをするのであれば、「マダラ蝶」が好きです。アコースティックギターが使われているところや、歌詞が女性目線なところ、すべてが素晴らしい。TAKUYA∞くんが歌詞について、何かのインタビューで「自分のお姉さんの気持ちで書いた」と話していて、「ホントにそうなのかな」という気持ちもありつつ、TAKUYA∞くんにしては少し珍しい“女性に寄り添った曲”だからグッときましたね。

crewを家族同然だと思ってる

UVERworldの魅力は、「もう少し自由に生きていいんだ」と自分を肯定できるようなライブを見せてくれるところ。今の時代、冷めているほうがカッコいいみたいな風潮があって、愛や夢を口にしづらい時代な気がしていて。でもTAKUYA∞くんは、ライブのときにそれをまっすぐ熱い言葉で届けてくれる。「言いたいことが言えない」「夢を追いかけづらい」と心を閉ざしかけている人たちが、UVERworldの熱いプレイを観て、活力をもらっていると思うんです。あと、UVERworldのライブを観て抱く印象ってカッコよさ、熱さ、強さなどが最初に浮かぶのではないかと思います。でも僕は、一番深い部分の魅力って“優しさ”だと捉えていて。普段のTAKUYA∞くんは、見た目とかちょっと怖いですけど。一見というか、元ヤンみたいで(笑)。でもすごく、すごく、優しくて愛情深い人です。たぶんTAKUYA∞くんは、ライブのときに目の前にいるcrew(UVERworldファンの呼称)を家族同然だと思ってるんじゃないかな。

TAKUYA∞くんは、いい意味でカッコつけない瞬間がある、嘘がない人だと思います。あるライブのMCでTAKUYA∞くんが「この日のために走ってきたんだ」と言ったんです。もしかしたら、走ってきたことを口にしないほうが謎めいてカッコいいかもしれない。でもTAKUYA∞くんはすべてをさらけ出して、ライブに臨むんです。さらに言うと、普段からそのスタンスが変わらないところも僕は素敵だと思っていて。この国では謙虚な人のほうが「あの人は偉いね」と評価されることが多い気がします。でもTAKUYA∞くんは初めて会ったときから、「俺も『CHANCE!』は好きな曲だ」と言っていた。その姿勢に、僕は惚れたんです。なおかつ作る曲がカッコいい。世の中にはありえないくらい歌がうまい人や英語が流暢な人、演奏がうまい人が作る曲がいっぱいある。そんな中でもUVERworldの曲は“UVERworld”というジャンルに到達してると思うんです。楽器ではない音を取り入れているところとか。例えば「PRAYING RUN」のテーマは“RUN”だから、TAKUYA∞くん自身の呼吸音が入っているんです。「Touch off」で衝撃を受けたのは、イントロ部分などの誠果(Sax, Manipulator)さんのサックス。スライサーというエフェクターが使われているのですが、ギターやベースに使うことが多いと思っていたから、「よくこんなことを思い付くな」と唸らされました。新しい曲を聴くたびに、アイデアや発想に驚かされることが多いです。

1つ、改めて克哉(G)さんに伝えたいことがあるんです。以前舞台の仕事でギターを弾いたときに、克哉さんに楽器を2年くらいお借りしたことがあって……「ありがとうございました」と「すみませんでした」をもう1度伝えたいです。メンバーの皆さんは、ライブに行くと声を掛けてくださるし、全員に感謝の気持ちしかないです。何より僕は、UVERworldの曲にたくさん救われているから。もしUVERworldに出会っていなかったら、どこかで道を間違えたり、踏み外してしまうことだってあったかもしれない。TAKUYA∞くんたちが作る曲によって、まっすぐ生きよう、誠実に生きようって思えているし、知らない間にも僕の人生はUVERworldに軌道修正してもらっていると思う。改めてUVERworldというアーティストに、本当に感謝を伝えたいです。

プロフィール

東京都出身、1991年12月7日生まれの俳優。ミュージカル「テニスの王子様」で主演に抜擢された後、さまざまなドラマや映画に出演。2017年にはフジテレビ系「クズの本懐」で連続ドラマ初主演を果たし、2018年には映画「EVEN~君に贈る歌~」で劇中バンドEVENのボーカリスト・武人役を務めた。また同年にEVENは1stシングル「アイノウタ」でメジャーデビュー。2019年2月には6曲入り音源「Sakura da Festa BEST」、同年3月にシングル「Seize the Day」を配信リリースするなど、音楽活動も精力的に行っている。2019年1月に放送開始したABCテレビ / テレビ朝日系ドラマ「パーフェクトクライム」では、複雑な恋愛感情を表現して注目を集めた。現在は主演映画「ラ」が公開中。TBS系ドラマ「わたし、定時で帰ります」にもレギュラー出演を果たしている。

取材・文・構成 / 酒匂里奈(音楽ナタリー編集部)撮影 / タマイシンゴ

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